JSR ホルター心電計の認証を取得、試験販売を開始

, ,

2020年8月3日

 JSRは31日、デジタル技術を活用し、重症化予防に繋がるホルター心電計の医療機器認証を取得し、クリニック向けにテストマーケティングを開始すると発表した。

ホルター心電計「Heartnote」
ホルター心電計「Heartnote」

  同社グループのイノベーション推進部では、社会的ニーズを捉えた医療費削減や高齢者のQOL向上を目指し、同社グループの持つ素材・製造・品質保証技術にデジタル技術を融合させ、治療から予防、そして、個別化医療の実現に向けたデジタルヘルスの実用化に取り組んでいる。

 活動の一環として、簡単に装着できて、検査の負担なく不整脈のスクリーニング・診断が可能な世界最薄型・最軽量クラスのホルター心電計「Heartnote」(療機器認証番号302ACBZX00015000)を開発した。

 コードレス型で防水性能が付与されており、胸部に貼るだけで日常生活に支障なく最大7日間の連続測定が可能。そのため、従来の検査で実施している24時間測定では捉えにくい循環器疾患である発作性心房細動(脳梗塞の起因となる不整脈)などの検出頻度が上がることが期待される。この取り組みは国立循環器病研究センターとの共同研究の成果であり、「第84回 日本循環器学会学術集会」で発表される。

 同社グループでは、新しく開発した「Heartnote」を活用して循環器疾患の検査に限らず、予防・スクリーニング・診断領域でも、独自のアルゴリズムによって精神疾患や生活習慣病の検知などに応用できると考えている。さらなる応用分野の開拓のため、オープンイノベーションにより、幅広い開発・事業パートナーと協力しながら、社会へ新たな価値を提供していく考えだ。

東ソー コロナ検査試薬が体外診断用医薬品の承認を取得

, ,

2020年8月3日

 東ソーは31日、新型コロナウイルス検査試薬の体外診断用医薬品製造販売承認を同日付で取得したと発表した。今後、8月中旬より、医療機関や検査施設向けに販売を開始する予定となっている。

検査試薬:TRCReady SARS-CoV-2
検査試薬:TRCReady SARS-CoV-2

 この検査試薬は、同社の既存製品である自動遺伝子検査装置「TRCReady‐80」の専用試薬として、新型コロナウイルスを高感度かつ簡便な操作で、約40分程度で検出することが可能となる。

 同社のバイオサイエンス事業の一翼を担う遺伝子検査システムは、「迅速」「簡便」「小型」を特長としている。簡単な前処理(約5分)をした生体試料を装置にセットした後は、全自動で新型コロナウイルスRNAの有無が約40分で判定されるため、検査作業の効率化が可能となり、医療・検査従事者の作業負担を大幅に軽減できる。

検査装置:TRCReady-80
検査装置:TRCReady-80

 さらに、小型装置であることから、より多くの医療機関・検査施設に設置しやすく、新型コロナウイルスの感染拡大防止や検査体制の拡充に貢献することが期待される。

 さらに同社は現在、既存製品である全自動化学発光酵素免疫測定装置「ATA‐CLシリーズ」向けの専用試薬として、新型コロナウイルス抗体検査のための試薬の共同開発も進めており、関係機関の協力を仰ぎながら早期の発売を目指す。

 東ソーは、ライフサイエンス分野の製品やサービスの提供を通して、人々の健康と福祉に関する社会課題の解決に貢献できるよう、これからも積極的に取り組んでいく考えだ。

 

帝人 炭素繊維事業、英・研究施設との連携をさらに強化

, , , ,

2020年7月31日

 帝人は30日、ドイツの炭素繊維事業会社「テイジン・カーボン・ヨーロッパ社(TCE)」が、英国「ナショナル・コンポジット・センター(NCC)」のメンバーシップの位置づけをアソシエイトからTier2へとアップグレードしたと発表した。

 TCEはNCCメンバーとして、航空宇宙産業での次世代製造方法の開発プロジェクトを支援しているが、Tier2になることで、NCCがもつより幅広い情報へのアクセスや、プロジェクトへの材料提供の機会を大幅に増やすことなどが可能となる。

 NCCは、業種にかかわらず全ての企業に最先端技術や専門エンジニアを提供している世界規模の研究施設。その一環として、複合材料において価値が高く、持続可能なエンジニアリングソリューションの採用を加速することにフォーカス。最先端のデジタル製造技術をオープンアクセスで提供し、研究レベルから大規模な生産までの技術を駆使した新しい複合材料製品の開発を行っている。

 また、NCCは「iCAPプログラム」の1つとして、高効率かつ低コストを実現して生産量を高めるデジタル自動積層技術に関する開発を推進。自動積層に用いる産業用ロボットを開発することで、航空機の翼の製造プロセスを大幅に短縮することにつながる。この開発は航空機製造に革命を起こす可能性があり、エアバス社が主導する研究開発プログラム「Wing of Tomorrow」を推進する重要な役割を果たしている。

 今後、帝人グループは、TCEを中心に、「Wing of Tomorrow」や様々な航空宇宙プロジェクトに向けて、独自のNCF(多軸織物)や熱硬化性および熱可塑性プリプレグを開発し、NCCとそのパートナーをサポートするとともに、英国の複合材料業界に貢献していく。

 帝人グループは中期経営計画の中で、航空機向け炭素繊維中間材料の展開を「将来の収益源育成(ストラテジックフォーカス)」と位置づけ、幅広く用途開発を推進している。今後、航空機向け炭素繊維製品のマーケットリーダーとして、ソリューション提案力を一層強化し、2030年近傍までに航空機用途で年間9億ドル超の売上を目指す方針だ。

 

三菱ケミカル 欧州の炭素繊維リサイクル会社を買収

, , , ,

2020年7月31日

 三菱ケミカルは30日、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進に向けた取り組みの一環として、ドイツにある炭素繊維リサイクル事業を手掛けるCFK Valley Stade Recycling(CFK)、およびcarboNXT(cNXT)を、スイスのグループ会社を通して買収することを決定したと発表した。来月8月上旬をめどに買収を完了させる予定。

 今回買収するCFKは、炭素繊維を使用したプリプレグなどの中間材を加工する際に発生する端材を、モビリティを中心とした顧客から回収するネットワークや、回収した端材をリサイクルする技術をもち、cNXTはそのリサイクル製品の販売を行っている。

 三菱ケミカルは今年、炭素繊維プリプレグメーカーであるドイツのc‐m‐p社、エンジニアリングプラスチックリサイクルを手掛けるスイスのMingerグループを買収。日本ではグループ会社「新菱」が炭素繊維リサイクル事業を手掛けているが、今回の買収により欧州についても、炭素繊維および炭素繊維コンポジットの製造から製品回収、リサイクルまでのチェーンを確立する。今後はリサイクルした製品を再度原料として同社グループで利用することにより、顧客に対して製品のリサイクルも含めたトータルソリューションを提案していく。

 三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる中長期経営基本戦略「KV 30」の下、サーキュラーエコノミーの推進をKAITEKI実現のキーエレメントと位置づけ、製品のリサイクルはその重要な取り組みの1つと捉えている。

 今後も、炭素繊維コンポジット業界のフロントランナーとしてユーザーへのソリューション提案力を強化し続けるとともに、循環型社会の実現に向けて貢献していく考えだ。

 

ダウ バイオPE使用のストレッチフィルムをアジア展開

, , ,

2020年7月30日

 ダウはこのほど、マレーシアの包装材メーカーであるトン・グアンと、植物由来ポリエチレン(PE)製品をアジア太平洋地域に導入したと発表した。同地域での再生可能原料由来プラスチック製品の商品化では画期的な事例となり、バリューチェーンを通しCO2排出量削減に貢献することが期待される。

 トン・グアンの新しいストレッチフィルム「ナノ・バイオ」は、ダウの直鎖状低密度PEである「ELITE5230GC R」エンハンスドPE樹脂を使用。この植物由来PE樹脂は、紙パルプの副産物であるトールオイルからのバイオナフサを使って生産されており、一般的な化石由来のPE樹脂と比較してCO2排出量を大幅に削減できる。

 さらに、マス・バランスアプローチをベースとするISCC認証を取得。このアプローチにより、各産業の複雑な製造または生産システム内でのサステナブルな原料調達を支援することで、すべての工程でトレーサビリティ基準が満たされ、各産業の持続可能性に貢献する。

 ダウ・パッケージング・アンド・スペシャルティ・プラスティック事業部アジア太平洋コマーシャルバイスプレジデントであるバンバン・キャンドラ氏は、「再生可能原料である植物由来のPE樹脂をアジア太平洋地域に導入することは、サステナビリティ目標を達成する上で重要な一歩だ」と述べている。

 一方、「ナノ・バイオ」は、薄肉化、柔軟性や耐久性の向上を実現する最先端のナノテクノロジーにより生産される。この環境に優しい高性能なストレッチフィルムは、物流用のパレット貨物を安定させ、輸送時の損傷や事故の発生の低減に貢献する。

 トン・グアン・インダストリーズのマネージングディレクターであるダトアング・プーン・チュアン氏は「ダウとの継続的なコラボレーションは、再生可能製品の提供とサステナビリティ推進への私たちの決意を示すものだ。ダウの植物由来のPE樹脂を使用することで、既存製品と同等の高性能を保ちながら化石燃料由来のPE樹脂の使用を削減し、顧客のビジネスとサステナビリティ面でのニーズを満たす」と述べている。

大王製紙 愛媛県三島工場のバイオマス発電を稼働、電力販売を開始

, ,

2020年7月30日

 大王製紙はこのほど、バイオマス発電設備の新設工事が完了し、今月より再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)を利用した電力販売を開始した。

〈バイオマス発電設備〉
バイオマス発電設備

 同社三島工場(愛媛県四国中央市)では、これまでもクラフトパルプ製造工程で発生するパルプ廃液(黒液)を、黒液回収ボイラーで燃焼させるバイオマス発電を行ってきた。今回、黒液回収ボイラーを新設し、発電した電力をFIT制度で電力会社に販売する。

 今回導入した最新鋭の黒液回収ボイラーは効率が5%改善し、一般家庭の約7200世帯分に相当する、年間2万5000tのCO2排出量を削減可能。四国地方の電力需要に占める再生可能エネルギー比率向上に貢献していく。

 大王製紙グループは「世界中の人々へやさしい未来をつむぐ」の下、事業活動を通じて地球環境保全への貢献に取り組む。業界に先駆けて建築廃材を主燃料とするバイオマス発電や、可児工場(岐阜県可児市)での重油からLNGへの燃料転換など、様々な環境対策を進めてきた。今後も、三島工場のバイオガス製造設備新設(今年10月稼動予定)など、再生可能エネルギーを有効利用した環境負荷低減の取り組みを継続していく考えだ。

旭化成など ジップロック・リサイクル・プログラムを開始

, ,

2020年7月30日

 旭化成は29日、旭化成ホームプロダクツ、テラサイクルジャパン、ネイチャー・イノベーション・グループ、ビームスの4者が協働し、「ジップロック」をリサイクルした傘のシェアリングサービスを展開する「Ziploc RECYCLE PROGRAM」を開始したと発表した。

Ziploc RECYCLE PROGRAM
Ziploc RECYCLE PROGRAM

 同プログラムは、使用済み「ジップロック」製品を回収し、別のプラスチック製品に再生することで廃プラスチック問題の解決に貢献する活動。使い捨てになるビニール傘の廃棄問題に着目し、「ジップロック」をリサイクルしたビニール傘を、傘シェアリングサービスで運用する。

 旭化成ホームプロダクツを中心とした4者協働のプロジェクトであり、各社の役割として、回収とリサイクルをテラサイクルが、傘のデザイン監修をビームスクチュール(ビームスのブランド)が、傘シェアリングサービス運用をアイカサ(ネイチャー・イノベーション・グループ)が行う。

 まずは今月29日からテラサイクルのウェブサイトで「ジップロック」の一般回収をスタート。また9月中旬より、生産過程で出る廃棄品を使用したリサイクル傘のシェアサービス運用を、西武池袋線の池袋~飯能駅間の26駅を中心に開始する予定。

 今後も、「ジップロック」は顧客に貢献するブランドとして、一般家庭からの使用済み品の回収や、全国主要都市での傘シェアリングサービス活用を目指す。現在日本では、年間8000万本ものビニール傘が消費され、安易に廃棄されたものは環境問題につながっている。1本あたりに使用されるプラスチック量がストローの約400倍に相当するビニール傘の廃棄も、プラごみ廃棄量の多さの要因の1つだ。

 2018年に旭化成ホームプロダクツは、アップサイクルを理念とするブランド「ビームスクチュール」とのコラボレーションによって、「ジップロック」を素材に使用したビニール傘を発売。キッチン以外でのイメージづくりに取り組んだ。今回、それを発展させ、テラサイクル、アイカサ、ビームスと協働することで、使い捨てプラをビニール傘にリサイクルするのみならず、傘シェアリングサービスとして運用することで、廃プラ問題の解決に貢献する。

 旭化成ホームプロダクツは、今回のプログラムを通じて持続可能な環境・社会の実現を目指していく。

プログラム概要
プログラム概要

 

 

 

ダイキンと日立 生産・販売の立案・実行支援を自動化

, ,

2020年7月30日

 ダイキン工業と日立製作所はこのほど、日立グループのSCM(サプライチェーンマネジメント)最適化シミュレーション技術により、ダイキンの化学事業の需要変動に即応する最適な生産・販売計画の立案・実行支援ソリューションを実用化したと発表した。

 モノづくりプロセスの革新を目指した両社の協創の成果。複数の製造・販売拠点の需給バランスに基づき、利益、売上、キャッシュフローなどの重要業績指標(KPI)を最大化する製造・販売施策シナリオや生産計画を自動で提示し、迅速な意思決定や急激な需要変化にも対応する。

 需要の急激な変動は、生産の遅延や欠品による機会損失や過剰生産など、サプライチェーン全体に影響する。化学品は需要変動が激しくかつ多品種生産であり、製造から販売までの部門間調整による状況に応じた製造・販売施策、生産計画立案と迅速なアクションが重要となる。

 さらに海外の製造・販売拠点での販売価格や販売・生産量、設備稼働率、生産能力、関税など膨大なパラメータを販売先や製品ごとに考慮し、経営視点でKPIの最大化に向けた製造・販売施策や生産計画を立案するには膨大な時間と経験・ノウハウが必要である。

 ダイキンは、フッ素化学製品のグローバル5製造拠点、9販売拠点、数百品目を対象に、先月から同ソリューションの本格運用を開始。どの製品を、どの拠点で、どれだけ生産し、どこで販売するかといった製造・販売施策立案のために、従来の約60倍のパターンを短時間で作成。それらを定量的にシミュレーションすることにより合意形成が迅速化し、意思決定までの時間を約95%短縮できた。製造・販売施策のタイムリーな立案と迅速な意思決定が可能になるとともに、顧客起点のSCM施策や事業計画の検討・実行に一層注力できるようになった。

 今後、ダイキンは他の化学品へ適用を拡大するとともに、製造現場データとの連係で、タイムリーで高精度な分析と経営判断につなげていく計画だ。日立は、この協創で培ったノウハウ・技術を活用し同社ソリューション技術「Lumada」の製造業向けソリューションとしてグローバルに事業展開していく。

 

出光興産 中国恵州の潤滑油製造工場が生産を開始

, ,

2020年7月30日

 出光興産は29日、中国で2カ所目の直営潤滑油製造工場となる「恵州出光潤滑油・恵州工場」を稼働し生産を開始したと発表した。

恵州工場生産設備と事務所棟(右上)
恵州工場生産設備と事務所棟(右上)

 恵州工場は、中国での高性能潤滑油の需要増に対応した供給能力増強を目的に建設。年産12万㎘の生産能力をもつ。今回の恵州工場の生産開始により、同社グループの中国での潤滑油供給能力は、合計で年産29万㎘となった。

 華南に位置する今回新設した恵州工場と、華北の天津工場〈年産12万㎘:出光潤滑油(中国)が運営〉、華東の常州工場〈年産5万㎘:関係会社の国宏潤滑油(中国)が運営〉の3カ所の運営を通じて、世界最大の潤滑油需要国である中国全土へ、安定供給体制の確立と供給の最適化に取り組む。

 同社は今後も、中国の販売・供給体制のさらなる充実を図り、潤滑油のグローバルサプライヤーとして事業の強化・拡大を目指す考えだ。

潤滑油工場の中国拠点
潤滑油工場の中国拠点

信越化学 新規シリコーンエマルジョンを開発、規制に対応

, , ,

2020年7月30日

 信越化学工業は29日、新しいタイプのシリコーンエマルジョンを開発したと発表した。

水中に分散するシリコーンエマルジョン
水中に分散するシリコーンエマルジョン

 昨今、EUのREACH規則では、一部の用途向けのシリコーン製品に含まれる特定のシロキサンの濃度を、0.1%未満までに抑える動きがある。該当のシロキサンは、健康や環境に問題をもたらすものではないが、同社ではREACH規則の動向や顧客の要望に対応するために新製品の開発を行った。

 高度な精製技術により新たに開発したシリコーンエマルジョンは、特定のシロキサン含有量を低減すると同時に、既存製品と比較してエマルジョンの安定性が向上している。

 シリコーンエマルジョンは、シリコーンオイルやシリコーンレジンなどに乳化剤(界面活性剤)を加えて水中に分散させ、他の材料と配合しやすくした製品。シリコーンのもつ優れた特性とエマルジョンの使いやすさから、離型剤・潤滑剤・つや出し剤など、幅広い用途に使用されている。

 信越化学は、優れた品質と技術力、そしてきめ細かな対応で、今後も多様化する市場のニーズに応えていく考えだ。

シリコーンエマルジョンのイメージ図
シリコーンエマルジョンのイメージ図