《化学企業トップ年頭所感》 住友化学 十倉雅和社長

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2019年1月8日

 今年4月にスタートする新中期経営計画では、経営理念にある「技術を基盤とした新しい価値創造」、すなわちイノベーションを通じて社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献することを基本方針とする予定である。そのために、2つの重要課題に優先的に取り組む。

 1つは「イノベーション加速システムの構築」で、次世代事業の早期創出のため、スピード感をもってイノベーションを実現するシステムを作り上げる。もう1つは「デジタル革新による生産性の飛躍的向上」で、デジタル技術を最大限に活用し、全ての業務において大幅な効率化と質の向上を図っていく。

 取り組みを推進するにあたり、社員の皆さんには次の3点をお願いしたい。1つ目は、課題を解決するために「バックキャスティング」思考を身に付けること。デジタル革新によってバリューチェーンも大きく変化する中、将来のあるべき姿を想定し、その実現のために今何をすべきかを「バックキャスティング」し、これからの技術や事業の開発に取り組んでほしい。

 2つ目は、サステナビリティ推進に向けて、課題を「総合的」に考え「統合的」に実行すること。SDGsに代表されるようにサステナビリティの流れが加速する中、サステナビリティの推進に向けて、様々な観点から課題を俯瞰し「総合的」に捉え、一体感をもって「統合的」に実行してほしい。

 3つ目は、事業運営の根幹である安全・安定操業とコンプライアンスを徹底すること。安全、品質、コンプライアンスの取り組みに「ここまでやれば満足」というゴールはない。一人ひとりの行動が当社に対する社会からの信頼に直結していることをいま一度心に刻み、一段のレベルアップに向けて取り組んでほしい。

 以上の取り組みの実践を踏まえ、世界情勢が不確実な中にあっても、われわれは継続的なイノベーション創出に挑戦し続けなければならない。これは、当社にとって存在意義そのものだ。その挑戦を推進するのは皆さん一人ひとりである。変化をチャンスと捉えて前向きにチャレンジし、自らの可能性を広げてほしい。皆さん自身の成長、当社の発展、そして持続可能な社会の実現に向けて、チャレンジ精神と使命感をもって取り組んでいこう。

 

《化学企業トップ年頭所感》 三井化学 淡輪敏社長

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2019年1月8日

 昨年6月、大阪工場の定期修理中に火災事故が発生した。お客様への影響を最小限にすべく、生産現場では事業部門と連携した懸命な復旧作業により、何とか早期の復旧に繋げることができた。年頭にあたり、当社グループが全ての活動の根幹とする「安全は全てに優先する」方針を、今一度、社員一人ひとりが心に刻み、気を引き締めてほしいと思う。

 「2025長期経営計画」を実行に移してから2年が経ったが、様々な環境変化を乗り越え、2018年度の業績は過去最高の営業利益1060億円を見込んでいる。多くの工場でフル稼働が継続しており、これは社員の皆さんが各々の仕事に真摯に取り組んだ成果の積み重ねだと考えている。

 米中関係は経済的には相互に深く依存しつつ、貿易摩擦のリスクが高まる中、新興国経済へも影響が及んでいる。英国のEU離脱は予断を許さず、北朝鮮や中東は依然として地政学リスクがある。このように世界経済はリスクと不確実性に直面し、先行きの減速感が懸念される。こうした中で特に事業面では、自然災害を含めた様々なリスクについてアンテナを高くし、怠りなく備えるよう心掛けてほしい。

 また昨年来、海洋プラ問題への関心が世界的に急速に高まってきている。この問題は個社を超えて、業界全体で対応していかなくてはならない。同問題に対しては引き続き、日化協、JaIME(海洋プラスチック問題対応協議会)会長として、政府や関連団体と連携しつつ、日本が取り組んできた実績や情報を積極的に国内外に発信していきたい。

 「いい会社」とは、どのようなものだろうか。変化が激しい世の中で、当社は2025年長期目標に向かってどのような未来を予想しながら、イノベーションを起こしてゆくことができるだろうか。

 ここ数年、「誇りを取り戻す戦い」として取り組んできた結果、数字的な目標は達成され「強い会社」になりつつある。一方、数字に表れない、公平性や透明性、ガバナンス、また社会・環境との調和・貢献などの施策も推進している。

 「いい会社」とは、このような「無形の価値」を併せてもつことだと思っている。三井化学グループが社会から存在を認められ成長するためには、この両方の要素がますます重要になってくる。社員の皆さんが心の羅針盤をもち、いい会社について共に考え、行動してゆく1年になることを願っている。

 

 

《化学企業トップ年頭所感》 三菱ケミカルホールディングス 越智仁社長

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2019年1月8日

 昨年は、米中貿易戦争が世界経済の大きなリスク要因となるなど、国際協調による自由主義経済を基調とした世界の潮流が、一つの転換期を迎えたように思う。また、欧州ではブレグジットの着地点が見えず、主要国の首脳も足元の政治基盤が脆弱になりつつある。このように政治・経済の見通しが不確実性を増す一方、当社としては大きな成長と高い収益を達成し、手ごたえを感じることができた一年だった。昨年12月、「APTSIS 20」の最終年度である2020年度のコア営業利益目標を、3800億円から4100億円に引き上げたが、グループの総力を挙げ、アクションプランを確実に実行することで必ず達成したい。

 改めて社会環境に目を向ければ、地球温暖化による自然災害の甚大化や食糧不足・フードロスの問題、水資源の偏在化など、地球を取り巻く環境の変化が著しく、一方では廃棄プラスチックの問題と循環型社会形成への動きが加速し、当社として取り組むべき課題が山積している。

 また、デジタル技術の急速な発展により、サイバーとリアルの垣根がますます曖昧になり、あらゆる物事が加速度的に変化するという、社会の大きな転換期が訪れようとしている。

 2025年度に向けた次期中期経営計画を策定するにあたり、現在、2030年、2050年における社会のニーズやリスクを評価し、2030年のターゲットと2050年のゴールをそれぞれ設定すべく検討を進めている。次期中期経営計画では、中長期視点を強く意識して基本戦略を策定し、事業の拡大と社会貢献の解決への貢献を同時に成し遂げることを目指している。

 社会課題や産業構造の変化、科学技術の進展などにより、状況が大きく変化し続ける中、当社が持続可能な発展を続けていくために、今こそしっかりとした事業基盤を築き上げることが重要である。

 今年、特に意識してほしいのは、①健康経営による人材の育成と活用②「真のダイバーシティー」の確立③ITシステムの高度化とデジタルトランスフォーメーションの推進、の3点である。

 2019年は「成長の加速と新たな社会に向けた基盤強化」の年にしたい。私たちのKAITEKI経営は、安全・安定生産、コンプライアンスの徹底、世の中のニーズに迅速に応えるソリューションの創出を通して、多様なステークホルダーの信頼を得る源泉となってきた。これからも、力強くKAITEKI経営を推進し、「真にグローバルなTHE KAITEKI COMPANY」を築き上げていきたい。

《化学企業トップ年頭所感》 信越化学工業 金川千尋会長

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2019年1月8日

 昨年10月に発表いたしました2019年3月期の中間決算は、すべてのセグメントが増収増益となり、上半期での過去最高益を達成することができました。これも社員の皆さまのひたむきなお仕事の成果であると、心より感謝しております。

 さて、長らく続いてまいりました世界的な景気拡大は、いま大きな転機を迎えています。アメリカと中国の間で激化している貿易摩擦の問題などを背景に、本年の世界経済の先行きは不透明感を増しています。また、近年は世界各地で自然災害も頻発しており、予測できないリスクへの備えも常にしておかなければなりません。

 私の尊敬する山本五十六連合艦隊司令長官が揮毫されているお言葉をご紹介します。中国の兵法書の一節で、「国大なりといえども戦いを好まば必ず亡ぶ。天下安らかなりといえども戦いを忘れなば必ず危うし」。自らの力量を過信することなく、来るべき難局に向けて平時より態勢を整えておくことを諭す、たいへん重いお言葉です。

 では、私たちはいかに備えるべきでしょうか。私の経験から申し上げると、最も大切なのは、基本に忠実に仕事に取り組むことです。すなわち、製造部門の皆さんは、安全で安定した操業を最優先とし、決して規格外の製品を出荷しない、と肝に銘じてください。研究開発部門の皆さんは、会社の将来を担うのは自分たちだ、との気概をもって取り組んでください。

 営業の皆さんは、お客様の要望をいち早くつかんで、つねにお客様とのお約束を守ることを心がけてください。このような基本の積み重ねが、厳しい環境の中でも成長の原動力となります。

 そして、日々成すべきことは先延ばしせずに、その日のうちにしっかりとやり遂げてください。皆さん一人ひとりの日々の努力は、必ず皆さんの能力向上と会社の強さとなって実を結び、当社グループのさらなる成長をもたらします。信越化学グループで働く皆様の力を結集すれば、たとえ困難に遭遇してもそれを乗り越え、より輝かしい成果を手にできるものと確信しています。