帝人ソレイユ 胡蝶蘭アレンジメントフラワー、販売開始

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2021年6月15日

 帝人ソレイユは14日、自社の農場で栽培した胡蝶蘭を活用する贈答用の胡蝶蘭アレンジメントフラワーを展開し、「プラネッツ ハグ オーキッド」というブランドを冠してオンラインショップで販売を開始したと発表した。

胡蝶蘭を栽培するハウス
胡蝶蘭を栽培するハウス

 同社は、知的・精神などの障がいのある人がやりがいと働く楽しさを感じられる職場の創出を目的として、2019年2月に帝人の100%出資子会社として設立。同年4月には特例子会社の認定を受けて、帝人グループ内の受託サービス(一般事務、清掃・除草など)や農業(農作物の生産・販売)といった事業を行っている。昨年10月からは、障がい者の雇用確保のみならず、事業としての収益性を高めることで従業員が自信をもって働くことができるよう、自社農場「ポレポレファーム」(千葉県我孫子市)で胡蝶蘭の栽培を開始し、法人向けに販売を行ってきた。

胡蝶蘭アレンジメント
胡蝶蘭アレンジメント

 今回販売を開始したアレンジメントフラワーは、これまでの胡蝶蘭販売事業の新展開であり、ハンディキャップをもつ社員が生産した大輪で肉厚の高級品種である胡蝶蘭にアレンジを加え、個人の記念日や慶事の贈答用として販売する。デザインは、フラワーアレンジのデザインで著名なアルヒデザインワークス社が手掛けており、ほかでは手に入れることができない、高級感と華やかさが際立つアレンジメントフラワーに仕上がっている。

 今後、帝人ソレイユは、アレンジメントフラワーの認知度向上を図るとともに、社員研修を通じて、従業員自らがフラワーアレンジ作業までを実施できる体制を構築していく。

出光興産など 移動式脳ドックサービス、実証実験を開始

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2021年6月15日

 出光興産とスマートスキャンは14日、MRI搭載車両を使用した全国初の「移動式脳ドックサービス」の実証実験を三重県員弁郡東員町で開始すると発表した。

移動式脳ドックサービスの実証実験
移動式脳ドックサービスの実証実験

 高血圧や糖尿病などの生活習慣病などを要因として突如発症する脳疾患は、早期発見・早期治療が重要とされ、近年予防医療の重要性が注目されている分野の1つ。脳疾患の予防には定期的な脳ドックの受診が効果的だが、脳ドックは先進的なMRI装置で行うため、そうした設備を備えたクリニックで受診する必要がある。

 出光興産は「DXの加速」を含むビジネスプラットフォームの進化を中期経営計画の基本方針に掲げる。デジタル技術により業態変革・新規ビジネスモデルの創出を推進し、新サービスステーションブランド「アポロステーション」の「スマートよろずや」化を目指している。

 一方、スマートスキャンは、すべての人々に手軽に高度医療機器を使った精密検査ができる世界を、ITを駆使して実現することを目指し、東京、大阪にクリニックをプロデュースしている。

 両社は、MRIを搭載した車両を運用することで、既存の脳ドック設備の立地から離れた地域でも、短時間かつ比較的低額(従来の一般的な脳ドックサービスの半額程度)で脳ドックを受診できるサービスの提供に取り組んでおり、今回、東員町でサービス実証実験を行うことを決定した。実証実験を通じて、オペレーションや事業性を検証し、今後のサービス改善、展開地域の拡大を検討する。

 両社は先進的な予防医療の提供により、各地域の皆様の健康と安全に貢献していく。

DICグラフィックス バイオマスグラビアインキなどの販売を開始

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2021年6月14日

 DICの子会社であるDICグラフィックスがこのほど、耐アルコール性や耐油性に優れた表刷りバイオマスグラビアインキ「グロッサBM」を開発した。さらに、インキに抗菌性を付与する高機能な抗菌ニスを開発し、両製品の販売を開始した。今後は、日本国内での販売を拡大し2025年には販売数量年間1000tを目指す。

 これまで、パンなどの食品包装フィルムに印刷されたインキがテーブルクロスなどに付着するといった事象があり、バターやマーガリンなどの油類や、アルコール除菌剤などのアルコール成分がインキの付着を促す要因の1つと推定し、印刷インキの耐性を高める研究を進めてきた。さらに、コロナ禍以降の生活様式に対応するため、アルコール耐性が高く、耐熱・耐油性にも優れた抗菌ニスの研究も同時に進め、今回、両製品の開発に成功した。

 印刷インキの耐性を大幅に向上させた「グロッサBM」シリーズは、機能面だけでなく環境面に配慮したサステナブルな素材として植物由来の再生可能原料を含有。日本有機資源協会が認定する「バイオマスマーク10%」を取得している。そのため、表刷りバイオマスグラビアインキ「グロッサBM」と高機能な抗菌ニスを組み合わせることで、顧客に「安全・安心」なパッケージ材料の提供が可能になる。

ナノグラフ 世界最高のエネルギー密度のLIBを実現

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2021年6月14日

 シリコン系負極材料添加剤を手掛ける米ナノグラフは11日、世界最高のエネルギー密度をもつ「18650円筒形リチウムイオン電池(LIB)」を実現したと発表した。Kurt(Chip)Breitenkamp代表は「これは電池業界にとって画期的だ」とし、「エネルギー密度は頭打ちの状態が続き、過去10年間で8%程度しか増加していない。1年足らずの間に10%の増加を達成した。これは1つの技術領域における10年以上のイノベーションに相当する」とコメントしている。

 LIBはスマートフォンや家電、また電気自動車(EV)などに向け急速に普及しているが、稼働時間を延ばすために高容量化が求められている。しかし、エネルギー密度を上げるためにリチウムイオンの量を増やすと、放電の際にLIBが膨張と収縮を繰り返し劣化するといった課題があった。

 同社は革新的な層状構造のシリコンとグラフェンの複合技術により負極材料添加剤を開発。従来のLIBのエネルギー密度は体積1ℓあたり500~600Wh程度だが、同社のシリコン系負極材料添加剤を使用したLIBは800Whと大幅に容量がアップする。特に航続距離の延長がカギとなるEVでは、1回の充電で稼働時間が従来に比べ28%も長くなる可能性がある。

 ナノグラフは、前身となるサイノード・システムと、負極材料添加剤の研究開発を進めてきたJNCの出資により2018年に設立したジョイントベンチャー。これまで両社でシリコン系負極材料添加剤の共同開発を進めるとともにJNCの市原工場では量産化を進めてきた。すでに顧客に対しサンプル提供を開始しており、2022年度中に実用化を目指していく考えだ。

 

BASF 水系バリアコーティング製品の中国生産を開始

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2021年6月11日

 BASFはこのほど、ヒートシール可能な液体バリア用水系フィルム形成ディスパージョン「JONCRYL(ジョンクリル)HPB」を同社上海浦東工場で生産すると発表した。消費地近くで生産することで、省エネルギーとCO2排出量削減を実現する。

 「ジョンクリル HPB」はFDA(米国食品医薬品局)に食品接触材料として認可され、テイクアウト用のボックスやカップなどの食品包装に使用できる。ポリエチレン樹脂系ラミネートと同等の性能だが、使用後の再利用が可能で、製紙工場で生産されるバージンパルプの一部を古紙パルプに置き換えることで環境影響を最小限に抑えられる。

 近年、アジア太平洋地域では水性バリアコーティングの需要が大幅に増加。食品や飲料のブランドオーナーと食品包装資材メーカーは、より持続可能なソリューションの導入に取り組んでおり、同社は市場のニーズに対応しグローバルと地域の顧客基盤をサポートするために、グローバル生産拠点を拡大している。ディスパージョン&レジンのマーケットリーダーとして、革新的な製品を通じて安全で持続可能なソリューションの開発をサポートしていく。

NEDO 航空機エンジン向け合金開発と材料DBの構築

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2021年6月10日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、航空機エンジン用国産材料の競争力強化に向け、革新的な合金開発と材料データベースの構築を行う2件の研究開発事業に着手した。

 CO2排出量削減に向け、低燃費・高性能の航空機が求められている。その中で、航空機エンジンには高い安全性や品質保証体系、航空当局の認証管理などが要求されることから、欧米企業を中心とした寡占状態にある。日本の航空機エンジン産業は国際共同開発への参画を通じて事業規模を拡大してきたが、さらなる拡大には技術革新による優位性を維持し、設計段階から開発に携わる戦略的パートナーとなることが不可欠だ。

 今回、航空機エンジン用材料開発のための「革新的合金探索手法の開発」と、国産材料の競争力強化のための「航空機エンジン用評価システム基盤整備」事業に着手。高温・高圧環境に耐え、軽量で耐熱性、耐摩耗性、熱伝導性、導電性などに優れる合金の開発には、金属元素の組み合わせとプロセス条件決定のための膨大な実験が必要で、天文学的な時間がかかる。そこで合金探索に必要な良質のデータを大量かつ高速に収集し、マテリアルズ・インフォマティクスによるデータ駆動型合金探索手法を開発し、航空機エンジンへの適用可能性を模索する。

 一方、航空機エンジンには材料段階から厳しい認証基準などがある。国産材料の競争力を高め、材料データを効率的に得るために、関連企業や研究機関などと連携してデータベースを整備し、それに基づいて実際に部材を製造し性能評価試験などを行う。

 参加企業・機関はJX金属、IHI、川崎重工業、三菱重工航空エンジン、本田技術研究所、三菱パワー、産業技術総合研究所、金属系材料研究開発センター、物質・材料研究機構、筑波大学で、プロジェックトリーダーは東京大学大学院工学系研究科の榎学教授が務める。新合金を開発し、認証取得に必要なデータベースを構築し、航空機エンジンへの適用と日本の航空機エンジン産業の国際競争力強化を目指す。新合金による軽量化とエンジン高効率化による燃費改善で、2040年に約93万tのCO2排出量削減が期待される。

カネカ 生分解性ポリマーの発泡成形品が魚箱に採用

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2021年6月10日

 カネカはこのほど、「カネカ生分解性ポリマーGreen Planet」を発泡加工した「Green Planet発泡成形品」を開発し、水産事業者に鮮魚用魚箱として採用されたと発表した。

カネカ生分解性ポリマー Green Planet™(発泡ビーズ)
カネカ生分解性ポリマー Green Planet(発泡ビーズ)

 地球規模でのプラスチック汚染が問題となり、海洋マイクロプラスチック問題への対策が急がれる中、今回の採用は海洋汚染対策への直接的ソリューションとしての扉を開くもので、水産漁業関係者からの高い関心を集めている。

 「カネカ生分解性ポリマー」は同社の発酵技術と高分子技術を融合させ開発した100%植物由来の生分解性ポリマーで、特に海水中生分解性の「OK Biodegradable MARINE」認証を得ている。ストローや化粧品容器など様々な分野で採用が進んでいる。今後、発泡性ポリスチレンビーズに替わる製品として、水産漁業・農業分野での生鮮食品輸送容器、養殖用フロートなどの漁業資材、また発泡ビーズを詰め物としたクッション、家電・家具の緩衝包装材などの製品開発を加速し、環境対応製品として販売を強化する。

魚箱(Green Planet™ 発泡成形品)
魚箱(Green Planet 発泡成形品)

 同社はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し「循環型社会への貢献」を掲げており、環境負荷低減に貢献する素材として用途展開を加速し、環境問題へのソリューションを提供していく。

 

三井化学 新素材「無孔調湿フィルム」の市場開発を開始

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2021年6月10日

 三井化学は9日、無孔でありながら湿度をコントロールできる新素材フィルム「無孔調湿フィルム」(開発品)の市場開発を開始したと発表した。 

  同開発品は、液体や雑菌などの異物を通過させずに、湿度のみの調整が可能な素材。透湿性の高いフィルムにウレタンフィルムがあるが、同素材は低湿度でも一定の高い透湿性を示す。 

 一方、開発品は、低湿度の条件下では一般的なポリオレフィンフィルムのように水蒸気をほとんど通すことなく、高湿度の条件になるにつれ水蒸気を徐々に通しやすくなるという特異的な性能をもつことから、「まるで呼吸するかのように」空間の湿度をコントロールできる。

 原料は特殊ポリオレフィン。調湿性のある多くの素材が複合素材なのに対し、単一素材のためリサイクル性が高いといった特長も備える。用途には建築素材やアパレル・防護服などを想定。屋根材や壁材に使うことで、室内の湿度が高まる夏場は湿気を逃がし、逆に乾燥状態になりやすい冬場は湿気を逃さず湿度を保てることが期待される。また、不織布と貼り合わせて防護服などに利用すれば、患者の血液や雑菌を通さずに医療従事者の汗などの湿度を逃がすことで、医療活動の快適化につながる。

 コロナ禍を機にリモート社会へのパラダイムシフトが始まった今、生活空間の快適さの重要性がますます高まると想定される。三井化学は「無孔調湿フィルム」をこうした要望へ貢献できる素材だと捉え、新たな市場開拓を目指す。

 なお開発品は、第3回感染症対策総合展(6月17~19日、ポートメッセ名古屋) 、第9回高機能プラスチック展(6月23~25日、インテックス大阪)への出展を予定する。

 

日本触媒 三次元細胞培養容器で膝関節症の臨床研究を開始

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2021年6月10日

 日本触媒は9日、三次元細胞培養容器「ミコセル」で作製した脂肪由来幹細胞凝集塊の変形性膝関節症に対する臨床研究について、共同研究先のそばじまクリニック(大阪府東大阪市)で二例の被験者への投与が行われたと発表した。

「ミコセル」を用いた変形性膝関節症に対する臨床研究

「ミコセル」は、日本触媒が独自技術により開発した三次元細胞培養容器で、粒子径がそろい生体内での状態に近い細胞凝集塊を多量に作製できるのが特長。両者は、「ミコセル」によるヒト脂肪由来幹細胞凝集塊の変形性膝関節症に対する安全性、および有効性のデータ取得を目的とした臨床研究を実現するため共同研究を今年2月から実施してきた。

 今回の臨床研究では、患者自身の脂肪由来幹細胞を「ミコセル」で細胞凝集塊とし、これを膝関節内に注射で投与する。計5人の患者へ投与して来年3月までに細胞凝集塊の安全性を確認する計画だ。なお、臨床研究は、そばじまクリニックが「第2種再生医療等計画」を再生医療等委員会へ申請、昨年6月に承認され12月に近畿厚生局に受理された。両者は臨床研究を通して、細胞凝集塊を使った治療の実用化と再生医療のさらなる発展に向けて貢献していく。

産総研 有機シラン合成用高効率ロジウム錯体触媒を開発

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2021年6月9日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める「有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発」について、産総研が有機ケイ素原料を効率的に合成できるロジウム錯体触媒を開発したと発表した。副生成物の発生が少なく精製工程が簡略化でき、シランカップリング剤の基幹原料を収率99%以上で合成できる。

 シランカップリング剤は無機材料と有機材料を結合する性質をもち、高機能複合材料に広く利用されている。様々なシランカップリング剤を安価に供給することで、エコタイヤや半導体封止樹脂、FRP(繊維強化プラスチック)などの高機能複合材料の低価格化が期待できる。多くのシランカップリング剤の基幹物質となるクロロプロピルシランは、白金やイリジウム錯体触媒を使って、ヒドロシランと塩化アリルの反応により合成されるが、収率は70~80%程度で、複数の副生成物が生成する。

 今回、触媒構造と生成物の関係に着目。新しい触媒はロジウム金属とフッ素を含み、2つのリン原子がロジウム金属に結合する配位子を組み合わせた。副生成物を生成する触媒構造は不安定なことから、主成分を生成する安定な触媒構造に変化するため、副生成物の生成反応が大幅に抑制される。微量のロジウム錯体でも、目的のクロロプロピルシランを実験室レベルで99%以上の収率で単一合成できた。触媒量5㏙の場合、触媒回転数(触媒が不活性化するまでの触媒1分子当たりの反応回数)は14万回に達し、工業触媒として十分な耐久性をもつことが確認された。

 産総研は引き続き同事業でシランカップリング剤反応のスケールアップ実験を行い、工業的な実施可能性を検証する。また触媒性能の解析を進めて、高機能で安価な有機ケイ素材料の提供を目指す。