住友化学 環境コミュニケーション大賞、優良賞を受賞

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2021年3月17日

 住友化学が発行する「住友化学レポート2020」および「サステナビリティ データブック2020」がこのほど、環境省と地球・人間環境フォーラムが共催する「第24回環境コミュニケーション大賞」の環境報告部門で、昨年に引き続き優良賞を受賞した。

環境コミュニケーション大賞 優良賞
環境コミュニケーション大賞 優良賞

 同大賞は、優れた環境報告や環境活動レポートを表彰することにより、事業者などの環境コミュニケーションへの取り組みを促進するとともに、環境情報開示の質の向上を図ることを目的とする表彰制度。今回、環境報告部門では147点の応募作について審査が行われ、26点の優良賞が選出された。

 同レポートは、ステークホルダーに同社の価値創造ストーリーをわかりやすく伝えることを目指し、財務情報と非財務情報を総合的にまとめている。また、同データブックは、同レポートを補完する報告ツールとして、環境・社会・ガバナンスの側面から同社のサステナビリティ情報を紹介。

 今回の受賞は、レポートとデータブックの中で、新たにマテリアリティを特定しKPI(重要業績評価指数)を設定した点や、気候変動対応に関して2050年度に向けた長期目標を掲げ、SBT(科学的根拠に基づく目標)達成に向けた諸施策やTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のシナリオ分析の結果などを開示している点、プラスチック資源循環への対応に関しても豊富な取り組み事例を開示している点が評価された。

帝人 炭素繊維中間材の新ブランド、スポーツ用途に展開

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2021年3月17日

 帝人はこのほど、炭素繊維中間材料をスポーツ用途に向けて展開する新たなブランド「TENAX PW」(テナックス パワーシリーズ)と「TENAX BM」(テナックス ビームシリーズ)を立ち上げたと発表した。

 近年、スポーツ分野において、高いパフォーマンスを発揮するために関連用品に最先端素材を採用するケースが増加。中でも軽量で剛性に優れる炭素繊維は、各種スポーツ用品に向けた開発が進み幅広く使用されている。帝人も、70年代からスポーツ用途に向けて積極的に展開し、釣り具やゴルフシャフト、テニスラケットなどに炭素繊維および炭素繊維中間材料が広く採用されてきた。

 同社が製造・販売する炭素繊維「テナックス」は、ラテン語で「強靭」という意味をもち、鉄の10倍の高強度と鉄の4分の1の軽量性を両立。その航空・宇宙用途に用いられる「テナックス」使用の中間材料を、スポーツ用途に向け2つの新たなブランドとして展開する。

スポーツ向けブランド「Tenax PW」
スポーツ向けブランド「Tenax PW」

 「TENAX PW」は、パワーやスピードを求めるユーザーに向けたブランドで、航空機に求められる靭性向上技術を用いた炭素繊維中間材料。高強度・高弾性率の樹脂を使用しているのが特徴で、衝撃を吸収することにより損傷面積を抑えることができ、標準品に比べて圧縮強度が高い。スポーツ用品の強度やスピードの向上によりユーザーに貢献できる。

スポーツ向けブランド「Tenax BW」
スポーツ向けブランド「Tenax BW」

 一方、「TENAX BM」は、コントロール性を求めるユーザーに向けたブランドで、人工衛星に搭載される製品の技術を活用した炭素繊維中間材料。剛性、直進性、操作性、安定性、振動吸収性、振動減衰性に優れているのが特徴で、標準品と比較して振動を約4分の1に抑えることができる。衝撃が加わった際のスポーツ用品の変形を極小化するとともに、ブレの抑制も可能にする。

 帝人は今後、両ブランドの展開を進めるとともに、炭素繊維製品の開発をさらに強化し、革新的な高性能材料とソリューションを提供することで、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」となることを目指していく。

 

アジア石化市況 米国の寒波影響が波及し一段高

2021年3月16日

 芳香族3製品は大幅上昇、スチレンモノマー急伸

 アジア地域の2月第3週の石化市況では、エチレンは前週比55ドル高の880ドル/tでの取引となった。2月に入り需給の緩みから軟化傾向となっていたが、中国の春節休暇が明けてくる中、米国に襲来した寒波による生産トラブルの影響が波及したことで、3週ぶりの大幅上昇となっている。ナフサとのスプレッドも、

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フタル酸系可塑剤 1月の国内出荷は2カ月連続プラス

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2021年3月15日

 可塑剤工業会がこのほど発表した需給実績によると、1月のフタル酸系可塑剤の国内出荷は、前年同月比9.4%増の1万7000tとなり、2カ月連続のプラスとなった。品目別では、

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旭化成など、生物多様性保全活動が、日本自然保護大賞に

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2021年3月15日

 旭化成など8社はこのほど、各社で構成する「生物多様性びわ湖ネットワーク(BBN)」が、日本自然保護協会が主催する「日本自然保護大賞2021」の教育普及部門で大賞を受賞したと発表した。なお8社は、旭化成、旭化成住工、オムロン、積水化学工業、積水樹脂、ダイハツ工業、ダイフク、ヤンマーホルディングス。

BBNが「⽇本⾃然保護⼤賞を受賞
BBNが「⽇本⾃然保護⼤賞を受賞

 同大賞は、自然保護と生物多様性保全に大きく貢献した、すべての個人と団体、企業、自治体などを表彰。13日にオンラインで開催された授賞記念シンポジウムでは、大賞および特別賞の合計6件について活動成果の発表が行われた。

 今回、教育普及部門の大賞となったBBNは、滋賀県に拠点をもつ異業種の企業8社が、県内の生物多様性を保全することを目的に、2016年に発足した任意団体。BBNでは、今回の受賞につながった「トンボ100大作戦~滋賀のトンボを救え!~」と題したプロジェクトを発足当時から開始し、県内で確認されている100種のトンボを指標とした生物多様性保全活動を展開している。

 プロジェクトでは、「滋賀県のトンボ100種を探そう!」「滋賀県のトンボを守ろう!」「みんなに知らせよう!」の3つの作戦を掲げ、各企業のもつ緑地や湿地、池の管理や定期的なモニタリング、周辺地域の自然の現状把握、ビオトープの整備や外来生物の駆除、自然観察会や活動の展示・発表などに取り組んできた。昨年からは、SNSによるトンボの特徴や生息環境を公開するなど、積極的な発信に取り組み、企業・団体の参画拡大や生物多様性の保全意識の向上を目指している。

 今回の受賞では、8社の企業が連携し、「トンボ」という一般にも分かりやすいテーマを設定することで、活動の広がりをもち、地域の生物多様性の向上と普及啓発活動を合わせて実現していることが評価された。BBNは、今後地域への社会貢献活動を通じて、生物多様性の保全と持続可能な社会の実現を目指していく。

バイオマスレジンなど、コメ由来プラを海外展開

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2021年3月15日

ベトナムで製造事業、福島で原料の資源米を生産

バイオマスレジン 神谷CEO

 バイオマスレジンホールディングス、コバオリ、三井物産プラスチックの3社は12日、コメ由来のバイオマスプラスチック「ライスレジン」に関する業務提携や、初となる海外展開などについて共同記者会見を開催した。

 バイオマスレジンHDは同日、製造ではコバオリとの間で東南アジア進出業務に関する資本業務提携と技術供与契約、販売では三井物産プラスチックとの間で国内外での展開に関する業務提携契約を締結。バイオマスレジンHDの神谷雄仁代表取締役CEOは、「両社との提携は、販売強化と製造拠点の拡大に加え、お米の文化で親和性のある東南アジアでの最初の進出として、今後の発展に寄与できる体制が構築できた」と語った。

 三井物産プラスチックスには、国内各地の工場で生産する「ライスレジン」を一定量供給。「国内外での販売活動に注力していただくとともに、 “バイオマスレジンなど、コメ由来プラを海外展開” の続きを読む

ブラジル5月の主要化学品輸出入実績  

2021年3月12日

 ブラジルの5月の主要化学品の輸出は、低密度ポリエチレン(LDPE)が3万9763t(前年同月比1.5%増)、ポリプロピレン(PP)が3万3896t(同7.5%増)、次いでベンゼン3万307t(同148.4%増)となった。

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三菱ケミカル バイオエンプラがBSMレーダーカバーに採用

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2021年3月12日

 三菱ケミカルは11日、バイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO」が、いすゞトラック3車種の交差点警報およびブラインドスポットモニター(BSM)用レーダーカバーに採用されたと発表した。採用された車種は、小型トラック「エルフ」、中型トラック「フォワード」、大型トラック「ギガ」で、「DURABIO」がトラック部品に採用されたのは初となる。

 

 三菱ケミカルでは現在、CASE化により増加が見込まれる車内外のレーダーやセンサーに対応する素材として「DURABIO」の用途展開を加速。「DURABIO」は、再生可能な植物由来原料イソソルバイドを用いたバイオエンプラで、耐衝撃性、・耐候性・耐熱性などの点で一般的なエンプラよりも優れた物性をもつ。また、顔料を配合するだけで艶やかで光沢のある表面を実現。さらに、表面が硬くて擦り傷が付きにくい特長があるため、塗装・コーティング工程が不要となり、塗料工程から発生するVOC(揮発性有機化合物)を低減することができる。これらの特性を生かし、自動車の内外装意匠部品への採用が拡大している。

 いすゞは、交通事故を低減するために常に先進的な安全装置を搭載したトラックを開発しており、車両や歩行者などを検知するレーダーのカバーに電気特性にも優れた「DURABIO」が採用された。塗装レスの「DURABIO」をカバーに採用することで塗料による電波遮へいの懸念がなく、検知エリアや感度の質を維持できる。また、外装材に求められる耐衝撃性や耐候性といった物性に加え、環境配慮型の素材である点が、地球環境と社会の持続可能な発展に貢献するといういすゞのCSRの考え方に合致したことも評価された。

 三菱ケミカルは今後も、「DURABIO」の用途展開を通じて、環境にやさしいクルマづくりに貢献していく。

ダイセルとダイキン 新商品創出に向け協創を加速

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2021年3月12日

コロナ禍で空気質ニーズ拡大、2つの商品を開発

 ダイセルとダイキン工業は、生産現場のプロセス・イノベーションを図る「ダイセル式生産革新手法」をダイキンの化学プラントに導入して以来、長年にわたる技術交流を継続し信頼関係を構築している。

透湿膜全熱交換エレメント
透湿膜全熱交換エレメント

 2016年からはダイセルがもつ先進の「材料技術」とダイキンがもつ「空調要素技術」の双方の強みを生かすことで、顧客にとって価値のある商品を創出する協創に取り組んできた。こうした中、コロナ禍による空気質ニーズの高まりを受け、換気機器向けの「透湿膜全熱交換エレメント」および大型空調機向けの「低圧力損失エアフィルタろ材」の開発に至った。

 オンライン会見において、ダイセルの高部昭久取締役常務執行役員は、「今回の協創は、カスタマーイン、マーケットインによる新事業開発の先行事例だ。両社がワン・チームで取り組んだことで、短期間で開発でき、投下する資源も最小化できた。今後も、協創の取り組みをさらに加速していく」と強調した。

 ダイキンの米田裕二執行役員は「開発した2製品は画期的な技術シーズだ。今後のダイキンの空調を支えていくキーパーツであり、これらを搭載した商品を世界展開していく」との考えを示した。

透湿膜シート
透湿膜シート

 続いて両社の担当者が開発した技術について説明。全熱交換器ユニット向け「透湿膜全熱交換エレメント」は、共同開発した「透湿膜シート」を採用。同シートは従来の紙製シートの約3分の1の薄さで、熱と水分の移動抵抗を低減。多孔質基材と透湿膜の二層構造により、水蒸気を選択的に透過させるとともに、菌やウイルス、CO2などの遮断性を向上した。さらに、耐水性と透湿性を両立したことで、水洗い洗浄も可能となっている。

 「透湿膜シート」とダイキンの独自技術「対向流型フレーム構造」の組み合わせ効果により、エレメント内部の空気漏れを大幅に低減。中国のGB規格の最高グレードである給気正味外気率99%以上をクリアした。ダイキンは、今年から中国で「透湿膜全熱交換エレメント」の販売を開始。さらに今後、各地域のニーズに合わせた商品開発、生産性向上、コストダウンなどを両社で進め、2023年には規制強化が見込まれる欧州市場への展開を目指す考えだ。

エアフィルタVバンク型
エアフィルタVバンク型

 一方、大型空調向け「低圧力損失エアフィルタろ材」は、ダイセルの繊維技術を活用したナノファイバ複合素材をベースに共同開発。同ろ材は、繊維径が異なる複数の繊維を複合し、従来よりも集塵効率が向上。また低い圧力損失で空調機を運転できることから、ファンの消費電力を低減し省エネ性が高い。加えて、目詰まりがしにくく従来品よりも長寿命化を実現している。

 ダイセルは今後、フィルタろ材の高機能化をさらに進め、2030年に売上高40億円を目指す。ダイキンは、差別化ろ材を搭載したフィルタの新商品について、2023年度から欧米を中心に展開していくとした。

 ダイキンはテクノロジー・イノベーションセンターを中心に、外部の技術や知見を取り入れた「協創イノベーション」に注力。またダイセルも、新中期戦略で「社会ニーズを的確に捉えた事業創造を行う会社になる」ことを掲げ、顧客の課題をもとにした協創の取り組みを推進している。今回の成果をもとに両社は、世界初・世界№1の商品創出に向けた協創をさらに強化していく考えだ。

 

北海道三井化学 植物細胞の単回使用培養バッグを開発

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2021年3月11日

 北海道三井化学と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、植物細胞向けの培養装置として撹拌翼を使わずに800ℓスケールでの培養を可能にしたシングルユース(単回使用)バッグを開発したと発表した。

開発した植物細胞培養に適したシングルユースバッグ
開発した植物細胞培養に適したシングルユースバッグ

 撹拌コントロールを含む制御ユニットが不要なことから、バイオ生産プロセスのコストの大幅低減が可能になる。また、使い捨て培養バッグのため、洗浄・滅菌工程が不要で製造期間を短縮するほか、外界からの微生物混入などのリスクを低減できるなど多くのメリットがある。今後は開発したシングルユースバッグを活用し、多様な植物由来機能性物質を高効率に生産することで「スマートセルインダストリー」の実現に貢献していく考えだ。

 北海道三井化学は京都大学と共同で、NEDOが行う「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発(スマートセルプロジェクト)」事業に採択され、2016年度より、「イチイ細胞培養技術を用いたタキサン系医薬中間体10‐デアセチルバッカチンⅢ(10-DAB)の効率生産法開発」を進めている。

 10-DABは、イチイ属植物に含まれるタキサン系抗ガン剤パクリタキセルの生合成中間体化合物で、他のタキサン系抗ガン剤ドセタキセル、カバジタキセルは10-DABから半合成され製造されている。タキサン系抗がん剤は細胞分裂に重要な役割を果たす微小管に結合・安定化することで脱重合を阻害し、細胞分裂を妨げ抗がん作用を示すことが知られている。このため子宮頸がんや卵巣がん、胃がん、非小細胞肺がんなど、多くのがん種に対して高い有効性が確認されており、がん治療に広く使用されている。

 一方、タキサン系抗がん剤は複雑な構造をもつことから、化学合成による供給は実質不可能と考えられており、海外ではイチイの樹木を10年にわたり栽培し抗がん成分を取り出す手法が主流となっている。しかし、長期間の栽培は自然災害や病虫害の発生リスクが高く、抗がん成分を安定供給する上で大きな課題となっている。

 北海道三井化学は、今回開発したシングルユースバッグの実用化を図るとともに、引き続き10-DABの高効率生産技術の開発を推進していく考えだ。