日本ゼオン 子会社が医療機器ベンチャーファンドへ出資

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2020年4月17日

 日本ゼオンは16日、グループ企業で医療器材事業を展開するゼオンメディカルが、医療機器分野への投資に特化したベンチャーキャピタルであるメドベンチャーパートナーズが組成するファンド「MPI‐2号投資事業有限責任組合」に、5億円の出資を決定したと発表した。

 ゼオンメディカルは、循環器系・消化器系の各種デバイスを製造販売している。同ファンドへの出資を通じて、国内外の先端医療技術の情報収集やベンチャー企業との協業案件の発掘、さらにはベンチャー企業への直接投資の検討の機会として活用し、事業ポートフォリオの拡充を図っていく。

 ゼオングループは、今後も、医療機器の提供を通じ、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上と、医療技術の発展に貢献していく考えだ。

 

三菱ケミカルホールディングス 次世代情報通信基盤構想、フォーラムに参加

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2020年4月17日

 三菱ケミカルホールディングス(MCHC)は16日、次世代情報通信基盤の定義と構築を目指す団体「IOWNグローバルフォーラム」に参加すると発表した。素材メーカーとして初参加となる。

 IOWN(アイオン:イノベーティブ・オプティカル&ワイヤレス・ネットワーク)構想は、NTTが提唱する、スマートな世界を実現する最先端の光関連技術と情報処理技術を活用した次世代情報通信基盤構想。

 NTTは、IOWN構想をオープンイノベーションで実現するためにインテル、ソニーとともに団体「IOWNグローバルフォーラム」を発足し、世界の各業界先進企業を対象に参加メンバーを募っている。同フォーラムは、2024年に仕様決定、2030年の商用化を目指し、今月から本格的に活動を開始する。

 MCHCは、2030年に向けた次期中期経営計画の基本方針として「KAITEKI Vision 30(KV30)」を掲げ、社会課題の解決をグローバルに主導するソリューションプロバイダーを目指している。KV30では、次世代高速通信ソリューションや半導体ソリューションなどによるデジタル社会基盤、ヒト・ロボット共生空間ソリューションによる人快適化、予防医療やプレシジョンメディシンなどによる医療進化などを成長事業領域に位置づけている。

 今後、MCHCは同フォーラムの活動を通して、ソリューションの提供に取り組むことで、KV30の実現を目指すとともに、IOWN構想とスマートな世界の実現に貢献していく考えだ。

JXTGエネルギー SSオイルを一新し、最新規格に対応

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2020年4月16日

 JXTGエネルギーはこのほど、全国のサービスステーション(SS)で販売するガソリンエンジンオイル「ENEOSオイル」「Mobilオイル」を、最新の国際規格に適合するラインアップに切り替え、7月から順次店頭で販売開始すると発表した。

 10年ぶりに更新された国際規格「API/SP」「ILSAC/GF-6」は、従来規格比1%以上の省燃費性能の向上やエンジンの異常燃焼対策・摩耗対策の強化などが要求される。この最新規格に適合するオイルを使用することで、車本来の性能の発揮と快適なカーライフにつながる。

 また、「ENEOSオイル」は最新規格の認証取得とともにブランドを一新し、「ENEOS Xシリーズ」を展開する。「X」は未来への挑戦、創造性・革新性を表し、環境対応、走行性能、顧客ニーズに対する同社の姿勢を表している。

 最上位の100%化学合成油グレード「ENEOS X PRIME」は、最新国際規格の要求性能を凌駕し、燃費・加速性能に加え、同社独自の乗り心地性を追求。一方、部分合成油グレード「ENEOS X」は、同規格の要求性能を満たし、高い性能とコストパフォーマンスの両立を達成している。

三菱ケミカル・クリンスイ 独デザイン賞を3年連続で受賞

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2020年4月16日

 三菱ケミカルのグループ会社で浄水器の製造・販売を行う三菱ケミカル・クリンスイはこのほど、蛇口直結型浄水器「クリンスイ CSP901」が「Red Dot Award:Product Design 2020」を受賞したと発表した。

大型液晶と計量機能を搭載した「クリンスイ CSP901」
大型液晶と計量機能を搭載した「クリンスイ CSP901」

 同アワードは、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンターが主催する世界的なデザイン賞。

 「プロダクトデザイン」「ブランド&コミュニケーションデザイン」「デザインコンセプト」の3つの部門で構成される。2020年は60カ国から6500件を超える応募の中、2月に発売した「クリンスイ CSP901」の高いデザイン性と創造性が評価された。

 同社としては3年連続の受賞。2018年には信楽焼浄水器「クリンスイ JP100‐C」が今回と同様の「プロダクトデザイン」部門で、2019年には「Cleansui」ブランドが「ブランド&コミュニケーションデザイン」部門で受賞している。

 今回受賞した「クリンスイ CSP901」は、プロダクトデザイナーの柴田文江さんが製品デザインを手掛けた。簡単に取り外せる浄水口や水はねしにくいシャワー部分など、細やかなユーザビリティを重視しつつ、キッチンに馴染むシンプルで清潔感のあるデザインが特徴。

 視認性向上のため、大きくて見やすい大型の液晶を搭載し、液晶下の切り換えボタンを押すことで、浄水使用残量を表すL(リットル)表示と、100㏄刻みで水を計量して給水できる、調理時に便利な㏄表示の切り換え機能がある。

住友商事 成長戦略の一環としてパラグアイで農薬販社を設立

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2020年4月16日

 住友商事はこのほど、南米地域の農薬販売ビジネスの成長戦略の一環として、同地域の農薬販売会社を統括するホールディング会社Summit Agro South America(チリ:SASA社)の傘下に農薬販売会社のSummit Agro Paraguay(パラグアイ:SAPY社)を8月(予定)に設立することを決定した。パラグアイでの農薬販売会社の設立は日本企業として初となる。

 南米地域の農薬市場は、人口増加に伴う食糧需要の高まりを背景に安定的な成長を遂げ、現在約140億ドル規模(世界農薬市場の約25%)と言われている。住友商事は、2015年に南米地域の農薬販売統括会社のSASA社を設立し、同地域5カ国(アルゼンチン、チリ、コロンビア、エクアドル、ペルー)で農薬販売網を確立するとともに、地域一体運営を推進。今回のSAPY社設立によって、SASA社の事業基盤を強化し、南米地域での農業の一層の生産性向上に貢献する。

 パラグアイは、ブラジル、アルゼンチンに次ぐ、南米第3位(世界第6位)の大豆生産地。作付面積の増加と、除草剤や殺虫剤、殺菌剤といったスペシャリティ農薬の使用増加に伴い、農薬市場は今後も成長が期待される。

 SAPY社は、日系農薬メーカーが開発する新規農薬の導入や開発を推進することで商品ポートフォリオを拡充し、SASA社が持つ大豆向け農薬ビジネスの知見を生かして、良質な顧客サービスを提供する。5年後には売上高2500万ドルの事業規模を目指す考えだ。

 住友商事の農薬事業は1970年代の日本メーカーとの農薬輸出トレードに始まり、各国農業の生産性向上、効率化に貢献してきた。現在はバリューチェーンの川下分野の深化を戦略として掲げ、欧米を中心に30カ国以上で輸入販売事業を展開している。また、ブラジルやルーマニア、ウクライナでの農業資材問屋の買収などを通じ事業範囲の拡大にも注力しており、収益規模の拡大に取り組んでいる。

 同社は、SAPY社を通じて日系農薬メーカー製品の海外輸出を促進するとともに、パラグアイの高まる農薬需要に応えていく。

合同会社フリートEVイニシアティブ EVトラックの最適運用に関する実証を開始

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2020年4月16日

 中部電力と丸紅が共同で設立した合同会社フリートEVイニシアティブ(FEVI)はこのほど、名鉄運輸(名古屋市東区)およびエスライングループのエスライン各務原(岐阜県各務原市)とともに、EVトラックの最適運用に関する実証を実施すると発表した。実証期間は2022年3月31日までの予定。

 今回の実証は、FEVIが名鉄運輸とエスライン各務原のEVトラックを使用し、物流事業でのEVトラックの運用に関する知見を得ることを目的に実施するもの。運行スケジュールに応じた最適な充電方法を検討し、急速充電による車両稼働率の向上効果、電力消費のピークコントロールによる電気料金の抑制効果、車両電動化に伴うCO2削減効果などを実証する。

 FEVIは、物流・運輸事業者などの車両電動化を通じて、CO2削減に貢献するとともに、電動車両の蓄電機能を活用したBCP対策や再生可能エネルギーのさらなる活用についても提案を進めていくことで、持続可能な社会の実現に貢献していく。

東レ マスク用不織布の生産を倍増、月6000万枚に供給拡大

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2020年4月16日

 東レはこのほど、同社グループのグローバルな生産設備をフル活用し、国内向けにマスク用不織布の供給体制を強化・拡充する方針を決定した。

 同社は海外子会社でマスク用不織布の増産を進めており、現在国内の大手マスクメーカーを中心に、月産マスク約3000万枚分の供給を行っている。まずは、これらの設備でさらなる増産を行い、来月から約6000万枚分にまで拡大する。

 一方、国内でも、滋賀事業場内の不織布試験設備の量産化検討に着手しており、来月以降、月産最大で約2000万枚分の国内供給体制の確立を計画している。加えて、医療関係者用の防護服についても、国内外を含めた生産・供給体制を早期に確立し、国内に供給していくことを検討中だ。

 東レグループは、「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」という企業理念に基づき、社会貢献を企業の目的の最優先事項として事業として取り組んできた。2050年に目指す世界を展望し策定した「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の中でも、革新技術と先端材料によって世界的な課題の解決に貢献することを目標に掲げている。

 同社は今後も、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府の策定する行動計画に基づき、必要な対策を実行するとともに、早期の終息とその後の社会・経済の発展に、全社を挙げて尽力していく方針だ。

住友化学 新型コロナ対策を支援、医療現場へマスクを寄付

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2020年4月16日

 住友化学は15日、新型コロナウイルス感染症の対策支援として、日本経済団体連合会(経団連)を通じて、緊急用に備蓄していた2万枚のN95マスクを寄付すると発表した。医療現場での新型コロナウイルスを含んだ飛沫による感染を防ぐことのできるN95マスクなど呼吸器防護具が不足していることに対応したもの。

 なお、N95とは、米・労働安全衛生研究所(NIOSH)が定めた規格で、「N」は耐油性がないこと、「95」は試験粒子を95%以上補集できることを示す。同マスクは、結核などの感染予防として医療現場で強く使用が推奨されている。

 同社は、新型コロナウイルス感染拡大の早期終息に向けて、今後も行政ならびに業界団体と連携を図りながら、最大限の支援策を検討していく。

 

東洋スチレン ケミカルリサイクルの事業化に着手

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2020年4月15日

米社とライセンス契約、実証設備建設の検討開始

東洋スチレン PSケミカルリサイクル 大手ポリスチレン(PS)メーカーである東洋スチレン(出資比率:デンカ50%、日鉄ケミカル&マテリアル35%、ダイセル15%)は、地球温暖化や廃棄プラスチックといった環境問題への対応として、バイオPSやリサイクルに取り組んでいる。

  昨年にはバイオ化ニーズの高まりから、PSとポリ乳酸(PLA)をアロイ化した「トーヨーエネライツ」を上市。顧客から高い評価を得ており、引き合いが強まっている状況だ。

 一方、リサイクルではマテリアルリサイクル(MR)に注力。再生品は品質的な課題があるが、バージン品を組み合わせるなど品質向上に取り組んでいる。

 こうした中、昨年10月には環境対策推進室を創設。使用済みPSのケミカルリサイクル(CR)の事業化を検討してきたが、今回、CR事業実証を進めるため、米国アジリックス社(オレゴン州ポートランド)と技術ライセンス契約を締結した。

 PSは熱分解によりスチレンモノマー(SM)に戻る性質を持っているが、アジリックス社の熱分解技術は、PSを高収率でSMに変換することが可能。また、同社は使用済みPSの熱分解SM化設備を商業運転している唯一の存在であり、さらにイネオス社など複数の海外PS/SMメーカーとの連携・合弁事業を進行している。

 東洋スチレンは今後、アジリックス社からの技術導入を受け、親会社であるデンカ千葉工場(千葉県市原市)内に、使用済みPSの熱分解SM化実証設備(年間処理能力:約3000t)建設の具体的検討に着手し、2021年の操業開始を目指す方針だ。

 PSリサイクルのMRでは、使用済みPS食品容器を再び同じ用途(食品接触部)に使用することは品質安全上困難とされてきた。それに対し、使用済みPSをSM(熱分解SM)に戻す今回のCR方式であれば、その課題をクリアできる。

 熱分解SMを原料に使用したリフレッシュPSは、品質安全上も全く問題がなく用途に制限がない。また、ワンウェイ(使い捨て)仕様と比較すると、地球温暖化ガスであるCO2の排出量を、少なくとも半減させる効果も期待できる。この事業化計画を実現し、熱分解SMを使用したリフレッシュPSを製造販売できれば、CRによる真のサーキュラーエコノミー(循環型経済)への第一歩を踏み出せることになる。

 東洋スチレンは、アジリックス社から技術導入するCR設備により、先ずは製造時に発生するポストインダストリアル材料を中心(一部ポストコンシューマー材料含む)とした実証試験操業を行い、PSの優れたリサイクル性を広く一般に認知させる。そのうえで、政府、コンシューマー、関係団体、需要家などの関係先と協同でスケールアップを図り、将来の目標であるポストコンシューマー材料に対象を広げていく考えだ。

 

 

昭和電工 AIでフレキシブル透明フィルムの開発を迅速化を実証

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2020年4月15日

 昭和電工はこのほど、産業技術総合研究所(産総研)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)と共同で、フレキシブル透明フィルムの開発に人工知能(AI)を活用することにより、要求特性を満たすフィルムの開発の実験回数を25分の1以下に低減できることを実証したと発表した。

フレキシブル透明フィルムの用途例
フレキシブル透明フィルムの用途例

 今回の開発は、NEDOの「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト(超超PJ)」の委託事業として実施。超超PJでは、経験知による従来の材料開発からの脱却を目指し、AIやマルチスケールシミュレーションを積極的に活用することで、従来と比較して実験回数を削減し、開発期間を大幅短縮することを目指している。

 昭和電工など4者は、モバイル機器などの開発に欠かせないフレキシブル透明フィルムの設計にAIを活用し、要求特性を満たすポリマーの探索に取り組んでいる。

 はじめに熟練研究員が27種類のフィルムを作成し、その原料の分子構造、モル比などの化学的な情報をECFP(Extended Connectivity Circular Fingerprints)という手法を応用して説明変数に落とし込み、目的変数にはトレードオフの関係にあり並立の難しい物性である換算透過率、破断応力、伸びの3項目を選択し、作成したフィルムの実測データをAIに学習させた。

AI予測を行い作製したフレキシブル透明フィルム(引張試験中の写真)
AI予測を行い作製したフレキシブル透明フィルム(引張試験中の写真)

 その後、説明変数を網羅的に割り当てたデータを用意して、偏差値概念を導入したAIにこれら3項目が等しい割合で最大となる配合を予測させ、その予測の通りに3種類のフィルムを作成し、AI学習データを作製した熟練研究員が自己の知見に基づき作成した25種類のフィルムの物性値とを比較した。 

 この結果、AIが予測した配合で作成した3種類のフィルムの物性値は、いずれも比較実験として熟練研究員が作成した25種類のフィルムの物性値よりも優れていることが判明。研究員による開発に比べて25分の1以下の実験回数でより高い物性値のフィルムを得られたことから、大幅な開発期間の短縮が可能なことが実証できただけでなく、研究員の経験知をもとに作成した製品を超える製品が開発できる可能性があることも実証した。

 今後は同技術をさらに高度化させ、要求特性を満たしながらより良い物性値となる配合比をAIが提案できるように開発を進めていく。なお、同件の詳細は、超超PJ成果報告会のウェブサイトに発表された。