ポリプラスチックス 耐ディーゼル燃料性に優れた改良POMを開発

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2020年5月14日

 ポリプラスチックスは13日、低品質ディーゼル燃料や酸性雨への耐久性を向上させた、耐ディーゼル燃料性改良ポリアセタール(POM)「ジュラコン H140DR」を開発したと発表した。現在、自動車の燃料タンク周りの部品にはPOMが数多く使用され、同社製品も採用が進んでいる。

 自動車は電動化が加速しているが、商用車用途では一定数ディーゼルエンジンの需要がある。グローバル市場では、酸や硫黄が高濃度で含まれる低品質なディーゼル燃料が存在するため、標準的なPOMでは対応できないケースがあった。

 こうした市場課題へ対応するために、同社は、新グレード「ジュラコン H140DR」を開発。POMが持つ燃料系部品に必要な基本特性(機械物性・耐久性・溶着性など)を維持したまま、POMに悪影響を及ぼす酸や硫黄が高濃度で含まれる低品質のディーゼル燃料、酸性雨や酸性の洗浄剤などへの耐久性を改良した。さらに成形性の向上にも成功しており、グローバル展開が可能となっている。

 詳細データについては、ウェブサイトの同製品紹介ページ(https://www.polyplastics.com/jp/product/lines/pom_h140dr/index.html)に掲載している。

デンカ 「アビガン」原料のマロン酸ジエチルを生産開始

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2020年5月14日

 デンカは13日、新型コロナウイルス感染症の患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)の原料となる「マロン酸ジエチル」の生産を今月16日より青海工場(新潟県糸魚川市)にて開始すると発表した。

 同社は、新型コロナウイルス感染症への対策を社会的責務と捉え、生産設備の立ち上げ準備を最優先で進めてきた。今後も関係各方面と連携し、日本政府が緊急経済対策として決定した「アビガン」の備蓄量200万人分拡大に向け、5月末~6月にかけて出荷を開始し、確実な原料供給を行っていく考えだ。

 

千代田化工建設 米LNGプロジェクト最終系列に原料注入を開始

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2020年5月13日

 千代田化工建設はこのほど、同社の米国グループ会社である千代田インターナショナルが米・McDermott社とジョイントベンチャーを設立して遂行中の、米国ルイジアナ州Cameron LNGプロジェクトについて、第3系列に原料ガスの注入を開始したと発表した。

 2014年の契約締結以来、同ジョイントベンチャーは同プロジェクトの設計・調達・建設業務に従事してきた。すでに第1系列は昨年8月、第2系列は今年2月より商業運転を開始。第3系列が完成するとLNGの年間輸出量は1200万t超となり、米国メキシコ湾岸地域でも最大級のLNG生産設備になる。

 同ジョイントベンチャーは引き続き、同プロジェクトの完工に向け、安全かつ確実な遂行に注力していく。

 

東レ X線シンチレータパネルの輝度を向上、患者の負担軽減

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2020年5月13日

 東レは、蛍光体を用いた波長変換技術を活用し、輝度を従来比約30%向上させたX線シンチレータパネルを開発した。同パネルを肺疾患などの診断用医療用X線撮影装置のX線検出器に適用することで、より明瞭な患部の観察や被曝量の低減が可能となる。今年度初めから販売を開始する予定。

 医療用X線撮影装置のX線検出器は、一般的にX線を可視光線に変換する「シンチレータパネル」と可視光線をデジタル画像に変換する「フォトセンサーパネル」により構成される。

 シンチレータパネルはX線を吸収して可視光線を放射する厚さ数百ミクロンの蛍光体層からなっており、蛍光体としてCsI(ヨウ化セシウム)やGOS(酸硫化ガドリニウム)が用いられる。CsIは光透過性がよく輝度も高いが、長時間の蒸着工程や防湿シーリングが必要なため、高コストである。一方、GOSは基材に蛍光体を塗布するだけで製造が可能なため製造コストが低く、X線に対して高安定性・高耐久性であるが、輝度が低いという課題があった。

 同社は、ディスプレイ材料開発で長年培ってきた蛍光体による波長変換技術を活用し、GOSの輝度を大きく向上させる技術の実用化に成功。GOSの発光スペクトルのうち、フォトセンサーパネルの感度が低い短波長領域(350~400㎚付近)の光を、感度が高い波長領域(550㎚付近)の光に変換する第2の蛍光体をGOSに加える独自の配合技術を開発。この技術による蛍光体層「GOS-α」は、GOSの低コスト・高安定性・高耐久性のまま、輝度を約30%向上することを可能とした。

 同社はGOSを用いたX線シンチレータパネルの量産を2016年度より開始し、医療用の一般X線撮影用途で採用されている。今回開発した「波長変換型X線シンチレータパネル」を用い、さらに同社独自の高鮮鋭度化技術である「セル方式シンチレータ」と組み合わせることで採用範囲を拡大し、X線シンチレータパネル事業のさらなる拡大を目指す考えだ。

 同社の企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」を実現するために、社会を本質的に変える革新素材の創出に取り組み続ける方針。

ダイセル 新たな植物由来プラスチックをベンチャーと共同開発へ

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2020年5月13日

 ダイセルはこのほど、事業革新パートナーズ(BIPC:神奈川県川崎市)と、新たな植物由来プラスチックの共同開発を開始したと発表した。

 ダイセルは、植物由来セルロースを原料とする「酢酸セルロース」などのセルロース由来バイオプラスチックを長きにわたり製造。酢酸セルロースはグローバルに展開しており、繊維や液晶保護用などのフィルム、化粧品などの原料として利用されている。

 一方、BIPCは、膨大な資源量がありながら活用例の非常に少ない「ヘミセルロース」を原料とするバイオプラの開発に、世界で初めて成功したベンチャー企業。同社はこのバイオプラを「HEMIX」として2019年から販売しており、優れた海洋生分解性や流動性を持つ素材として、独自の化学合成技術と様々なプラスチック材料との混合技術を組み合わせ、新たな材料開発を積極的に進めている。

 セルロース由来バイオプラとヘミセルロース由来バイオプラは、いずれも植物由来で、海洋を含めた生分解性を持つなど環境に負荷を与えない自然回帰型のプラスチック。

 ダイセルとBIPCは、両社の様々な知見や技術、ネットワークを活用して互いの植物由来プラを組み合わせ、植物本来の多様な機能や特徴を引き出した新たなプラスチックの開発を目指している。

 現在は、樹木の特徴である強靭性を最大限に発揮しながらも、成形性や光学特性を兼ね備えた海洋生分解性プラスチックの開発を推進中だ。今後は、「100%植物由来」の新素材開発に挑戦し、ひいては地球環境問題の解決への貢献を目指していく考えだ。

 

三井化学 〝心悸〟3Dマスク目指し名大などと共同開発

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2020年5月13日

 三井化学はこのほど、「再使用が可能でありながら、ウイルス除去機能を持つ」特長を備えた新規立体型マスクの共同開発を開始した。

新規3D マスク 現行試作品
新規3D マスク 現行試作品

 名古屋大学大学院工学研究科の堀克敏教授、同大学発ベンチャーのフレンドマイクローブとの3者連携により、製品開発を行っていく。 

 新規マスクは、再使用する「マスク本体」と使い捨ての「フィルター」からなり、三井化学は、ウイルス除去効果のある不織布製使い捨てフィルターの素材を提供する。

 マスク本体は、堀教授が3Dプリンターで作成。今後は抗ウイルス効果を示す酵素製剤をはじめとする各種薬剤の探索も進め、マスク本体に適用することで、ウイルス除去効果に優れ、快適性とデザイン性を併せ持つ製品を想定している。三井化学によれば、上市時期は今秋以降とのこと。堀教授主導の下、まずは2、3カ月以内にモニター販売を開始する予定だ。

 同社は今回の取り組みを通じ、大学・大学発ベンチャー・材料メーカーが協力することで社会貢献となるソリューションを提案し、「次代を創る〝心悸〟製品開発」を目指していく。「心悸=心臓の鼓動」に〝心がはずむ新規製品〟の思いを込めた。

三菱ケミカル コロナ対策のガウンとフェイスシールドを供給

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2020年5月13日

 三菱ケミカルは12日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う医療現場での深刻な物資不足に対する支援を目的に、同社グループ保有の生産技術やノウハウを応用することでプラスチックガウンおよびフェイスシールドを開発し、子会社のジェイフィルムにて供給する体制を整えたと発表した。

本ガウンの装着イメージ
本ガウンの装着イメージ

 ガウンは、厚生労働省の指導の下、ポリエチレン製の雨合羽を改良して開発したもので、袖口に親指を通す穴をあけ袖めくれを防止する機能を付与したほか、使用後にガウンを脱ぐ際の接触感染リスクを低減するため、背面にミシン目加工を施し容易に脱ぐことができる仕様としている。加えて、1枚当たり100グラム以下と使用後の廃棄物削減にも配慮した。

 また、フェイスシールドは、食品包装トレーに用いるポリエステルシート製造技術と、化粧品ケース加工で培った折り曲げ罫線付与技術を応用したもので、透明性が高く、曇り防止機能を付与した製品。使用者自身で容易に切り抜き・組み立てでき、輪ゴムにより簡単にサイズ調整が可能だ。

本フェイスシールドの装着イメージ
本フェイスシールドの装着イメージ

 なお、月間生産能力はプラスチックガウンが2万枚、フェイスシールドが40万枚。5月初旬より一部の医療機関への寄付を行い、中旬からは厚労省をはじめ、一般の医療機関へも供給する。

 一方、同社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大防止に貢献する製品として、透明度が高く受付や窓口・レジなどで飛沫拡散防止に活用できるアクリル樹脂板「アクリライト」や、液体バリア性を保ちつつ水蒸気を透過するため高機能化学防護服の外装に使用される透湿性フィルム「KTF」などの製品も保有。これらの製品を必要とするユーザーに迅速かつ確実に提供できるよう、十分な供給体制を整えていく。

 同社は今後も、政府の策定する行動計画に基づき必要な対策を実行するとともに、政府や業界団体をはじめとする関係者と連携を図りながら、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めていく考えだ。

住友商事 アフリカでミニグリッド事業会社に出資参画

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2020年5月12日

 住友商事はこのほど、未電化地域の生活環境改善と新たな分散型電源事業への参入を目的に、サブサハラ地域でミニグリッド事業を展開するケニア共和国のWindGen Power USA(PowerGen社)に出資参画した。

ミニグリッドにより給電された給水ポンプを使用する人々の様子
ミニグリッドにより給電された給水ポンプを使用する人々の様子

 サブサハラ地域(アフリカのサハラ以南)の広範囲にわたる未電化地域には約6億人が居住し、ロウソクや灯油ランプなどを使い生活している。人口密度が低く、大規模な発電所や送電線網の整備に時間を要し、電化率向上が課題となっている。

 PowerGen社は、太陽光パネルや蓄電池、配電系統、スマートメーターなどを組み合わせたミニグリッドを、数百世帯規模の未電化集落に構築し、電力を安定供給している。2011年の設立以降、ケニア、タンザニア、ナイジェリア、シエラレオネを中心に、現在サブサハラ八ヵ国で事業を展開。業界では群を抜く150件超のミニグリッド建設実績と約1万5000世帯の顧客を持ち、ミニグリッドの案件開発から運用まで一貫して行っている。利用者は、冷蔵・冷凍庫や農業・産業用機械などの大電力消費量の電気製品を使用でき、使用量相当分の電気料金をモバイル端末から電子決済する。

集落に設置されたミニグリッド
集落に設置されたミニグリッド

 住友商事は2018年10月に、インフラ事業部門電力インフラ事業本部傘下に「Team New Frontier」を立ち上げ、電力ビジネスの新領域の開拓を行っている。今回の出資参画は、アフリカで従量課金制ソーラーホームシステム事業を展開するM‐KOPA Holdingsへの出資に続き、未電化地域での新たな電力ビジネスモデル構築のために実施するもの。

 住友商事は、世界中で取り組んできた電力ビジネスの知見・ノウハウと、グローバルでの強固なネットワーク・プレゼンスを生かし、PowerGen社のさらなる成長を後押しする。同社と共に環境負荷の低い分散型電源の普及を促進することで、クリーンな循環型地域社会の実現に貢献する考えだ。

 

ユニチカ 医療現場向けガウン400万着を緊急供給へ

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2020年5月12日

 ユニチカの子会社であるユニチカトレーディングはこのほど、新型コロナウイルス感染拡大防止に関して医療現場で不足しているアイソレーションガウンを緊急生産するため、防護服メーカーのエイブル山内と連携し、国内と海外の縫製工場との生産体制を確立した。4月から生産をスタートさせており、9月末までに約400万着を関係省庁に供給する計画。

 新型コロナウイルスが広がる現状で、病院での院内感染を防ぐことが喫緊の課題になっている。同社は、医療崩壊を防ぐために、医療現場で不足しているアイソレーションガウン(ディスポーザブルタイプの簡易予防服で、メディカルガウンなどの手術衣とは異なり病院内の様々な場面で使用されるガウン)が少しでも早く医療従事者に届くよう、協力会社とともに取り組んでいる。

 ユニチカグループは国内で「エルベス」や「コットエース」などの差別化された不織布を製造しているが、エイブル山内との共同開発により、優れた感染防止素材を安定供給することが可能となった。

 同社は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府の策定する行動計画に基づき、素材提供だけでなく医療従事者への有効な対策を実行していく方針だ。

三菱ケミカル 有機と無機のハイブリッド技術基盤を拡充

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2020年5月12日

 三菱ケミカルはこのほど、ケイ素化合物・金属化合物メーカーGelest(米国・ペンシルバニア州)を買収すると発表した。今秋をめどに、米国子会社のMitsubishi Chemical America(MCA)を通じて、Gelestの支配権を持つGelest Intermediate Holdingsの全株式をNew Mountain Capitalより取得する予定。

 Gelestは、コンタクトレンズ原料や抗菌剤などの有機ケイ素材料、特殊アクリレート、半導体プリカーサーなどに用いられる金属化合物、樹脂添加剤用途の有機化合物およびそれらを組み合わせた複合化合物の領域について、高度な分子設計と合成技術を持つ。ヘルスケア、エレクトロニクスといった幅広い市場向けに事業展開しており、顧客の要望に対して他社と差異化された的確なソリューションを提供することを得意としている。

 MCAのYurich社長は「Gelestの高度な研究開発力、卓越した製品化力と顧客から厚い信頼に、三菱ケミカルグループの経営資源や顧客ネットワークを活用することで、Gelestの技術力の市場展開を加速し、顧客に新たなソリューションや価値を提供できる」と述べている。

 三菱ケミカルが蓄積してきた主として炭素化学分野の高度な技術と、Gelestの広範囲なケイ素化学・金属化合物などの研究開発力、製品化力を組み合わせることで、両社の素材の設計力、提供可能なソリューションの幅を拡充する。加えて、Gelestが培った技術力と三菱ケミカルの経営資源や顧客ネットワークを組み合わせることにより、デジタル社会基盤の発展や医療進化など将来の社会課題を起点とする市場ニーズに対して、これまで以上に貢献していく。

 三菱ケミカルは、今後もテクノロジープラットフォームの強化を図り、成長市場での積極的な研究開発と事業展開をすることにより、一層の成長を目指す考えだ。