ポリプラスチックス ブリスター特性に優れたLCPを開発

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2019年11月27日

 ポリプラスチックスは26日、ブリスター特性に優れた液晶ポリマー(LCP)「ラペロスLCP」を開発し、ブリスター発生を制御する最新技術を発表した。

 LCPは、高流動性、高寸法精度に加え、高耐熱性を兼ね備えたスーパーエンジニアリングプラスチック。その特性から小型化、表面実装(SMT)化が進むスマートフォンなどのコネクタ市場で幅広く採用されている。また、近年ではIoTの活用や5Gの実用化に向け、自動車分野、家電・OA分野でもLCPの検討や採用が拡大している。

 その一方で、SMT方式ではんだ付けする際に、260℃まで加熱された部品表面に微細な「ふくれ=ブリスター」が発生して問題となる場合がある。今回の「ラペロスLCP」の開発グレードは、従来の材料に比べて大幅なブリスター抑制効果が確認されており、生産性の向上が期待できる。

 またLCPが多く採用されているコネクタのような厚みに変化がある部品では、段差の不安定界面の形成を決定する拡張流動の大きさには、材料のスウェル特性(膨張現象)が大きな影響を与える。スウェル特性は、ポリマー種、フィラー種によって大きく異なることから、グレード選定の際には考慮すべき点だ。

 同社では、この知見をもとに、急激な肉厚変化部で発生するブリスターを抑制するグレードの開発に成功した。

ADEKA ナス由来成分で血圧や気分改善効果を実証

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2019年11月26日

 ADEKAはこのほど、信州大学や北海道情報大学などと、日頃からストレスを感じているⅠ度高血圧者と血圧が高めの健常人(正常高値血圧者)を対象とした臨床試験(プラセボを用いた二重盲検ランダム化比較試験)により、ナス由来コリンエステルを含むナス搾汁粉末の継続摂取による血圧改善効果と気分改善効果を確認したと発表した。

 この研究成果は、ナスの食品機能性を高水準の臨床試験で証明した世界初の成果で、栄養学の分野で評価の高い国際学術誌「Nutrients」に掲載された。

 同研究は、農業・食品産業技術総合研究機構の生物系特定産業技術研究支援センター(生研支援センター)の委託プロジェクトである、革新的技術開発・緊急展開事業「新規機能性成分によるナス高付加価値化のための機能性表示食品開発」で創出した研究成果の一部。

 わが国の農林水産業の国際競争力強化に向け、ナス栽培農家の所得向上という明確な開発目標の下、栽培作物ではナスにだけ新規機能性成分・コリンエステルが豊富に含まれるという信州大・中村造蔵准教授の発見に基づいて、ナス生産者・企業・大学・研究機関がナス高機能化コンソーシアムを組んで、社会実装を視野に入れたナス・イノベーションに、2017年度から3年間にわたり取り組んできた。

 コンソーシアムには、ナス生産者として倉澤農園、研究機関として信州大、北海道情報大、農研機構、高知県農業技術センター、企業としてADEKAのほか、サラダコスモが参画。また、研究成果の普及とナス製品開発販売のために、安芸農業振興センター、高知県農業協同組合、三井食品工業、島貿易、ウェルナス(信州大発ベンチャー)が協力機関として参加している。

 同研究成果をもとに、ナス由来コリンエステルを関与成分とする機能性表示食品(生鮮ナスおよびナス加工品・サプリメントなど)の開発を加速させ、製品化と販売を視野に、引き続き官民学共同チーム一丸となって進めていく。なお、今回の研究成果については、アグリビジネス創出フェア2019(11月20~22日:東京ビッグサイト)で紹介を行った。

出光興産・東レ 有機ELで世界最高の発光効率と寿命を達成

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2019年11月26日

 出光興産と東レは25日、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料と赤色蛍光材料を用いた有機EL素子を開発し、実用化領域に近い、世界最高レベルの発光効率46cd/Aを達成したと発表した。

 出光興産が発光効率と寿命を両立させることができる新規のTADF材料を、東レが従来に比べて発光スペクトル幅の狭い新規の高色純度の赤色蛍光材料を、それぞれ開発することに成功したことによるもの。同技術は有機ELディスプレイの低コスト化や省電力化、広色域化に寄与する。

 有機ELディスプレイは赤色・緑色・青色の発光素子からなり、現在、赤色発光素子には主にリン光発光材料が使用されている。リン光発光材料は、電力を光に100%変換することができ、発光効率を向上させることができるが、素材にレアメタルを使用しているため高コストであり、発光スペクトル幅が広く色純度が低いことも課題。これに対し、近年、TADF材料が注目されている。

 TADF材料を活用した技術は、リン光発光材料と同様に電力を光に100%変換できることに加え、発光スペクトル幅の狭い蛍光材料を組み合わせることで高色純度を達成する特長を持つ。また、素材にレアメタルを使用しないため、材料コスト削減を図ることができる。両社は、2017年の有機EL材料に関する技術提携に関する合意以来、互いが保有する有機EL材料や技術、知見などを活用し、新規材料開発で協力してきた。

 今回、両社で開発したTADF材料を利用した赤色有機EL素子が、現在主流の赤色リン光素子と同等レベルに迫る結果を得たことは、新たな技術の早期実用化に向けた大きな進歩となる。今後は、モバイルやテレビ用途などへの採用を目指し、開発を強力に推進して行く考えだ。なお、今回の成果は、今月27日から札幌コンベンションセンターで開催される「26th International Display Workshops」にて両社で共同発表する予定。

宇部興産・山口東京理科大 細胞培養関連テーマで共同研究

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2019年11月20日

 宇部興産はこのほど、山口東京理科大学(山陽小野田市)と包括連携下の共同研究実施第1弾として、多孔膜素材を用いた培養幹細胞の長期維持機構の解明に関する研究を開始すると発表した。なお、両者は今月15日付で共同研究契約を締結している。

 宇部興産・化学カンパニー研究開発本部の萩原研究室では、超耐熱性多孔薄膜「ポリイミド(PI)多孔質膜」を基質に応用した細胞培養法に関して研究を重ねてきた。その結果、ヒトおよび動物細胞の高効率大量培養が、このPI多孔質膜を用いて実行可能であることを見出だし、一連の発明を特許として出願、新規事業開拓に向けバイオ医薬品向けタンパク質産生などの産業利用を目指した取り組みを展開している。

 これらの発明の1つとして、再生医療などで注目を集めるヒト間葉系幹細胞への応用に関して、通常の培養方法では細胞の老化によって失われる幹細胞の性質を、PI多孔質膜を用いることによって数カ月から1年以上の長期培養でも維持可能であることを発見した。産業での活用に向け、この現象のメカニズム解明や各種用途への適用性開拓など、さらなる研究開発が重要となる。

 一方、山口東京理科大学・薬学部再生医療学分野の嶋本顕教授は、早老症の研究に長期にわたって取り組み、細胞の寿命とテロメアの関係を始めとした細胞老化のメカニズムについて、多くの研究成果を報告してきた。そして疾患特異的iPS細胞の樹立やモデル動物への展開といった幅広い研究経験を踏まえて、同大学では再生医療の視点から幹細胞の老化について研究を開始している。

 この両者の共同研究により、双方の経験やノウハウを活用しながらPI多孔膜を用いた培養ヒト幹細胞の長期維持の解析を進め、研究を加速させることが今回の新規連携の目標となる。両者の隣接市という立地の利点も活用しながら密度の高い研究連携を展開し、将来的には再生医療でニーズが高まる高品質幹細胞の大量生産や幹細胞エクソソームの安定供給などへの応用を展開する。

システムギア 防爆関連で2新製品を開発、来年4月に発売

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2019年11月19日

 システム機器開発をはじめ、ソフトウェアやソリューション、サービスの提供を行う、システムギアはこのほど、防爆関連製品「防爆アースクリップEXP‐A01」と「小型防爆ネットワークカメラEXP‐C01」を開発した。

防爆アースクリップ EXP-A01
防爆アースクリップ EXP-A01

 同社は今年8月、日本システム開発を存続会社とし、システムギアホールディングス、中央情報システム、システムギアソフテックのグループ4社が合併し経営基盤を強化、商号を「システムギア」に変更した。グループ統合後、初となる両製品は、いずれも来年4月の発売を予定し、初年度に300台の販売を目指す。価格はオープン価格。

 「防爆アースクリップEXP‐A01」は、国内防爆製品の先駆けとしてLED仕様の接地(アース)確認ランプを搭載し、接地ミスによるヒヤリ・ハットを防止する。接地をクリップ先端のLEDの点灯で知らせ、接地をしっかりと目視で確認できる(特許取得)。

 接地方法は、単純接地(本体―接地間は固定で使用)、本体接地(本体をアース板に接地)、二線接地(アース線まで断線確認)、台車設置(台車を含むアース確認)の4つのパターンが可能だ。アルカリ乾電池式。国内検定の本質安全防爆形を取得予定(Zone 0対応予定)。

 石油化学プラント・ガソリン給油所のほか、塗料製造現場、半導体工場のアルコール洗浄プロセス、揮発材を活用する化粧品・食品の製造プロセスなど、様々な現場に存在する「爆発事故につながる危険場所」での作業に必須のツールとなる。

小型防爆ネットワークカメラ EXP-C01
小型防爆ネットワークカメラ EXP-C01

 「小型防爆ネットワークカメラEXP‐C01」は、安全性の向上と業務効率化を同時に図れる防爆カメラ。本体サイズ幅65㎜×高さ65㎜×奥行125㎜は、設置型の防爆カメラとして国内最小クラスを実現した。LANケーブルを利用したPoE給電に対応し、電源工事は不要。角度を自在に調整できることから、天井・壁面など、場所を選ばない設置が可能だ。

 石油化学プラントや都市ガス、LPガス業界などでの利用(現場監視による点検作業の効率化とトレーサビリティの確保など)のほか、最新の画像認識技術と組み合わせた無人監視システムにより、サイトグラス(フローサイト)の液量監視や液面(界面)状態の監視も行える。水素対応の防爆検定取得予定で、水素インフラへの活用として水素ステーションなどの設備監視にも対応する。

 両製品は、20~22日に幕張メッセで開催の「第1回防爆・防災リスク対策展」で初展示される(ブース番号:5F‐07)。

BASF PAがマッスルスーツに採用、軽量化に寄与

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2019年11月19日

 イノフィス(東京都新宿区)はこのほど、BASFのポリアミド樹脂「Ultramid(ウルトラミッド)」を採用したアシストスーツ「マッスルスーツEvery(エブリィ)」を発売した。

 マッスルスーツは重いものを運ぶ時などに腰への負担を軽減するが、さらなる軽量化によるユーザーへの負荷低減が求められていた。「ウルトラミッド」を採用することで、マッスルスーツの堅牢性と機能性を損なうことなく、重量を低減させた。さらに両社が協業して射出成型を適用することで、組み立て工程を簡素化し、製造コストの大幅な削減が実現した。

 イノフィスは東京理科大学発のベンチャー企業。2014年からマッスルスーツの販売を始め、累計出荷台数は4000台を超えており(今年4月現在)、アシストスーツ業界の大ヒット商品となっている。

ユニチカトレーディング 肌の弱酸性保持するpHコントロール生地を開発

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2019年11月19日

 ユニチカトレーディングとコンビ、一丸ファルコスは共同で、肌の弱酸性をキープするpHコントロール加工生地「NANOAQUA(ナノアクア)‐pH」の開発に成功した。今までの樹脂加工による加工方法では実現できなかった高耐久性能をもち、吸水性・制電・防汚性(工業洗濯・家庭洗濯に対応)にpHコントロール性を付与することで、生地の表面を弱酸性にキープする。

 コンビと一丸ファルコスは、ヒトの皮膚に住んでいる皮膚常在菌に着目。この多種多様な菌から成る肌フローラ(皮膚常在菌叢)は、肌表面や毛穴周りの保湿成分やpH、免疫などの調節により、皮膚のバリア機能に関わっている。

 肌フローラには皮脂を餌として、酸性物質やグリセリンを産出する、「うるおい菌」とも呼ばれる表皮ぶどう球菌などが存在している。両社の共同開発の結果、コンビがもつヒト由来乳酸菌の一種である、エンテロコッカスフェカリスEC‐12株の加熱殺菌菌体が、加齢により減少する「うるおい菌」を育てるとともに、肌フローラを改善することを見出した。

 これはすでに「ラ・フローラEC‐12」として化粧品原料で展開している。ユニチカトレーディングはこの機能に着目し、「ナノアクア」の加工技術と「ラ・フローラEC‐12」の機能を融合することで、洗濯耐久性に優れたpHコントロール機能をもつ「ナノアクア‐pH」を開発した。

 ユニチカトレーディングでは、ユニフォーム用途での販売をスタートさせ、続いて肌着やレディス、スポーツ衣料へ用途を拡大、さらに日用品などの生活資材への展開を目指す。同社は今後もこうした新たな挑戦を行い、全てのステークホルダーの豊かで健康な暮らしと技術を結ぶことにより、サステナブル企業として社会に貢献していく方針だ。

帝人 睡眠力向上サービスでソニーと協業を開始

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2019年11月19日

 帝人はこのほど、従業員の睡眠改善をサポートすることで企業の健康経営に貢献する「Sleep Styles睡眠力向上サービス」のさらなる質向上を目指し、ソニーと同社のパーソナルアロマディフューザー「AROMASTIC(アロマスティック)」を通じた協業を開始したと発表した。

 帝人は昨年、ウェアラブルデバイスやウェブアプリ、Eラーニングなど様々なツールを活用した「睡眠力向上プログラム」の提供を開始。また、参加者の睡眠傾向を分析する「スリープチェック」と「睡眠力向上セミナー」の提供を開始し、これら3つのサービスを「Sleep Styles睡眠力向上サービス」として展開している。

 さらなる改良を検討する中で、睡眠やリラックスへの香りの効果に着目し、幅広い知見をもつソニーと「アロマスティック」を通じた協業に至った。

 香りによる感覚入力は、感情やホルモンバランスを司る大脳辺縁系領域に直接伝わることが知られている。ソニーは、香りがもつ多様な効果に注目し、コンパクトサイズながら複数の香りを楽しめる「アロマスティック」を開発して、2016年から販売している。

 帝人は「アロマスティック」を「睡眠力向上サービス」のツールとして活用し、香りがもたらす効果を参加者に学習、体感してもらうことで、継続的にセルフケアを実践できるプログラムの共同開発を進めていく。

 帝人は、今後もソニーとともに、両社が保有するノウハウや技術を融合させることにより、様々なソリューションを開発・提供し、一人でも多くのQOL向上に貢献していく。

東レ 世界初の連続空隙構造の多孔質炭素繊維、高性能ガス分離膜の性能を向上

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2019年11月19日

 東レは18日、世界初となるナノサイズの連続する空隙構造をもった多孔質炭素繊維を創出したと発表した。

多孔質炭素繊維の模型
多孔質炭素繊維の模型

 同素材をガス分離膜の構造を支える支持層に用いることで、温室効果ガス(CO2)の分離や水素製造に用いられる高性能分離膜の軽量・コンパクト化が図られるとともに、高物性(耐熱性、耐薬品性、耐圧性)で分離性能を向上させることが可能となる。同社は、同素材のさらなる研究・開発・量産化を進め、外部との連携も視野に用途開発を進めていく考えだ。

 CO2やバイオガス、水素など様々なガスの分離には、これまで吸収法や吸着法が使用されているが、装置が大きく、エネルギー消費によるCO2排出量が多いという課題があった。そのため、膜によるガス分離法が注目され研究が進められているが、ガス分離性能と耐久性を両立させた膜は実用化されていない。

 今回開発した炭素をベースとした素材は、化学的に安定し、ガス透過性にも優れている。柔軟性に優れる細い繊維状であるため、モジュールに多く収納することができ、コンパクト化・軽量化も図れる。また、同素材は様々なガス分離機能層と組み合わせが可能といった特徴もある。

 同素材を創出した背景として、同社がもつ高分子技術と、トップシェアを誇る炭素繊維技術や水処理など分離膜技術を融合させたことが挙げられる。同社が得意とする高分子技術を活用することで、すべての細孔空隙と炭素が規則的に連続する多孔質炭素繊維を生み出した。

 この細孔空隙構造は、孔径サイズをナノレベルからマイクロレベルに任意に作ることができ、また多孔質炭素繊維の中心部を空洞とした中空糸形状とすることも可能。天然ガス精製やバイオガス精製、水素製造など各種高性能分離膜の早期実用化に貢献できる。

 さらに、この多孔質炭素繊維は吸着性能にも優れることから、その特性を生かした用途として、電極材料や触媒の担体(他の物質を固定するベースの物質)など高性能電池への応用も期待される。

 同社は、戦略的オープンイノベーションを促進するグローバル研究のヘッドクォーター「未来創造研究センター」を今年12月に開所する予定だ。

 同素材についても様々なパートナーと協業することで可能性を追求。5年をめどに、同素材によるガス分離膜用支持層と、アカデミアや重要パートナーの分離機能層を組み合わせた、より高機能なガス分離膜の実用化を目指していく考えだ。

ポリプラスチックス 新規COCエラストマーを上市

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2019年11月18日

 ポリプラスチックスは15日、新しい熱可塑性の透明なCOCエラストマー「TOPAS E‐140」を開発・上市したと発表した。

 新製品は、TOPAS Advanced Polymersが、独自のポリマー設計技術により、COCの結晶構造を制御して開発した新しい熱可塑性の透明エラストマー。「TOPAS」のもつ優れた特性と、エラストマーとしての機械特性を融合することで、従来のエラストマーでは困難であった用途への応用が可能になる。

 「TOPAS E‐140」は、そのユニークな特性により、ライフサイエンス分野、医療機器・医薬包装分野、電子デバイス分野での応用が期待されている。「TOPAS COC(環状オレフィン・コポリマー)」は、TOPAS Advanced Polymersが製造する非結晶性樹脂。高い透明性や水蒸気バリア性、低溶出性、低吸着性、耐薬品性などの優れた特長があり、医療機器・医薬包装分野、食品包装分野、エレクトロニクス分野などの幅広い用途で応用されている。

 ポリプラスチックスは「TOPAS」の新たな用途展開に向けて、ユニークな特性をもった「TOPAS E‐140」を開発・上市した。