三菱ケミカル 膜ろ過実証事業、UNIDO支援事業に採択

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2020年12月28日

 三菱ケミカルはこのほど、グループ会社である三菱ケミカルアクア・ソリューションズ(MCAS)が取り組む、ミャンマーでの膜ろ過浄水装置を利用した分散型給水システムの実証事業が、国際連合工業開発機関(UNIDO)の支援事業に採択されたと発表した。

 UNIDOは、「開発途上国の感染症予防に向けたSTePP(サステナブル技術普及プラットフォーム)技術の実証・移転による海外日本企業支援事業」を実施。開発途上国の新型コロナウイルス感染症をはじめとした様々な感染症対策に役立つ技術を保有する日本企業が、健康・衛生環境の向上を目的とした技術の普及に取り組むことを支援している。

 新型コロナウイルスなどの感染症予防と保健・衛生環境の向上には、安全で清潔な水の安定供給が不可欠だが、ミャンマーではそれに必要な水インフラが十分に整っていない。

 MCASはこうした課題の解決に向けて、ミャンマーの都市部において、特に感染症予防の観点から重要度の高い病院に膜ろ過浄水装置を導入。現地パートナー(MCCグループ会社MW Aqua Solutionsおよび伊藤忠商事ヤンゴン事務所)とも連携しながら、分散型給水システムの実証を行っていく。

 今回ミャンマーに導入する膜ろ過浄水装置は、水源(井戸水、市水、河川水)を問わず浄水処理ができ、適切な技術を組み合わせることで世界保健機関の飲料水質基準を満たす水を供給することが可能。同装置はユニット化されているため施工期間が短く設置が容易で、無人運転が可能なことから現地での運用に適している。

 さらに、装置に遠隔監視システムを搭載することで、日本からも装置稼働状況や水質などの各種データ、異常値をリアルタイムに把握することができ、トラブル発生時などのメンテナンス対応を両国で迅速に行えるよう運用体制を整える。

 MCASは今後も、UNIDOをはじめとする国際機関などと協力し、安全で清潔な水を安定して供給できるソリューションをグローバルに提供していく考えだ。

三菱ガス化学 光学樹脂ポリマー増設、原料の合弁会社設立

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2020年12月28日

 三菱ガス化学はこのほど、新潟工場に新設する光学樹脂ポリマー「ユピゼータEP」用原料モノマー製造プラントを活用し、原料モノマーの生産事業を行う合弁会社を田岡化学工業と設立すると発表した。また併せて、鹿島工場に、「ユピゼータEP」用重合プラントの増設(年産2000t)も決定。原料モノマープラントの新設備は2023年1月に、重合プラントの増設は2022年7月に、それぞれ稼働を予定している。

 高屈折率と低複屈折性を高次元で両立した「ユピゼータEP」は、高機能小型カメラレンズ材料としてスマートフォンやタブレット端末などに採用が拡大。スマートフォン用カメラの高機能化とカメラレンズの多眼化を背景に、今後もさらなる需要の伸びが期待されている。

 三菱ガス化学は、こうした需要増に対応していくため、原料モノマーの主要調達先である田岡化学工業の技術を用いて、新潟工場内に原料モノマー製造プラントの新設を計画。田岡化学工業の原料モノマー生産の一部を、合弁会社を通じて受託することで原料モノマーの生産能力の増強と調達の安定化を実現する。また、併せて鹿島工場での重合プラントを増設し、「ユピゼータEP」の供給安定性の確保にも努めていく。

三菱ケミカル CFRTPパイロット設備、福井県に新設

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2020年12月28日

 三菱ケミカルは25日、熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維複合材料(CFRTP)のパイロット設備を福井県内に新設すると発表した。2021年中の稼働開始を予定している。航空機や自動車などのモビリティ用途では、環境規制などを背景に機体や車体の軽量化要求が高まっており、軽さと強度を兼ね備えるCFRPの利用が進むと見込まれている。一方で、CFRPの利用促進のためには、これまで主に利用されている「熱硬化性樹脂」を用いたCFRPに対し、部品製造に要する時間を短縮できリサイクルも容易な、CFRTPの普及が求められている。

 CFRPで多くの採用実績があり、炭素繊維と樹脂改質に関する技術を豊富にもつ同社は、福井県工業技術センターの支援と同社グループ内の技術シナジーにより、今回、空隙が少なく極めて高品質なCFRTPを高効率に製造できる技術を確立し、パイロット設備の設置に至った。今後、これまで輸入品が中心であった国内のCFRTP市場に対し、熱可塑性樹脂複合材料のブランドである「Kyron」シリーズの新製品として提案を進めていく。

 三菱ケミカルは、PAN系やピッチ系炭素繊維、また汎用から高耐熱性の熱可塑性樹脂に関する世界トップクラスの技術をもつ。これらグループの総合力を生かし、ますます多様化・高度化する顧客の要望に応える新製品の開発を進め、技術革新の著しいモビリティ分野に対して最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していく考えだ。

東急REIホテル 廃プラ由来水素で農業、レタスを栽培

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2020年12月28日

昭電川崎事業所から水素供給、植物育成装置設置

 昭和電工と川崎キングスカイフロント東急REIホテルは24日、昭和電工が廃プラスチックから製造する水素を活用して栽培したレタスの「収穫祭」を開催。「水素×ホテル×農業」による新たな資源循環が誕生した。

東急REIのレタス
栽培されたリーフレタス

 同ホテルは、川崎市と昭和電工が連携して進める環境省「低炭素水素のサプライチェーンモデル構築」に協力し、昭和電工から供給された水素を純水素型燃料電池で電気と熱エネルギー(温水)に変換し、「世界初の水素ホテル」として電力の約30%と温水供給を賄っている。

 使用済みプラを原料に昭和電工川崎事業所で製造された低炭素水素がパイプライン供給され、純水素型燃料電池でホテルの電気や熱(温水)に変換されている。同ホテルでは、年間30万N㎥の水素から45万kWhを発電。CO2削減効果は200tに上り、杉の木1万4300本分に相当する。なお、同ホテルは残りの電力も、ホテルの食品廃棄物をバイオマスエネルギーに還元して得られた電力と、再生可能エネルギー購入で賄っており、再エネ100%を実現している。

 こうした中、同ホテルは、燃料電池の負荷を追加するとともに、将来の水素社会に向け水素の用途展開を図った。新たな実証事業として11月に「完全人工光型植物工場」を開設。植物育成装置を設置し、リーフレタス栽培を開始した。LED照明(青、赤)による最先端の高速栽培法により、通常の栽培法より成長スピードが速く、播種後35日で80~100gに育つ。1株の収穫に必要な電力は1kWhで、作付面積3㎡で1日に8~12株の収穫が可能。また栽培されたレタスは、豊富なビタミンとほのかな甘みといった特徴もある。

 マスコミを招いた「初収穫祭」では、採れたてのリーフレタスを使った料理を提供。参加者は、家庭から排出された使用済みプラが水素にリサイクルされ野菜に還元される「資源環境の仕組み」を体験した。同ホテルは、年明けにホテル内のレストランでレタスを使った料理を提供する予定で、今後はハーブや食用花の栽培にも挑戦していく考えだ。

 同ホテルは、「リサイクルした水素をエネルギーとして活用し、さらに野菜として還元する資源循環型モデルを実証している。宿泊するだけでこうした仕組みが体感でき、エコにも貢献できる『泊まるだけでエコ』を目指し、新たな価値を提供するとともに、持続可能な社会の実現に貢献していく」とコメントしている。

 

DSM 「ダイニーマ」のデジタルアカウントを開設

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2020年12月25日

 DSMはこのほど、世界最強・最軽量繊維の「ダイニーマ」事業で実施する、デジタルとリアルを融合したブランドキャンペーン「With you when it matters」について、各業界の顧客やパートナー企業に向けたメッセージと、キャンペーン施策の概要を発表した。

 現在、新型コロナウィルス感染症の影響により、展示会の縮小や中止、また顧客訪問の制限など、BtoB企業の従来型のプロモーション活動が影響を受け、デジタル活用の動きが活発になっている。日本では、BtoB企業におけるブランドキャンペーンでのデジタル活用事例は少ないが、ニューノーマル時代においてはデジタルとリアルが融合した新しいコミュニケーションが求められてくる。

 こうした中、DSMは、SNSやYouTubeを活用して同製品の特長やトピックスなどを消費者に紹介し、顧客やパートナー企業と密接した従来型のコミュニケーション活動と融合させることで、日本市場での「ダイニーマ」ブランドを構築していく考えだ。

帝人 全国高校サッカー選手権大会に高機能マスクを提供

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2020年12月25日

 帝人は24日、今月31日から開催される「第99回全国高校サッカー選手権大会」に高機能マスク6000枚を提供すると発表した。同社は企業理念に基づき、「アマチュアスポーツ支援」「青少年のスポーツ支援」といった社会貢献の一環として、1991年から同大会に協賛。今年で30周年を迎えるのを機に、コロナ禍の開催に貢献する。

高校サッカーに提供する高機能マスク
高校サッカーに提供する高機能マスク

 今回提供する高機能マスクは、繊維・製品事業を展開する帝人フロンティアの「洗える!抗ウイルス加工マスク」。特殊セラミックなどを使用して抗ウイルス・抗菌防臭効果を発揮するとともに、ストレッチ性、吸水速乾やUVカット機能などを併せもち、スポーツシーンにも適している。

 

住友化学 PDHの水素でメタノール合成、技術確立を検討

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2020年12月25日

 住友化学は24日、シンガポールの石油化学コンプレックスにおいて、プロパン脱水素(PDH)技術の導入を検討するとともに、PDHから副生される水素と石化設備から排出されるCO2を原料に、高効率でメタノールを合成する技術と組み合わせる検討を開始したと発表した。PDH技術によるプロピレン需要への対応と、CO2削減による環境負荷低減の2つを同時に実現することが期待される。なお同件は、低炭素社会と経済活動とを両立できる取り組みであることから、シンガポール経済開発庁(EDB)の支援を受けている。

 近年、シェールガス由来のエタンを原料とするエタン・クラッキングが増加しているが、ナフサ・クラッキングに比べてエチレン以外の生産物が少ないため、プロピレンが相対的に不足する傾向にある。同社は、シンガポールの石化コンプレックスにPHD技術の導入を検討し、プロピレン供給不足への対応を図っていく。

 一方、産業活動で多量発生するCO2に対し、排出削減や有効活用が求められている。同社は現在、島根大学と共同でCO2からメタノールを高効率で合成する技術研究を推進。この技術が確立されれば、メタノール合成に必要となる原料について、PDH技術による水素と、石化コンプレックス内で排出されるCO2を有効利用することができる。

 同社は、シンガポールの拠点に、PDH技術と、高効率なメタノール合成技術を組み合わせて実装していくことを検討する。そして、シンガポール政府の協力も得ながら、同技術の早期導入を果たすとともに、これからも経済価値と社会価値の両方を創出し、事業を通じてサステナブルな社会の実現に貢献していく。

シンガポールでPHD技術とメタノール技術導入を検討
シンガポールでPHD技術とメタノール技術導入を検討
 

旭化成ら 福島FH2Rの水素をロックコンサートに提供

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2020年12月25日

 旭化成など6者は24日、水素製造の実証試験を行う「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」で製造された水素を、ロックバンド「LUNA SEA」のコンサートに提供すると発表した。提供する水素は燃料電池自動車(FCV)に充填。FCVが発電を行い、コンサートで使用される全ての楽器に電気を供給する予定となっている。

福島水素エネルギー研究フィールド( FH2R)
福島水素エネルギー研究フィールド( FH2R)

 再生可能エネルギーを利用した世界最大級の水素製造施設「FH2R」には、旭化成のほか、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、東芝エネルギーシステムズ、東北電力、東北電力ネットワーク、岩谷産業が参画、低コストでクリーンな水素製造技術の確立を目指している。

 FH2Rは今年2月、福島県浪江町にて開所し、水素製造の実証試験を開始。現在、同施設で製造した低炭素水素は、主に圧縮水素トレーラーやカードル(ガス貯蔵容器)を用いて、定置式燃料電池向けの発電用途として、福島県内の需要先へ供給試験を開始している。

 こうした中、ロックバンド「LUNA SEA」が、さいたまスーパーアリーナで開催(12月26、27日)するコンサートに、FH2Rの低炭素水素が活用されることとなった。FH2Rから搬送された低炭素水素は、岩谷産業が運営する「イワタニ水素ステーション群馬高崎」で、FCVへ充填し、コンサート会場へ運搬された。

 今後も6者は、FH2Rでの取り組みを通じ、水素エネルギーの普及拡大に向けた情報発信を進めていく考えだ。

SEMI 半導体製造装置市場、今年は過去最高額

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2020年12月25日

旺盛なファウンドリ投資、中国は世界最大市場に

 SEMIはこのほど、世界の半導体製造装置市場予測を発表した。2020年の半導体製造装置(新品)販売額は、前年比16%増の689億ドルと過去最高額を記録し、中でも旺盛なファウンドリおよびメモリーへの投資によって中国が初めて世界最大の市場となる。そして、世界市場の成長は今後も継続し、2021年には719億ドル、2022年には761億ドルに達する見通しだ。

 工程別に見ると、前工程と後工程の両装置が拡大する。ウェーハファブ装置(ウェーハプロセス処理装置、設備装置、マスク/レチクル製造装置を含む)市場は、2020年には同15%上昇し594億ドルに達し、2021年には同4%、2022年には同6%の成長が継続する。また、前工程ファブ装置の売上の約半分を占めるファンドリとロジック分野では、2020年は最先端テクノロジーへの投資にけん引され、同10%台半ばの増加となり、300億ドルに達する見込み。NANDフラッシュの製造装置投資額は、2020年は同30%と急増し140億ドルを超え、2021~2022年はDRAMの装置額が市場拡大に貢献する。

 パッケージング装置市場は先進パッケージング・アプリケーションにけん引され、2020年は同20%成長の35億ドルに増加し、2021年に同8%、2022年に同5%成長すると予測される。半導体テスト装置市場は5Gならびに高性能計算(HPC)の需要により2020年は同20%成長の60億ドルに達し、2021~2022年も成長が持続する見通しだ。

 一方、国別の動向を見ると、2020年の投資をリードしたのは、中国、台湾、韓国の市場となる。旺盛なファウンドリとメモリーへの投資によって、中国は2020年に181億ドル(前年比35.1%増)と、初めて世界最大の半導体製造装置市場になる。しかし、2021年以降は米中対立の影響を受け、2021年168億ドル、2022年156億ドルと失速することが見込まれる。代わりに韓国が、メモリーの回復とロジック投資の増加を背景に、2021年(189億ドル)と2022年(197億ドル)は首位になる見通しだ。台湾は、2020年は2位の168億ドルとなり、今後も最先端のファウンドリ投資を中心に旺盛な投資になる見通し。日本は、2020年は73億ドルだが、2021年79億ドル、2022年84億ドルと成長が続き、上位3カ国(中国、台湾、韓国)に次ぐ位置を維持していく見込みだ。

 

ランクセス 合成酸化鉄黒色顔料の製造能力を増強

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2020年12月24日

 独ランクセスはこのほど、クレフェルト・ユルディンゲン拠点の合成酸化鉄黒色顔料の年間製造能力を5000t以上増強したと発表した。

 建築や造園の分野で黒色のコンクリートが最近の流行となっており、コンクリート着色用の黒色顔料の需要が増加している。同社の黒色顔料「バイフェロックス(Bayferrox)330」と「バイフェロックス340」は、最大15%の着色強度と信頼性の高い均質な発色が特長で、高品質のセメントベース建材の着色に適し、コンクリート製の道路舗装石や屋根タイルに限らず建築物本体にも適している。

 同拠点は世界最大の合成酸化鉄顔料の製造工場で、世界で唯一、ラウックス法で製造している。この製法により製造されたこれらの顔料は、第三者認証機関による「超高強度コンクリート(UHPC)での安全な使用のため特別に定めた認証」に唯一適合する合成酸化鉄だ。UHPCは高い荷重耐性と軽量性、特別な構造が同時に要求される建設プロジェクトなどで使用される。また、世界有数の第三者認証機関SCSグローバルサービスの「リサイクル原材料の高含有率に関する認証」にも適合している。ラウックス法の化学反応中に発生する熱で蒸気を生成し、後続の工程で活用している。また、将来的には、顔料の製造過程で発生する水素で化石燃料を代替することも可能。これにより、顔料製造による二酸化炭素排出量を継続的に削減していく。

 同社は気候保護のため、2040年までにグループとして気候中立達成を目指し、GHG排出量をCO2換算で現在の約320万tから、2030年までに約160万tに半減することを目指している。