《化学企業トップ年頭所感》 積水化学工業 髙下貞二社長

, ,

2019年1月10日

 昨年は自然の猛威と対峙する年となった。また米中貿易摩擦や中国景気の減速など、世界の経済環境の不透明感が強まった年でもあった。

 そのような環境下、積水化学グループは中期経営計画「SHIFT 2019‐Fusion‐」の核の年として、3つの重点施策「働き方改革」「現場力の磨き上げ」「ガバナンス強化」を掲げ、従業員と経営層が一体となって取り組んできた。ステークホルダーの皆様のご支援をいただき、ここまでは堅調に進んでいると考えている。引き続き「未来への成長投資」と「たゆまぬ構造改革」を推進し、今年度「10期連続増益・6期連続最高益更新」を計画通り達成したい。

 積水化学グループにとって、今年は極めて重要な年だ。現在の積水化学グループは、2020年代に業容倍増を目指す“新次元の成長”の途上にある。2019年度は中計経営計画の最終年度であり、これをしっかりと仕上げなくてはならない。同時に、次期中期経営計画を策定する年でもある。

 このことから、積水化学グループでは2019年という年を「次代の担い手にバトンを渡す好機」と位置づけ、この1月1日、3カンパニーのプレジデントが一斉に交代する新たな経営体制に移行した。これは積水化学グループを大きな時間軸で見据えた、大変重要な意思決定である。

 今年もグローバルな経営環境は不透明さを増し、予想を超えた出来事が数多く起こることと思う。日本も、平成から新しい時代へ、消費税10%の経営と世相、迫る東京五輪がもたらす多面的影響など、さまざまな変化に対応する年になるだろう。

 私たち積水化学グループが真正面から取り組むのは、「普遍的な社会課題」。気候変動、社会インフラ老朽化、エネルギー問題、超高齢社会、健康で安心・安全な暮らしの実現といった地球規模の社会課題に目を向けることが何より大事で、そこに普遍のニーズがある。ESGを経営戦略の根幹に据え、実業を通して社会課題の解決・SDGsに貢献し、持続的成長を目指す。

 これからの地球が解決すべき課題に、積水化学グループの多様な事業と際立つ製品、そして革新的な技術で貢献する。そのことが積水化学グループの社会的使命であり責任だ。

 今年は環境の変化に先手を打って対処しながら、普遍の社会課題解決への取り組みを進めていく。SHIFT to 〝Next Stage〟、ESGを経営のど真ん中に、新たな飛躍を目指す。

《化学企業トップ年頭所感》 出光興産 木藤俊一社長

, ,

2019年1月10日

 今年は30年続いた平成最後の年であり、新しい元号のもとで新たな時代が始まるが、当社にとっても昭和シェル石油との経営統合を通じて歴史に新たな1ページを刻む年となる。

 当社にとっての平成は、2兆円を超える多額の有利子負債を抱えた危機的状況からの脱却に始まった。その後、燃料油・基礎化学品事業の再構築と競争力強化、ベトナム・ニソン製油所をはじめとする海外事業の拡大があった。特に社運を賭けて取り組んだニソン製油所稼動への挑戦は、足掛け14年がかりで大変な苦労の連続だったが艱難を乗り越え、昨年11月14日に商業運転を開始した。

 また、石油開発事業の再構築、石炭事業の競争力強化、再生可能エネルギー事業の立上げ、潤滑油・機能化学品・電子材料・アグリバイオ等の技術立脚型事業の育成など、持続的な成長基盤を作るべく事業構造改革を進めてきた。さらに、リチウム電池材料などの新しい事業の芽も育んでいる。これらは、当該事業部門のみならず、研究開発・知的財産、安全環境・品質保証をはじめとするコーポレート各部門のサポートがあったからこそ推し進められたものだ。

 同時に多くのパートナー企業との事業経営にも取り組んできたが、本年4月の昭和シェル石油との経営統合は、まさにその集大成と言える。これから先30年は、現在の延長線上に当社の未来はなく、事業構造の変革を一段と進めていかなければならない。当社の社員が足元で取り組んでいる事業の強化に徹底して取り組みつつ、新たな商品・サービスを開発する、あるいは次世代技術を基に社会のニーズに応える新事業を創出するなど、あらゆることに挑戦し続けなければならない。

 私は、事業の究極の目的は、尊重される人を育成することに尽きると確信している。当社は「事業を通じて人を育てる」ことを目的としてきた会社だ。これからも「人が中心の経営」であることに変わりはない。先行き不透明で困難な時代は、むしろ当社にとっても従業員にとっても、大きく飛躍するチャンスとなるだろう。

 今回の経営統合は、まさに人が育ち、当社がさらに進化できる絶好の機会になると私は信じている。4月から昭和シェル石油の皆さんと一緒に働くことになるが、統合新社は、出身母体に捉われず、分け隔てなく、全員に活躍していただける会社にしたい。それには、出光の従業員はもちろんのこと、昭和シェル石油の皆さんにも安心して生き生きと働いていただくことが大切だ。

 これからも当社は、多様な価値観を持つ「人の力」を結集し、一人ひとりが能力を最大限発揮してもらうことを何よりも大切にしていく。30年後も隆々とした企業であり続けるために、失敗を恐れず果敢に挑戦し続けながら、共に力を合わせて新たな歴史を創っていきたい。

《化学企業トップ年頭所感》 JXTGエネルギー 大田勝幸社長

, ,

2019年1月10日

 エネルギー分野では、パリ協定を背景として低炭素化の技術競争が本格化する中、化石燃料は将来にわたり一定の比率を占めることが予想されている。

 一方、国内では、人口減少・少子高齢化といった構造的要因に加え、低燃費車の普及・自動車の電動化によって、燃料油需要が2040年にはほぼ半減すると言われている。不透明で、厳しい状況が続いていくことは間違いなく、その情勢を的確に分析し、柔軟に対応し続ける必要がある。

 第1次中期経営計画(2017~2019年度)の柱は、第1に「統合シナジーの最大化・早期実現とコア事業の徹底効率化による国際競争力強化」、第2に「次世代の柱となる事業の育成」、第3に「事業インフラ整備による経営基盤の強化と効率的な管理部門体制の構築」である。

 そして当社は、石油精製販売・化学品事業での統合シナジーの最大化と競争力強化に加え、電気事業、機能材・潤滑油などの技術立脚型事業、海外事業の育成を強力に推進することを目標にしている。

 2020年からスタートする第2次中計(2020~2022年度)を策定することも、重要な取り組みの一つであり、その前提となる2040年を見据えたわれわれの目指すべき将来像・方向性を全社員で共有するために、「長期ビジョン」を策定している。

 今後も当社が企業として存続、発展するためには、世の中の変化、人々の価値観の変化を的確に捉え、先取りし、革新的な商品やサービスを創出・提供することで、社会の発展と活力ある未来づくりに貢献し続けることが必要である。

 さらに、持続可能な社会の実現に貢献すべく、再生可能エネルギーを含めた電気事業、水素サプライチェーンの構築、技術立脚型・環境配慮型・高機能素材の開発・展開も推進していく。また、当社の強みである、全国のSSや特約店の皆様、各拠点などのネットワークを活用した新たなサービスの創出にも取り組んでいく。

 重要なのは、一人ひとりの力や発想と情熱がその推進力であるということだ。社会のニーズの多様化が加速していく中、さまざまな背景や考え方をもった社員が、互いに認め合い、それぞれの観点から発想し、議論を深めることのできる会社を作り上げたいと考えている。

 最後に、日々の仕事に取り組むにあたって意識してほしいことを申し上げる。それは、①全ての企業活動の前提となる「安全とコンプライアンス」②変革意識と行動③スピードと外に目を向けることの3点である。

 

《化学企業トップ年頭所感》 クレハ 小林豊社長

, ,

2019年1月9日

 変わり続ける市場のニーズに応えた技術・製品を提供するには、さまざまな視点から変化を察知し、俊敏に対応していくことが必要だ。

 そのエネルギーの源泉は〝知らないことを知ること〟。

 世の中や他社の動きに関心を持ち、学びを得て、行動につなげることが大事だ。

 そのためには「外に出て、外から学ぼう」を実践し、自らに問い直し、あるべき姿を追求していかなければならない。引き続き「将来の発展に向けた土台づくり」に邁進し、新たな価値の創出に挑戦していこう。

《化学企業トップ年頭所感》 トクヤマ 横田浩社長

, ,

2019年1月9日

 化学業界は、中期的には新興国主導の経済成長や半導体市場の底堅い需要が予測されるものの、2019年は資源価格の不透明さや、米中貿易摩擦の影響による景気の下振れリスクが拡大しており予断を許さない状況だ。こうした状況下にあって、中期経営計画を成し遂げるためには、伝統事業では国内トップのコスト競争力を目指し、発電所に依拠しない本質的な投資・設備管理・運転のオペレーション能力を上げることが必須だ。

 原料調達から出荷に至る全体プロセスを徹底的に理解した上で、外部の優れた技術を取り入れるとともに、AI・IoTなどの革新的技術を含めた業務プロセス改革を進めることで変動費・固定費の無駄を徹底排除することを推し進めなくてはならない。

 また、成長事業においては、顧客との関係強化を図り、次世代の開発テーマを増やすこと、開発スピードを上げるためにオープンイノベーションを積極的に活用することが大切だ。これらの課題を進めていくために、人材育成はもちろんのこと、新卒・中途採用にこだわらず、必要な人材を積極的に採用し、実行可能な体制を構築していく。

 今年、一番大事にしてほしいことは、仕事を通じて人間的にも成長し、経済的にも豊かになることだ。仕事全体が分かると改革のアイデアが湧いてくる。そうすると仕事の責任感が高まり、仕事を通じて勉強し成長を実感できる、そんな好循環が生まれるはずだ。トクヤマのビジョンに定めた4つの価値観を心掛け、ぜひワクワク感を感じながら仕事に取り組んでほしい。

 また、持続可能な社会の実現のため、昨年10月から徳山製造所では、工場企画運営Gr.を中心にCO2の大幅削減、エネルギーの完全利用を目指して、新たな取り組みをスタートした。環境面でも世の中に誇れる会社になりたい。

 トクヤマグループの取り組みや製品がどのように世の中の役に立っているのか、それをグループ社員全員が認識し、誇りを持てる会社にすることで、目標に対するやる気や自律心が育つものと思う。そうした働き掛けが十分ではなかったと反省しつつ、今後しっかりと発信していく。創業の精神に立ち返り、自律心にあふれた会社にしていこう。

 

《化学企業トップ年頭所感》 帝人 鈴木純社長

, ,

2019年1月9日

 私たち企業には、テクノロジーを活用し、これまでの常識を打ち破る新たな価値を創造していくことが求められている。その鍵となるのは「人間らしさ(Humanness)」の追求だ。未来の社会の変化を先取りし、事業機会を取り込むためにも、「人間らしさ」を中心に据えたものの見方、考え方を意識してほしい。

 昨年、100周年記念プロジェクトの一環として「THINK HUMAN PROJECT」がスタートし、9つのテーマで、未来の社会、未来の技術、未来の人々にとってのソリューションについて考察した。私たちに何ができるか、さらに深く考え、一つでも多くのアイデアが新たな事業機会の創出につながっていくことを期待している。

 中期経営計画の基本となるのは、「成長戦略」による基礎収益力の強化と「発展戦略」による新規コアビジネスの確立である。2025年近傍を見据えると、新たにコアとなる事業を確立し、利益貢献できるよう育成できなければ、次の100年の飛躍という目標から遠ざかってしまう。事業ポートフォリオの変革は平時から常に行っていくものであり、次の100年への礎をしっかり築いていきたい。

 次の100年への飛躍に向けて新たな一歩を踏み出すにあたり、企業理念に立ち返り、思いを語りたい。①「Quality of Life」。帝人グループは、社会や人々に新たな価値を提供し、人々が豊かな生活を享受できるよう貢献を続けてきた。ヒトを中心に考え抜いた考察を元に社会や人々を幸せにする未来を想像しながら、大きな夢を描いていこう。

 ②「社会と共に成長します」。企業の存在意義は、社会の持続的成長に貢献することにある。自分たちに何ができるかを考え、社会貢献につながるポジティブな面を伸ばしながら、事業活動を通じて生じるネガティブな面を極小化することに取り組み、社会と共に生き、共に成長していきたい。

 ③「社員と共に成長します」。会社も社員も、日々進化し、少しでも昨日より成長することが重要である。一人ひとりが好奇心や外に開かれた心を持ち、会社という「場」を使って、活き活きと自分の能力を存分に発揮できる自己実現につながる挑戦をしてほしい。最後に、次の百年への飛躍に向けて、大きな夢と誇りを持ち、次の世代、未来の帝人グループ社員のために、共に挑戦を続けていこう。

《化学企業トップ年頭所感》 宇部興産 山本謙社長

, ,

2019年1月9日

 当社グループにとって、昨年は「品質検査上の不適切行為への対応」という大きな試練の年であり、お客様をはじめ関係する方々に大変なご迷惑とご心配をお掛けした。現在はグループを挙げて再発防止に取り組んでいるところだ。

 また、昨年はUBEグループの中期経営計画「Change & Challenge 2018」の最終年でもあり、「持続的成長を可能にする経営基盤の強化」と「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」を基本方針とし、特に化学部門の復活を大きな課題として取り組んできた。現時点では、今期業績はほぼ当初の予想レベルで推移しており、事業環境の影響もあるが、皆さんの努力の成果が結びついているものと思う。

 昨年より「10年後のありたい姿」を具体的に想起して、何を成すべきかを議論してきたが、今年は、今後3年間の達成目標とそのためのアクションプランである次期中期経営計画を決定してスタートさせる年だ。品質保証体制の充実をはじめとして、ガバナンスの強化に引き続き取り組んでいくことも計画の重要な要素だ。経済面では先々の不透明感が一層色濃くなるものと覚悟して臨まなければならない1年になると思う。

 このような事業環境下、現中計をきちんと仕上げて、一段と成長した企業グループとなるよう、次期中計をスタートさせていく。新年を迎え、皆さんに次の3点をお願いする。

 ①労働災害・設備災害撲滅を目指し、「安全文化の醸成」活動を進めている。労働災害は減少傾向にあるが、設備災害面はまだ結果として現れていない。一歩でも二歩でも前進しよう②品質やその根底にあるコンプライアンスへの自身の意識レベルを上げてほしい③「顧客価値創出」「挑戦」「本質探究」の3つの行動価値を、スピード感を持って一人ひとりが引き続き実践していこう。

《化学企業トップ年頭所感》 JSR 小柴満信社長

, ,

2019年1月9日

 昨年は当社グループにとっても比較的良好な事業環境だったが、米中の緊張状態をみると、表面的な貿易や関税の問題から、いよいよ本丸の先端技術の覇権争いが本格化してきている。地政学や地経学的な見地に加えてGeo‐Technologyという要素が加わり、世界情勢はさらに複雑で不安定な方向に向かっていると思われる。

 各国が先端技術の獲得競争を繰り広げる中で、今後、先端技術の流れを規制する貿易管理や、AI(人工知能)使用上の倫理などサイバー空間での新たな規制が生まれ、事業環境は想像もできない方向に変化していくかもしれない。自由主義経済の中でグローバル化を目指していた世界の産業界が、新しい方向性を模索し始めるのがこの2019年だと思う。

 世界情勢は先端技術を中心に驚くべき速度と大きさで変化しており、とくに当社グループが戦略事業領域と位置づけているAI技術、半導体技術、ゲノム編集を含めた生命科学の分野ではその傾向が顕著だ。不確実性の高い世界でどう生きるか、そして生き残るか。その答えは、先進技術開発とイノベーションの創出が最も重要と考えている。

 先端技術開発においては、デジタル技術が基幹技術となるので、デジタル変革を粘り強く実行していく。また、人材・事業領域・地域・性別など、あらゆる多様性を取り込むとともに、目標達成の鍵となる日頃の工夫の積み重ねにより、働き方改革も実現していかなければならない。

 当社グループは、組織の変革と同時に日本の製造業としての誇りのもとに、現場の安全や設備保全を確保しつつ、高品質な製品やサービスを安定的にお客様に提供し、信頼と信用を獲得していくことで、存在価値を高めていきたいと考えている。

 

《化学企業トップ年頭所感》 三菱ケミカル 和賀昌之社長

, ,

2019年1月9日

 2019年の展望だが、米中貿易摩擦、Brexitの行方、中東や北朝鮮問題など、世界情勢は依然として先行きが不透明な状況が続いている。また、AI、IoT、ロボティクス、再生医療、遺伝子工学などの科学技術が日進月歩のスピードで進化を遂げている一方、気候変動、資源の枯渇、水・食糧の偏在や、海洋プラスチック問題等の諸課題への対応も不可欠である。

 私たちを取り巻く事業環境は絶えず変化していくが、人、社会、地球が抱える課題に正面から向き合い、社会に貢献し続けるという当社グループの信念は変わらない。いかなる変化にも、着実に対応することのできる体制を構築することが重要である。社長就任時には4つの重要事項を掲げた。

 その進捗についてだが、①安全・安定操業では、危険作業や身体的負荷の大きい作業に関して皆さんから頂いた2000件を超える提案について、一つひとつ検討し、AIなどを活用した機械化や作業負荷の低減等に取り組んでいる。皆さんは改めて「安全第一」を肝に銘じてほしい。

 ②収益力の強化では、KAITEKI健康経営、働き方改革、デジタルトランスフォーメーションといった名の下に注力する各種施策について、持続的成長のために行う一連のパッケージであると理解し、そのすべてに真摯に取り組めば、自ずと収益力の向上に結び付くと考えている。

 ③真のグローバル化では、4月から、外国人従業員を日本に招く研修プログラム「Experience Japan」を開始する。帰国した参加者や受け入れた日本人従業員を起点に情報共有することで、「双方向」のグローバル化を深めたい。欧米で先行する「One MCC」というブランディング活動も拡充しており、引き続き一体感の強化に取り組んでいく。

 ④営業改革では、最新のビジネスツールを活用して営業のやり方を見直すとともに、戦略的に重要な顧客との関係強化に向けた取り組みを開始した。今後は深化した顧客との信頼関係をもとに、新たなビジネスの更なる拡大に繋げていきたい。営業担当ではない従業員も、営業改革を働き方改革の一例として捉えていただきたい。事業所のトイレ改革を始め、働きやすい職場環境作りにも取り組んでいる。研究所についても、最先端の設備、環境を整えていく。

《化学団体年頭所感》 石油化学工業協会 森川宏平会長

, ,

2019年1月8日

 昨年を振り返えると、いくつかの甚大な被害をもたらした自然災害の発生があった。6月の大阪北部地震、6月末から7月初めには西日本豪雨が続き、9月に入ると近畿地方に上陸した台風21号と和歌山から本州を縦断した台風24号により大きな被害を受けることとなった。さらに、9月の北海道胆振東部地震は甚大な人的被害とともに、日本最初のブラックアウトを引き起こし、北海道経済は大きな打撃を受けた。被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げるとともに1日も早い復興を願わずにはいられない。

 さて、世界経済をみると「米国第一主義」を掲げるトランプ政権と、中国や欧州など世界の主要国との政治・経済摩擦が顕著となり、さらに中東や北朝鮮情勢に起因する地政学リスクは、株式や原油価格の乱高下をもたらしている。

 また、12月に発生したフランスでの反マクロン政権に対するデモの暴徒化はポピュリズムの危うさを裏付けており、これらの混乱が世界経済の下振れを引き起こすことを危惧している。特に、米中の貿易摩擦は単に2国間だけの問題ではなく、サプライチェーンが繋がる各国に影響が出てきており、スマートフォン関連分野や自動車販売についても陰りが出始めてきている。

 一方で、国内に目を転じれば、今年10月の消費税率引き上げに伴う消費の冷え込みが懸念されるものの、消費税実施前の駆け込み需要や、来年の東京オリンピック・パラリンピックの準備も佳境に入り、これに伴う需要拡大も見込まれるところだ。

 こうした中、国内の石油化学業界の状況は、底堅い国内需要にも支えられ比較的堅調に推移している。特に、エチレン設備の稼働率は、2013年12月以降60カ月連続で90%超を維持しており、ここ3年では、ほぼ九五%を超えている状況だ(昨年十一月までの実績)。

 しかしながら、設備の高稼働が継続しているときこそ、安定供給責任を果たすため、これまで以上に保安・安全の確保が重要となってきており、また、エチレン装置の高経年化が確実に進展する中で国際競争力を維持・向上していくためには、これまで以上に様々な努力を傾注していくことが不可欠となっている。

 石油化学産業は、日本の「ものづくり」におけるサプライチェーンの出発点であるとともに、自動車・電機などの分野での先端技術開発に不可欠な機能性素材を創出している。つまり石油化学産業の強化は、日本の「ものづくり」の強化につながるため、会員各社とともにその自覚と誇りをもって事業の発展、競争力の強化に取り組んでいるところだ。

 このような状況下、当協会としては石油化学業界の持続的発展に向け、①保安・安全の確保(経営層の強い関与、安全文化の醸成、IoT・AIの活用、産業保安に関する行動計画の策定)②事業環境の基盤整備(イコールフッティング、定期修理工事の課題などに関する検討)③グローバル化対応の強化(アジア石油化学工業会議、環境問題、海外の情報収集など)といった諸課題に積極的に取り組んでいく。