三井化学は5日、オレフィン系熱可塑性エラストマーである「ミラストマ―」全銘柄を4月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は、国内が「10円/kg以上」、海外が「100USドル/t以上」となっている。
同製品の原材料価格の高騰を受け、上昇分を自助努力で吸収するためにあらゆるコストダウンに注力しているが、すでに吸収できる水準を超えている状況にある。「ミラストマ―」を継続的に安定供給するため、今回の価格改定を決定した。
2021年2月8日
2021年2月8日
ベンゼンが上昇基調を継続、早期に収益改善図る
東洋スチレンは4日、ポリスチレン(PS)について、3月1日から「22円/Kg以上」の値上げを発表した。PSの値上げは四半期ごとの実施が通例となっており、次回は4月が改定時期にあたるが、ベンゼンやナフサといった原料価格が大幅に上昇しているため、同社は1カ月の前倒しで値上げを実施し、早期に収益改善を図る考えだ。
原料価格の指標であるベンゼンACP(アジア契約価格)は昨年、コロナ感染の拡大や原油価格が暴落した影響で、4、5月には300ドル台にまで急落。しかし、その後は回復基調となり、11月までは400ドル台前半で安定的に推移していた。しかし年後半には、OPECプラスの減産幅の縮小や、世界経済の回復への期待が高まったこともあり原油価格が上昇。それに加え、スチレンモノマー(SM)といったベンゼン誘導品の需要が回復基調を強めたこともあり、12月のベンゼンACPは575ドルと11月から115ドルも急騰した。さらに1月は635ドルと60ドル上昇し、2月も25ドル高の660ドルと上値を追う展開が継続している。
また、もう1つの指標である国産ナフサ価格も、原油高を背景に1-3月期は3万7000~3万8000円/klが見込まれ、10-12月期の3万1300円から5000円以上も上昇する見通しとなっている。通常であれば、これらの要因を踏まえて4月からの値上げとなるが、1、2月のACPは平均値でも、10-12月から160ドルも上昇し、スポットナフサ価格も510ドルを超える水準で推移するなど、PS各社の収益悪化が避けられない状況。安定供給と事業継続を図るためには、早期に価格を是正する必要があり、同社は、異例となる3月からの値上げ実施に踏み切った。
過去を振り返ると、2017年1-3月期も今回と同様の状況となった。トラブル要因やSM需要の増加によりベンゼン価格が急騰。2月のACPは1000ドルを突破するなど、1、2月の平均値は、10-12月から250ドル以上も上昇した。収益悪化を避けるため、PS各社は2月上旬に、同月下旬からの「33円/kg以上」などの値上げを発表。当時は、PSの需給バランスがタイトであったこともあり、早期にユーザーとの交渉は決着し、価格改定を実施することができた。ただ、2017年のケースでは、4月以降にベンゼンACPが800ドル割れに急落するなど揺り戻しがあったため、一過性の乱高下で落ち着く結果となっている。
それに対し今回は、世界的なコロナ感染拡大を背景に、石油製品の需要悪化で製油所が稼働調整をしていることに加え、OPECプラスの協調減産により原油価格が強含んでいることが、原料価格の上昇につながっている。足元では、SMなど誘導品需要が弱含み、ベンゼンACPにも頭打ち感がでているものの、今のところ大きく崩れる気配はない。PS各社にとって収益環境が厳しい状況にあることに変わりはなく、今後、PSジャパンとDICの動向が注目される。
2021年2月5日
2021年2月5日
2021年2月3日
デンカはこのほど、「ABS樹脂」「デンカIP」「透明樹脂」「クリアレン」について今月15日出荷分から値上げすると発表した。対象商品はデンカAS、デンカABS、デンカ耐薬ABS(SRシリーズ)、デンカABSコンパウンド(ガラス繊維強化、摺動、PCアロイなど)、デンカ耐熱ABS「マレッカ」、「デンカIP」、デンカ透明ABS(TE、CL)、デンカ透明樹脂(TP、TH、TX各シリーズ)、「クリアレン」で、改定幅はいずれも「25円/kg」となっている。
国産ナフサ価格および各種原材料価格が上昇しており、ユーティリティコストと物流費についてもコストアップとなっている。こうした中、同社は継続してコスト削減に取り組んでいるが、製品の安定供給と事業の維持継続のため、価格改定をせざるを得ないと判断した。
2021年2月3日
2021年2月3日
クラレは2日、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂「クラレポバール」「エルバノール」、PVA系樹脂「エクセバール」「モビフレックス」の4製品について、今月4日出荷分から値上げすると発表した。地域別の改定幅は、国内向けが「25円/kg以上」、アジアパシフィック、北米、南米、中東、アフリカ向けは「0.25USドル/kg以上」、欧州向けは「0.2ユーロ/kg以上」となっている。
現在、PVA樹脂の需給バランスはタイトな状況が継続しており、また、対象製品の各種コストの上昇は自助努力によるコスト吸収の範囲を超えるものとなっている。このような状況下、同社の事業収益は一段と悪化が進んでいるが、採算改善を行い、安定供給を維持するために、今回の価格改定を実施する。
2021年2月2日
2021年2月2日
2021年2月2日
ナフサ急騰に加えコストも上昇、採算是正を図る
ポリオレフィンであるポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)メーカー各社の原燃料高やコスト上昇に対応した値上げが出揃い、実施に向けユーザーとの交渉が本格化している。改定幅を見ると、PEでは、日本ポリエチレン、旭化成、東ソー、宇部丸善ポリエチレンが「15円/kg以上」、住友化学とプライムポリマーが「10円/kg以上」となり、PPでは、日本ポリプロ、プライムポリマー、住友化学が「10円/kg以上」、サンアロマーが「15円/kg以上」で打ち出した。
原料となるナフサ価格は、ここにきて急速に上げ足を強めている。昨年は、原油急落や新型コロナウイルス感染拡大による需要悪化を背景に、2Q(4-6月期)の国産ナフサは2万5000円と1Q(1-3月期)から約2万円暴落。その後、OPECの協調減産の再開や、中国がいち早く景気を回復させたこともあり、3Q(7-9月期)は3万200円と大きく反発し、4Q(10-12月期)も3万1300円と上昇基調を継続した。
しかし、市場で取引されるスポットナフサ価格は、12月に入り急騰。OPECの協調減産の延長が決定したことに加え、コロナワクチンの各国承認が進んだこともあり、12月頭の408ドルから月末には487ドルと1カ月で約80ドルも上昇した。さらに年明けにはサウジアラビアが単独で追加減産を発表したことから、一気に500ドルを突破。世界各地でコロナ感染の再拡大によるロックダウンの動きが出るなど、やや頭打ちになっているものの、足元では510ドル台で推移している状況だ。スポットナフサを月の平均価格で見ても、11月の384ドルから12月は449ドル、1月は513ドルと、約65ドルずつ下値を切り上げている。
こうした中、現在の為替水準で試算した国産価格は4万円/klレベルで推移しており、1Q(1-3月期)の国産ナフサ価格は3万7000~3万8000円程度になるとの見方が強い。これに加え、設備老朽化によるメンテナンス費の増加、ユーティリティや物流費などのコスト高も収益を圧迫しており、ポリオレフィン事業は採算性が厳しさを増している。メーカーサイドは、安定供給を図るため、原料価格の上昇をタイムリーに製品価格に転嫁することが最大の課題。そのため、関係ユーザーとの早期決着を目指しており、値上げ実施に向け価格交渉は一段と本格化する見通しだ。