総合化学大手 4-9月期業績、各社2桁減益に

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2020年11月16日

足元需要は回復傾向も、コロナ再拡大が懸念材料

 総合化学大手5社(三菱ケミカルホールディングス、住友化学、三井化学、旭化成、東ソー)の上期(4-9月期)業績は、新型コロナによる需要減少の影響が4-6月期を中心に強く表れたことから、前年同期比で厳しい結果となった。

 各社の利益を見ると、コア営業利益(IFRS)では、三菱ケミHDは前年同期比58%減の546億円、住友化学は同36%減の541億円、三井化学は同53%減の186億円となり、営業利益では旭化成が同25%減の768億円、東ソーが同56%減の176億円と、揃って2桁の減益率となった。中でも石化事業は、原油・ナフサ価格の下落に伴い製品市況が低迷し、コロナ影響で販売数量も大きく減少。三菱ケミカルのMMA、旭化成のアクリロニトリル(AN)、東ソーのMDIなど市況製品の交易条件が大幅に悪化した。また、4-6月期の国産ナフサ価格は2万5000円と、1―3月期に比べ2万円近く下落しており、在庫の受払い差や評価損が発生したことも収益の下押し要因となっている。

 一方、4-9月期の各社の売上高営業利益率(ROS)を見ると、コア営業利益では、三菱ケミHDが3.6%(前年同期比3.6ポイント減)、住友化学が5.2%(同2.4ポイント減)、三井化学が3.5%(同2.4ポイント減)となり、営業利益では旭化成が7.8%(同1.7ポイント減)、東ソーが5.5%(同4.7ポイント減)となった。

 三菱ケミHDはケミカルズセグメント(MMA、石油化学、炭素)、住友化学は石化事業、三井化学は基盤素材、旭化成は基盤マテリアルズ(AN)とパフォーマンスプロダクツ(合成ゴムやエンジニアリングプラスチックス)、東ソーは石化とクロル・アルカリ(MDI)、での収益悪化がROS低下につながった。コロナ影響によりロックダウンが導入されたことで世界経済が停滞し、汎用品を中心に需要が減少したことが伺える。

 今後については、4―6月期を底に需要が回復傾向となっており、下期もこの傾向が続くとの見方が強まっている。特に中国では、自動車や家電などの生産活動が活発化し、石化製品の需要が拡大していることや、半導体関連製品もリモート化や5Gの進展で好調さ継続している。

 こうした状況を受け、通期業績見通しでは、住友化学と三井化学はコア営業利益の上方修正を行い、旭化成はレンジで示していた営業利益からの上積みを見込むなど、各社の収益の上振れが期待される。とはいえ、足元でコロナ感染が再拡大の様相を見せていることや、米国大統領選の結果を受け世界情勢が不安定化していることが懸念材料。この先、世界経済が変調する可能性もあり、事業環境はこの先も予断を許さない状況が続きそうだ。

 

 

 

住友化学 税務方針を制定、ガバナンス強化の一環

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2020年11月4日

 住友化学は2日、「住友化学グループ税務方針」を制定したと発表した。同方針は、同社グループのコーポレートガバナンス強化の一環として、これまでの税務に関する取り組み方針を明文化したもの。

 2012年に経済協力開発機構(OECD)で発足した「BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクト」を契機として、租税回避行為の防止に向けた国際課税ルールの見直しが各国・地域で進められている。このような世界的な税務コンプライアンス強化の動きのほか、企業によるグローバル展開の拡大などに伴い、企業グループが抱える潜在的な税務リスクの規模や複雑性が増大。住友化学グループは、現在、世界の約30カ国で事業展開をしており、納税を企業が果たすべき最も基本的かつ重要な社会的責任の1つと捉えている。これまでも、各国・地域で適用される税法を順守し、適切な納税を行ってきたが、税務コンプライアンスと税の透明性確保に向けた取り組みを全グループ会社がより高いレベルで実行するため、方針を制定した。

住友化学グループは、コンプライアンスを企業経営の根幹と位置づけ、引き続き、事業活動を行っている各国・地域では、諸法令はもとより、企業倫理の順守を徹底していく。

住友化学の4-9月期 コロナ影響で石油化学の収益悪化

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2020年11月2日

 住友化学は30日、2021年3月期第2四半期(4-9月期)連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年同期比6%減の1兆468億円、コア営業利益36%減の541億円、営業利益51%減508億円、純損失11億円(308億円の悪化)となった。

 セグメント別では、石油化学は売上収益1086億円減の2436億円、コア営業損失313億円(487億円の悪化)。コロナ感染拡大により自動車関連用途を中心に合成樹脂などの出荷が減少した。原料価格の下落に伴い、石化製品の市況が低水準で推移した。石化製品などの交易条件悪化や、持分法適用会社ラービグは定期修繕の影響があった。

 エネルギー・機能材料は売上収益258億円減の1052億円、コア営業利益78億円減の48億円。コロナ影響の拡大により自動車関連用途の電池部材(LIB用セパレータ、正極材料)や合成ゴムなどの出荷が減少した。

 情報電子化学は売上収益64億円増の2133億円、コア営業利益68億円増の221億円。半導体材料の高純度ケミカルやフォトレジストは需要の伸長により出荷が増加した。巣ごもり需要や在宅勤務需要などを背景に、ディスプレイ関連材料の出荷が増加した。

 健康・農業関連事業は売上収益397億円増の1861億円、コア営業利益181億円改善し99億円。農薬はニューファーム社の南米子会社四社の買収により販売が増加した。メチオニンは前期比で市況が上昇し、交易条件が改善した。

 医薬品は売上収益287億円増の2761億円、コア営業利益22億円増の491億円。国内では前年度に販売開始した2製品の販売が寄与し、北米では「ラツーダ」の販売が伸長した。

 その他は売上収益13億円減の225億円、コア営業利益5億円増の57億円。

 なお、通期業績予想の修正を発表。売上収益2兆2150億円は据え置いたが、コア営業利益1000億円(前回予想比200億円増)、営業利益1050億円(同350億円増)、純利益300億円(同100億円増)を見込む。石化では合成樹脂などの販売回復の遅れを見込むが、医薬品や情報電子化学の出荷は第2四半期まで堅調に推移していることを勘案した。

住友化学 繊維用向け樹脂製蓄熱材が寝具の中綿に採用

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2020年10月23日

 住友化学は22日、同社が開発した樹脂製蓄熱材「コンフォーマ」が、大手寝具メーカーの高機能掛け布団の中綿に採用されたと発表した。今後、衣料やカーペットなど様々な繊維製品への展開を目指していく。

 同製品は、相変化を利用して20~50℃の範囲内の所望の特定温度域で熱の出し入れができるように設計された繊維向け樹脂製蓄熱材。パラフィン(石ろう)などの低分子系蓄熱材は漏えい防止が必要だが、同製品は蓄熱する温度域で固体状態を維持するため、そのまま繊維の形態で使用することができる。

 また、細長い繊維にするために成形安定性を高めた樹脂設計をしており、ナイロンやポリエステルといった一般的な合成繊維と同様に、生産効率の高い溶融紡糸法での量産が可能だ。こうした特性から、繊維化した同製品を布団の中綿に使用した場合、布団と人体との間の空気層を快適な温度に保つことができる。羽毛に代わる合成繊維の中綿設計に寄与する重要な素材として評価され、今回の採用に至った。

 近年、QOL向上が求められており、快適性を追求した機能性繊維の開発が進められているが、同製品はそれらの機能性繊維と組み合わせることでも相乗効果の発現が想定される。例えば、防寒肌着の吸湿発熱繊維と組み合わせて暖かく感じる時間を長続きさせたり、夏季向けの接触冷感繊維と組み合わせて涼しさをさらに向上させたりといった効果が期待できる。また、人や社会、環境に配慮したエシカル消費の観点からは、羽毛の代替素材としての活用も見込まれる。寝具や衣料のほか、快適さや省エネに資するその蓄熱性能を生かして、カーペットやカーテンをはじめとした幅広い繊維製品への適用に向け、現在、複数の企業と用途開発が進む。

 同社は、これからも市場の潜在ニーズを発掘し、既存事業の枠を超えた新たなアプリケーションへの展開につながる新規製品・技術を開発することで、サステナブルな社会の実現に貢献できるソリューションを提供していく考えだ。

繊維用途向け樹脂製蓄熱材「コンフォーマ」性能比較
繊維用途向け樹脂製蓄熱材「コンフォーマ」性能比較

住友化学 農薬事業体制を強化、米VBCに関連機能を統括

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2020年10月12日

 住友化学は9日、バイオラショナル事業の強化を目的として、同社グループ内の組織体制を改編し、同事業に関連する全機能を米国のベーラント・バイオサイエンス社(VBC)に統括させると発表した。また、化学農薬の米国拠点であるベーラントUSA社(VUSA)の本社と研究開発拠点を集約した新施設を開設。これらにより、住友化学グループのグローバル農薬関連事業の一層の強化、拡大を図るとともにサステナブルな農業への貢献を加速する。

 同社グループのグローバル農業関連事業は、化学農薬とバイオラショナルが大きな柱。世界の農薬市場が人口の増加による食料増産ニーズを背景に拡大している中、とりわけバイオラショナル製品は、今後も需要増加が見込まれる。こうした状況を踏まえ、同社グループは、バイオラショナル事業について組織体制を改編。同事業に関連する全機能をVBCに統括させて独立性を高めることで、事業強化を図る。

 具体的には、VBCにバイオラショナル事業のグローバル販売を統括するチーフコマーシャルオフィサー(CCO)のポストを新設し、その下に、各地域のバイオラショナル製品の販売やサービスの提供に特化した組織であるサステナブル・ソリューション・ビジネスユニット(SSBU)を配置して人員も増強する。SSBUは、すでにVUSA内に設置している米国に加え、今後、南米と欧州の農薬事業を統括する子会社にも新設する予定。

 バイオラショナル製品のパイプラインとしては、現在、上市間近な6つの新製品のほか、開発初期・中期のステージでも多くの有望な製品がある。6つの新製品については、2022年以降に登録を取得後、順次上市し、各地域のSSBUが販売を担う計画だ。

 化学農薬については、米国カリフォルニア州北部に分散していたVUSAの本社と研究開発拠点を集約した新施設、「ノースアメリカンイノベーションセンター」(NAIC)を8月に同州サンラモンに開設。NAICには、最新鋭の研究開発設備を導入しており、引き続き、環境負荷低減を目指した革新的な化学農薬の開発に注力していく。

 

 

住友化学 再生・細胞医薬分野のCDMO、合弁会社で開始

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2020年10月9日

 住友化学と大日本住友製薬は8日、再生・細胞医薬分野の製法開発、製造などの受託(CDMO)事業を行うため合弁会社S-RACMO(大阪府吹田市)を9月に設立し、このほど業務を開始したと発表した。

 再生・細胞医薬分野では、アカデミアやスタートアップ企業などでの生産体制の構築が開発・商業化上の課題となっている。こうした中、住友化学と大日本住友製薬は、再生・細胞医薬の早期普及および産業化に貢献するため、CDMO事業に進出した。住友化学がもつiPS/ES細胞の基盤技術や医薬品の受託製造に関するノウハウと、大日本住友製薬が再生・細胞医薬事業での複数のプロジェクトで培った高度な製法開発や製剤開発などのノウハウを生かしていく。再生・細胞医薬分野のCDMO事業の市場規模は、2030年までに世界で約1.2兆円に拡大する見込み。

 両社は、グループシナジーを発揮して、同市場でのシェア獲得、CDMOに関わる技術・ノウハウの蓄積および高度化に取り組む。また、CDMO事業への進出を通じて、住友化学は低分子や核酸に次ぐ医薬品製造受託事業の拡充によるライフサイエンス領域の事業拡大を、大日本住友製薬は再生・細胞医薬分野での事業の多様化、収益貢献および新たな提携機会の獲得も目指す。

 一方、S-RACMOは、大日本住友製薬が所有する再生・細胞医薬製造施設「SMaRT」の一部、および大日本住友製薬の総合研究所(大阪府吹田市)内に今後新設される再生・細胞医薬製造施設を使用してCDMO事業を実施する計画。新施設は総工費約11億円で、来年12月の完成を予定している。また大日本住友製薬は、S-RACMOによる製造を視野に入れ、米・CorneaGenから日本での角膜内皮細胞(予定適応症:角膜疾患)の製造および製法開発を受託するため、すでに同社と交渉を開始している。

住友化学 千葉工場に高効率なガスタービン発電設備を新設

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2020年10月6日

 住友化学は5日、温室効果ガス排出削減に向けた取り組みの一環として、千葉工場(千葉県市原市)の既存の石油コークス発電設備を廃止し、高効率なガスタービン発電設備を新設すると発表した。設備の完成は2023年秋を予定している。

 千葉工場にCO2排出係数の低い液化天然ガス(LNG)を燃料とするガスタービン発電設備を新設し、同工場から排出されるCO2の約20%に相当する年間24万t以上を削減する。また、隣接するグループ会社の広栄化学にも同設備から電力供給を行い、住友化学グループとしてさらに温室効果ガス排出削減を図る。なお、今回の新設は、広栄化学との連携事業として、経済産業省の令和2年度「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援事業)」の交付が決定している。

 2015年に国際的な枠組みとして採択されたパリ協定では、産業革命以前からの平均気温上昇を低く抑える「2℃目標」や「1.5℃目標」が示されており、温室効果ガスの排出削減対策は喫緊の課題。そのため、住友化学は、2018年、愛媛工場(新居浜市)の敷地内に5社共同出資によるLNG基地建設への参画を決定。同基地が供給するLNGを、グループ会社である住友共同電力が2022年7月に稼働予定の火力発電所で使用することで、愛媛工場のCO2排出量を削減する計画だ。

 住友化学は、2018年に総合化学企業として世界で初めてSBT(Science Based Targets)イニシアチブによる認定を取得するなど、温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組んでいる。同社グループは、「事業活動を通じて人類社会の発展に貢献する」を経営理念に掲げ、引き続きグループを挙げて、気候変動問題をはじめとする社会課題の解決に積極的に取り組んでいく。

住友化学 ラービグ2期のPJファイナンス、完工保証が終了

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2020年10月2日

 住友化学は1日、同社とサウジ・アラムコ社の両社が主要株主として出資しているペトロ・ラービグ社が進めてきた第2期計画に関し、完工保証が9月30日付で終了したと発表した。

 両社は、完工までの間、プロジェクト・ファイナンスによる融資額のそれぞれ50%について保証を供与してきたが、今回、当該プロジェクト・ファイナンス契約で定める連続操業実績や債務返済能力に関する所定の条件の充足状況について銀行団と協議・確認を行ったところ、了承が得られた。

 完工保証とは、プロジェクトの建設工事が完了し、安定的な操業を通じて債務返済を可能とするキャッシュフローを継続的に稼ぎ出すことが確認されるまでの一定期間につき、出資企業が借入先に対する融資金全額の返済を保証する仕組み。

 ペトロ・ラービグ社は、2015年、JBICやサウジPIFをはじめとする銀行団と、ラービグ第2期計画の総事業費約91億ドルの60%にあたる約52億ドルの融資を受けるプロジェクト・ファイナンス契約を締結。この契約に関し、住友化学とサウジ・アラムコ社は、約52億ドルの融資額の50%ずつについて、銀行団との契約に基づき完工保証を行ってきた。

 ペトロ・ラービグ社は、すでに2019年6月から借入元本の約定返済を開始しているが、引き続き、自社で生み出すキャッシュフローを原資に、借入金の返済を行っていく。

 一方で、ペトロ・ラービグ社は、昨年末以来、市場環境が急速に悪化する中で定期修繕実施の影響などもあり、運転資金が不足。そのため、住友化学とサウジ・アラムコ社は、これを補う目的として、同社へ総額20億ドルの融資(内、住友化学分は7.5億ドル)を実施した。

 住友化学は、引き続き、ペトロ・ラービグ社が安定した操業を行い、持続的な発展を遂げることができるよう、必要な支援を行っていく考えだ。

住友化学 中国に5拠点目のPPコンパウンド設備を新設

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2020年9月16日

 住友化学は15日、中国での自動車材事業を強化するため、江蘇省無錫市に中国で5拠点目となるポリプロピレン(PP)コンパウンド生産設備を新設すると発表した。同社情報電子化学部門が管轄する住化電子材料科技(無錫)の敷地内に、無錫工場(珠海住化複合塑料・無錫分公司)を整備。すでに設置済みの成都拠点とともに、来年年初の生産開始を予定する。

PPコンパウンドを生産する無錫工場。中国で5拠点目
PPコンパウンドを生産する無錫工場。中国で5拠点目

 PPコンパウンドは、PPにエラストマーやガラス繊維、無機フィラーなどを混錬し、機能性や剛性を向上させた高性能な材料で、自動車のバンパーや内装材、家電製品などに使われている。

 中国は、世界最大の自動車市場であり、また、近年の環境規制の強化や安全性向上に関するニーズの高まりを受けて、自動車の内外装向けPPコンパウンドの需要が年々増加傾向にある。こうした背景から、住友化学は、2016年に中国西部の中心都市である四川省成都市にPPコンパウンドの生産・販売拠点を新設し、現在、試作や顧客評価を進めている。

 今回、成都の同拠点に続き、経済成長著しい華中地域の製造拠点として無錫工場の設立を決定。中国で5拠点目となる無錫工場の設置により、中国の自動車メーカーや家電メーカーに対する広い供給網とタイムリーな顧客対応力を生かし、プレゼンスを一層高めていく考えだ。

住友化学と島根大学 CO2をメタノールに、炭素循環を実現

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2020年9月14日

 住友化学と島根大学はこのほど、CO2からメタノールを実用化に見合うレベルで高効率に合成する共同研究を推進すると発表した。

 メタノールは、エチレンやプロピレンといった低級オレフィンを製造する原料として広く使用されているほか、合成樹脂や接着剤、薬品、塗料など化学品の基礎原料。世界で年間約8000万tの需要があり、現在は、化石資源である天然ガスや石炭ガスを主原料に、高温高圧下で複数の製造工程を経て生産されている。

 気候変動対応が世界的に喫緊の課題となる中、企業やアカデミアは、温室効果ガス削減を目指して、炭素循環の実現に資する技術開発に取り組んでいる。メタノールについては、ごみの焼却処理により発生するCO2と再生可能エネルギー由来の水素を原料として合成すれば、温室効果ガス排出量の削減と有用な工業製品の生産を同時に達成することができる。

 また、合成ガス(CO、CO2および水素の混合ガス)からも製造ができるため、地域の使用済みプラスチックやバイオマス資源を合成ガスに変換し、この合成ガスを原料としてメタノールを得ることで、炭素循環の実現が可能となる。

 CO2を原料としたメタノール合成の実用化に向けた課題として、メタノールの収率が低いことや反応で副生する水蒸気による触媒劣化が知られているが、近年、この課題を克服する技術として、島根大学総合理工学部の小俣光司教授が開発する反応収率を向上させるプロセス技術が注目を集めている。

 今回の共同研究では、同大学は、引き続き触媒とプロセスの基礎技術開発を進め、住友化学は、その基礎技術をもとに触媒とプロセスの工業化に取り組み、高効率なメタノール合成反応の確立を目指す。

 両者は、共同研究を通じて高効率なメタノールの合成反応プロセスを完成させ、CO2と使用済みプラを資源とした炭素循環を確立し、持続可能な社会の構築に貢献していく。

CO2からメタノールを合成
CO2からメタノールを合成