ユニチカトレーディング バイオナイロンのリサイクルの取り組みを開始

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2021年4月21日

 ユニチカトレーディングはこのほど、ユニチカグループとアルケマグループがカーボンニュートラル素材ナイロン11「キャストロン」の包括的なリサイクルの取り組みを開始したと発表した。

 「キャストロン」は非可食植物ヒマ(唐胡麻)の種子(ヒマシ)から抽出されるヒマシ油を原料とした、炭素成分が100%植物由来のバイオマス素材のアルケマ「RILSAN」(ポリアミド11)を使用した地球環境に優しい素材で、米国農務省(USDA)の「BIOBASED PRODUCT」認証を取得している。ナイロン6と比べて軽量で、耐摩耗性、耐化学薬品性や寸法安定性などの機能性にも優れる。

 両社は2007年からナイロン11繊維の開発を進めてきたが、今回、国内で使用済み製品(繊維・フィルム・樹脂)をリサイクルし再生使用を可能とする、包括的なリサイクルに取り組み、使用済み製品は、マテリアルリサイクルされる。

 原糸・生地の生産ロス品やアパレルとの連携で回収した使用済み製品は新たな繊維製品になる。新たにナイロン11のフィルムを展開し、原反などの生産ロス品や回収した使用済み製品は繊維・フィルム・樹脂のバイオマス再生原料に、樹脂加工プロセスで発生する生産ロス品は繊維・フィルム・樹脂のバイオマス再生原料として使用する。バイオマス素材「キャストロン」のリサイクルを通じて、サステナブルな社会の実現に貢献していく考えだ。

デンカ 新型コロナウイルスの変異株、検出システムを開発

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2021年4月21日

 デンカはこのほど、株式の33.4%を保有し業務提携をしている台湾・プレックスバイオ社と共同開発した新型コロナウイルスの変異株を検出する試験研究用試薬を使い、東邦大学医学部と変異株検出システムの検証実験を開始したと発表した。同システムは プレックスバイオ社の高感度かつ同時多項目測定が可能な「IntelliPlex」システムとπコード技術を応用している。

理化学機器(試験研究用)
理化学機器(試験研究用)

 世界的な新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、国内でも変異株拡大が問題になりつつある中、測定にかかる手間や多くの検体の処理に要する時間といった課題があるとされる。この変異株検出システムは、1種類の試薬でイングランド型、ブラジル型、南アフリカ型、カリフォルニア型と呼ばれる変異株のもつ複数種類の変異部位を同時に検出することが可能なことから、測定機関での測定の手間の軽減や迅速な検出に繋がることが期待される。

 デンカは、試験研究用試薬の試作品とプレックスバイオ社の理化学用測定装置を使って、東邦大学医学部の舘田一博教授・石井良和教授(微生物・感染症学講座)と共同で検証実験を開始し、その初期段階に良好な結果を得た。1~2カ月以内に、測定機関に向けて変異株検出システムとしての販売を目指す。

πコード イメージ図
πコード イメージ図

 デンカは、新型コロナ感染症への対策を社会的責務と捉え、関係官庁や公的機関、国内外の研究機関の協力と支援の下、様々な角度から感染症対策に貢献する取り組みを推進。πコード技術のもつ高感度検出・多項目同時測定という特長を最大限に生かして、疫学研究の発展を通じて人々のQOL向上に貢献し、「真に社会に必要とされる企業」を目指していく。

出光興産 市原市と包括連携協定、カーシェアサービスを展開

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2021年4月21日

 出光興産と千葉県市原市は20日、地域の観光振興や産業振興などの地域創生に貢献する分野で連携・協力することを目的に、今月30日に包括連携協定を締結すると発表した。この新たな協定の下、同社で実証を進めている、超小型EVを活用したカーシェアリングサービス「オートシェア」を市原市内でも展開する。

超小型EV 小湊鐵道 上総牛久駅前に2台設置
超小型EV 小湊鐵道 上総牛久駅前に2台設置

 今回の協定では、超小型EVやドローンなどの先進技術を活用した観光振興や地球温暖化対策、また防災分野での両者の連携を推進し、市原市の地域社会発展に貢献していく。連携の第1弾として、関連会社である出光タジマEVが提供する超小型EV「ジャイアン」を、小湊鐵道の上総牛久駅前に2台設置。市民や観光客の移動手段として、カーシェアリングサービスを提供する。

 出光興産は、モビリティデータを活用したサービスを提供するスマートドライブおよび、位置情報ビッグデータと解析技術により地域活性化支援ソリューションを提供するナイトレイと協業し、地域の観光資源の最大化を図る取り組みを推進。今回の実証では、車両の位置データや観光客が発信するSNSデータを組み合わせることで、観光客の移動をスムーズにするための施策や、隠れた名所・観光スポットに誘導を図る施策などに活用し、市原市の観光振興に取り組む。

 出光興産はカーボンニュートラル(CN)とSDGsの達成に向けた社会課題の解決に資する次世代事業の創出を重要な経営課題に位置づける。今月、次世代モビリティやモビリティサービスを開発する出光タジマEVを設立し、移動に関する社会課題の解決に取り組んでいる。一方、市原市は「SDGsのシンボルとなるまち」の実現を目指し、様々なステークホルダーと協力し、地域課題解決のための新たな仕組みの構築を進めている。

 今後は同協定の下、超小型EVを活用した観光振興のみならず、超小型EVやドローンなどの先進技術を活用した物流や防災分野に向けた取り組みや、千葉事業所でのCNに関する取り組みを推進していく。

超小型EVなどの先進技術を活用し地域創生に貢献
超小型EVなどの先進技術を活用し地域創生に貢献

帝人 RFID技術システムが医療材料物流拠点に採用

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2021年4月21日

 帝人は20日、シップヘルスケアグループの小西医療器が開設した新たな医療材料物流拠点「大阪ソリューションセンター(大阪SC)」に、RFID(電波による個体識別技術)を活用した管理システムである「レコピック」と「レコファインダー」が採用されたと発表した。これにより、医療材料物流のコスト削減や時間短縮といった課題へのソリューションとして、非接触通信技術を応用した棚卸作業レスの在庫管理システムや検品の自動化システムの構築が実現した。

:「レコピック」を採用 棚卸作業レスを実現したピッキングエリア
「レコピック」を採用 棚卸作業レスを実現したピッキングエリア

 帝人の「レコピック」は、ICタグが貼付された管理対象物の入出庫やロケーションを、シート状のアンテナで正確に検知する常時監視システム。今回、大阪SC4階のピッキングエリアの全ての在庫棚(約200棚)に導入された。

 通常、棚卸にRFIDを活用する場合は、製品に貼付されたICタグを電波で読み取り在庫内容と在庫数を把握していた。それに対し「レコピック」は、シート状のアンテナ表面の近傍にのみ強い電波を留めることで、ICタグをタイムラグなく正確に読み取り、常に在庫情報を把握できる。これにより大阪SCでは、棚卸作業を行わずに数万点という膨大な製品を取り扱うことが可能となった。RFIDを使用した棚卸作業レスの在庫管理システムを医療材料物流センターに構築したのは国内初となる。

:「レコファインダー」を採用したトンネル型の読み取り装置
「レコファインダー」を採用したトンネル型の読み取り装置

 一方、「レコファインダー」は、帝人独自の電波制御技術を生かし、管理対象物に貼付されたICタグの通過を正確に検知する通過検知システム。通常、医療材料の出荷時には、個々の製品に貼付されたバーコードを1つずつ読み取り、数量や期限を検品する。それに対し大阪SCでは、出荷コンテナが「レコファインダー」のトンネル型読み取り装置を通過する際に、複数ある製品のICタグを自動的に一括で読み取ることで、煩雑な検品作業を効率化し大幅な工数削減を実現した。一般的にRFIDの課題はICタグを誤読してしまうことだが、帝人の電波制御技術でゲート周囲での誤読の低減を実現した。

 同社は今後、シップヘルスケアグループおよび小西医療器と協力し、関西圏を皮切りに医療機関に対する医療材料管理システムの導入を推進し、日本全国に向けて省人化、業務効率化、感染対策へのソリューションを提供していく。

DSM 植物由来の魚風味酵母エキスを発売、ビーガン対応

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2021年4月20日

 DSMはこのほど、アレルゲンを一切含まないビーガン(完全菜食主義者)対応の新しい魚風味の酵母エキス(プロセスフレーバー)ソリューション「Maxavor Fish YE」を発売した。 イノベーティブな藻類由来オメガ3油脂技術の応用により、食品生産者は、魚由来食品の風味向上に加え、植物由来の魚代替食品の各種用途について、魚本来の風味と食感の実現が可能になる。

 同製品は、ビーガン対応フィッシュナゲット、フィッシュソース、魚のすり身やジャガイモを材料にしたフィッシュケーキなど、魅力的な植物由来の魚代替食品の開発や、和食のだしなど魚由来食品の代替、風味向上にも使用が可能。宗教上の戒律にそったコーシャーおよびハラールについても認証済みであり、様々なラベル表示にも対応している。

 さらに同製品は、食品生産者が様々な製品を開発する際に問題となる、植物由来タンパク質特有の強い植物臭をマスキングすることも考慮して設計。低塩製品であるため、生産者は塩分含有量を調節し、食品の栄養特性を損なわずに、求める風味と食感を実現できる。

 同社は、植物由来魚代替食品の生産者に対して、魚介類特有のうま味、食感、風味を再現した2種類の提供を開始。「Maxavor Fish M YE」は呈味が強く魚油の香り豊かな赤身魚風味、「Maxavor Fish W YE」はさっぱりとした白身魚風味となっている。

中外製薬 AI活用の抗体創薬支援技術、総合科学誌に掲載

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2021年4月20日

 中外製薬はこのほど、AIを用いた抗体創薬支援技術「MALEXA-LI」に関する論文が、ネイチャー・リサーチ社が発行する「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。同誌はオンラインの総合科学誌であり、出版論文数では世界最大の学術雑誌に位置づけられている。

 中外製薬は、デジタル戦略の最終目標として、「デジタルを活用した革新的な新薬創出」を掲げ、AIをはじめとした先端技術の活用による新規医薬品候補の創出や創薬の成功確率向上といった研究プロセスの劇的な変革を目指している。

 「MALEXA」は同社が独自に構築したAI技術であり、「機械学習×抗体」で創薬プロセスを変えることを期待している。同技術には抗体創薬プロセスで最適化した「MALEXA-LI」と「MALEXA-LO」の2種類がある。

 今回掲載された「MALEXA-LI」は、MALEXAにより抗体の「種」となるリード抗体に適した配列を見つけるAI技術。中外製薬が長年の抗体医薬品研究から蓄積した抗体ライブラリーから次世代シークエンサーを用いて遺伝子配列情報を取得し、解析したデータを訓練データとする機械学習モデルを構築した。

 また、今回の論文では、標的抗原に結合する抗体配列を選抜するために、深層学習のアルゴリズムの1つであるLSTM(長・短期記憶)に基づく配列生成法を開発し、高い結合活性をもつ抗体配列を探索。その結果、「MALEXA-LI」が提案するアミノ酸配列が、既存の抗体と比較し、標的抗原に対して1800倍以上結合強度の高い抗体であることが立証されている。

住友ベークライト LEDディスプレイ向け感光性材料を開発

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2021年4月20日

 住友ベークライトはこのほど、ミニ/マイクロLEDディスプレイ向け感光性材料「スミレジンエクセルCRX」シリーズを開発し実用検証を開始したと発表した。

 ミニ/マイクロLEDディスプレイは、高輝度・高コントラストなどの特長から屋外ディスプレイやARグラスなどの用途に好適な次世代ディスプレイとして注目され、2022年頃から量産が本格化すると言われている。しかし、その製造難易度は高く、LEDチップの高密度実装のためには微細加工性や絶縁信頼性、高密着性をもつ感光性絶縁材料が必要だ。

 同社は1997年、ポジ型感光性半導体ウェハーコート樹脂「スミレジンエクセルCRC」シリーズを世界で初めて量産化し20年以上の販売実績をもつが、その技術をベースにマイクロLEDディスプレイ向けに新たに材料設計し、「CRX」シリーズを開発した。高解像度、高絶縁信頼性、高密着性といったコア技術に加え、低温硬化性、高透明性、部品接着性、厚膜加工性など用途に応じて追加機能を付与したサンプルも準備。すでに複数のディスプレイメーカーでの評価が始まっており、2022年の製品量産化を目指す。「CRX」シリーズでは数十億円規模の販売を狙っている。

ENEOS 大府に水素ステーション開所、45カ所目

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2021年4月20日

 ENEOSは先月、同社国内45カ所目となる水素ステーションを愛知県大府市に開所した。水素製造装置をステーション内に設置する都市ガス改質型オンサイト方式を採用し、水素製造能力は300N㎥/h。次世代自動車振興センター「燃料電池自動車用水素供給設備設置補助事業」の採択を受けて整備したもので、中京圏では7カ所目の水素ステーションとなった。

大府共栄水素ステーションの外観
大府共栄水素ステーションの外観

 同社の水素ステーションには3つのタイプがあるが、今回開所した「大府共栄水素ステーション」は水素のみの供給を行う単独型で運営する。単独型としては同社16カ所目。このほかにサービスステーション(SS)一体型17カ所、移動式12カ所、計45カ所で展開しており、水素ステーション数は国内トップシェアの30%を占める。

 同社は、燃料電池自動車(FCV)の販売開始に合わせ、2014年に国内初の水素ステーションを開所した。持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、目標9「産業と技術革新の基礎をつくろう」、目標13「気候変動に具体的な対策を」につながる水素事業を通じ、今後も水素製造と自動車用燃料供給に関わるインフラやノウハウの活用により、水素の製造・輸送・販売の効率的なビジネスモデルを構築することで、水素社会の実現に向けた取り組みを加速していく考えだ。

 

東大など ナノスケール凹凸ガラスで耐熱・超親水性実現

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2021年4月19日

 東京大学と産業技術総合研究所(産総研)、物質・材料研究機構の共同研究グループはこのほど、ナノメートルスケールの凹凸を施した「ナノすりガラス」を開発した。超親水性を150℃で1日程度維持でき、高温での印刷が必要な有機半導体でも、良質な単結晶薄膜を大面積製造することが可能となった。

 有機半導体は印刷により高品質な結晶性薄膜を得られるが、そのためには半導体インクが均質に漏れ拡がる親水性の基板が必要だ。親水性は水の濡れやすさを指し、親水性が高いと表面に付いた水が薄く拡がって膜状になる。一般的に、親水性表面は親水性化学種・化合物コーティング、UV光照射、プラズマ処理などにより得られるが、汚損により親水性は低下し、継続的な維持は困難だ。

 今回、物質表面のわずかな凹凸と表面の濡れ性の関係に着目し、一般的なガラスの表面を弱酸性の炭酸水素ナトリウム水溶液、80℃で処理し、ナノメートルスケールの凹凸(1㎚程度)を形成。マイクロメートルスケールの凹凸機械加工の「すりガラス」に対し、「ナノすりガラス」と命名した。表面の水接触角は3度以下の超親水性を示し、150℃の高温下で1日程度維持した。

一般的な親水性処理では熱などで表面化学種が劣化するが、ナノすりガラスは表面の凹凸構造による親水性のため、熱による親水性の劣化は少ない。今回、150℃でのインク印刷で、n型有機半導体薄膜を1㎝角以上の大面積(従来法の約50倍)で製造することに成功した。できた半導体膜を転写法でデバイスにし電気的特性を評価したところ、優れた電子輸送性能を示すことが確認できた。

 超親水性ナノすりガラスは低環境負荷なプロセスで製造でき、表面平滑性に優れ、十分な透明性をもつ。低コスト・フレキシブルエレクトロニクス用の基板に利用するほか、親水性表面による高い防汚性を生かした水アカ防止など、様々な分野での利用が期待される。

BASF 高熱安定・ガルバニック腐食レスのPA6上市

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2021年4月19日

 BASFはこのほど、新開発の高熱安定性のガラス繊維強化ポリアミド6を上市した。190℃熱安定性とガルバニック腐食レスが特長だ。

 自動車は常に変化にさらされ、汚染物質排出の法規制や内燃機関のダウンサイジング、パワートレインの電動化、ハイブリッドや燃料電池など急速に発展している。内燃機関やハイブリッド、電気自動車には、過酷な環境下でも信頼性が高く技術的に欠陥のない材料が不可欠だ。そして、パワートレインコンポーネントにとって耐熱性、長寿命、ウェルド強度は基本的要件で、長期間の高温耐性に加え、電気部品の電気短絡の原因となるガルバニック腐食(異種金属接触腐食)防止も求められる。

 新開発の30%ガラス繊維強化ポリアミド「Ultramid B3PG6 BK23238」は、ハロゲン化物・金属フリーのP系熱安定剤(ハロゲン化物含有量50PPM未満)により、190℃までの耐熱性と、電気部品のガルバニック腐食防止を実現した。さらに耐熱老化性が大幅に向上し、振動溶着とホットガス溶着にも適用でき、電気自動車やダウンサイジングエンジンなど、高温で様々な材料特性が要求される用途に有用だ。多様で業界横断的な用途に対応できるため、魅力的な価格での大量生産・供給を実現するとしている。