信越化学工業 パーソナルケア用揮発性シリコーンオイルを開発

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2021年5月18日

 信越化学工業は17日、新しいタイプの揮発性シリコーンオイル「KF-4422」を開発したと発表した。

新規揮発性シリコーンオイル「KF-4422」
新規揮発性シリコーンオイル「KF-4422」

 揮発性シリコーンオイルは、スキンケアやメイクアップ、日焼け止めなどの各種パーソナルケア用品に使用されている。同製品は、各種パーソナルケア用品の使用感を改善するとともに、シリコーン系皮膜形成剤との併用によって高い耐水性を付与することも可能。

 新製品「KF-4422」は、ジメチルシリコーンオイル(化粧品表示名称:ジメチコン)の分子構造のメチル基の一部をエチル基に置換した高純度の揮発性シリコーンオイル。揮発性があるため、シリコーン特有の軽くさらっとした使用感が得られ、揮発速度は、従来品の「KF-995」と「KF-96L-2CS」の間に位置する。また、従来品と比較して、炭化水素油や紫外線吸収剤などとの相溶性に優れているのが特長。パーソナルケア用品の開発には、使用感を改善する際に微妙な感触の違いが求められており、同製品は顧客の要望に応えることが期待される。

 シリコーンは、オイルやエマルジョン、ゲル、パウダーなどの各種製品があり、しかも多機能で安全性が高いことから、各種パーソナルケア用品の高機能化、高品質化に不可欠な化粧品原料になっている。

 同社は、優れた品質と技術力、そしてきめ細かな対応で、今後も多様化する市場のニーズに応えていく。

エレファンテック レーザー併用しFPC微細加工を開発

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2021年5月17日

 プリンテッド・エレクトロニクス製造技術の開発やサービス提供を行うエレファンテックはこのほど、レーザー加工とインクジェット技術を併用した片面フレキシブル基板(FPC)の配線パターンの微細加工技術を開発し、同技術により生産する「P-Flex PI」の受注を開始した。この技術は、NEDO助成事業の成果の一部を活用したもの。

今回受注を開始する100/100μmの「P-Flex PI」

 同製品の大きな特長は3つ。①同社主力製品の片面FPC「P-Flex」と同様にインクジェット技術をベースにした製法のため、環境負荷が低く、柔軟な試作・量産への対応が可能で、高いコスト競争力を維持できる。また、②レーザー技術の活用によって、最小線幅/線間(L/S)が従来の200/200㎛から、100/100㎛まで対応可能になり、さらに今後は、50/50㎛にも対応していく予定だ。加えて、③「インクジェットによるパターンの大枠形成」と「レーザー加工による最終仕上げ」と2つの技術を組み合わせることにより、従来のレーザーの弱点であったスピードを克服し、量産性と微細化の両方を実現した。

『P-Flex PI』のインクジェットとレーザーの併用のイメージ
「P-Flex PI」のインクジェットとレーザーの併用のイメージ

 具体的な工法としては、インクジェットにより銀ナノ粒子を印刷したあと、レーザー加工で一部の銀ナノ粒子を削り飛ばし、銀ナノ粒子をシード層として無電解銅めっきによって配線を形成するというもの。これまでもレーザー加工で配線パターンを形成する方法は考案されていたが、加工時間が問題となり量産には不向きな製法であると考えられていた。今回、同社のもつ高精度なインクジェット印刷技術とレーザー加工組み合わせ、インクジェット印刷技術で精度が足りない部分のみレーザーで追加工する方式によって、量産性を損なうことなく、また、版や型を使わない利点も維持したまま、より高精細なパターン形成が可能になった。

 IoTやAIのニーズが高まる中、より一層微細化に対応したフレキシブル基板が求められている。こうしたニーズに応えるため、同社ではインクジェット技術を軸に「P-Flex」の改良を重ね、その微細化対応を加速させるためにレーザー技術を活用した製品を新たにラインアップに加えた。

三井化学 市原工場で「ルーカント」新設備が営業運転

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2021年5月13日

 三井化学は12日、市原工場(千葉県市原市)内に炭化水素系合成油「ルーカント」の新プラント(年産2万t)を建設し、4月から営業運転を開始したと発表した。これにより、岩国大竹工場(山口県和木町)と市原工場の2拠点供給体制となり、世界の旺盛な需要に対応するとともに不測の事態の事業継続性を強化する。

市原工場で営業運転を開始した「ルーカント」 新プラント

 「ルーカント」は、同社が世界で初めて商品化した高性能炭化水素系合成油。粘度の温度依存性が小さく、剪断安定性・熱化学的安定性に優れているなどの特長をもつ。それらの特長から、極めて高品質が求められる自動車ドライブラインのギア油、工業用潤滑油やグリースなどの粘度調整剤として採用。主要な自動車メーカーや潤滑油メーカーに認証されており、低環境負荷ニーズの高まりの中、省燃費や長寿命に貢献するものとして世界的に需要の増大が見込まれている。

 三井化学は、潤滑油添加剤パッケージ最大手のルーブリゾールとの戦略提携を行っており、両社で潤滑油市場での「ルーカント」事業のさらなる拡大と成長を図る。また、三井化学独自の取り組みとして、エラストマー、エンプラ改質用途など、機能性液状ポリマーとしての積極的な市場・用途開発に取り組んでいく考えだ。

富士フイルム 抗ウイルスフィルム、独自抗菌技術で効果持続

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2021年5月13日

 富士フイルムはこのほど、独自の抗菌技術「Hydro Ag+」で抗菌・抗ウイルス効果が長く持続する業務用の抗ウイルスフィルム「ハイドロ エージープラス ウイルスプラス」を今月下旬より発売すると発表した。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して99.4%以上のウイルス不活化効果を示し、SIAA(抗菌製品技術協議会)「抗ウイルス加工」マークの取得申請を予定している。

 銀系抗菌剤と超親水ポリマーを組み合わせることで、フィルム表面を銀系抗菌剤でコーティングするだけでなく、膜中の銀系抗菌剤からも銀イオンが表面に常に供給されるため、長期間にわたり高い抗菌・抗ウイルス性能を持続する。不特定多数の人が触れる公共施設のタッチパネルやデジタルサイネージ、タブレットやスマートフォンのディスプレイなどに貼ったり、医療施設やコンビニ、タクシーなどでの飛沫防止パーティションとして使うことで、付着したウイルス数を減少させ、日常生活での感染リスクを軽減させることが期待できる。

 クリアタイプとマットタイプの2品種があり、クリアタイプは透明性が高く、ディスプレイの色やコントラストをクリアに再現する。特殊な親水性コーティングにより油や水をはじき、付着した指紋や汚れを簡単に拭き取ることができる。マットタイプは反射による映り込みを低減し、特殊な撥水性アンチグレアコーティングにより画面操作時に指紋などがつきにくい。

 同社は、この技術を活用した殺菌成分配合ハンドジェルやアルコールクロス、アルコールスプレーを医療や介護の現場、一般家庭向けに展開しており、いずれの製品も新型コロナウイルスの持続的な不活化効果を確認している。これからも先進独自の技術によって、人々の生活の質の向上に貢献する製品を開発・提供していく考えだ。

ユーグレナなど バイオプラ技術開発コンソーシアム設立

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2021年5月13日

 ユーグレナ、セイコーエプソン、日本電気の3社はこのほど、東京大学と共同でバイオマスプラスチックの1つ「パラレジン」の技術開発・普及推進を目的とする「パラレジンジャパンコンソーシアム」を設立したと発表した。微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の貯蔵多糖「パラミロン」を使ったプラスチックだ。

 パラミロンはβ-1,3グルカンからなる多糖類だが、同じ多糖類のセルロース(β-1,4結合)とは異なる立体構造をもつため、流動性を良くできる。またユーグレナの培養方法を調整することで、高密度で生成させることが可能だ。古紙や食物残渣などのセルロースの糖化物をユーグレナ培養の栄養分とすることで、環境負荷となる廃棄物を活用した非可食バイオマスプラスチックによる資源循環システムの構築を目指す。

 「パラレジン」の安定供給実現に向け、各段階の技術をもった3社が幹事企業としてコンソーシアムを組み、各社のノウハウを生かして実用化を加速させる。ユーグレナはパラミロンの規格化、エプソンは古紙・廃棄物の糖化プロセスの検討、日本電気はパラレジンの規格化と利活用の検討など各々のワーキンググループを推進し、東京大学岩田忠久教授がコンソーシアム活動への助言、顧問の取りまとめを行う。現在8社と1自治体が参画しており、2030年に年間20万t規模の供給を目指している。

NEDOなど 野菜市場価格のAI予測サービス提供を開始

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2021年5月11日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は3月より、ファームシップと豊橋技術科学大学が人工知能(AI)を活用して開発した野菜市場価格の高精度予測サービスの無償提供を開始した。

 NEDOは「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」事業の一環として、東京都中央卸売市場大田市場のレタス価格を月次で予測する市場価格予測アルゴリズムを実証。今回、レタスに加えトマトやイチゴなど5品目の市場価格を週次単位で高精度に予測する仕組みを開発した。

 植物工場はその効率的生産性により生産量を伸ばしているが、その需要は露地野菜の価格に左右され、廃棄や販売の機会損失が生じている。それに対し、同事業は植物工場の野菜栽培過程や流通でのビッグデータを収集し、AIで需給をマッチングし、野菜の成長や物流などを最適化し、バリューチェーン全体を効率化することで、野菜の廃棄や販売機会損失の低減を目指している。

 2018年から東京大学がセンサー技術、豊橋技術科学大学が需要予測技術、パイマテリアルデザインが生育予測技術、そしてファームシップがトータル・システム効率化技術の開発を担当し、生産・流通・販売の現場データを活用した需要予測システムと成長制御システムを開発し、レタスの価格予測の実証を行ってきた。大田市場のレタス市場価格と植物工場のレタス需要量の相関関係に着目し、これまでのレタスの市場価格などのビッグデータをAI機械学習で解析し、1週間先のレタス市場価格を高精度で予測する仕組みを開発した。

 今後3者は、この実証を通じて需要予測システムと生育予測や成長制御を統合した生産制御システムの有効性を検証していく。また、ファームシップは需要予測値と実績の精度を確認した上でシステムの充実・強化を図り、ファームシップと豊橋技術科学大学はこの実証データをもとに、「AIによる植物工場等バリューチェーン効率化システム」の研究開発を進め、栽培する野菜の成長制御や物流など各プロセスの最適化を組み合わせてバリューチェーン全体の効率化を目指す。

野菜市場価格の予測サービスの仕組みイメージ
野菜市場価格の予測サービスの仕組みイメージ

 

三菱ケミカル 速硬化型炭素繊維プリプレグを販売、1分で硬化

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2021年5月11日

 三菱ケミカルは10日、従来品より硬化時間を大幅に短縮した、 最短1分で硬化可能な速硬化型の炭素繊維プリプレグの販売を4月から開始したと発表した。

 航空機や自動車などのモビリティ用途では、環境規制などを背景に機体車体の軽量化要求が高まっており、軽さと強度を兼ね備える炭素繊維複合材料(CFRP)の利用が進む見込み。また、今後普及すると見られるウェアラブル端末向けにも、CFRPが有望視されている。

 一方、一般的にCFRPの成形加工は時間がかかるため、CFRPのさらなる普及には、生産性を向上させる技術が求められている。同プリプレグは、同社が独自に開発したマトリックス樹脂を適用することにより、これまで実現が難しかった、最短1分での速硬化性と、従来品と同レベルの保存安定性を両立。自動車部材に要求される耐熱性も兼ね備えており、高い機械的強度ももつ。既にサンプルワークを進め、一部製品での採用も決まっている。

 同社は、多様化・高度化する顧客の要望に応える複数の新製品の開発を進めており、今後も引き続き、最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していく。

速硬化CFRPプリプレグ 硬化時間
速硬化CFRPプリプレグ 硬化時間

BASF 全農と協業で栽培管理最適化AIサービス開始

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2021年5月10日

 BASFはこのほど、子会社のBASFデジタルファーミング社(ドイツ)が、AIベースの栽培管理最適化デジタルプラットフォーム「ザルビオ フィールドマネージャー」の水稲と大豆を対象にしたサービスを日本で開始すると発表した。すでに16カ国、500万㏊以上の農地で利用され、アジア太平洋地域では最初の上市となる。

 播種から収穫まで、各圃場・ゾーンで作物ごとに包括管理するデジタル・ソリューションで、過去の栽培データや作物の種類、生育モデル、気象データ、緩衝地帯と環境負荷、農薬登録情報、病害リスクや衛星データなど多様なデータをAIで分析し、圃場ごとのリアルタイム情報と推奨作業を提供する。これにより栽培管理計画が立てやすくなり、作業を最適化できる。

 日本の「ザルビオ フィールドマネージャー」には、水管理、種子処理と育苗箱処理、水稲に特化した「バイオマスマップ」、0.5㏊未満の農地でも利用可能な「NAVIマップ」、雑草防除支援機能など、国内のニーズに合わせた機能が含まれる。BASFはJA全農と協力し、国内圃場で水稲と大豆の実証実験を行い、生育ステージ予測と病害発生予測で高い的中率を示すデータを得た。

 すでに一般公開している病害・雑草の画像診断システム「ザルビオ スカウティング」と連携し、病害と雑草を撮影しアップロードすると圃場の病害・雑草をより正確に特定し、適切な対策をとることが可能だ。対象を的確に捉えたタイムリーな農薬散布で、コストと環境影響を低減できる。スマート農業対応の散布ドローン、GPSナビゲーション付きトラクターや圃場センサーなどとの連携も拡大する予定で、精密で効率的、持続可能な作物栽培を実現する。

 JA全農が開発・運用している営農管理システム「Z-GIS」と連携し、両システムのデータを同期し管理できる。両者はこの協業を継続し、圃場の規模や分散にかかわらず幅広い生産者が活用できるよう普及活動を行い、対象作物の拡大も予定している。

 「ザルビオ フィールドマネージャー」には無料プランと、より高度な機能を提供する有料プランがあるが、より多くの生産者に体験してもらうため、7月末まではすべてのサービスを無料で提供する。

カネカ 生分解性ポリマー使用ストローがファミマに採用

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2021年5月10日

 カネカはこのほど、「カネカ生分解性ポリマーGreen Planet」を使用したストローがファミリーマートに採用されたと発表した。先月末からファミリーマートの「ファミマカフェ」と紙パック飲料向けストローとして、全国の一部店舗で順次導入されている。

店舗で使用されるストロー
店舗で使用されるストロー

 ファミリーマートは環境に関する中長期目標「ファミマecoビジョン2050」の中で、環境配慮型素材の使用割合を高めることにより環境対応の推進を目指している。

 同ポリマーはカネカが開発した100%植物由来の生分解性ポリマー「PHBH」。海水中で生分解する認証「OK Biodegradable MARINE」(30℃の海水中で生分解度が6カ月以内に90%以上になる)を取得しており、幅広い環境下で優れた生分解性を示す。今回、環境負荷低減に貢献する点が評価されて採用された。

 今後も「カネカは世界を健康にする。」という考えの下、ソリューションプロバイダーとしてグローバルに価値を提供し、「Green Planet」の展開を通じて環境汚染問題の解決に貢献していく考えだ。

東亞合成 次亜塩素酸水を発売、コロナ対策などに貢献

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2021年5月10日

 東亞合成はこのほど、次亜塩素酸水溶液「アロンジアクリーン200」を開発し、今月1日から販売を開始した。

 次亜塩素酸水溶液は、次亜塩素酸ソーダを希塩酸でpH調整したもの。除菌能力が高く、行政機関により新型コロナウイルス対策として消毒・除菌効果が確認されている。

 「アロンジアクリーン200」についても、ヒトコロナウイルスの除菌効果をはじめ、赤カビや黒カビなどへの有効性、消臭効果や安全性(急性経口毒性、皮膚刺激性、目刺激性)を外部機関などで確認。また、経時変化に伴い有効塩素濃度が低下するものの、未開封で冷暗所に保管した場合、製造日から12カ月間は、厚生労働省・経済産業省・消費者庁が推奨する使用濃度(80㏙以上)を下回らないことも確認している。

 東亞合成は、健康を守るための抗菌・抗ウイルス加工剤「ノバロン」や、上下水道の除菌に使われ、安全な水を提供するための「次亜塩素酸ソーダ」を含め、今後もSDGsの取り組みを積極的に進めていく考えだ。