三菱ケミカルなど 環境負荷評価を含めたSC構築の実証実施

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2021年8月26日

 三菱ケミカルは25日、大日本印刷およびリファインバースグループと連携し、蘭サーキュライズ社の情報管理システムを活用して、バイオマスやリサイクル原料のトレーサビリティ、LCAなどの環境負荷の評価指標への対応を含めた、透明性・信頼性の高いサプライチェーン(SC)構築に向け共同で実証試験を行うと発表した。なお、同実証は9月末までにかけて行う予定。

 この背景には、SC全体での製品の環境負荷を示すことで、〝消費者が価格は高くても環境負荷の低いものを選ぶ〟消費行動を形成する狙いがある。LCAといった環境負荷の評価指標をもとに消費行動が決まる世の中になることが、カーボンニュートラル実現への要だと、同社は考えている。

 石油由来プラスチックの代替となるバイオマスやリサイクル原料などの持続可能な資源を活用していくためには、原材料の使用量などの管理、認証材料などのエビデンス管理が重要となる。また、各サプライヤーのGHG排出量や、最終消費者への製品の環境配慮度などの可視化も求められている。

 これに対し、サーキュライズ社は、パブリックブロックチェーンを利用し、原料から最終製品まで追跡するサプライチェーン・トレーサビリティシステムを開発。この機密性の高い独自の暗号化技術により、SC内の各企業の機密情報や公開情報を管理・共有することができる。

 今回、3社は実証を通じて、バイオマスやリサイクル原料を使用した製品のさらなる高付加価値化やマスバランス方式による原料管理の高度化に寄与するため、高いトレーサビリティ精度をもつSC構築の有用性を検証していく。同時に三菱ケミカルは、プラスチック油化のケミカルリサイクル設備の建設やそれに伴う原料プラの調達などの循環型社会形成に貢献する技術・仕組みの実装に加えて、今回の実証により透明性・信頼性の高いSCを構築することで、社会へのサステナブル製品の浸透を図り、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していく。

 なお、サーキュライズ社は、三菱ケミカルの持ち株会社である三菱ケミカルホールディングスが、気候変動に関するソリューションに取り組む北米最大のスタートアップインキュベーター「グリーンタウン・ラボ」と一緒に立ち上げたアクセラレータープログラム「The KAITEKIチャレンジ」により選出された会社で、三菱ケミカルHDが革新的なチャレンジに取り組むスタートアップとしてサポートしている。今回の実証は「The KAITEKIチャレンジ」を通じた取り組みの一環となる。

トレーサビリティの信頼性を高めたSC構築
トレーサビリティの信頼性を高めたSC構築

 

 

三菱ケミカル シュガーエステルを増強、福岡事業所に新系列

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2021年8月23日

 三菱ケミカルは20日、福岡事業所(福岡県北九州市)に、シュガーエステルの新たな製造工場を建設することを決定したと発表した。製造能力は年産2000tで、2023年夏の稼働を予定している。

シュガーエステル
シュガーエステル

 シュガーエステルは、ショ糖と植物油脂由来の脂肪酸を主原料とした乳化剤で、水分と油分を均一に混合させる機能をもち、食品の加工や流通保管時の品質維持に役立つ製品。飲料(缶コーヒーなど)、乳製品(ホイップクリームなど)、菓子類(ケーキやチョコレートなど)といった加工食品をはじめとした幅広い分野で使用されている。

 近年、国内食品メーカー向けの安定した需要に加え、中国を中心とした海外需要が著しく伸長しており、今後も一層の成長が期待される。同社は現在、三重事業所(三重県四日市市)を拠点にシュガーエステルを製造しているが、増加する需要に対応するとともにサプライチェーンの強化を図るため、福岡事業所に新系列を設置することを決定した。

三菱ケミカル イオン交換樹脂と合成吸着剤、10月から値上げ

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2021年8月20日

 三菱ケミカルは19日、イオン交換樹脂「ダイヤイオン」「リライト」、および合成吸着剤「セパビーズ」について、10月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は現行価格に対し「平均15%」。

 同製品の製造に係る生産設備の修繕費の増加、用役費、物流費などの高騰が事業の採算を圧迫。さらに、主原料であるスチレンモノマーだけでなく、その他原料についても価格が上昇している。

 同社は、継続してコスト削減に努めてきたが、これらのコスト上昇分を自助努力のみで吸収することは困難であり、今後の安定供給体制を維持するため、値上げを実施せざるを得ないと判断した。

三菱ケミカル 植物由来の透湿性フィルム発売、環境に貢献

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2021年8月3日

 三菱ケミカルは2日、植物由来原料を用いた透湿性フィルム「Green KTF」の販売を開始したと発表した。同フィルムは、同社が新たに開発した独自製法で実現しており、世界的に見てもユニークな製品となる。

植物由来の透湿性フィルム ※写真は従来品

 「KTF」は、天然物由来の炭酸カルシウムと、石油由来のポリエチレン(PE)を主原料とする微多孔質のフィルム。水蒸気より大きく水滴よりも小さい孔径を有することにより、湿気は通すが水は通さない性質をもち、主に紙おむつをはじめとする衛生材料のバックシートや高機能防護服の基材などに使用されている。近年、アジア地域などの発展に伴い需要が増加しており、今後も堅調に推移することが見込まれている。

 今回販売を開始した「Green KTF」は従来の「KTF」と同等の性能を有しながら、植物由来のPEを原料に用いることで、製造時のCO2の排出量を約30%削減。もう1つの主原料である炭酸カルシウムも含め、約9割が天然物由来となるため、環境負荷を低減させている。

 同社は三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる中長期経営基本戦略「KV30」のもと、サーキュラーエコノミー実現に向け、バイオマスプラスチック製品の拡充を進めている。今後も、高い機能と環境性能を併せもつ製品の開発・提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していく。

三菱ケミカル アセトンなどを値上げ、コスト上昇に対応

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2021年7月27日

 三菱ケミカルは26日、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ダイアセトンアルコール(DAA)について、8月20日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は、アセトンが「19円/kg以上」、MIBKとDAAがいずれも「24円/kg以上」となっている。

 国産ナフサ基準価格は、原油価格上昇の影響を受け騰勢を強めている。さらに、製品の製造にかかる用役費・副原料費などの諸経費も上昇を避けられない事態にある。同社は、こうした原燃料価格などの上昇に伴う大幅なコストアップ分を、自助努力のみで対応することは困難と判断し、価格改定の実施を決定した。なお同社は、同製品について、4月に値上げを実施している。

三菱ケミカル ビスフェノールAを値上げ、原料高に対応

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2021年7月27日

 三菱ケミカルは26日、ビスフェノールA(BPA)について、8月20日出荷分から値上げする、と発表した。改定幅は「20円/kg以上」。

 国産ナフサ基準価格は、原油価格上昇の影響を受けて騰勢を強めており、原料となるベンゼンの価格も同様に上昇している。さらに、こうした状況に伴い、製造にかかる用役費・副原料費などの諸経費も上昇を避けられない事態となっている。

 同社は、こうした原燃料価格などの上昇に伴う大幅なコストアップ分を、自助努力のみで対応することは困難と判断し、今回、値上げの実施を決定した。なお、同社は同製品について今年4月に「67円/kg以上」の値上げを実施している。

三菱ケミカル CR原料用プラ、リサイクル会社から調達

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2021年7月26日

 三菱ケミカルは21日、日本最大級となるプラスチック油化のケミカルリサイクル(CR)設備の建設に伴い、リファインバースから原料となる廃プラスチック(原料プラスチック)を調達する基本合意書を締結したと発表した。

 三菱ケミカルとリファインバースは、昨年8月に資本業務提携を行い、廃棄物の適切なリサイクルや有効利用の促進に向けた検討を継続していた。こうした中、三菱ケミカルはENEOSと共同で、三菱ケミカルの茨城事業所にCR設備を建設し2023年度の完成を目指している。三菱ケミカルおよびリファインバースは、同設備向けの原料プラ収集や調達などにおける具体的な検討をさらに加速させるため、今回の基本合意書の締結に至った。今回の基本合意書に基づき、リファインバースでは、産業廃棄物や建設廃棄物などの幅広い対象から、ポリプロピレンやポリエチレンをはじめ、ポリスチレン、PET樹脂といった様々な種類の原料プラを収集することを検討する。

 一方、三菱ケミカルでは、CR設備の実装に向けて、マスバランス方式(使用したリサイクル原料の割合を任意の製品へ割り当てる流通管理方式)によるCR品認証の取得、および社会へのマスバランス方式の浸透を目指す。三菱ケミカルはサーキュラーエコノミーの実現に向けて、原料プラの安定確保および透明性・信頼性の高い循環型サプライチェーンを実現するため、DX技術を活用したトレーサビリティーの確保に向けた検討を進める。

三菱ケミカル クリンスイが三重県に活動拠点をオープン

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2021年7月21日

 三菱ケミカルは20日、子会社である三菱ケミカル・クリンスイが、三重県にある複合リゾート施設「VISON(ヴィソン)」内に、活動拠点「Cleansui House(クリンスイハウス)」をオープンしたと発表した。

「クリンスイハウス」にある「ウォーター・ウォール・ギャラリー」

 「VISON」は三重故郷創生プロジェクトによる日本最大級の商業リゾート施設。東京ドーム24個分(約119ヘクタール)の広大な敷地に、四季を感じるホテル、日本最大級の産直市場をはじめ約50店舗が出店している。この場所に同社は、〝水の知恵〟をコンセプトにしたメディアのようなパビリオン「クリンスイハウス」を設立。食・風土・伝統・工芸など、この地域のもつ多様な魅力を掘り起しながら、水を切り口にした展示やワークショップといった体験型コンテンツを提供する。地域コミュニティに貢献するだけでなく、来場者にこれからの暮らしのアイデアを提案しながら、持続可能な社会に求められるアクションを起こしていく。

 定期的に大小さまざまなイベントを開催する予定で、「水の飲み比べ」や、建物を共有する昆布の老舗「奥井海生堂」と共同で、だしのとり方ワークショップなどを計画している。また、「クリンスイハウス」の中には「ウォーター・ウォール・ギャラリー」を併設。「水」を通して日本の文化や歴史を探求し〝水のシナリオ〟と題したシリーズ展示をケーススタディに、水と人との営みを再考しながら、水の叡智を発見していく。

三菱ケミカル 高い成形加工性をもつCMC材料を開発

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2021年7月16日

 三菱ケミカルは15日、軽量性や剛性と成形加工性を兼ね備えた セラミックマトリックスコンポジット(CMC)材料を開発したと発表した。

CMC 材料を使用した部材の例
CMC 材料を使用した部材の例

 環境負荷低減のための軽量化が求められるモビリティ用途や、軽量化に加えて工程効率化への対応を求められる産業機械用途などでは、軽さと強度を兼ね備える炭素繊維関連部材の採用が進んでいる。一方、耐熱性が必要となる部材では、加工性やコスト面での課題から十分に普及しているとはいえず、主に比較的高価なセラミック材が使用されている状況にある。

 炭素繊維と金属材料を組み合わせた同社のCMC材料は、高剛性、高耐熱性、高熱伝導性、軽量性、耐摩耗性、低発塵性といった特長をもち、モビリティのブレーキ材料や産業機械部品として使用されてきた。今回の開発品は、これらCMC材料の特長を保持したまま、高い成形加工性と、それに伴う低コスト化を実現。すでに複数の顧客へのサンプルワークを進めており、今後は従来の用途に加え、産業機械などのブレーキ材料、耐熱部材といった新たな用途の開拓を目指す。

 同社は、多様化・高度化する顧客の要望に応える複数の炭素繊維関連の 新製品開発を進めており、今後も引き続き、最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していく。

CMC 物性比較
CMC 物性比較

三菱ケミカル 酢酸ビニルモノマー再々値上げ、原料高に対応

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2021年7月14日

 三菱ケミカルは13日、酢酸ビニルモノマーについて、今月20日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は「25円/kg以上」。

 同社は、今年2月と4月にも酢酸ビニルモノマーの値上げを実施しているが、原料価格は想定以上に上昇を続けている。同社は、これらのコスト上昇分を自助努力のみで吸収することは困難であり、今後の安定供給体制を維持するためには、値上げせざるを得ないと判断した。