世界情勢が不安定化、レジリエンスの向上が課題
わが国化学産業は、世界経済が立ち直ってきたこともあり、2021年度の業績は大幅な改善が見込まれている。特に汎用石化製品は、海外市況の高騰と需要回復が好循環となり、収益のけん引役となった。また成長分野に定めるエレクトロニクスやヘルスケアも、
2022年3月29日
2022年3月29日
競争力強化は原燃料転換とCRが鍵、国際社会けん引に期待
━2022年の世界経済の動向と、化学産業の業況見通しについて。
昨年は、先進国を中心にワクチン接種が進み、経済活動の回復の兆しが見えた一方で、東南アジアでロックダウンによるサプライチェーンの混乱が生じるなど、コロナの影響が残る1年だった。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に加えて世界各地での災害に伴う影響など、日本の製造業のサプライチェーンの強靭化が益々重要視された1年でもあった。足元では、原油価格の高騰をはじめとした製造業へのコストインパクト増大、そして年明けからのウクライナ情勢は、現在このインタビューを受けている時点でも予断を許さず、世界全体の経済、産業界に対する混迷の度合いは深まっていると言わざるを得ない。
こうした中にあっても、化学業界では各社事業構造の転換や
2022年3月29日
2022年3月29日
2022年3月29日
2022年3月29日
2022年1月5日
ビヨンド・ゼロへ、50年に向けプロセス・原料転換を模索
━2021年の振り返りと2022年の事業環境の見通しについて。
2021年を振り返ると前年 と同様に、新型コロナウイルス感染症に翻弄された1年間だった。操業面では幸いなことに大きな事故はなく、感染拡大防止に努めながらも安定操業に努めた従業員の皆さんには大変感謝をしている。景気面では、年初からある程度モノの動きは活発化し始めた。2021年のエチレン生産量は630万t程度と予想しているが、2020年が600万t弱だったことから考えても、前年と比較すれば、化学品全般が回復傾向にあったのではないかと見ている。
2022年については、現時点ではオミクロン株の不透明感もあり、予断を許さない状況だとは感じている。日本の感染者数は比較的低位だが、海外に目を転じると感染者がかなり増えている国もあるため、世界全体が沈静化したとは思えない。ただ日本で言えば、2回目のワクチン接種率は80%に迫り、年明けには3回目のブースター接種も本格化してくるため、2022年の景気が2021年よりさらに悪くなるという要素はほとんどないのではないか。
━ホールディングスの新経営方針では、石化事業と炭素事業の切り離しを打ち出されました。
ナフサをクラッキングして基礎素材を作る石油化学が
2022年1月5日
次の100年も持続的な成長・拡大、今年は変革への分岐点
━2021年を総括すると。
2021年は、ウイズコロナへ移行する局面の年であった。コロナ対処法やワクチン接種が進み、危機的状況から脱しつつある。また、人々の価値観が変化し、カーボンニュートラル(CN)な社会の実現に向けた方向性が明確になった年でもあった。数十年後に振り返ってみても、大きな分岐点に位置づけられるであろう。当社も未来を見据え、変革していかなければならない。
今年度の業績については、2018年度の最高益(営業利益2096億円)を更新する見込みだ。コロナ禍の影響で打たれた事業もあったが、多くの事業がしっかり収益をあげていることと、収益の事業構成を変化させてきたことが背景にある。2018年度の最高益に貢献した石化事業は、今年度も市況が高騰し好環境となった。しかし当社は、
2022年1月5日
新事業ポートフォリオで成長加速、グリーン化は全社の基盤
━2021年の振り返りと2022年の業況見通しについて。
2021年は、前年のコロナ禍からの景気持ち直しの動きを受け、回復基調が続いた。自動車については、半導体不足や感染拡大でアジアのサプライチェーンが分断されるなどの問題があり、非常に低調ではあったが、ここにきて需要が戻ってきている。その意味では我々がターゲットとしている成長3領域(モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージング)についてはおおむね順調だった。
一方、基盤素材は、上期に北米の寒波影響などを受け一部製品の需給がひっ迫したため、海外市況の高騰により収益が大きく改善した。下期に入ってからはマーケットが通常状態に戻ってきている。2022年については、
2022年1月5日
完全統合に向け新体制、価値観共有による人材育成を図る
━2023年の完全統合(法人格統合)を前に両社の社長に就任されました。
昭和電工と昭和電工マテリアルズ(SDMC)の統合作業は順調に進捗しており、1月からは経営判断の一本化、CXO(最高責任者)をチームとする経営組織体制への移行が滞りなく進捗した。これに伴い、社長も一本化したほうが良いと森川現会長、丸山現会長が判断され、私が社長に推薦されたと推察している。
統合新会社の社長に求められる役割は経営の質の向上だ。ただ経営は1人で行うものではなく、経営チームとしての体制づくりが重要になる。新たな12人の執行役員は、昭和電工から7人、SDMCから5人の構成だが、昭和電工の7人のうち、私を含め5人が2015年以降の入社だ。現在はこれだけの規模の2社が1つになる、いわば有事だという認識のもと、内部昇格者と外部採用者の非常にバランスが取れたキャビネットができた。それぞれの分野の専門家が集まり、チームで経営する体制が整ったといえる。
━入社以降の変革の成果について。
私が昭和電工に入社してから一貫して取り組んできたことは3つある。1つ目は “【新年特集】昭和電工代表取締役社長 髙橋秀仁氏” の続きを読む