日本触媒など3社 高吸水性樹脂の新規リサイクル技術を開発

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2020年11月6日

 日本触媒は5日、リブドゥコーポレーション(大阪府大阪市)、トータルケア・システム(福岡県福岡市)と共に、使用済み紙おむつ中の高吸水性樹脂(SAP)に関する新規リサイクル技術を開発したと発表した。なお今回の技術は、世界で流通する様々なSAPに適用できる。使用量が増加し続ける紙おむつに対し、リサイクル促進への期待が高まっている。

使用済み紙おむつの再資源化
使用済み紙おむつの再資源化

 環境省が今年3月に「使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン」を公表。国土交通省でも下水道への紙おむつ受入れのためのガイドライン策定を目指している。こうした中、紙おむつのリサイクルシステムを国内で初めて構築したトータルケア・システムは、リサイクル処理後の再生パルプを建築資材の原料(外壁材、内装材など)として有効利用している、ただ、プラスチックはマテリアルリサイクルの研究開発を進めているものの、固形燃料としてサーマルリサイクルしている。

 日本触媒は2018年より、SAPのリサイクルの取り組みに参加。リサイクル技術の検討を開始し、大人用紙おむつメーカー大手のリブドゥコーポレーションとトータルケア・システムの3社による共同研究により、新規リサイクル技術の開発に成功した。

 これまで使用済み紙おむつのリサイクル工程では、尿を吸収して大きく膨らんだSAPは紙パルプの回収率を低下させたり、SAPを回収しても性能低下が大きく再利用が難しかったり、といった課題があった。これらの課題に対し、①尿を吸収して大きく膨らんだSAPに処理を施して紙パルプとの分離性を高め、紙パルプ回収率を向上させる技術、②SAPの性能低下を最小限に抑えて回収する技術を開発。これらの技術は、リサイクル時の省エネルギー化や河川などの水質保全も配慮され、日本触媒以外が製造するSAPにも適用が可能だ。

紙おむつの再資源化技術 三社の役割
紙おむつの再資源化技術 3社の役割

 3社は今後、同技術を実用レベルまで高めていくとともに、素材原料メーカー、紙おむつメーカー、リサイクル事業者である3社の知見を生かして、リサイクルしやすい素材開発、紙おむつ開発、環境にやさしい使用済み紙おむつ新規リサイクル技術の開発・実用化を進める計画だ。

 

日本触媒 「TechnoAmenity Report」を発行

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2020年10月27日

 日本触媒はこのほど、「TechnoAmenity Report 2020」と「RC Report 2020」を発行した。

 「TechnoAmenity Report」では、経営計画や業績などの財務情報、およびESG(環境・社会・ガバナンス)活動などの非財務情報の両面を紹介し、同社グループの企業理念「TechnoAmenity~私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」の実現に向けた取り組みを、幅広いステークホルダーに理解してもらうことを目指している。

 今年度は、同社の強みである研究開発と生産技術を統括する役員の対談、主力事業や新規事業の責任者のメッセージ、また社外取締役のメッセージなども掲載している。

 一方、「RC Report」では、レスポンシブル・ケア(RC)活動に関する同社およびグループの取り組みと2019年度の実績を報告している。

日本触媒 三洋化成工業との経営統合中止も基本戦略を単独で遂行

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2020年10月23日

 日本触媒と三洋化成工業は、来年4月に予定していた経営統合について、コロナ禍や原油価格急落など事業環境が急変したことなどを理由に統合中止に合意した。

 こうした中、日本触媒は今後の方針について発表。「戦略見直しが必要だが、強固な財務基盤の下、基本戦略には変更はない」とした上で、「顧客課題に応えるソリューションズビジネスに、競争力のあるマテリアルズのバリューチェーンを生かし、当社グループ単独でも新たな価値を生み出していく戦略を遂行していく」考えを示した。

 マテリアルズ部門では、EO、AA/SAPなどの基盤事業について、現在進めているSAPサバイバルプロジェクトに代表される種々のコストダウンを徹底。高品質の素材を高い生産技術力でグローバルに提供することで、収益の拡大を図る。

 ソリューションズ部門では、同社の強みであるキーマテリアル開発力を生かし、他社にない独自の機能提供で世界中の顧客の課題解決を目指すことで事業拡大を図る。具体的な成長分野として、インダストリアル(モビリティ、ペイント&コーティングなど)、エナジー&エレクトロニクス(新エネルギー、電子・情報材料など)、ライフサイエンス(医薬品、ヘルスケア、化粧品など)に注力し育成を加速していく。

 同社は、企業理念「TechnoAmenity~私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」の下、新統合会社で目指した「未知の領域へ常に挑戦し、革新的でユニークな価値を生むことで、生活のあらゆる場面を豊かにし、未来のため持続可能な社会の創造へ貢献」を叶えるべく努力していく考えだ。

日本触媒と三洋化成工業 経営統合を中止、コロナ禍で環境が急変

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2020年10月22日

 日本触媒と三洋化成工業は21日、共同株式移転の方式により来年4月1日付で両社の親会社「Synfomix」を設立し、経営統合を行うことで合意していたが、それぞれの臨時取締役会により経営統合を中止することを決議し、両社の合意により経営統合に係る最終契約を解約したと発表した。

 両社は、昨年5月に経営統合に向けた検討を進めることについて基本合意書を締結。詳細な検討と協議を進め、同年11月に経営統合に係る最終契約を締結し、今年10月に経営統合を行うことを公表した。その後、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大したことに加え、原油や石油製品相場が急落。こうした中、経営統合の合意の基礎となった両社の業績、金融、経済、市場などの事業環境の見通しが不透明となったことを理由に、4月には、株式移転比率の見直しと経営統合を来年4月に延期することに合意した。

 しかしながら、昨年11月の最終契約の締結以降、原材料価格や製品価格の著しい変動が見られ、また製品需要の先行き不透明感が増すなど、両社を取り巻く事業環境が急速にかつ大きく変化したことで、経営統合を実施することが困難になったとの認識に至った。そして、現在の事業環境に鑑み、それぞれの会社がもつ優位性を独自に発揮していくことが、両社の企業価値向上につながると判断、経営統合を中止し、経営統合に係る最終契約を解約することに合意した。

 なお、経営統合は中止となるものの、両社は引き続き様々な面で良好な関係を維持していく。

日本触媒 新規SAPの製法開発、超速乾性と液保持性を強化

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2020年10月13日

 日本触媒は12日、従来できなかった画期的な超速乾性吸収性能をもつ高吸水性樹脂(SAP)を開発したと発表した。

超速乾性を有する新規高吸水性樹脂
超速乾性を有する新規高吸水性樹脂

SAPの主な用途である衛生材料業界では、近年、乳幼児向け紙おむつだけでなく、大人向け衛生材料(紙おむつ、ナプキン、軽失禁パッドなど)の需要が拡大。大人向け衛生材料は、乳幼児向け紙おむつと比較してSAPに求められる性能も異なり、液をすばやく吸収する速乾性や、吸収した液を漏らさない液保持性が重視される。

 こうした中、同社は、新規製造方法により、従来品と比較して超速乾性で、液保持性が約3倍優れるSAPを開発。新規製造方法のアイデアは、プロセス効率化を目指した研究者の偶然の発想転換による実験から導き出された。そして、研究・技術・製造・エンジニアリングの社内関係者が一丸となって取り組み、工業的な製法の確立に成功した。

超速乾性を有する新規高吸水性樹脂(従来品)
超速乾性を有する新規高吸水性樹脂(従来品)

 このSAPを利用した衛生材料は、速乾性で吸液後、すぐに吸収体表面がさらさらになり、また液保持性・加圧下吸収性能に優れるため、身体の動きがあっても一度吸収した液を漏らさず確実に保持できる。卓越したこれらの特長により、今後さらなる成長が期待される大人向け衛生材料などの高付加価値化に、大きく貢献できることが見込まれる。現在、年産1万5000tのプラントを姫路製造所内に建設中であり、来年6月から生産と販売を開始する予定。同社は、従来にない新機能を生かし、衛生材料以外の用途での市場創出も図っていく。

日本触媒 バイオマス由来難重合性モノマーの重合技術を開発

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2020年10月8日

 日本触媒はこのほど、理化学研究所との共同研究チームが、バイオマス由来の難重合性モノマーの重合について、効率的に高分子量化できる重合システムを開発し、高性能なポリマーを得ることに成功したと発表した。

 バイオマス資源からは、不飽和炭素‐炭素二重結合をもつ脂肪族化合物や芳香族化合物が数多く得られる。ケイ皮酸モノマーやクロトン酸モノマーは、β位に置換基があるα,β‐不飽和カルボン酸化合物(β置換アクリレート)に分類することができる。これらを重合して得られるポリマーはモノマー単位当たり2つの光学中心をもち、高度に立体規則性を制御することができるため、バイオマス由来の高性能・高機能な新規樹脂素材の創出が期待される。

 しかしながら、β置換アクリレートは、β位置換基の立体的、あるいは電子的要因で通常のラジカル重合法では高分子量化が困難な難重合性モノマーの1つ。また、数少ない重合例では、工業的には実現困難な反応条件を必要とするなど、実生産への多くの課題もあった。

 両者の共同研究チームは、β置換アクリレートの重合に対して、モノマーを活性化させることで重合を進める点が特徴的である有機酸触媒を用いたグループトランスファー重合(GTP)技術が適用可能であることを見出だした。そして、技術開発を進めるとともに、重合メカニズムを解明することで、高分子量化を阻んでいた要因を特定し、重合を効率化するための知見を見出だした。 

 さらに、使用する有機酸触媒や開始剤の置換基構造を検討して重合条件を最適化することで、温和な条件下で効率的に高分子量化を実現する重合技術の開発に成功した。得られたケイ皮酸系ポリマーは、ポリカーボネートと同等、あるいはそれ以上の耐熱性を示すとともに、多くの薬剤への耐薬品性を示す。また、機械的性質については、高強度な材料への展開が期待できる。

 一方、クロトン酸系ポリマーは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に匹敵する透明性をもちつつ、メタクリレートポリマーに比較して高い耐熱性、および耐薬品性を示す。これらの特徴は、高度に制御された立体規則性によって発現する液晶性に起因するものであると考えられる。両者は今後、生産技術の確立を進めるとともに、ポリマー用途開発を加速していく。

ケイ皮酸系ポリマー
ケイ皮酸系ポリマー
クロトン酸系ポリマー
クロトン酸系ポリマー

日本触媒 人事(10月1日)

2020年10月7日

[日本触媒・人事](10月1日)▽イオネル建設チーム担当、取締役常務執行役員、生産・技術部門管掌、エンジニアリング本部担当、インドネシアプロジェクト担当、DX推進チーム担当入口治郎。

日本触媒 LIB用電解質「イオネル」の設備増強を決定

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2020年10月2日

 日本触媒は1日、リチウムイオン電池(LIB)用の新規電解質LiFSI「イオネル」について、独自プロセスによる新規製造設備(年間生産能力2000t)の建設に向け、「イオネル建設チーム」が設備設計に入ることを決定したと発表した。これは、「イオネル」の需要が拡大しており、既存設備(同300t)では不足することに対応したもので、立地場所は日触テクノファインケミカルに建設する。

リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド〈LiFSI〉
リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド〈LiFSI〉

近年、環境問題への意識の高まりから、省エネ・低公害の次世代自動車の代表的存在である電気自動車(EV)に対する期待は高く、EV市場は着実に拡大が続く。「イオネル」は、EV向けLIBの電解質に使用することで、低温から高温まで広い温度範囲で、電池のサイクル特性、レート特性、保存安定性の向上に著しい効果を発揮することから、電解質の添加剤用に限らず主剤として採用され、需要がアジアを中心に伸長している。さらに「イオネル」は、全固体電池などの次世代革新電池の電解質としても性能向上に効果を発揮することから、需要のさらなる拡大が期待されている。

 LiFSIは高純度化が困難な物質であり、その生産や品質管理には高度なノウハウが必要とされるが、日本触媒はこれまで培ってきた独自の生産技術力を生かし、年間2千tを安定生産する技術を確立。また、「イオネル」は同社特許により保護された高純度LiFSIであり、品質面・価格面・知財面で、安心して使用できる。

 新規製造設備の商業生産は2023年春をめどに開始する予定で、2024年には100億円超の売上高を目指す。なお、LiFSI市場が世界的に拡大することが想定されることから、2025年以降の需要に対応するため、欧州での新規設備投資計画も検討している。

日触テクノファインケミカル
日触テクノファインケミカル