ダイセル こんにゃく由来セラミドが機能性表示食品に

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2020年3月19日

 ダイセルはこのほど、肌の乾燥が気になる人向けの機能性表示食品「ピュアセラミド+(プラス)」と「ピュアセラミド Light(ライト)」の2品が、消費者庁に届出・受理された。今年度内に同社通販サイトなどで発売予定となっている。

「ピュアセラミド+(プラス)」
「ピュアセラミド+(プラス)」

 両製品は、いずれも「こんにゃく由来グルコシルセラミド」を機能性関与成分とするカプセル状の食品で、1日あたりの摂取目安量はそれぞれ1.8㎎、0.6㎎。同成分は、肌のバリア機能(保湿力)を高める機能があることが報告されており、濃度依存的に機能が発揮される部位が増えることが分かっている。

「ピュアセラミドLight(ライト)」
「ピュアセラミドLight(ライト)」

 一方、同成分をはじめとする植物由来のセラミドを機能性関与成分とした、肌の乾燥が気になる人向けの機能性表示食品は、すでに複数受理されている。ただ機能性表示食品制度で、1日あたりの摂取目安量が0.6㎎と低用量の植物由来セラミドを機能性関与成分として届出・受理された商品は、現在、「ピュアセラミド Light」のみ。

 低用量の配合でも機能性を訴求できるようになったことで、今後は、サプリメント以外の一般加工食品の分野でも、「こんにゃくセラミド(こんにゃく芋粉抽出物)」を活用した機能性表示食品の開発の広がりが期待できる。

 

住友化学 新規の園芸作物用殺菌剤、日本で販売開始

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2020年3月17日

 住友化学は16日、有効成分インピルフルキサム(インディフリン)を含有する新規殺菌剤「カナメ フロアブル」の販売を同日に、日本で開始すると発表した。

 インピルフルキサムは、同社が、B2020(2020年までに主要市場向けの登録申請を完了するパイプライン)の一剤として独自に発明した新たな有効成分。病原菌のエネルギー生産の過程を阻害する作用を持つコハク酸脱水素酵素阻害剤(SDHI)と呼ばれる殺菌剤に属す。

 優れた殺菌作用や浸達性・浸透移行性を持つことから、これまでの社内外での評価を通じて幅広い病害に高い効果を示しており、大豆や麦類など世界各国の主要作物の重要病害に対する新たな防除手段として期待されている。

 日本以外では、これまでに、アルゼンチン、米国、カナダ、ブラジル、およびEUで登録申請を実施しており、今年以降順次、インピルフルキサムを含有する製品をグローバルに販売することを目指している。

 今回、主に果樹や野菜を対象とする「カナメ フロアブル」の日本での販売は、インピルフルキサムを含有する製品として世界で初めてとなる。りんごや梨の黒星病、ねぎのさび病や白絹病をはじめとする病害の防除剤として、住友化学と関係会社である協友アグリが販売する。

 近年の農業分野は、世界的には人口増加に伴う食料増産や農薬に対する抵抗性、日本では農業従事者の高齢化、作付面積の減少をはじめとする様々な課題に直面している。住友化学は、既存剤に加えて、インピルフルキサムを含めた新たなパイプラインの開発によって製品ラインアップを拡充し、農業生産者のニーズに応じたソリューションの提供を一層推進していく考えだ。

田辺三菱 加・子会社が新型コロナのワクチンの開発に着手

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2020年3月16日

  田辺三菱製薬はこのほど、子会社であるメディカゴ社(カナダ・ケベック市)が、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)に対応したウイルスの植物由来ウイルス様粒子(VLP)の作製に成功したと発表した。

 COVID‐19のVLP作製は、ワクチンを開発するための第一歩であり、メディカゴ社は安全性と有効性に関する非臨床試験を実施している。今回の非臨床試験が順調に進めば、ヒトでの臨床試験を今年8月までに開始するため、当局機関と協議したい意向を示している。

 また、メディカゴ社はSARS‐CoV‐2(COVID‐19の原因ウイルス)に対する抗体に関しても、自らの技術基盤を活用し、同国のラヴァル大学感染症研究センターと協力して研究を行っている。

 なお、この研究は、CIHR(カナダ健康研究所)から一部資金提供を受けている。

 

帝人フロンティア RF含まず環境に配慮したゴム補強繊維向け接着剤を開発

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2020年3月11日

 帝人フロンティアはこのほど、レゾルシン・ホルムアルデヒド(RF)を含まない、環境に配慮したゴム補強繊維向けの接着剤を開発したと発表した。今年から同接着剤を使用するゴム補強繊維の試験生産を開始し、2028年にはライセンス生産を含め、年産20万tを目指す。

 今回開発した接着剤は、RFの代替として高分子化合物を使用することで、ゴム補強繊維の接着加工プロセスで環境負荷を低減できる。また、繊維とゴムとの親和性が良好であることから、従来のレゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックス(RFL)接着剤と同等の接着性能を実現した。

 一般に使用されているRFL接着剤は、化学反応を介してRFが網目状となり、接着剤成分であるラテックスと複合することで良好な接着性能を得る。これに対し、開発品は、RFの代わりに配合した高分子化合物の分子間の相互作用が網目を形成することで、RFL接着剤と同等の接着性能を実現する。

 タイヤをはじめとするゴム製品では、その強度や形態安定性などを保つために使用する補強繊維の生産工程で、長年にわたり接着性に優れるRFL接着剤が使用されている。しかし、近年の環境や安全に対する意識の高まりから、身体に有害とされるRFを含まない接着剤のニーズが急速に高まっており、帝人フロンティアは、RFを使用せずに同等の接着性能を発現する、ゴム補強繊維向けの環境に配慮した接着剤を開発した。

 今後は、タイヤやベルト、ホースをはじめとする幅広い用途に向けて展開を図るとともに、多種多様なゴムに対応できるよう、さらに開発を進めていく考えだ。

 同社は環境活動指針に「THINK ECO」を掲げ、衣料から産業資材まで幅広い用途で地球環境に優しい活動を実践している。開発した接着剤はこの指針に沿ったものであり、開発品の導入を通じ、環境負荷低減に貢献するソリューションを提供していく。

 

NEDOなど 機能性材料の熱伝導率計算ソフトを開発

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2020年2月28日

 NEDOは未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合・東京大学と、多結晶体などの複雑なナノ構造を持つ様々な熱機能材料の熱伝導率を、手軽で高精度に予測・熱伝導現象を再現するソフトウエア「P‐TRANS」を開発した。

 東大が開発したモンテカルロ・レイトレーシング法と、構造作製ツールや可視化ツールなどのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を融合したもので、学術界や産業界などの研究現場での普及を目標に使いやすさを重視した。

 このソフトウエアの活用により、複雑な形状や内部構造を考慮したミクロな領域の熱物性を把握でき、高性能な熱機能材料の研究開発が促進されることが期待できる。

 徹底した省エネのためには、エネルギーの供給過程で有効利用されずに捨てられている未利用熱を、削減・回収、熱として蓄え再利用し、さらにほかのエネルギー形態に変換して利用するための「熱の3R」に向けた熱機能材料やデバイスを開発し、社会実装することが必要だ。

 しかし、研究開発と実用化が進められているこれらの材料やデバイスの性能を抜本的に高めるためには、材料の微視的な熱輸送解析(熱伝導率の予測・熱伝導現象の再現)による、ナノスケールの熱の設計とミクロな領域の熱物性の理解、さらにそれらに基づく材料設計と熱制御が不可欠である。

 「P‐TRANS」を使うことで、ナノ構造化した際の熱伝導率の低減効果を試算できるほか、高熱伝導材料の作製時に生じる多結晶構造の粒界が熱伝導率に及ぼす影響も把握できるため、高性能な熱機能材料開発の加速化が期待される。

 今後、「P‐TRANS」の機能拡張と活用を進め、効率的な材料・デバイスの開発と抜本的な性能向上を図り、熱の3Rによる徹底した省エネルギーの実現を目指す。なお、東大はこのソフトウエアをウェブサイトで公開しており、無償でダウンロードできる。

リケンテクノス 抗ウイルスフィルムを上市

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2020年2月28日

 リケンテクノスはこのほど、抗ウイルスフィルム「RIKEGUARD FILM(リケガードフィルム)」を上市したと発表した。

 同フィルムの「RIVEX(リベックス)」グレードは、抗菌・抗ウイルス性と安全性を認証するSIAAマークを取得した、世界で初めてのウィンドウフィルム。SIAAマークの取得には、抗ウイルス・抗菌処理を施していない従来製品と比較して、菌の増殖割合が100分の1以下でなければならないなど、厳しい規格を満たすことが必要となる。

 同グレードはリケンテクノスのコーティング技術を応用することで、高い透明性を持たせつつ、フィルム表面のウイルス数を大幅に減少でき、ウィンドウフィルムとしても、モバイル端末などのディスプレイ表面の保護用途としても使用できる。

 新型コロナウイルスの感染拡大や、米国でインフルエンザウイルスが猛威をふるう中で、抗ウイルス製品に対する社会的ニーズが高まっている。主要な感染経路に接触感染が挙げられるが、多くはウイルス付着物に手で触れた後、口や鼻などを触ることで感染するとされており、ウイルスに触れるリスクを減らすことが重要となっている。

 一方で、さまざまなものに素手で触れないようにすることには限界がある。中でもスマートフォンは、今や生活必需品となっているが、目に見えない菌やウイルスが多く存在している。

 「スマートフォン表面には、トイレの18倍細菌が存在する」という米国の研究データがあるほどだ。公共施設のタッチパネルなどは不特定多数の人が触るため、感染のリスクはさらに高いと言える。

 「リケガードフィルム」の「リベックス」グレードを貼ることで、付着したウイルスの数を大幅に減少させ、日常生活の中での感染リスクの軽減が可能になる。耐傷つき性にも優れるため、病院や学校の窓、タッチパネル、案内板、電車の窓など、さまざまなシーンに展開できる。

 さらに、表面の硬度を上げた「リケガードフィルム」の「REPTY(リプティ)」についても、SIAAマークの取得を準備している。

ソルベイ PEEKパウダーが医療器具のコーティングに採用

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2020年2月26日

 ソルベイはこのほど、「キータスパイア・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)」パウダーが、サージカル・コーティングス社の電気外科手術用金属チューブのコーティング用途に採用されたと発表した。

 「キータスパイアPPEK」パウダーが選ばれたのは、耐薬品性と耐疲労性に加え、高温でも傑出した機械特性と寸法安定性が維持されるため。生体適合性材料である「キータスパイア」は、加工が容易で、繰り返しの洗浄・滅菌にも耐える。

 サージカル・コーティングス社はファインパウダー(FP)PEEKグレードである「キータスパイアKT‐820FP」と「キータスパイアKT‐880FP」を使用することで、高度な電気外科手術向けの静電塗装の適合性を高めている。

 「キータスパイアKT‐820FP」は低流動性グレードで、きれいに表面を仕上げることができる。一方、「キータスパイアKT‐880FP」は高流動性グレードで、複雑な表面形状の塗装に向いている。

 「キータスパイアPEEK」パウダーは品質と安定性に優れているため、サージカル・コーティングス社はコーティングの厚さ1000分の1インチ単位まで薄くすることが可能になった。

 電気外科手術用途のコーティングには、モノポーラー周波や高電圧、洗浄と滅菌の繰り返しに耐えることが求められるようになっている。電気外科手術では、外科用メスなどの手術器具を使わずに、電気周波による清浄な切開を行うが、電気絶縁性がある「キータスパイアPEEK」材料は、執刀医と患者を感電から守ることに貢献している。

 また、コーティングの厚さを均一にすることができるため、安定した特性を確保し、リスクを軽減。市販の各種PEEKパウダーと比べ、ソルベイの材料は水分含量が少ないことから、サイクルタイムの短縮とスループットの向上が可能で、乾燥時のエネルギー消費も低減する。その他のメリットとしては、ガス放出・寸法公差・表面欠陥の低減などが挙げられる。

共同印刷 「針刺し検知フィルム」開発、使用履歴確認に最適

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2020年2月26日

 共同印刷はこのほど、針を刺した跡などが白化して見えやすく、包装の完全性や使用状態が分かりやすい、「針刺し検知フィルム」を開発したと発表した。

 同社は医薬品や電子部品、精密機器などの業界へ、湿気・アウトガス吸収材料「モイストキャッチ」をはじめとする、独自技術で生み出した高機能フィルムを多数提供している。

 今回開発した針刺し検知フィルムは、高機能フィルムの販促過程で寄せられた「製品改ざんのリスクを減らしたい」などの声に対し、培った独自のフィルム加工技術で応えたもの。

 針を刺すなどの応力がフィルムに加わると、その部分が白化し、目視可能な跡となって半永久的に残るが、「外からの力を受けた部分のみに変化が生じる」という物理変化のため、内容物に悪影響を与えることなく、安心・安全に、改ざん防止・完全性の証明、使用履歴の確認などが行え、製品保管環境の影響を受けることもない。

 また同フィルムは、ヒートシールやレトルト滅菌が可能で、一般的な汎用フィルムや同社の各種高機能フィルムとの積層も可能。ホールキャップバイアル瓶のタンパーシールといった容器蓋材、医療器具や医薬品の包装袋といった各種用途に活用できる。

 同社は今後、同フィルムを医薬品や化粧品業界などへの展開に取り組むとともに、高機能フィルムのラインアップ拡充と販売拡大に引き続き注力し、生活・産業資材系事業の発展に努めていく。

 なお、「針刺し検知フィルム」は、インテックス大阪で開催中の「第6回インターフェックスWeek 大阪・[医薬品・化粧品 研究・製造展]」(26~28日)へ参考出品している。

三井化学 次世代メガネ、女性向け新フレーム第1弾を発売

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2020年2月25日

モダンなレトロ調パターンのフレーム
モダンなレトロ調パターンのフレーム

 三井化学はこのほど、次世代電子メガネ「タッチフォーカス」の、2020年春・新フレームコレクションの販売を開始した。

 第1弾として発売したフレームコレクションは、「テクノロジーを身につける洗練」をコンセプトに、年齢を気にせず前向きに生きる女性たちの感性にフィットする、上質で洗練された新しいハイエンドモデルをラインアップ。

 「大胆に」「鮮やかに」、そして「素のままに」という3つのキーワードを具現化した「レトロモダン調」「パステルカラー」「ヌードカラー」など、全10モデルを展開する。

 「タッチフォーカス」は、フレームのタッチセンサーに触れるとメガネレンズ内の液晶が駆動し、瞬時に遠近の視界の切り替えができる次世代メガネ。フレームデザインは、世界的デザインファームであるIDEO社と協業し、人間工学思想に基づいた機能美と様式美を満たすフォルムに仕上げている。

 今回のコレクションでは、「テクノロジーを纏う」という新しいスタイルに対するメッセージと、そのメッセージを体現するキャラクターとして、モデルの田中久美子さんを起用したキャンペーンを開始。全国60カ所の同製品取り扱い店や広告などでの販売促進と訴求を行っていく。

NEDOなど 小型中性子解析装置開発、非破壊で分析

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2020年2月25日

 NEDOは新構造材料技術研究組合(ISMA)の組合員の産業技術総合研究所と、輸送機器の構造材料・部品などの非破壊分析向けに小型中性子解析装置を開発した。

 同装置は解析用の放射線として透過力の高い中性子線を使うことで、従来のX線では透過できなかった、センチメートル厚の金属部品などの内部の結晶情報を、非破壊で分析することを可能にした。

 自動車などに代表される輸送機器の軽量化は、省エネ化の促進やCO2排出量の削減に直結する、重要な技術開発の1つと位置づけられている。最近は様々な軽量部材で輸送機器を構成(マルチマテリアル化)することで、総合的な軽量化が図られている。

 その場合、材料の物性がそれぞれ異なるため、組み合わせ部材の健全性が重要になるが、その評価には非破壊検査を通じて、結晶のひずみなどの変化を分析できることが必要だ。

 そこで、NEDOはX線よりも透過力が高い中性子線に着目。これを用いたマルチマテリアル部材などの解析手法の確立に取り組み、世界で初めてブラッグエッジイメージング法に特化した小型装置を協力機関と短期間で開発し、最初の中性子の発生と結晶情報を含む透過スペクトルの計測に成功した。

 ブラッグエッジイメージング法とは二次元検出器を利用して、画素ごとに試料を透過した中性子強度の波長分布(ブラッグエッジスペクトル)を測定し、結晶情報の抽出と画像化を行う測定法のこと。これにより、金属などで構成する部品や材料内部の広い面積(現状10㎝角)の結晶相・ひずみなどの結晶構造情報を、二次元画像として非破壊で観測できるようになった。

 小型のため使用時は専有となり、自由な条件設定が可能なほか、小規模体制での運営により、産業ユーザーからの装置利用時間などに関する要望にも柔軟に対応できる。また、自動車部品を想定して、様々な試料サイズに適応できる試料室も設けた。これらにより、健全性の高い構造材料・部品の開発と輸送機器の軽量化の促進につなげることができる。

 今後は中性子線の安定化や検出器の高感度化など、装置の性能向上を進め、2020年度の本格稼働を目指す。