NEDOなど 経皮ガス計測評価が可能な清浄環境を構築

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2021年5月18日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と東京医科歯科大学、NMEMS技術研究機構はこのほど、「極低濃度ガス発生装置」と「クリーンブース」を組み合わせることで経皮ガス計測デバイスを評価できる清浄環境を同大学に構築したと発表した。

 生体から放出されるガス(生体ガス)中の揮発性成分には代謝・疾病との関係が明らかな成分も多く、特に皮膚ガスには血液由来のガス成分(経皮ガス成分)が極微量含まれている。それを高感度に計測することで血中成分濃度を、体を傷つけずに評価でき、疾病や代謝を簡便に評価できる。しかし、生体ガス中の揮発性成分を超高感度で連続センシングできる装置はない。

 そこで3者は、薄膜構造体で蛍光信号を増幅し、酵素を認識素子とする成分選択性に優れたバイオセンサーを用いた「薄膜ナノ増強蛍光による経皮ガス成分の超高感度バイオ計測端末」の開発に取り組んできた。

 今回、「経皮ガス計測デバイス評価用の清浄環境」と「極低濃度ガス発生装置」を開発した。極めて清浄な気相環境中で、高精度標準ガス(アセトン体積濃度60ppt、精度±5%)を使って計測デバイスの感度、応答性、選択性などを評価。さらにキャリアガスには高純度高圧ボンベガスを、配管にはガス成分の吸着を抑えた電解研磨品を使用し、化学物質の混入や大気中の成分による汚染を大幅に低減する設計だ。これらにより、経皮ガス中の微量化学成分を高精度・高効率で計測し、代謝・疾病に関わる体内の揮発性成分を、体を傷つけずに情報化することができる。

 今後、近未来の健康長寿を支えるバイオIoT社会の実現に向け、「気相バイオセンシング」「薄膜ナノ増強蛍光」「MEMS集積化」技術を融合した通信機能をもつ「超高感度ガス計測デバイス」を搭載した「小型ウエアラブル計測端末」を開発し、実証実験で有効性を確認するとともに、ウエアラブル・バイオセンシングの具現化を進めていく考えだ。

 

三井化学 銅合金フィルムがSIAA抗ウイルス材料認定

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2021年5月18日

 三井化学はこのほど、銅合金蒸着技術を活用した抗ウイルスフィルム「カッパーストッパー」(開発品)が、SIAA(抗菌製品技術協議会)認定試験機関の評価試験で、多様なウイルスに効果を発現することを確認し、併せて、SIAAの抗ウイルス材料認定を取得したと発表した。

「カッパーストッパー」フィルムの外観
「カッパーストッパー」フィルムの外観

 「カッパーストッパー」は、ポリプロピレンフィルムの片面に同社が独自開発した銅合金蒸着技術を施したコーティング材料。銅がもつ抗菌・抗ウイルス性を維持したまま、錆びやすく変色しやすい欠点を合金化することで解決したほか、フィルム化により、幅広い工業製品への応用を可能にした。

SIAAの抗ウイルス材料認定を取得
SIAAの抗ウイルス材料認定を取得

 三井化学は今回の評価試験の結果を受け、コロナ禍で拡大する抗ウイルスマーケットへの本格的な市場開発を開始。「カッパーストッパー」フィルムの用途拡大を推進することで、人々の生活の質(QOL)の向上に貢献していく考えだ。安定的に抗ウイルス性を必要とし、繰り返し使用する用途に適していることから、医療・介護・福祉・住宅・オフィス・学校・飲食店・工場などでの使用を想定している。

トクヤマ 次世代のカセイソーダ専用船、人手不足を解消

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2021年5月18日

 トクヤマはこのほど、液体カセイソーダ専用船として次世代スマートアシストシップ199型内航小型ケミカルタンカー「りゅうと」を6月に就航し、運航者の邑本興産、船主の冨士汽船、造船会社の本瓦造船と共同で、内航海運の中でも特に小型船が抱える船員不足や高齢化問題などの改善に取り組むと発表した。

次世代スマートアシストシップ「りゅうと」
次世代スマートアシストシップ「りゅうと」

 トクヤマは、2019年に「ホワイト物流」推進運動・自主行動宣言を提出。輸送の生産性の向上・物流の効率化や、働きやすい労働環境の実現に取り組み、物流事業者との連携を通じて、持続可能な物流の実現を目指している。今回の次世代スマートアシストシップの建造については、トクヤマの方針と合致する取り組みであり、計画段階より関係者と協議を重ね、内航海運業界における課題を共有するとともに、内航小型ケミカルタンカーとしては国内初の取り組みについて理解を深めてきた。

 同船に導入した最新技術「集中荷役遠隔システム」・「遠隔監視システム」・「離着桟支援システム」は、乗組員の作業を軽減することを目的に、特に高度な技術・熟練の技が求められる機関室の監視や離着桟作業へ支援を行うことで省力化を実現。深刻な人手不足の解消に繋がることを最大の効果として期待している。

 「りゅうと」の就航後は、実際の航海や離着桟や荷役作業での安全性や有効性の検証を継続して行い、最新技術の有効性を実証していく。

 同船の導入は、当社の事業運営に不可欠な海上輸送、特に内航小型船での安定的・継続的な輸送の実現につながる取り組みと位置づけられる。トクヤマは、これからも運航者、船主をはじめとする関係者との協力体制を築き、顧客の満足度向上に向けて努力していく。

東ソーなど 低濃度CO2からの尿素誘導体合成法を開発

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2021年5月18日

 東ソーと産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、火力発電所排気ガス相当の低濃度CO2から、樹脂や溶媒、医薬品の原料として有用な化学品である尿素誘導体を合成する触媒反応を開発したと発表した。

 両者は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「NEDO先導研究プログラム/未踏チャレンジ2050/排気ガス由来低濃度CO2の有用化製品への直接変換」にて、低濃度CO2をポリウレタン原料などの有用化学品に直接変換する合成プロセスを研究開発しており、今回の技術の開発に至った。

 この技術は、日本で主流の石炭火力発電所排気ガスに相当する低濃度CO2(体積比率15%)とアミンから簡便に得られるカルバミン酸アンモニウム塩にチタン触媒を作用させて、有用化学品であるエチレンウレアなどのさまざまな尿素誘導体を効率的に合成できる。また、これまで直接利用が難しかった火力発電所排気ガス中の低濃度CO2を、濃縮・圧縮・精製といったコストやエネルギーが必要な工程を経ずに有用化学品に効率よく変換できるため、地球温暖化の原因とされるCO2の排出量削減への貢献が期待される。

 両社は今後、今回開発した反応について実際の火力発電所排気ガスを用いた検証を行った後、工業スケールでの尿素誘導体合成反応の実用化を目指す。なお、今回の成果の詳細は、英学術誌「Communications Chemistry」に掲載された。

今回開発した低濃度CO2からの尿素誘導体合成技術の概要
今回開発した低濃度CO2からの尿素誘導体合成技術の概要

信越化学工業 パーソナルケア用揮発性シリコーンオイルを開発

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2021年5月18日

 信越化学工業は17日、新しいタイプの揮発性シリコーンオイル「KF-4422」を開発したと発表した。

新規揮発性シリコーンオイル「KF-4422」
新規揮発性シリコーンオイル「KF-4422」

 揮発性シリコーンオイルは、スキンケアやメイクアップ、日焼け止めなどの各種パーソナルケア用品に使用されている。同製品は、各種パーソナルケア用品の使用感を改善するとともに、シリコーン系皮膜形成剤との併用によって高い耐水性を付与することも可能。

 新製品「KF-4422」は、ジメチルシリコーンオイル(化粧品表示名称:ジメチコン)の分子構造のメチル基の一部をエチル基に置換した高純度の揮発性シリコーンオイル。揮発性があるため、シリコーン特有の軽くさらっとした使用感が得られ、揮発速度は、従来品の「KF-995」と「KF-96L-2CS」の間に位置する。また、従来品と比較して、炭化水素油や紫外線吸収剤などとの相溶性に優れているのが特長。パーソナルケア用品の開発には、使用感を改善する際に微妙な感触の違いが求められており、同製品は顧客の要望に応えることが期待される。

 シリコーンは、オイルやエマルジョン、ゲル、パウダーなどの各種製品があり、しかも多機能で安全性が高いことから、各種パーソナルケア用品の高機能化、高品質化に不可欠な化粧品原料になっている。

 同社は、優れた品質と技術力、そしてきめ細かな対応で、今後も多様化する市場のニーズに応えていく。

エレファンテック レーザー併用しFPC微細加工を開発

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2021年5月17日

 プリンテッド・エレクトロニクス製造技術の開発やサービス提供を行うエレファンテックはこのほど、レーザー加工とインクジェット技術を併用した片面フレキシブル基板(FPC)の配線パターンの微細加工技術を開発し、同技術により生産する「P-Flex PI」の受注を開始した。この技術は、NEDO助成事業の成果の一部を活用したもの。

今回受注を開始する100/100μmの「P-Flex PI」

 同製品の大きな特長は3つ。①同社主力製品の片面FPC「P-Flex」と同様にインクジェット技術をベースにした製法のため、環境負荷が低く、柔軟な試作・量産への対応が可能で、高いコスト競争力を維持できる。また、②レーザー技術の活用によって、最小線幅/線間(L/S)が従来の200/200㎛から、100/100㎛まで対応可能になり、さらに今後は、50/50㎛にも対応していく予定だ。加えて、③「インクジェットによるパターンの大枠形成」と「レーザー加工による最終仕上げ」と2つの技術を組み合わせることにより、従来のレーザーの弱点であったスピードを克服し、量産性と微細化の両方を実現した。

『P-Flex PI』のインクジェットとレーザーの併用のイメージ
「P-Flex PI」のインクジェットとレーザーの併用のイメージ

 具体的な工法としては、インクジェットにより銀ナノ粒子を印刷したあと、レーザー加工で一部の銀ナノ粒子を削り飛ばし、銀ナノ粒子をシード層として無電解銅めっきによって配線を形成するというもの。これまでもレーザー加工で配線パターンを形成する方法は考案されていたが、加工時間が問題となり量産には不向きな製法であると考えられていた。今回、同社のもつ高精度なインクジェット印刷技術とレーザー加工組み合わせ、インクジェット印刷技術で精度が足りない部分のみレーザーで追加工する方式によって、量産性を損なうことなく、また、版や型を使わない利点も維持したまま、より高精細なパターン形成が可能になった。

 IoTやAIのニーズが高まる中、より一層微細化に対応したフレキシブル基板が求められている。こうしたニーズに応えるため、同社ではインクジェット技術を軸に「P-Flex」の改良を重ね、その微細化対応を加速させるためにレーザー技術を活用した製品を新たにラインアップに加えた。

三井化学 市原工場で「ルーカント」新設備が営業運転

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2021年5月13日

 三井化学は12日、市原工場(千葉県市原市)内に炭化水素系合成油「ルーカント」の新プラント(年産2万t)を建設し、4月から営業運転を開始したと発表した。これにより、岩国大竹工場(山口県和木町)と市原工場の2拠点供給体制となり、世界の旺盛な需要に対応するとともに不測の事態の事業継続性を強化する。

市原工場で営業運転を開始した「ルーカント」 新プラント

 「ルーカント」は、同社が世界で初めて商品化した高性能炭化水素系合成油。粘度の温度依存性が小さく、剪断安定性・熱化学的安定性に優れているなどの特長をもつ。それらの特長から、極めて高品質が求められる自動車ドライブラインのギア油、工業用潤滑油やグリースなどの粘度調整剤として採用。主要な自動車メーカーや潤滑油メーカーに認証されており、低環境負荷ニーズの高まりの中、省燃費や長寿命に貢献するものとして世界的に需要の増大が見込まれている。

 三井化学は、潤滑油添加剤パッケージ最大手のルーブリゾールとの戦略提携を行っており、両社で潤滑油市場での「ルーカント」事業のさらなる拡大と成長を図る。また、三井化学独自の取り組みとして、エラストマー、エンプラ改質用途など、機能性液状ポリマーとしての積極的な市場・用途開発に取り組んでいく考えだ。

富士フイルム 抗ウイルスフィルム、独自抗菌技術で効果持続

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2021年5月13日

 富士フイルムはこのほど、独自の抗菌技術「Hydro Ag+」で抗菌・抗ウイルス効果が長く持続する業務用の抗ウイルスフィルム「ハイドロ エージープラス ウイルスプラス」を今月下旬より発売すると発表した。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して99.4%以上のウイルス不活化効果を示し、SIAA(抗菌製品技術協議会)「抗ウイルス加工」マークの取得申請を予定している。

 銀系抗菌剤と超親水ポリマーを組み合わせることで、フィルム表面を銀系抗菌剤でコーティングするだけでなく、膜中の銀系抗菌剤からも銀イオンが表面に常に供給されるため、長期間にわたり高い抗菌・抗ウイルス性能を持続する。不特定多数の人が触れる公共施設のタッチパネルやデジタルサイネージ、タブレットやスマートフォンのディスプレイなどに貼ったり、医療施設やコンビニ、タクシーなどでの飛沫防止パーティションとして使うことで、付着したウイルス数を減少させ、日常生活での感染リスクを軽減させることが期待できる。

 クリアタイプとマットタイプの2品種があり、クリアタイプは透明性が高く、ディスプレイの色やコントラストをクリアに再現する。特殊な親水性コーティングにより油や水をはじき、付着した指紋や汚れを簡単に拭き取ることができる。マットタイプは反射による映り込みを低減し、特殊な撥水性アンチグレアコーティングにより画面操作時に指紋などがつきにくい。

 同社は、この技術を活用した殺菌成分配合ハンドジェルやアルコールクロス、アルコールスプレーを医療や介護の現場、一般家庭向けに展開しており、いずれの製品も新型コロナウイルスの持続的な不活化効果を確認している。これからも先進独自の技術によって、人々の生活の質の向上に貢献する製品を開発・提供していく考えだ。

ユーグレナなど バイオプラ技術開発コンソーシアム設立

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2021年5月13日

 ユーグレナ、セイコーエプソン、日本電気の3社はこのほど、東京大学と共同でバイオマスプラスチックの1つ「パラレジン」の技術開発・普及推進を目的とする「パラレジンジャパンコンソーシアム」を設立したと発表した。微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の貯蔵多糖「パラミロン」を使ったプラスチックだ。

 パラミロンはβ-1,3グルカンからなる多糖類だが、同じ多糖類のセルロース(β-1,4結合)とは異なる立体構造をもつため、流動性を良くできる。またユーグレナの培養方法を調整することで、高密度で生成させることが可能だ。古紙や食物残渣などのセルロースの糖化物をユーグレナ培養の栄養分とすることで、環境負荷となる廃棄物を活用した非可食バイオマスプラスチックによる資源循環システムの構築を目指す。

 「パラレジン」の安定供給実現に向け、各段階の技術をもった3社が幹事企業としてコンソーシアムを組み、各社のノウハウを生かして実用化を加速させる。ユーグレナはパラミロンの規格化、エプソンは古紙・廃棄物の糖化プロセスの検討、日本電気はパラレジンの規格化と利活用の検討など各々のワーキンググループを推進し、東京大学岩田忠久教授がコンソーシアム活動への助言、顧問の取りまとめを行う。現在8社と1自治体が参画しており、2030年に年間20万t規模の供給を目指している。

NEDOなど 野菜市場価格のAI予測サービス提供を開始

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2021年5月11日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は3月より、ファームシップと豊橋技術科学大学が人工知能(AI)を活用して開発した野菜市場価格の高精度予測サービスの無償提供を開始した。

 NEDOは「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」事業の一環として、東京都中央卸売市場大田市場のレタス価格を月次で予測する市場価格予測アルゴリズムを実証。今回、レタスに加えトマトやイチゴなど5品目の市場価格を週次単位で高精度に予測する仕組みを開発した。

 植物工場はその効率的生産性により生産量を伸ばしているが、その需要は露地野菜の価格に左右され、廃棄や販売の機会損失が生じている。それに対し、同事業は植物工場の野菜栽培過程や流通でのビッグデータを収集し、AIで需給をマッチングし、野菜の成長や物流などを最適化し、バリューチェーン全体を効率化することで、野菜の廃棄や販売機会損失の低減を目指している。

 2018年から東京大学がセンサー技術、豊橋技術科学大学が需要予測技術、パイマテリアルデザインが生育予測技術、そしてファームシップがトータル・システム効率化技術の開発を担当し、生産・流通・販売の現場データを活用した需要予測システムと成長制御システムを開発し、レタスの価格予測の実証を行ってきた。大田市場のレタス市場価格と植物工場のレタス需要量の相関関係に着目し、これまでのレタスの市場価格などのビッグデータをAI機械学習で解析し、1週間先のレタス市場価格を高精度で予測する仕組みを開発した。

 今後3者は、この実証を通じて需要予測システムと生育予測や成長制御を統合した生産制御システムの有効性を検証していく。また、ファームシップは需要予測値と実績の精度を確認した上でシステムの充実・強化を図り、ファームシップと豊橋技術科学大学はこの実証データをもとに、「AIによる植物工場等バリューチェーン効率化システム」の研究開発を進め、栽培する野菜の成長制御や物流など各プロセスの最適化を組み合わせてバリューチェーン全体の効率化を目指す。

野菜市場価格の予測サービスの仕組みイメージ
野菜市場価格の予測サービスの仕組みイメージ