三菱ケミカル ポリエステル長繊維「ソルーナ」の販売を終了

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2020年6月15日

 三菱ケミカルは12日、ポリエステル長繊維「ソルーナ」の販売について今年12月をめどに終了すると発表した。

 同社は、「ソルーナ」の原糸生産を2009年よりユニチカグループ(ユニチカ、ユニチカトレーディング、日本エステル)に委託し、原糸・加工糸・テキスタイルの販売を継続して行ってきた。しかし、衣料品の国内市場が縮小するとともに、輸入品が増加する中で、同事業の採算性は急速に悪化している。

 このような状況下、三菱ケミカルは、原糸の差異化や機能素材に集約した販売などの経営努力を重ねてきたが、現状と今後の事業環境を精査した結果、同事業を継続することは困難であると判断し、同製品の販売を終了することを決定した。8月末日で原糸生産委託を終了し、12月末日で販売を終了する予定。

 同社は、三菱ケミカルホールディングスグループの中期経営計画「APTSIS 20」に基づくポートフォリオマネジメントに取り組んでいる。今後も、成長市場で技術開発や用途開拓を進めることで、高機能成形材料事業の強化を図っていく考えだ。

NEDO 人工光合成、収率ほぼ100%の光触媒開発

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2020年6月12日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と、三菱ケミカルや三井化学などが参画する人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)はこのほど、紫外光領域ながら世界で初めて100%に近い量子収率(光子の利用効率)で水を水素と酸素に分解する粉末状の半導体光触媒を開発した。信州大学、山口大学、東京大学、産業技術総合研究所(産総研)との共同研究によるもの。これまでの光触媒では量子収率が50%に達するものはほとんどなく、画期的な成果といえる。

 ソーラー水素の実用化に向けた大幅なコスト削減には、太陽光エネルギーの変換効率向上が必要だ。そこには、利用光の波長範囲を広げることと、各波長での量子収率を高めることの2つの要素がある。前者は光触媒のバンドギャップ(電子励起に必要なエネルギー)の幅がカギになり、後者は触媒調製法や助触媒との組み合わせで決まる。今回は後者に注力し、ほぼ100%の量子収率を達成するとともに、触媒の構造・機能・調製方法などを明らかにした。

 代表的な酸化物光触媒SrTiO3(Alドープ)を、フラックス法により2種の結晶面を持つ粒子にすると、光で励起された電子と正孔が各結晶面に選択的に移動する異方的電荷移動という現象が起こる。この特性を利用して、各結晶面に水素生成助触媒(Rh/Cr2O3)と酸素生成助触媒(CoOOH)を光電着法により選択的に担持した。

 その結果、光励起した電子と正孔は再結合せずに各助触媒に選択的に移動するため、吸収光のほぼ全てを水分解反応に利用することに成功した。光励起された電子と正孔の一方通行移動は植物の光合成で行われているが、複雑なタンパク質構造によるため、人工的な再現は非現実的だった。今回の光触媒の構造は簡易であり、高活性光触媒の設計指針となる。

 今回は紫外光しか吸収しないため、降り注ぐ太陽光エネルギーの一部しか利用できない。可視光を吸収するバンドギャップの小さな光触媒に応用することで、太陽エネルギーの利用度は上がる。バンドギャップの小さな化合物での水分解にはさらに高度な触媒性能が求められるが、今回の触媒設計指針を応用することにより、製造プラントの省スペース化や製造コストの低減が期待される。

 NEDOらは、引き続き光エネルギー変換効率の向上を進め、人工光合成技術の早期実現を目指していく考えだ。

プラ工連 コロナ対策のプラ製仕切りなどに火災注意を喚起

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2020年6月12日

 日本プラスチック工業連盟(プラ工連)は、新型コロナウイルス感染拡大防止を目的に、商業施設などで多く使用されるプラスチック製仕切り板や仕切り幕について、火気周辺での導入は火災となる危険性がある、と注意を呼び掛けている。

 プラ工連は、使用されているものが必ずしも安全性に配慮されたものとは限らないため、代表的な樹脂製品の火気周辺での使用上の留意点や、耐熱温度をまとめた資料を作成。同連盟ウェブサイトで掲載を始めた。

 一例を挙げると、アクリル樹脂(PMMA)では、「可燃性があり、着火源があると燃える」(常用耐熱温度70~90℃)。ポリカーボネート(PC)=「燃えるが自己消化性がある。耐衝撃性や高温耐性が必要な場合にお勧め」(同120~130℃)。可塑化塩ビ樹脂(PVC‐P)=「一般タイプは、自己消化性があるが、種類によっては燃えることがあり、火気への注意が必要」(同60~80℃)など。

 また、プラスチック製品の使用に際して、使い方が防火安全上適正かどうかについては、最寄りの消防署への相談を促している。

プラ工連が作成した、コロナ対策用プラ製仕切りなどへの火気留意点
プラ工連が作成した、コロナ対策用プラ製仕切りなどへの火気留意点

SEMI 1Qの半導体製造装置販売額は前年比13%増

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2020年6月12日

 SEMIはこのほど、半導体製造装置(新品)の2020年1Q(1-3月期)の世界総販売額が、155.7億ドルとなったと発表した。四半期比では13%減となったが、前年同期比では13%増となっている。

 国別で見ると、1位が台湾(前年同期比6%増40.2億ドル)、2位が中国(同48%増35億ドル)、3位が韓国(同16%増33.6億ドル)、4位が北米(同15%増19.3億ドル)、5位が日本(同8%増16.8億ドル)、6位が欧州(同23%減6.4億ドル)となった。

ダイセル 知財に関する新型コロナ対策支援宣言に署名

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2020年6月12日

 ダイセルはこのほど、「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」に署名した。新型コロナウイルス感染症の早期終息に貢献するため、同社が持つ知的財産権を一定期間無償で提供することを宣言した。

 この宣言は、保有する知財権などに関し、コロナ感染のまん延終結を目的とした行為(診断や予防、封じ込め、治療など)に対し、一切の対価や補償を求めることなく、原則として全ての特許権、実用新案権、意匠権、著作権を一定期間行使しないことを表明するもの。

 このことで、急務である治療薬やワクチン、医療機器、感染防止製品などの開発・製造・提供を可能な限り迅速に行うため、宣言の対象となる知財権などについて、侵害有無の調査やライセンス許諾の要求に時間・費用をかけることなく、速やかな利用が可能になる。同社は、コロナ感染まん延の早期終結に向け、知財活動を含めてできる限りの貢献をしていく考えだ。

知的財産マーク 縮小版

 

 

三井化学 欧州初自社PPコンパウンド拠点の営業運転を開始、量産品初出荷

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2020年6月12日

 三井化学とグループ会社のプライムポリマーは11日、オランダ・ケメロット工業区内にある、欧州初の自社ポリプロピレン(PP)コンパウンド拠点の営業運転を開始したと発表した。

欧州初の自社PPコンパウンド拠点・ACE外観
欧州初の自社PPコンパウンド拠点・ACE外観

 まずは量産品を初出荷、自動車材コンパウンドの世界トップに向けた欧州展開が始動した。生産能力は3万t/年。これにより、欧州での製造・販売・研究の一貫体制が整うことになり、欧州拠点の自動車メーカーや部品メーカーに対し、効果的な軽量化ソリューションを提供するとともに、グローバルでの需要拡大に対応していく。

 三井化学グループは現在、世界8つの地域(日本、アメリカ、メキシコ、欧州、タイ、中国、インド、ブラジル)に製造拠点を、6つの地域(日本、アメリカ、欧州、タイ、中国、インド)に研究拠点を持つ。今年度内にタイとインドでの能増を控え、グローバルの生産量は年産112万t体制になる。 

 新型コロナウイルスの影響により、世界的に自動車生産台数の減少が見込まれている中、同社グループは「環境規制強化による自動車の軽量化ニーズは、今後も引き続き世界中で高まる」と予測。ニーズに合致するPPコンパウンドを使用したバンパーやインパネ材などの需要増加の傾向は将来的にも変わらないと見る。自動車の軽量化に貢献する高品質なPPコンパウンドの製造・販売・研究体制を強化していくため、欧州拠点「Mitsui Prime Advanced Composites Europe」(ACE:出資比率は、三井化学75%、三井物産15%、プライムポリマー10%)の建設を進めてきた。

 三井化学グループは、欧州自動車メーカーからも高い評価を得ている軽量化技術により、今後とも高品質の製品を供給する製造・販売・技術サービス体制を拡充し、さらなるPPコンパウンド事業の強化・拡大を積極的に進めていく考えだ。

産総研 東京湾岸をゼロエミッション版シリコンバレーに

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2020年6月11日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、東京湾岸周辺エリアを世界に先駆けてゼロエミッション技術に係るイノベーションエリアとするため、「東京湾岸ゼロエミッションイノベーション協議会(ゼロエミベイ)」を設立した。会長は東京工業大学特命教授・名誉教授の柏木孝夫氏が就任し、事務局は1月に産総研が設立した「ゼロエミッション国際共同研究センター(CZR)」(センター長は旭化成名誉フェロー吉野彰氏)が担う。

 東京湾岸には、電力・ガス・石油・化学・電機・自動車など多様なエネルギーサプライヤーやユーザーなどの事務所や研究施設、大学が多くある。これらが様々な分野で連携すれば、ゼロエミッション技術に関する世界最大の研究開発・実証に関するPRの場所となり得る。 

 こうした中、政府が今年1月に策定した「革新的環境イノベーション戦略」の下、産学官の協議会を設置し、中長期的な視点でゼロエミッションに関する研究開発・実証プロジェクト(水素利用、二酸化炭素回収・有効利用・貯留、エネルギーマネジメントなど)の企画・推進、広報活動などが提言された。

 それに基づき、ゼロエミベイでは主な活動として、①湾岸周辺エリアの企業、大学、研究機関、行政機関などの活動情報を含むエリアマップ「ゼロエミベイマップ」の作成と海外への発信、②研究開発・実証プロジェクトの企画・推進と成果の普及・活用、③同技術に係る研究開発・実証、ビジネスへの取り組みに関する会員間の情報交換と連携の推進、④目的達成に必要なその他事業、などを行う。

 今後、趣旨に賛同し東京湾岸エリアでゼロエミッション活動を行っている会員を募集し、設立総会を6月16日に開催する。その後「ゼロエミベイマップ」をウェブサイトに掲載するなど本格始動する予定だ。入会案内などの詳細は、専用サイト(https://unit.aist.go.jp/gzr/zero_emission_bay/)まで。

プラ循環協 ハムの機能性包装に関するLCA調査を報告

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2020年6月11日

 プラスチック循環利用協会はこのほど、プラスチック製食品容器包装に関するLCA(ライフサイクルアセスメント)調査研究を報告した。同協会では、プラ製食品容器包装について、使用段階を含めた製品トータル(容器包装とその中身食品)のライフサイクル全体での環境影響評価を実施している。

 今回は、機能性包装が適用されたハムの消費スタイルに基づいて、環境負荷削減効果に係る定量的解析を行った。研究調査内容として、消費者アンケートを実施し、世帯類型別にハムの購入から消費の頻度や量、時期などの定量情報分析を行い、ハムの消費シナリオを、機能性包装(小分けスキンパック)、トレイ包装、経木包装に適用し、現在のライフスタイル維持を前提としたLCAを実施した。

 調査結果として、環境負荷(温室効果ガス=GHG排出量、エネルギー消費量、水消費量)は、機能性包装品の負荷を1とした場合、トレイ包装品は1.5倍、経木包装品は3.3倍であり、機能性包装品の環境負荷削減効果が高いことが明らかとなった。

 一方、日本全体のハム生産量を考慮して、全ての包装を機能性包装に置き換えた場合のGHG削減貢献の可能性量は、2020年に最大258万t、2030年にはハム生産量の増加を見込み272万tと推算された。また、世帯類型別の2030年のGHG削減貢献の可能性量は、一般世帯が98万tと対1970年比で約6倍であるのに対し、単独世帯は46万tと約26倍も大きく伸長する推算結果を得た。

 これらのことから、ハムに適用されたプラスチック製機能性包装は、①消費期限を長くし、小分け包装の効果と合わせ、家庭での食品ロス発生を抑制することや、②加工食品では、機能性容器包装自体はわずかに環境負荷を増大させるが、環境負荷が高い中身食品に対し、保護効果や品質保持効果が高く、廃棄ロスを削減し、環境負荷削減貢献に高く寄与していることが判明した。

 さらに、消費スタイルの変化については、1人暮らし世帯では、1人当たりの環境負荷削減貢献の可能性量が大きく、現代の食に係るライフスタイルを容器包装が下支えしていることが示された。

 今後、日本の単独世帯比率の増加が予測される中、機能性包装は環境負荷削減にますます貢献していくことが期待される。

 

ヘンケル マスク寄付で大阪府知事から感謝状を授与

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2020年6月11日

 ドイツの化学・消費財メーカーヘンケルの日本法人、ヘンケルジャパンはこのほど、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)対策への支援として、大阪府にN95規格の医療用マスクを寄付し、府知事から感謝状を授与されたと発表した。

 今回のN95マスクの寄付は、ヘンケルグループが顧客や社員、地域社会への支援を目的に、包括的な世界連携プログラムの一環として実施したもの。ヘンケルジャパンは、4月7日に最初の緊急事態宣言が発令された7都府県のうち、同社が事業所を置く地域に対して、事業所に備蓄していたN95マスクの寄付申し出を行った。その結果、大阪府からの要請を受け、N95マスク1520枚を寄付した。

 同社は、「一刻も早いCOVID‐19の終息を心より祈念いたします」とコメント。引き続き、コロナ禍の影響を最小限に留められるよう、ステークホルダーへの協力やサポートを検討していく。

JXTGエネルギー EV・HV向け専用フルードの新シリーズを開発

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2020年6月11日

 JXTGエネルギーはこのほど、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の各駆動システムの特性に合わせた専用フルード「ENEOS EV FLUID」を開発したと発表した。EVやHVは今後さらに普及が見込まれている。それらのシステムには高い絶縁性能や冷却性能、ギヤ保護性能などを兼ね備えた専用フルードが求められる。

 同社は、自動車潤滑油をはじめとした幅広い種類のオイル開発に長年にわたり携わっている。これらの開発を通じて蓄積された知見を活用することで、オイルに対する新たな必要性能を高いレベルで満足させる独自の潤滑油技術を確立した。様々な使用環境下でベストなパフォーマンスを発揮することができるよう、それぞれ特長を持った同シリーズを全6種類のラインアップで提供する。

 まず、日本国内と中国を中心に、EVメーカーやHVメーカー、その関連部品メーカー向けに商品提案することを予定。その後、各国・地域の需要やニーズに応じて対象を全世界へ拡げることを目指す。また、将来的には一般消費者向け商品としての展開も検討していく。

 同社グループは長期ビジョンの中で、「グローバルトレンドに適応する商品開発の推進」を潤滑油事業の将来像として掲げている。日々進歩を続けるEVやHVの駆動システムに対応する独自の潤滑油技術を通じて、今後も同社は、革新的な技術と有用な商品・サービスを開発・提供し続けることで、顧客の満足と信頼獲得に努めていく。