東大など 金属性プラスチック実現、イオンで電子を制御

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2019年9月10日

 東京大学と科学技術振興機構(JST)、産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、世界で初めてイオン交換が半導体プラスチックでも可能であることを明らかにしたと発表した。

 イオン交換は古くから水の精製、タンパク質の分離精製、工業用排水処理などに応用されている。今回の研究では、極めて普遍的なイオン交換を使い、半導体プラスチックの電子状態を制御する革新的な原理を明らかにした。また、この原理を利用して、半導体プラスチックの電子状態を精密に制御し、金属的な性質を示すプラスチックの実現にも成功した。

 半導体中の電子の数やエネルギーは、半導体の結晶の中に少量の不純物(ドーパント)を添加することで制御することができる。不純物ドーピングはエレクトロニクスデバイスを支える最も重要な半導体技術で、半導体プラスチックにも適用されており、電気が流れるプラスチックである導電性高分子は、さまざまな電極材料や機能性コーティング剤として産業応用が拡大されつつある。

 しかし、ドーパント分子は大気中の水や酸素と反応して、ドーパントとしての機能が簡単に失われてしまうため、この酸化還元反応の制約を乗り越えることが望まれていた。

 東京大学大学院新領域創成科学研究科の山下侑特任研究員、竹谷純一教授(産総研・東大先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ研究員など兼務)、渡邉峻一郎特任准教授(JST戦略的創造研究推進事業研究員など兼務)の研究グループは、これまで半導体プラスチックとドーパント分子の二分子系で行われていたドーピング手法に対し、新たにイオンを添加することで、従来よりも圧倒的に高い伝導性をもつ導電性高分子の開発に成功した。

 さらに適切なイオンを選定することで、イオン変換効率がほぼ100%になること、ドーピング量が増大することも明らかにした。このように高いドーピング量をもつ半導体は、金属のような電気抵抗の温度依存性を示すことも分かった。

 イオンは低い電圧で大量の電荷を駆動・蓄積でき、他の化学種との高い反応性をもつ。電子もイオンも電荷を運ぶ媒体であるため、両方の特徴を生かしたイオントロニクスの研究が盛んに行われているが、今回の研究で実現した金属性プラスチック内のイオン交換反応により、イオントロニクスデバイスの実現を大きく前進させることが期待されている。

NEDO 「イノベーション・ジャパン2019」開催

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2019年8月27日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、科学技術振興機構(JST)と今月29~30日に、東京都江東区の東京ビッグサイト青海展示棟Bホールで、「イノベーション・ジャパン2019~大学見本市&ビジネスマッチング~」を開催する。

 今年で16回目を迎える「イノベーション・ジャパン」は、大学や公的研究機関、ベンチャー・中小企業などから創出された研究成果の社会還元・技術移転の促進や、実用化に向けた産学連携のマッチング支援を目的に開催している。

 ベンチャー・中小企業、大学などから500を超える研究成果や開発技術を、展示・プレゼンテーション・セミナーなどで発信する。近年、重要性が高まるオープンイノベーションの取り組みとして、産学マッチングとビジネスマッチングを促進する国内最大規模の総合イベントとなっている。

 NEDOエリアでは、ベンチャーなどのビジネスマッチングを中心とし、NEDOが支援する注目の研究開発型ベンチャーや中小企業など約100者が最新技術を展示するとともに、マッチングエリアを設け、情報交換や商談の機会を提供する。

 出展分野はエネルギー・環境、IoT・電子・AI、ものづくり、材料・ナノテクノロジー、医療・ヘルスケア・バイオ。ベンチャー企業などの産学連携事例に焦点を当てたセミナーを30日に開催。オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)によるイベントも併催する。

 研究開発成果を発表するプレゼンテーションエリアと、研究開発テーマについての今後の事業展開を発表するピッチエリアの2つの特設会場を開設。NEDOブースでは、ベンチャー・中小企業などのシーズ段階から事業化まで一貫した支援体制をもつNEDOの支援制度について紹介するほか、事業の活用などを相談できるコーナーを設け、スタッフが対応する。NEDO公募事業メニューなども紹介する。なお、公式サイトで来場事前登録を行っている。