宇部興産 少量・高薬理活性原薬工場、本格運転を開始

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2021年9月28日

 宇部興産は27日、少量・高薬理活性の原薬製造に特化した第五医薬品工場が本格運転を開始したと発表した。同工場は、宇部ケミカル工場(山口県宇部市)敷地内に新設しており、今年5月の完成後から、試運転などを行ってきた。

 近年、医薬品市場では、オンコロジー領域での治療の個別化、オーファンドラッグの需要の高まりなどを受け、アンメットメディカルニーズ向けの医薬品の開発が活発化している。また、抗体薬物複合体(ADC)の開発など医薬品の多様化が進んでおり、薬理活性の強い少量原薬の需要が高まっている。

 宇部興産はこれまで、既設の第四医薬品工場(反応槽容量8㎥)や治験薬工場(同2㎥)で高薬理活性原薬(OEL〈許容ばく露限界〉1㎍/㎥以上)を製造受託し、市場に供給してきたが、新設した第五医薬品工場では、より薬理活性の強い少量・高薬理活性原薬(同0.1㎍/㎥以上)の製造が可能となった。

 今回の生産体制の強化を通じ、より幅広いニーズに対し、開発から商用生産まで一貫して対応していく。同社の医薬事業は、技術革新にあふれた「クスリづくり」を地域から発信し、すべての人々の健康に貢献することを目指している。これからも医療に貢献するため、自社・共同研究開発による「創薬」と「原薬・中間体製造」を両輪として新しい医薬品の種となる化合物を創出していく。

 

ランクセス 試作用金型開発、難燃性プラの成形課題再現

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2021年9月27日

 ランクセスはこのほど、難燃性ポリアミドおよびポリエステルコンパウンドの射出成形中に直面する典型的な課題を再現した、電気・電子産業向け部品の試作用射出成形金型を開発した。

 ハイパフォーマンスマテリアルズ・ビジネスユニットのカタリーナ・シュッツ氏は「この金型を使用することで、新しい難燃剤と加水分解安定化剤の現実的な分析を行う。当社の目的は、製品開発段階でも必要に応じて処方を適用できるように、事前に特殊な加工特性を特定することだ。そして、当社の難燃性プラ加工業者に、量産のための特定処理の推奨事項を提供したい」と述べている。

 難燃性を備えた熱可塑性樹脂の多くは、添加剤が使用されているため、標準製品よりも加工範囲が狭まるが、「この試作用金型により、これらの課題を実用的な方法で再現し、改善方法を見つけられる」と強調した。

 今回開発した射出成形金型は、異なる用途の様々な側面を一体化した、高機能で、筐体のようなデモンストレーション部品。同ユニットの電気・電子アプリケーション開発者であるサラ・ルアーズ氏は、「機械的、電気的、および難燃性のテストにも使用でき、様々なプロセスパラメータや実際の形状に応じて材料の性能を評価できる」と述べている。

 プロジェクトパートナーを対象としたこれらのサービスは総合サポートサービス「HiAnt」の一部。このサポートは、コンセプト設計、材料の最適化、機械・レオロジー的シミュレーションから量産の開始まで、アプリケーション開発のすべての段階を網羅している。

 一方、同ユニットでは効果的なサポートを提供するため常にプロセスツールを拡張しており、今後は樹脂・金属ハイブリッド部品の試作金型も稼働させる予定。ルアーズ氏は、「オーバーモールドされた金属の挿入を特徴とするプラスチックコンポーネントは、大きな温度変動にさらされると、応力亀裂を受けやすくなる。新しいハイブリッド金型を使用して、材料の耐亀裂性を調査し改善したい」と述べている。また材料、コンポーネントの形状、プロセスパラメータなどの要因に応じて応力亀裂を予測するシミュレーションモデルの検証も計画している。

 

三井化学など AIで製品市況予測、実証実験に手応え

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2021年9月27日

 三井化学は24日、日本電気(NEC)と連携し、人工知能(AI)の活用により市況に左右されやすい製品の価格変動を予測する実証実験を実施し一定の成果が得られたと発表した。同実証実験の成果を踏まえ、今後は適正な調達・生産・販売による利益の向上と、価格変動による損失回避に貢献するAIによる需要予測システムの本格導入を目指す。

 三井化学の三瓶雅夫DX推進室担当執行役員は、「当社は激化する国際環境の中、競争力強化のために先進的機械学習技術を活用した需要予測のDX化を推進する」と強調。これにより「調達コストの削減やリードタイムの短縮、物流最適化によるCO2低減を通じて、社会課題の解決と、顧客起点のビジネスモデルへと企業変革(CX)を加速していく」考えだ。

 三井化学は、これまで業務担当者の知見や経験に基づき、過去の価格・採算推移や為替などの週単位に集計されたデータにより製品の需要動向を予想してきた。しかし近年は、グローバル化の進展や市場ニーズの急変に伴って需要動向予想が難しくなっており、原料の調達価格や調達数量、生産量を最適にコントロールする必要性がでてきた。

 そこで今回、予測が難しいとされる市況に左右されやすい同社の具体的な製品を選定し、同製品の過去数年にわたる日次および週次の在庫データや工場稼働率、販売数量などの多様なデータを基にNECの提供するAIソフト「dotData(ドットデータ)」で分析。無数の特徴量候補から有効なものを自動抽出することで高精度な価格の予測モデルを構築した。

 なお、同AIソフトは、米ドットデータ社が開発した、データサイエンスプロセス全体を自動化するもの。実証実験では、今後継続的に改善すべき点はあるものの、翌月の当該製品の高精度な需要予測が可能となり、市場動向を踏まえた適正な販売価格の設定を実現した。

 三井化学は「よりよい販売計画の立案と、その計画に基づいた調査・生産を行うことで、在庫金額の数億円規模の削減も見込める」としている。またAI導入により、一見すると分からない価格と相関関係のある事柄など、人間では気づきにくい新たな業務知見を得られる成果もあった。

 

SABIC 自動車用リサイクル樹脂製品3グレード発表

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2021年9月24日

 SABICはこのほど、メカニカルリサイクルされた成分を含む自動車向け樹脂製品3グレードを発表した。同社の循環型ソリューション「TRUCIRCLE」ポートフォリオとして、タルク充填ポリプロピレン(PP)樹脂と、ポリカーボネート(PC)・ポリエチレンテレフタレート(PET)ブレンドでフィラー充填ありなしの3種類。いずれも最大29%のリサイクル材を含有しながらも、従来のバージン樹脂と同等の性能で、持続可能性の目標達成に取り組む自動車業界にとって新たな選択肢となる。

 高流動性や低アウトガス性を備えたタルク充填PPの「SABIC T2E-3320EH PPコンパウンド」は25%のリサイクルPPを含有し、同性能のバージンPPコンパウンドと比べ、カーボンフットプリントを最大24%削減できる。剛性、低アウトガス性、高耐熱性が特長で、インストルメントパネル内部に搭載される暖房・換気・空調部品や内装、エンジン回り部品に適する。

 耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、低収縮性に優れた、PCとPETのブレンドでUV安定性を備えたフィラー未充填の「XENOY(ゼノイ)T2NX2500UV」は、リサイクルPETを21%含有し、同性能のバージン材料と比べ、地球温暖化係数(GWP)を11%、累積エネルギー需要量(CED)を12%低減する。外装ボディパネル、スポイラー、燃料給油ドア、トリムなどに適し、UV安定性があるため、未塗装品へも使用できる。

 フィラー充填タイプの「XENOY T2NX5230」は、ミネラル強化材を16%、リサイクルPETを29%含有。フィラー未充填グレードより高剛性・低線膨張係数であり、ルーフスポイラーや外装トリムなどに適する。両製品グレードとも流動性が高く、サイクルタイム向上が期待できる。これら新製品は、同社が開発を進めるバイオベース素材から作った再生可能樹脂などの持続可能性素材を補完するもので、循環型経済に向けた取り組みは、同社の企業戦略の一環だとしている。

 

 

NEDOなど 世界初、大規模人工光合成で水素を製造

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2021年9月22日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)はこのほど、東京大学、富士フイルム、TOTO、三菱ケミカル、信州大学、明治大学とともに100㎡規模の太陽光受光型光触媒水分解パネル反応器と水素・酸素ガス分離モジュールから成る光触媒パネル反応システムを開発し、太陽光による水分解で長期間安全かつ安定的にソーラー水素を分離・回収できることを実証した。世界初の実証事例。

 NEDOは、水の光分解で得たソーラー水素とCO2からC2~C4オレフィンを製造する「二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発(人工光合成プロジェクト)」で、①光触媒(水の光分解で水素と酸素を製造)、②分離膜(水素・酸素の混合ガスから水素を分離)、③合成触媒(水素とCO2からC2~C4オレフィンを合成)の研究開発に取り組んでおり、今回の成果は①と②に当たる。

 光触媒パネル反応器は、透明ガラス容器にチタン酸ストロンチウム光触媒シートを格納したもので、光触媒を基板上に塗布するだけで製造できる。紫外光で水を分解し、量子収率はほぼ100%。疑似太陽光の連続照射による耐久性試験では、初期の8割以上の活性を2カ月以上(屋外試験で約1年に相当)維持した。この反応器を連結した3㎡のモジュールをプラスチックチューブで連結し、100㎡規模の反応器とした。屋外環境で水素と酸素が2対1の混合ガスを発生。その太陽光エネルギー変換効率は夏期には0.76%であった。

 ガス分離モジュールで水素濃度約94%の透過ガスと、酸素濃度60%以上の残留ガスに分離。天候・季節によらず、水素の回収率は約73%だった。水素濃度4~95%の混合ガスは着火すると爆発するが、1年以上の屋外試験で一度も自然着火・爆発はなかった。爆発リスクの確認のために、光触媒パネル反応器、ガス捕集用配管、ガス分離モジュールに意図的に着火したが、いずれも破損や性能劣化はなかった。

 今後、可視光にも応答するエネルギー変換効率5~10%の光触媒の開発と、光触媒パネルの低コスト化と一層の大規模化、ガス分離プロセスの分離性能とエネルギー効率の向上のための技術開発を進め、実用化を目指す。

 

 

帝人 高機能繊維の複合材料集成材、ブランド展開を開始

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2021年9月22日

 帝人は21日、複合材料集成材「LIVELY WOOD」を使用した木造モバイル建築ユニットの製造を開始し、「LIVELY VILLA」ブランドとして販売展開を開始すると発表した。

高機能繊維を用いた複合材料集成材「LIVELY WOOD」
高機能繊維を用いた複合材料集成材「LIVELY WOOD」

 「LIVELY VILLA」は、高機能繊維により木材と同等の軽量性と鉄骨並みの高い剛性を併せもつ「LIVELY WOOD」を使用した、移設可能な木造モバイル建築ユニット。用途として、医療介護や福祉サービスの施設での面会・簡易診察用の施設や、ワーケーション施設、宿泊施設、グランピング施設、さらには非常時の仮設住宅などとしての活用が想定される。

 特長として、梁の一部に「LIVELY WOOD」を採用することにより、モバイル建築ユニットを吊り上げる際に生じる建物全体の変形を抑制し、容易に移設を繰り返すことができる。また、使用する木材も、設置する地域の木材を使用する地産地消がコンセプトとなっている。帝人は、協力工場に製造委託を行い、別注品(400万円~)として販売展開を行っていく考えだ。

移設可能な木造モバイル建築ユニット「LIVELY VILLA」
移設可能な木造モバイル建築ユニット「LIVELY VILLA」

 こうした中、ブランド展開の第1弾として、高齢者の福祉サービスを総合的に提供する長陽会(大分県佐伯市)の福祉施設に、3台(サイズ:長さ約6m、奥行き約2m、高さ約2.8m)が採用された。コロナ対策の一環として、家族との面会や簡易診察用の臨時施設として使用される。

 採用理由として、①壁や床に、杉や檜などの国産木材を使用し、温かみのある室内空間を実現、②室内を陰圧にすることによる室内空気の流出低減や、HEPAフィルター搭載の空気清浄装置の使用による室内空気の浄化といった感染症の二次感染リスク低減に貢献する構造、③新型コロナ感染者の利用を想定し、床や壁などをアルコール消毒することが可能、などが挙げられる。

 同社は同ブランドの普及を図ることにより、木材の地産地消の促進や、災害時に仮設住宅として役立つことを目指し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」となることと、SDGsの目標達成への貢献に向けてまい進していく。

ブラスケム ETBE生産倍増、バイオ燃料需要増に対応

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2021年9月21日

 ブラスケムはこのほど、持続可能なソリューションへの世界的な需要拡大に対応するために、ブラジルでのエチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)の生産能力を増強したと発表した。

ブラジル・リオグランデドスル州のトリウンフォコンプレックスでETBE設備を整備
ブラジル・リオグランデドスル州のトリウンフォコンプレックスでETBE設備を整備

 同国リオグランデドスル州のメチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)プラントをETBE用に転換したもので、投資額は設備の調整や交換などで500万レアル(約1億1000万円)以上。バイーア州にあるETBE既存設備と合わせ、同国内での生産能力は2倍に拡大した。

 ETBEはMTBEと同様に、自動車用ガソリンのオクタン価を向上させる添加剤。ETBEはエタノール(43%)とイソブテン(57%)を反応させて作るが、同社ではバイオ原料由来のエタノールを原料とすることから、メタノールから作られるMTBEの代替品として、バイオ燃料・添加剤分野での需要増に対応していく。また、ブラジル国家石油庁(ANP)が採用する換算方法によれば、同社ETBEの生産一tあたり、MTBEと比較して847kgのCO2排出削減が可能だとしている。

 ブラスケムは、ETBEの生産を通じて要求の厳しい市場での持続可能性の基準を満たすだけでなく、気候変動緩和へも貢献していく考えだ。担当者は「様々な市場、特に欧州やアジアの国々でのバイオ燃料義務化に対応する製品だ。増産により競争優位性を高め、この分野でのグローバルプレーヤーとしての地位を強化する」とコメントしている。

 

帝人フロンティア 極細繊維を活用した水切りマット、販売を開始

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2021年9月21日

 帝人フロンティアはこのほど、極細繊維を使った掃除グッズ「あっちこっち」シリーズの新商品として、抗菌性があり、吸水性と速乾性を併せもつ「あっちこっち 水切りマット」を開発し、販売を開始した。

あっちこっち水切りマット
あっちこっち水切りマット

 水切りマットの特長として、①同社独自の極細繊維「ミクロスター」を使用した厚手のワッフル調生地とすることで、コップ一杯分(約300㎖)の水をしっかり吸収。水切りカゴなどの代わりに使用できる。また折りたたんで収納可能なため、シンク周りをすっきり保つ。②表面はソフトで、ふきんや食器拭きとしても使用がきる。また速乾性があるため毎日の洗濯も簡単。③抗菌加工により悪玉菌(黄色ブドウ球菌)の増殖を抑制し、イヤな臭いを抑える。

あっちこっち水切りマット」の使用例
「あっちこっち水切りマット」の使用例

 同社は、この新商品の展開により、昨今の急激な生活様式の変化から一層の高まりを見せている、安全・便利・シンプルといった日用雑貨に対するニーズに対応していく。新商品は、インターネット通販Amazonで販売を開始し、その後、テイジン公式オンラインショップ「くらし@サイエンス」や全国の日用雑貨小売店などへと販路を拡大する予定。販売目標として、上市1年目となる2021年度は5万枚、2022年度には10万枚を目指す。

富士フイルム 画像診断支援AIの有効性をインドで検証

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2021年9月21日

 富士フイルムはこのほど、新興国向け健康診断サービス事業の新たな取り組みとして、画像診断支援AI技術の有効性実証に向けた検証事業をインドで開始した。

今年2月にインドに開設した健診センター「NURA」
今年2月にインドに開設した健診センター「NURA」

 今年2月に同国に開設した健診センター「NURA(ニューラ)」を活用する。なお、同事業は、日本企業がデジタル技術を生かしながら、経済発展著しいアジア新興国の社会課題解決に貢献する活動として高い評価を受け、経済産業省が推進する「アジアDX促進事業」に採択された。

 同社は、今年2月に新興国での健康診断サービス事業を開始し、第1弾として、がん検診を中心とした健診センター「NURA」をインドのベンガルールにオープンした。NURAでは、高精細な診断画像を提供する同社の医療機器やAI技術を活用した医療ITシステムなどで医師の診断をサポートし、がん検診をはじめ生活習慣病検査サービスを提供している。

 これまでに、ベンガルールを中心としたエリアの居住者や近隣企業・医療施設関係者など、20~80代までの幅広い年齢層のユーザーが受診。スピーディーかつ高品質なサービス内容に対して高い評価を得ている。

「NURA」でのCT検査
「NURA」でのCT検査

 今回開始する検証事業では、来年1月までに、NURA受診者のうち2000人分の胸部CT画像データを対象として、AI技術を活用した画像診断支援機能を使った検診が、病変の見落としの防止や読影スピード向上につながることを検証する。

 具体的にはNURAで撮影したCT画像に対し、画像診断支援AI技術を活用して医師が読影した結果と、別の医師が同技術を活用せずに読影した結果を比較し、診断結果とスピードの差異を分析。これらの結果を基に、AI技術によって見落としを防止しつつ医師の読影ワークフロー全体にかかる時間を削減する効果を実証し、新興国の限られた医療リソースでも効果的に健診サービスの展開が可能であることを実証する。また、新興国の健診サービス向けに、CT画像から腹部(腎臓・肝臓・胆のう)の異常検出を支援する新たなAI技術の開発も行う予定。

 

三菱ケミカル リサイクル性に優れた耐熱OPSシートを開発

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2021年9月21日

 三菱ケミカルは17日、サーキュラーエコノミー(循環型経済)やSDGs実現への貢献のための取り組みとして、リサイクル性に優れた耐熱二軸延伸ポリスチレンシート(耐熱OPSシート)を開発し、量産体制を整えたと発表した。

OPS(従来品)

 OPSは軽量ながら強度があり、透明性や成形加工性にも優れるため、弁当容器のフタなど食品包装容器として広く使用されている。

 OPSを成形加工する工程では、シートを打ち抜く際に端材が発生するため、従来から原料としてリサイクルする取り組みが行われてきた。しかし、電子レンジで使用可能な耐熱性の高いOPSは、端材を溶かしても混ぜ合わせにくいため再シート化が難しく、リサイクルに適さないという課題を抱えていた。

 同社は今回、こうした顧客の課題意識を踏まえ、原料メーカーと共同で取り組み、顧客の製造工程内でリサイクル可能な耐熱OPSを開発した。すでに複数の顧客との間でサンプルワークを進めており、一部で採用も決定している。

 同社は、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる中長期経営基本戦略の下、サーキュラーエコノミーの推進を「KAITEKI」実現のキーエレメントと位置づけており、製品などのリサイクルはその重要な取り組みの1つと捉えている。同社は今後も、自社だけでなく顧客サイドの使用時のリサイクルにも配慮した製品設計を進めることで、SDGsの達成や持続可能な社会の実現に貢献していく。