JEPSA リサイクル率89.5%、埋立処理が増加

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2020年6月25日

 発泡スチロール協会(JEPSA)は24日、2020年記者発表会を開催した。

青井新会長 中面
青井新会長

 今年度から就任した青井郁夫会長(カネカ常務執行役員)が挨拶に立ち、「政府から『プラスチック資源循環戦略』と『海洋プラスチックごみ対策アクションプラン』などが公表され、社会からもプラスチックの資源循環が大きく注目されている。また、コロナ禍でオリンピック・パラリンピックが延期になるなど、世界経済に及ぼす影響はリーマンショック以上といわれている。こうした中、発泡スチロール(EPS)の用途の創出・拡大は例年以上に重要な課題だ」との認識を示した。

 続いて2019年のEPS業界の概略を説明。昨年の出荷実績は前年比2%減の12万8000tとなった。青井会長は「合計では減少したが、 “JEPSA リサイクル率89.5%、埋立処理が増加” の続きを読む

産総研 衛星データを活用、全球地表面のカラーレーダー画像を公開

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2020年6月24日

 産業技術総合研究所(産総研)人工知能研究センターと産総研・東工大実社会ビッグデータ活用オープンイノベーションラボラトリは、地球観測衛星が取得したビッグデータを、産総研が保有する人工知能処理向け計算機ABCIを利用し画像処理することで、全世界を対象に地表面の状態を色分けしたカラーレーダー画像を作成した。その画像を専用サイト(https://gsrt.airc.aist.go.jp/landbrowser/index.html)で公開している。

 従来の衛星運用システムでは、計算能力の不足から衛星データは部分的に画像処理されるだけで、タイムリーな利用がなされていなかった。今回、ABCIを用いて、2011年までの衛星マイクロ波センサーPALSAR運用期間中の全データ(約200万シーン、700TB)の画像処理を行い、処理時間や画像品質上の実用性を評価。さらに、地表面状態の詳細な解析のために4偏波モードで取得したデータに散乱電力分解を施し、地表面を状態に応じて色分けした。     

ABCI上でのレーダー画像のカラー化
ABCI上でのレーダー画像のカラー化

 例えば、体積散乱が多い森林部分は緑色、表面散乱が見られる伐採地は青色、伐採後に草木が成長すると2回反射散乱を示す赤色といった具合に、広範囲な地表面の時系列変化が容易にわかるように処理した。

 今後、増え続ける衛星データに対し、ABIC上での衛星ビッグデータ処理を各衛星データへ拡大し、他の衛星データプラットフォームと連携させて、衛星能力をフル活用できる仕組みを構築する。さらに、種々の衛星データ(光学センサー、マイクロ波センサー、ハイパースペクトルセンサーなど)を統合的に分析し全球の変化を効率的に捉えるためのフレームワーク構築を目指す考えだ。

 なお、専用サイトの処理画像は、誰もが無償で加工・編集・再配布などが可能なオープン&フリーポリシーで公開。産総研では、衛星データ利活用への参入障壁を低減することで、産業界での新たな衛星データ利用の促進やグローバル観測という衛星観測の利点を生かした、違法森林伐採や食糧生産管理といった地球規模の社会課題解決への貢献を期待している。

南米での森林伐採の様子を色の推移で示す
南米での森林伐採の様子を色の推移で示す

大日本住友製薬 医療関係者向けに新たな情報提供を開始

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2020年6月24日

 大日本住友製薬はこのほど、医療関係者向けサイト(https://ds-pharma.jp/)を活用し、デジタル技術を介した新たな情報提供として、オンライン会議システムを用いた「iMR」(リモートのMR)による予約面談、および新規オリジナルキャラクター「vMR」(バーチャルのMR)による動画コンテンツ配信を開始した。

 同社は、これまでMR(医薬情報担当者)による医療関係者への情報提供に加えて、ウェブ講演会などデジタル技術を介した情報提供に積極的に取り組んできたが、新たな2つのコミュニケーションチャネルを追加した。

 「iMR」は、リモート専任MRによるオンライン会議システムを用いた情報提供で、双方向の対話型コミュニケーションが可能。医療関係者向けサイト上に新規導入したチャットボット(PC、タブレット端末に対応済、スマートフォンでも対応予定)から事前に予約した日時に、リモート専任MRが非定型抗精神病薬「ラツーダ」を中心とした精神科領域の製品に関する情報を提供する。

 一方、「vMR」は、3人のオリジナルキャラクターが、同社の医療関係者向けサイトや外部提携サイトのコンテンツに登場。バーチャルのMRとして、同社製品、対象疾患または医療行政について説明。今後は、様々な製品や疾患領域についても順次コンテンツの拡充を予定している。

 昨今、MRの対面による医療関係者への情報提供活動は、新型コロナウイルス感染症の影響によって困難となり、その状況は未だ完全には回復していない。同社は対面でのコミュニケーションを引き続き重視しつつ、医療関係者の多様なニーズに柔軟に対応するため、今後もデジタル技術を積極的に活用し、医薬品の適正使用推進のための情報提供活動に努めていく。

 

JXTGエネルギー 鶏卵向け天然赤色系色素入り混合飼料を新発売

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2020年6月24日

 JXTGエネルギーはこのほど、独自の発酵技術を生かした商品「Panaferd(パナファード)」のラインアップの1つとして、新たに鶏卵用の天然赤色系色素を含む混合飼料「パナファード‐D」の販売を開始した。

「Panaferd-D」
「Panaferd-D」

 近年、食の天然志向への高まりを背景に、畜産物飼料についても、より安心・安全な天然色素の安定供給が求められているが、今回販売を開始した新製品は、独自の発酵技術を用いて製造しているため天候に影響を受けず、安定的な供給が可能なもの。

 また従来品の鶏卵用「パナファード‐P」と同様、遺伝子組み換えを一切行わない独自の発酵技術を用いて製造しており、さらには課題であった飼料製造工程での混合性の向上や、付着・飛散ロスの低減を実現した、飼料会社のニーズに対応する商品となっている。

Panaferd-D給餌有無の比較  給餌あり(左)、給餌なし
Panaferd-D給餌有無の比較  給餌あり(左)、給餌なし

 同社は、以前から天然色素であるカロテノイドの一種、アスタキサンチンの生産プロセスを開発し商品化に取り組んでおり、これまで水産用の色揚げ飼料「パナファード‐AX」や、鶏卵用に「パナファード‐P」を販売。これらの商品は、抗酸化作用を持つとされるアスタキサンチンに加え、さらに高い酸化予防効果のあるレアカロテノイド(アドニキサンチン・アドニルビン)が含まれており、他社に例のない特有の組成になっている。

 同社は今後も、グループの行動基準の1つである「価値ある商品・サービスの提供」の下、独自の天然素材の開発と安定的な供給を推進し、ニュートリション領域でのさらなる事業拡大を追求していく考えだ。

三井化学 ヒトの体温で自己粘着性が発現する新素材を開発

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2020年6月24日

 三井化学は23日、ヒトの体温を感知して自己粘着性を発現する「体温感知自己粘着シート」を開発し、顧客へのマーケティングを本格的に開始したと発表した。

面ファスナーと体温感知自己粘着シート(右)の厚み比較
面ファスナーと体温感知自己粘着シート(右)の厚み比較

 同新素材の最大の特長は、体温で自己粘着性が発現すること。糊を使用せず、シートそのものを人肌に加温することでシート同士が引っ付く性質を持つ。糊成分は不使用のため接着面に糊残りの心配もなく非常に衛生的で、貼り剥がしも繰り返し可能だ。また、素材自体の高い透明性を生かした、商品のデザイン性や意匠性の向上も期待されている。

 同社が想定する用途の1つに、面ファスナーの代替がある。このシートを使用することで、面ファスナー使用時の不満点、例えば、接着面への糸屑などのゴミ付着、破損、着脱時の「バリバリ」という音などを解消できるほか、厚みもより薄く抑えられることから、商品のデザイン性向上にも寄与する。

センサー装着イメージ図
センサー装着イメージ図

 さらに、体温で柔らかくなりカラダにフィットする性質を利用し、衣料(インナー、シューズ、スポーツ、アウトドアなど)、服飾雑貨(腕時計のベルト、眼鏡、ベルト、玩具など)、医療・介護用品(サポーター、バンド、防護服、フェイスマスクなど)の各産業分野での固定部材として、幅広い用途が考えられる。

 新型コロナウイルスの影響により、リモート社会へのパラダイムシフトが始まった社会では、ウエアラブル、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、eスポーツ、医療IoTなどの新たな市場で、カラダに装着するデバイスの需要が急拡大することが予想される。三井化学では、この急成長が見込まれる新市場にも貢献できる新規な素材として、開発品の体温感知自己粘着シートのマーケティング活動を本格化し様々な用途展開を探索していく考えだ。

NEDO 羽田空港地域で自動運転の実証実験を開始

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2020年6月23日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、羽田空港地域で、自動運転技術を活用した次世代公共交通システムの実現に向けた実証実験などを開始した。

 NEDOが管理法人を務める戦略的イノベーション創造プログラム第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」では、交通事故の低減や交通渋滞の削減などの社会的課題の解決を目指して、自動運転実用化に向けて産学官共同で取り組むべき共通課題(協調領域)の研究開発を進めており、同実証実験はその一環。昨年10月から、臨海副都心地域の公道で実験用車載器を搭載した自動運転車を走行させ、信号灯火色などの交通インフラが提供する情報の有効性検証などを行っている。

 今年3月からは羽田空港と臨海副都心を結ぶ首都高速道路で、合流支援情報などを活用したインフラ協調型システムの実証実験を開始した。6月からは、羽田空港第3ターミナルと羽田空港跡地第1ゾーンを結ぶ公道で、磁気マーカー、高度道路交通システム(ITS)無線路側機を活用した公共車両優先システム(PTPS)、信号情報提供、高精度3次元地図などを利用した実証実験をスタート。バスの定時性の向上、磁気マーカーを活用した自動運転の実現、緩やかな加減速やバス停への正着制御などによる安全で快適な走行など、運転自動化「レベル4」相当の次世代型公共交通システムの実現を目指す。

 今後、東京臨海部での実験走行のデータを分析し、技術、精度、社会的受容性に関する課題解決への取り組みを促進し、実用化と普及の加速を図る。羽田空港地域での実証実験の成果を基に、次世代型公共交通システムを展開して、高齢者や交通制約者などの移動の確保やドライバー不足の改善・コスト低減などの社会的課題の解決に貢献していく考えだ。

BASF 知財権保護に成功、HMO類似品は販売停止

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2020年6月23日

 BASFと米Glycosyn(グリコシン)社はこのほど、BASFが特許を持つ過敏性腸症候群(IBS)に有効なヒトミルクオリゴ糖(HMO)製品について、米Amazon.comでの類似品の販売無効化に成功したと発表した。

 BASFは米国特許に基づいてアマゾン模造品対策プログラム(特許中立評価)を申請、知的財産権侵害を申し立てていた。グリコム社(デンマーク)製品「ホリゴス(Holigos)IBS」と「ホリゴスIBSレストア」の削除を求めていたもので、これによりこれら製品のアマゾンでの購入はできなくなった。

 BASFは、ヒト母乳特有のオリゴ糖2,フコシルラクトース(2,‐FL)に関する特許と技術情報を、グリコシン社からライセンス供与されている。グリコシン社は、HMOの開発を専門とする世界有数のテクノロジー企業で、胃腸の健康を改善するHMOの生産と使用に関する知財とノウハウを確立・所有している。BASFは、2,‐FL製品「PREBILAC(プレビラック)」を昨年発売し、消化器系の健康をサポートする栄養補助食品の商品化に、顧客と共に取り組んでいる。また新たな科学的根拠により、2,‐FLが健康的な腸内フローラと免疫調節機能に貢献することも判明。2,‐FLのプレバイオティクス機能はヒトの胃腸の健康をサポートし、消化器系疾患に対する抗炎症剤としても作用する。

 BASFは、「当社は他の企業と個人の知的財産を尊重している。今回の手続きは、当社の知的財産とライセンス供与を受けた知的財産の保護と強化に対する継続的な取り組みの一環」と説明している。

 

JXTGホールディングス ドローンステーション構築に向けた協業を開始

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2020年6月23日

 JXTGホールディングスはこのほど、センシンロボティクスと、将来のドローンステーション構築に向け協業を開始すると発表した。なお、協業開始に先立ち、今月12日、JXTGはJXTGイノベーションパートナーズを通じ、センシンロボティクスに資本参画している。JXTGグループは、デジタル革命の進展や社会ニーズの変化を好機と捉え、既存事業の枠を超えた新たな事業の創出・実行に向け、積極的な取り組みを推進。

 一方、スタートアップ企業のセンシンロボティクスは、ドローンをはじめとするロボティクスソリューションにより、設備点検、災害対策、警備・監視を中心に様々な領域に関する社会課題の解決と、関連業務の完全自動化に取り組んでいる。

 両社は、これまでにも石油事業のプラント設備点検の取り組みを行ってきた。こうした中、JXTGは、近い将来ドローンが飛躍的に活躍する社会を見据え、あらゆるドローンの離発着と、太陽光などの環境配慮型エネルギー供給の拠点としてのドローンステーション構想を描いている。

 その実現に向け、両社は今回の協業の中で、センシンロボティクスが提供する完全自動運用型ドローンシステム「SENSYN DRONE HUB」の活用について実行計画を策定し、2023年をめどに設備開発・実証を行っていく。また、同時にドローンを活用した設備点検、災害対策、警備・監視に関する新たなソリューションの開発にも取り組む。

 両社は、最新のロボティクス技術の積極的な活用により、顧客や社会が求めるサービスを創出し、社会の発展と活力のある未来づくりに貢献していく考えだ。

三洋化成 超軽量透明断熱材開発のベンチャー企業に出資

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2020年6月23日

 三洋化成工業はこのほど、板状の超軽量透明断熱材「SUFA(スーファ)」の事業化を進める素材系ベンチャーのティエムファクトリ(東京都港区)に出資を行った。「SUFA」の事業化を支援し、持続可能な社会の実現に貢献していく方針だ。

 地球温暖化防止対策は喫緊の社会課題であり、温室効果ガス(CO2)の排出量削減が強く求められている。省エネ対策の一環である冷暖房の効率向上や熱の有効利用の面から、断熱材の重要性が再認識されている。

 「SUFA(Super Functional Air)」は、ティエムファクトリと京都大学が開発した全く新しい断熱材(板状エアロゲル)で、高い断熱性能に加え超軽量で透明度が高いといった特長を持つ。エアロゲルは固体の中で最軽量・最断熱性の材料であるが、作製には超臨界乾燥装置が必要なため、コストが高いことが課題。今回、ティエムファクトリの独自処方により、特殊装置を使用することなく、高透明度の大判エアロゲルを作製することに成功した。熱伝導率も約0.013W/m.Kと世界最高レベル。透明で軽量なことから、窓や透明部の断熱といった住宅や自動車、保冷物流などへの搭載が期待できる。

 両社はこの共同開発を通じて、界面制御技術や機能化学品との融合、ウレタンフォームとの複合化といった「SUFA」の価値向上や事業化を促進する。さらに、無機素材の技術知見やノウハウを生かして、潜在顧客の開拓や幅広い断熱ソリューションの提供につなげる考えだ。

 三洋化成は、多様なニーズにスピーディーに応えるためのオープンイノベーションに取り組んでおり、引き続き有望な技術への積極的な投資を通じ、有力事業の支援や新規事業の創製を目指す。

エボニック CO2を化粧品原料へ転換、共同研究を開始

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2020年6月22日

 独エボニックインダストリーズはこのほど、独バイヤスドルフとCO2を出発原料とするサステナブルな化粧品原料開発の共同研究パートナーシップを結ぶことに合意した。なお、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)から約100万ユーロの資金提供を受けている。

 革新的で高品質なスキンケア製品を供給しているバイヤスドルフは、カーボンフットプリントを削減できる原料を模索しており、人工光合成は選択肢の1つ。自然界の光合成をモデルに、太陽光エネルギー由来の電力とバクテリアを用いて、水とCO2から原材料を生成するアイデアだ。

 バイヤスドルフのシャナー研究開発担当上級副社長は、「両社共同で、製造する原料と応用する製品を見極めていく。このような取り組みは化粧品業界では始まったばかりで、共同研究に参画できたことを誇りに思う」と述べている。

 エボニックの人工光合成のハース責任者は、「CO2を出発原料とすることで、自然界の光合成と同様の循環型炭素サイクルが可能となる」とコメント。人工光合成関連の製品群を拡大する機会と捉え、「頼もしいパートナーとともに、サステナブルなCO2由来の製品を含むバリューチェーンを拡大していく」考えだ。

 この共同研究は、両社の協業に加え、昨年9月に始動したBMBFのプロジェクト、「パワー・トゥー・エックスⅡ(P2XⅡ)」に参加することを意味する。P2XⅡは、エネルギー転換分野に関するドイツ最大の研究イニシアチブ「コペルニクス・プロジェクト」の1つ。P2XⅡだけで42ものパートナーが参画しており、再生可能エネルギーを活用した高品質な製品を製造するためのプロセス開発を目指している。