三井化学は11日、三井物産、IHIと共に3社で進める「大阪堺・泉北地域におけるアンモニア供給拠点整備の事業性調査事業」が、エネルギー供給構造高度化事業コンソーシアム(CROS)が公募した令和6年度「非化石エネルギー等導入促進対策費補助金(水素等供給基盤整備事業)」に採択されたと発表した。
同公募は、
2024年6月12日
2024年2月27日
2023年8月31日
2021年6月28日
出光興産とIHIは25日、出光興産徳山事業所(山口県周南市)で行う、アンモニアサプライチェーン(SC)構築に向けた検討に共同で取り組むことに合意したと発表した。今回の合意の下、貯蔵施設・石化装置などの既存設備を活用した、徳山事業所のアンモニア輸入基地化、ナフサ分解炉などでのアンモニア混焼実証を検討する。また、出光興産は海外からのブルー・グリーンアンモニアの輸入や、コンビナート近隣事業所へのアンモニア供給を検討する。
日本政府が2050年カーボンニュートラル(CN)を宣言する中、その具体策の1つとして水素・アンモニアによる水素キャリア・チェーン実現に向けた官民による取り組みが加速。製造時に排出されるCO2を回収・貯留したブルーアンモニアや、再生可能エネルギーを利用したグリーンアンモニアの製造については、海外でも調査・検討が開始されている。輸入基地をはじめとした商業規模のSC構築のための施設整備には中長期的な視点での検討が必要であり、より効率的に早期の実証を行うことが求められている。
出光興産は、昨年度、国土交通省のCNポート検討会に徳山事業所やグループ製油所が参画するなど、水素・アンモニアSC構築に向けた検討を進めるとともに、海外からのブルー・グリーンアンモニア調達に向けた他社との協業を検討してきた。中でも徳山事業所は、従来比約30%の省エネルギー効果を発揮できる高効率ナフサ分解炉の稼働を今年1月に開始し、さらに来年に稼働予定のバイオマス発電所の建設など、脱炭素に向けた取り組みを加速させている。これらの取り組みは、石油精製事業で従来使用していたインフラを活用することで効率的に実現している。
一方、IHIは、発電設備の燃料として石炭や天然ガスとアンモニアを混焼する技術開発で世界をリードしている。これまでに2千kW級ガスタービンでは、液体アンモニアの70%混焼を世界で初めて達成していることに加え、今後、商用石炭火力発電所を対象としたアンモニア混焼の実証試験を行う予定。また、燃料アンモニアの社会実装を見据えて、国内外でアンモニアSC構築に向けた検討を進めている。
両社は、これまでも徳山事業所の貯蔵設備などについて協業関係にあった。今回の合意により、出光興産は、徳山事業所の既存インフラ設備を生かし、アンモニアSC実証の検討や国内での許認可などの取得を行う。IHIは、アンモニア貯蔵・燃焼技術を活用し、アンモニア貯蔵設備・入出荷設備やアンモニア燃焼実証を検討する。両社の強みを生かし、世界的にも先進的なアンモニアSCを早期に実現することで、CN社会の実現に貢献していく。
2021年6月10日
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、航空機エンジン用国産材料の競争力強化に向け、革新的な合金開発と材料データベースの構築を行う2件の研究開発事業に着手した。
CO2排出量削減に向け、低燃費・高性能の航空機が求められている。その中で、航空機エンジンには高い安全性や品質保証体系、航空当局の認証管理などが要求されることから、欧米企業を中心とした寡占状態にある。日本の航空機エンジン産業は国際共同開発への参画を通じて事業規模を拡大してきたが、さらなる拡大には技術革新による優位性を維持し、設計段階から開発に携わる戦略的パートナーとなることが不可欠だ。
今回、航空機エンジン用材料開発のための「革新的合金探索手法の開発」と、国産材料の競争力強化のための「航空機エンジン用評価システム基盤整備」事業に着手。高温・高圧環境に耐え、軽量で耐熱性、耐摩耗性、熱伝導性、導電性などに優れる合金の開発には、金属元素の組み合わせとプロセス条件決定のための膨大な実験が必要で、天文学的な時間がかかる。そこで合金探索に必要な良質のデータを大量かつ高速に収集し、マテリアルズ・インフォマティクスによるデータ駆動型合金探索手法を開発し、航空機エンジンへの適用可能性を模索する。
一方、航空機エンジンには材料段階から厳しい認証基準などがある。国産材料の競争力を高め、材料データを効率的に得るために、関連企業や研究機関などと連携してデータベースを整備し、それに基づいて実際に部材を製造し性能評価試験などを行う。
参加企業・機関はJX金属、IHI、川崎重工業、三菱重工航空エンジン、本田技術研究所、三菱パワー、産業技術総合研究所、金属系材料研究開発センター、物質・材料研究機構、筑波大学で、プロジェックトリーダーは東京大学大学院工学系研究科の榎学教授が務める。新合金を開発し、認証取得に必要なデータベースを構築し、航空機エンジンへの適用と日本の航空機エンジン産業の国際競争力強化を目指す。新合金による軽量化とエンジン高効率化による燃費改善で、2040年に約93万tのCO2排出量削減が期待される。
2020年6月19日
NEDOとIHIはこのほど、微細藻類を使った「バイオジェット燃料生産技術開発事業」で確立した生産技術により、IHIが国際規格「ASTM D7566 Annex7」を取得したと発表した。これにより、同技術で生産されたバイオジェット燃料は、既存のジェット燃料と混合して民間航空機の運航に使用することが可能となり、航空機のCO2排出削減効果が期待される。
世界的な温室効果ガス(GHG)削減活動の中、国際民間航空機関(ICAO)はCO2排出量の増加抑制目標を定め、日本でも再生可能な代替航空燃料の生産事業をはじめ、航空輸送に関わるCO2排出量削減技術の社会実装が喫緊の課題となっている。
こうした中、両者はバイオジェット燃料生産技術に関し、増殖が速く油分の多い微細藻類(高速増殖型ボツリオコッカス)を大量培養し、その藻油からの燃料一貫製造プロセスの次世代技術開発事業を2017年度に開始。鹿児島県とタイ(サラブリー県)で培養事業化試験を進め、培養藻類を原料にバイオジェット燃料を製造した。
今回承認された「ASTM D7566」規格は、国際的標準化・規格設定機関ASTMインターナショナルが定めるバイオジェット燃料の製造に関するもの。適合する燃料は、既存ジェット燃料のケロシンと同性状で、既存燃料と混合使用してもエンジンなどの航空機材や燃料供給設備などのインフラの改修が不要なドロップイン型燃料とされ、国内外の民間航空機の運航で使用可能となる。
さらに「Annex7」は、微細藻類ボツリオコッカス・ブラウニーから生産した粗油を水素化処理して合成したバイオジェット燃料に関する新しい付帯規格で、微細藻類を単独原材料として明記した、非可食植物の大量培養によるジェット燃料製造規格である。
両社は今後、バイオジェット燃料の早期事業化を目指し、燃料製造・供給のサプライチェーン構築を進め、バイオジェット燃料の生産拡大・普及を通じて航空分野のGHG排出量の一層の削減を目指す考えだ。また、本年中には、このバイオジェット燃料を利用した国内定期便での商用飛行デモフライトを予定している。
2018年11月27日
住友商事とIHIはこのほど、モザンビーク国営電力公社(EDM)向けマプト・ガス焚き複合火力発電所が、契約納期通り完工したと発表した。両社は2016年にEDMとの間で、土木据付込み一括請負契約(EPC契約)を締結した。
同発電所は、モザンビークの首都マプトから約6km南東に位置する、モザンビーク初のガス焚き複合火力で、発電容量は110MW。
住友商事がコンソーシアムリーダーとして100%子会社の住商機電貿易と連携しEDMとの折衝窓口や調整役を担い、IHIが主要機器であるガスタービンや発電機を供給し発電所全体を取りまとめた。
受注額は約170億円で、資金は国際協力機構の円借款により賄われている。完工後2年間の保証期間を受け持つとともに、IHIは6年間の長期保守契約をEDMと締結し、完工後も日本の質の高い保守サービスで発電所の運用を支援していく。
モザンビークは天然資源産出国として世界各国から注目されており、高い成長率で経済成長を続け、それに伴い電力需要も年率10%と非常に高い割合で伸びている。完工に伴い、成長著しい首都マプト地区への電力供給を開始し、モザンビーク発展の一翼を担っていく。