三菱ケミカルホールディングス 義足のパラアスリートとパートナー契約

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2021年7月2日

 三菱ケミカルホールディングスは1日、シンクタンクである地球快適化インスティテュート(TKI)が、スポーツ用義足を使用して陸上競技で活躍する2選手と、新たに義足の開発や技術開発に関するパートナー契約を締結したと発表した。

パラアスリート(左:山本選手、右:前川選手)と契約
パラアスリート(左:山本選手、右:前川選手)と契約

TKIでは、「〝障がい〟という概念を世の中から失くす」という想いの下、2016年にチームKAITEKIを発足。パラアスリートの個人の特性に合わせた用具の最適設計技術を産業技術総合研究所(産総研)、東京大学などと共に構築してきた。

 この取り組みにより、デジタル技術を活用した機能の最適化に一定の成果を得る中、今回、日本を代表する義足のパラアスリートである山本篤選手、前川楓選手(共に新日本住設所属)と新たにパートナー契約を締結し、感性にも対応するようなさらなる義足の進化や技術開拓を図っていく。

 三菱ケミカルHDグループは、中長期経営基本計画「KAITEKI Vision30」の中で、社会課題解決型の成長事業領域の1つに「人快適化」を掲げる。トップパラアスリートと得られた技術や知見は、歩行に難を抱える人々を支援するための用具開発やサービスの実現へ向けて社会へ還元していく。また、超高齢社会では、QOLの向上のためにも歩行は重要な要素となる。今回の活動を通じて、三菱ケミカルHDとTKIは、健康でいきいきと暮らせる社会の実現に貢献していく。

東レ 欧州に樹脂テクニカルセンター、顧客の開発を支援

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2021年7月2日

 東レは1日、欧州での樹脂製品のマーケティングおよび販売会社である東レ・レジンズ・ヨーロッパ(TREU)の技術開発拠点として、欧州自動車開発拠点であるドイツのオートモーティブセンター欧州(AMCEU)敷地内に樹脂テクニカルセンターを開設したと発表した。

 同センターでは、欧州域内での迅速な技術データ提供やCAE解析を通じた設計支援、イノベーティブな材料開発、分析・評価機能を充実し、顧客の製品開発を支援する。

 具体的には、樹脂製品のデジタル設計に対応するため、長期耐久データや高精度な機械物性データを拡充し、樹脂特有の異方性を考慮した解析などの高度なCAE解析の支援を強化する。また、自動車の電動化に伴い増加している金属をインサートした高電圧部品絶縁用樹脂成形品の冷熱時のヒートサイクルによる割れなどの課題に対応するため、高いトラッキング性や耐ヒートサイクル性をもつ材料提案や割れ防止の解析支援などに取り組む。

 自動車分野では、東レ先端材料の特性を最大限に引き出す成型加工・解析・評価機能をもつAMCEUと連携することで、東レの材料に合わせた工法・構造設計機能の提案や欧州自動車メーカー、部品メーカーとの共同開発など、欧州のニーズを捉えたテクニカルソリューション提供を一層強化していく。

 欧州自動車産業は、CO2排出量削減などの環境規制強化に伴い、開発リソースを電動化と自動運転技術にシフトする動きが加速し、電子制御・通信関連部品市場拡大による高機能樹脂の継続的な需要の伸びが見込まれている。また、電気・電子機器、住宅関連部品などの産業用途についても、耐熱性・耐薬品性の要求を満たす高機能樹脂の引き合いが強い。

 東レは同センター開設により、現地ニーズを迅速に把握し、ソリューション提案を推進することで、顧客の満足度向上と自動車用途を中心とした樹脂事業のグローバルな拡大を加速する。

信越化学工業 GHG削減への取り組み、シリコーン事業に投資

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2021年7月2日

 信越化学工業は1日、シリコーン事業について、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に資する総額200億円の投資を主力工場の群馬事業所で実施すると発表した。

 投資内容については、自社での電力自給率をさらに高め、GHG排出量を現状比14%削減するために100億円を投資する。また、顧客の製造工程でのGHG排出量の削減や環境対応型製品に使用する、変性シリコーンオイルや成形用シリコーンゴム、放熱シリコーン材料の設備増強で100億円を投資する計画だ。

 同社はカーボンニュートラルを経営の重要課題として取り組んでいる。シリコーン事業では、加工工程で二次加硫(加熱)を必要としないミラブル型シリコーンゴムを開発・上市した。同製品を使用することにより、加工時間を従来品より約9割も削減することが可能となり、顧客での省エネルギーと生産性の向上を可能とする。

 また、ゴム成形品の軽量化を実現する低密度タイプのシリコーンゴムの用途は、自動車、航空機などの輸送機やウェアラブル端末など多方面にわたり、軽量化により省エネルギーに貢献する。これら2つの製品のほかにも、GHG排出量削減への貢献など、地球環境に貢献するシリコーン製品を数多く開発し供給している。

 同社は、日本をはじめ主要国が目指すカーボンニュートラルの実現に向け、自社でのGHG排出量削減に加え、顧客をはじめ社会全体の排出量削減に資する製品の強化により一層注力していく。

旭化成 CO2からカーボネート、製造技術をライセンス

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2021年7月2日

 旭化成は1日、LIBの電解液の主要原料である高純度エチレンカーボネート(EC)および高純度ジメチルカーボネート(DMC)の製造技術のパッケージが完成し、第1号のライセンス契約を締結したと発表した。

 昨今、EVへの世界的なシフトが見込まれ、それに伴いLIBのさらなる需要拡大が予想されている。一方、地球温暖化対策の観点から、LIBの主要構成要素にも環境に配慮した設計が求められている。

 こうした中、同社は、CO2を原料としたポリカーボネート(PC)樹脂製造時の中間体であるECとDMCをLIB用電解液の原料に使用できるよう、高純度化する製造技術の対応可否を検証してきた。今回、ECとDMCの製造技術のパッケージが完成し、第1号のライセンス契約の締結に至った。

 ライセンスの内容は、高純度EC3.8万tと高純度DMC7万tの製造技術パッケージ。第1号となる供与先は海外大手化学メーカーで、ライセンス権は当該国での非独占的製造権および全世界への非独占的販売権となっている。

 同技術パッケージは、同社のPC樹脂製造技術と同様に、CO2を原料としていることが特徴。原料の約半分がCO2であることから、今回のライセンスで年間約5万tのCO2を消費できる。同技術により環境にやさしいLIB用電解液の供給が可能になり、持続可能な社会の実現に貢献することが期待される。

 同社は今後も、CO2を原料とする環境にやさしい技術をライセンスという形で世界中に広めていく。

CO2を原料としたカーボネートのライセンスパッケージ
CO2を原料としたカーボネートのライセンスパッケージ

ランクセス TMPメルト品、日本市場の販売強化

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2021年7月2日

三菱ガス化が今秋撤退、拡販でシェア獲得を狙う

 ランクセスはこのほど、ポリエステルやポリウレタン、樹脂、合成潤滑油の原料として使用されるトリメチロールプロパン(TMP)について日本市場での販売を強化すると発表した。これまでのフレーク品に加え、メルト(液体)品も年末までの輸入・販売を目指しており、同社の製品を取り扱う化学品商社の豊通ケミプラスを通じて新規顧客向けのサンプル供給を開始した。

 同社はドイツ・ユルディンゲン工場を拠点に、純度99%以上を誇る高品質なTMPを製造。世界第2位の生産能力をもっており、アジア地域をはじめ世界の顧客に対し輸出を行っている。日本についても、これまでフレーク品に特化してドイツ工場から輸出し、化学メーカーに販売してきた。

 昨年の日本市場は、コロナ禍の影響で一時的に需要が低迷した。しかし今年度に入り急速に市場が回復したことを受け、TMPの需要も急増している。さらに、今秋には約1万tの国内需要のうち大半を占める三菱ガス化学が生産を停止することもあり、市場環境が大きく変化することが想定されている。ランクセスは、従来のフレーク品に加え、メルト品の使いやすさを訴求することで供給量を増加させ、拡販によりシェアの獲得を狙う。同社は今後も、日本市場向けの製品ラインアップを充実させ、顧客ニーズに応えていく考えだ。

 ランクセスは、2004年にバイエルから独立したドイツの特殊化学品メーカー。2016年に合成ゴム事業を分離し、現在はアドバンスト中間体、スペシャリティーアディティブス、コンシューマープロテクションとエンジニアリングマテリアルズの4部門の下、10の事業部で構成されている。従業員は約1万4000人で世界33カ国にわたって事業展開しており、昨年度の売上は約8000億円であった。

 地域別の売上高は、欧州・アフリカが半分、米州とアジアが残り半分ずつとなっている。業界別で見ると、自動車、化学品、建設、農業・畜産衛生、栄養・健康・消費財、エネルギー・天然資源・産業用の六分野がほぼ均衡している。最近は特殊抗菌剤や消毒・衛生関連、消費者分野の特殊化学品企業を買収するなど、コンシューマープロテクション部門の強化を図り、またバッテリー向け化学品事業へも参入した。

 なお、日本のランクセスは10事業を展開し、昨年の売上高は約310億円だった。愛知県の豊橋にゴム薬品の製造と水処理関係の技術サービスの拠点を保有している。今後、コンシューマープロテクション、ニューモビリティと添加剤分野に注力し、持続可能な発展を推進する事業活動と社会的責任への取り組み、デジタル化と働き方改革を推進していく考えだ。

 

 

マイクロ波化学 「GSC賞 ベンチャー企業賞」を受賞

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2021年7月1日

 マイクロ波化学はこのほど、「マイクロ波化学の事業化」について、新化学技術推進協会の「第20回グリーン・サステイナブル ケミストリー(GSC)賞 ベンチャー企業賞」を受賞した。

 同社は、マイクロ波を活用した製造プロセスをグローバルスタンダードにしていく考えの下、研究開発、エンジニアリング、生産技術を一貫で行うプラットフォームを整備し、事業化を推進。今回、事業の特性や実績だけでなく、今後の再生可能エネルギーの普及に伴い、従来の熱化学法に変わる製造技術としての発展が期待できる点が評価された。化学プラントのエネルギーが化石資源から電力に移行する中で、電気を利用するエネルギーの伝達手段であるマイクロ波が、さらに有力視されることが想定されている。

 同社は今回の受賞を励みに、高効率・省エネルギーなプロセス構築を可能とするマイクロ波を、カーボンニュートラル実現に向けたキーテクノロジーとして、独自構想「C NEUTRAL 2050 design」を一層展開していく。

日本触媒 触媒工業協会の技術賞に、脱硝触媒の仕組みを解明

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2021年7月1日

 日本触媒はこのほど、「高活性・高耐久性脱硝触媒の開発および高性能発現メカニズムの解明」の研究に対し、触媒工業協会の令和3年度協会表彰「技術賞」を受賞したと発表した。同社が行った実用触媒の研究に関する論文が、触媒研究の分野で権威ある学術誌である「ChemCatChem」などに掲載され、その内容が学術的成果として顕著であることから受賞に至った。

触媒技術賞 触媒上での硫酸アンモニウム塩分解モデル
触媒技術賞 触媒上での硫酸アンモニウム塩分解モデル

 研究の主な対象である「V/TSM触媒」は同社が触媒技術を駆使して開発。発電所や都市ごみ焼却施設排ガスの窒素酸化物(NOx)を無害化する脱硝触媒として、多くの実用実績をもつ。特長として、従来の触媒で困難だった200℃未満の低温でも十分な性能を発揮。また、排ガス中の硫黄酸化物による劣化にも強い耐久性がある。「V/TSM触媒」を使用することで必要触媒量の低減、触媒交換頻度の削減が可能となるだけでなく、排ガスの再加熱に要するエネルギーも削減でき、CO2削減効果も期待される。

 こうした中、同社は、同触媒の高活性と高耐久性発現のメカニズムを解明するため、京都大学の協力の下に解析を続けてきた。その結果、同触媒は、TiO2-SiO2-MoO3固溶体とバナジウム活性種との相互作用により酸化還元能力が向上するため脱硝活性に優れるとともに、一般的な劣化原因物質である硫酸水素アンモニウムに加え、200℃未満の低温で生成するチオ硫酸アンモニウムを分解する能力にも優れるため、硫黄酸化物による劣化が抑制されることを解明した。

 同社は、引き続き脱硝触媒の改良研究に取り組み、得られた知見を活用しさらなる高活性・高耐久性触媒の開発を目指す。

 

花王 大丸有エリアの一体物流によるプラ循環事業に参画

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2021年7月1日

 花王はこのほど、「大丸有(東京都の大手町、丸の内、有楽町)エリアにおける動静脈一体物流による効率的なプラスチック循環に向けた実証事業」に参画すると発表した。

 東京都の「再生利用指定制度」によって生産者から消費者への「動脈」と消費者から生産者への「静脈」の一体物流を実現し、廃棄物の回収・圧縮保管・リペレット・製品化までの一連のプロセスを通して、プラスチック資源循環の課題の抽出と、ライフサイクル全体での環境負荷・コストの評価を行う。その中で、同社は再生ペレットの物性評価と、日用品包装容器への活用検討を行う。

 使用後に適正に回収・再利用されない「プラスチックごみ」は社会課題であり、プラスチック廃棄物をリサイクルするプラスチック循環システムの構築が求められている。一度市場に出た資源(PCR材:ポストコンシューマーリサイクル材)を原材料として再活用する場合、PCR材は組成が様々で発生量も一様でないため、品質が安定せず回収コストもかさみ、継続的に活用する上での課題となる。

 今回、三菱地所が丸ビルと新丸ビルのアパレルテナントから排出されるプラスチック製フィルムを分別・計量・保管し、東京納品代行が納品時の帰り便で回収し、センコー商事が異物確認後に圧縮保管。エンビプロ・ホールディングスが破砕・溶融して原材料化(リペレット)し、花王が日用品包装容器の原材料として仕入れる流れだ。

 双日、レコテック、日商エレクトロニクスとNTTコミュニケーションズが再生資源プラットフォーム「Material Pool System」を基に、プラスチック循環システム構築に必要なプラットフォームとしての課題を抽出し、東京大学とトーマツが廃プラスチックの収集・運搬プロセスの環境負荷とコストの評価を行う。

 花王は昨年から、川崎市の「サーキュラーエコノミー都市実現に向けた低炭素型マテリアルリサイクルモデル構築調査事業」でも、商業施設から回収したPCR材のリサイクルに取り組んでいる。これらのプロジェクトを通じ、プラスチックに関する研究技術を提供することにより、自治体・他企業と連携してプラスチック循環社会実現に貢献していく考えだ。

中外製薬 新成長戦略でトップイノベーターを目標

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2021年7月1日

DXがキードライバー、デジタル基盤強化に注力

 中外製薬は25日、DXメディアセミナーを開催した。同社は今年2月に新成長戦略「TOP I 2030」を発表。「世界最高水準の創薬実現」と「先進的事業モデルの構築」を戦略として掲げ、世界のヘルスケア領域でのトップイノベーターを目指している。キードライバーの1つにDXを設定し、創薬、開発、製薬、バリュー・デリバリーの各フェーズや、それらを支える成長基盤をデジタル技術で改革していく。

 昨年3月には「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」打ち出しており、今回、デジタル基盤強化に向けた3つの取り組みを紹介した。1つ目は、今年4月に始動した「Chugai デジタルアカデミー(CDA)」。デジタル人財を体系的に獲得・育成・強化するため、社内育成と社外還元の2つをコンセプトとしている。

 社内の育成強化では、全本部から対象人財を募集し、職種共通/職種別専門の講座で構成されるOff-JTと実践的なOJTまで含めた包括的な育成プログラムを提供。また社外還元では、社内で蓄積した「創薬×デジタル」ナレッジを、学生を中心とした次世代人財に積極的に提供し、中外製薬のブランド・採用力強化を図る考えだ。

 今年度は、高度解析・統計型のデータサイエンティスト(DS)とデジタルプロジェクトリーダー(DPL)を最優先に設定し、各数十人を育成する。対象人財をアシスタントやJr.エキスパートレベルへ引き上げ、さらに現場に戻って経験を積むことでデジタルプロジェクトを管理するエキスパートレベルを目指す。また、CDAのコンセプトを実現するため、教育コンテンツを提供する様々なパートナー企業との連携も模索していく。

 2つ目は、デジタル基盤強化のカギとなる「デジタルイノベーションラボ(DIL)」。ビジネス×デジタル観点による業務改善や新たな価値創造を実現させる仕組みであり、ビジネスとしてだけでなく、チャレンジ精神を醸成するため社員の風土改革としての成果創出も図る。全体像として、アイデアを募集後、中外社員と外部のパートナーを「マッチング」し、企画書(PoC〈概念実証〉計画書)を具体化。その後、2~3カ月でPoCを実施し本番開発を目指す。DILはこれまで2回実施され、全部門の社員から各回とも100件以上のアイデアの応募があり、社内のアイデア実現インフラとして定着しつつある。

 3つ目は、「CHUGAI RPA(リコンシダー・プロダクティブ・アプローチ)」。通常RPAはロボットによる自動化と訳されるが、同社は業務見直しとして推進。2018年に取り組みを開始以降、100を超える業務シナリオを自動化し、約7.7万時間以上の業務時間の削減を実現した。RPA市民開発者の社内認定制度を導入するなど、社員のモチベーションの向上を図っている。

 ただ、組織によって積極性に濃淡があるなど課題が見えてきたため、今年から新たに再スタート。RPA×AIによって業務変革が当たり前のように行われることで、KPIとして2021年に5万時間以上、2023年には10万時間以上の業務削減を目指す。その達成に向けた取り組みでは、すべてのユニット・本部・コーポレート基本組織がRPA推進活動計画書を作成。2021年は全社で181件のテーマが出てきており、4.3万時間の削減が期待できる。

 また、アイデアを集約するプラットフォーム「RPA IDEA BOX」を導入。全社員がアクセス可能となっており、見える化を図ることで、さらなる効率化を狙う。さらに「RPAスクエア」を開校。業務効率化、自動化に関する基礎から応用までの幅広いコンテンツを用意しており、社員のITリテラシーを向上させていく考えだ。

 

東亞合成 バイオベンチャーに出資、ヘルスケア拡充図る

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2021年7月1日

 東亞合成は30日、医療用生体内分解吸収性ポリマーの開発・製造・販売を行うビーエムジー(京都府京都市)へ出資したと発表した。今後は新規医療機器製品の共同開発も視野に、ヘルスケア分野の拡充を図っていく狙いだ。

 ビーエムジーは1983年に創業のバイオマテリアルベンチャー。国産初の生体吸収性縫合糸用ポリマーを開発するなど、バイオマテリアル分野のパイオニアとして確かな信頼と実績を築いてきた。長年培ってきた医療用高分子技術を基盤に、新たな医療用接着剤「LYDEX(ライデックス)」を開発。同製品は天然物由来高分子を主成分とし、動物由来成分とヒト血液由来成分を一切含まないため、ウイルス感染リスクがない特長をもつ。また、独自技術による「高い接着性」と「優れた生体内分解吸収性」も兼ね備えており、使いやすく生体に優しい革新的な接着剤として期待されている。

 一方、東亞合成は近年、モビリティ、エレクトロニクス関連の材料開発に注力するとともに、ヘルスケア分野についても、従来から販売を行う医療用接着剤「アロンアルフアA『三共』」に加え、数年前から化粧品原料や医療機器材料の新製品開発・拡充を推進している。今回のビーエムジーへの出資を通じて、医療用接着剤 「LYDEX」の開発・治験・普及を支援するとともに、同接着剤を利用した新規医療機器製品の共同開発を推進することで、両社の成長と事業の発展を目指していく考えだ。

 東亞合成グループは、オープンイノベーションによる外部有望技術の導入と同社コア技術を融合し、従来の事業領域を超えた新規キーマテリアルを提供する新ビジネスユニットを創出する目的で、今年1月に「新製品開発事業部」を新設した。同社は、今回の提携をこうした新たな取り組みの成果と捉えており、今後も中長期的な事業価値の向上と持続可能な社会の発展への取り組みを推進していく。