可塑剤大手3社の値上げが今月7日までに出揃い、早期決着に向けた関係ユーザーとの交渉が本格化している。昨年12月初旬以降から騰勢を強める原油・ナフサ価格や、可塑剤の主原料である無水フタル酸やアルコールの値上げが打ち出される中、物流費や容器費の上昇もあり、各社は可塑剤の値上げを相次いで打ち出した。
2社に先駆けて
2020年1月15日
2020年1月8日
JNCは7日、オキソ誘導品を今月21日出荷分から15円/kg以上値上げすると発表した。
対象製品は、ノルマルブチルアルデヒド(NBA)、イソブチルアルデヒド(IBA)、オクタノール(OA)、ノルマルブタノール(NBO)、イソブタノール(IBO)、CS‐12、CS‐16、CS‐202、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、イソ酪酸イソブチル(IBIB)、酢酸イソプロピル(IPAC)、オクチル酸、DMH。
オキソ誘導品の原料である国産ナフサの基準価格は、原油価格の上昇により騰勢を強めており、今年1Q(1-3月期)は4万7000円/klを超える勢いとなっている。また、物流費や用役費、副原料もすでに上昇しており、自助努力でコストアップ分を吸収するのは極めて困難な状況となっている。
こうした中、同社はユーザーに対する安定供給の責務を果たすためにも今回、価格改定せざるを得ないと判断した。
2020年1月8日
出光興産は7日、メチルエチルケトン(MEK)を今月27日出荷分からキロ25円以上値上げすると発表した。
MEKの主原料である国産ナフサの基準価格は、主要産油国による協調減産継続、および減産幅拡大などを背景とした原油価格の上昇に伴い、今年第1四半期(1-3月期)は4万7000円/klレベルが想定され、大幅なコスト上昇が見込まれる。また、これらに加え、安定生産のための修繕費の上昇などにより、コスト事情は悪化している。
こうした中、同社は一層のコスト低減努力を継続しているが、今回、価格改定を実施せざるを得ないと判断した。なお、想定したナフサ基準価格が大きく変動する場合は、再度価格改定を実施することもあるとしている。
2019年12月26日
2019年12月25日
新日本理化は24日、フタル酸系可塑剤を来年1月14日納入分から値上げすると発表した。同社が扱うフタル酸系可塑剤全般を対象とし、ローリー品を19円/kg以上、ドラム・缶を42円/kg以上値上げする。
高騰する原料価格と人件費の増大を背景に、収益改善が急務となっている。主原料である無水フタル酸は、年明けからの大幅な値上げが打ち出されており、また、人手不足による物流費、特に荷姿品の充填費・保管費の上昇幅が大きく、収益を急激に圧迫している。加えて、数十年を経過した設備の維持・更新費も年々増加傾向にある。
こうした環境下、同社ではコスト削減に向け様々な対策を継続的に図っているものの、コスト上昇分を自助努力のみで吸収する余力はすでになく、顧客への安定供給と事業継続のため、価格改定を実施せざるを得ないと判断した。
2019年12月24日
2019年12月23日
宇部丸善ポリエチレンはこのほど、ポリエチレン(PE)製品を来年1月21日納入分から12円/kg以上値上げすると発表した。対象製品は同社ポリエチレン(LDPE、EVA、メタロセンL-LDPE、L-LDPE)と、その他同社取り扱い製品。
同社製品の主原料となる国産ナフサ価格は、原油価格の上昇と為替の円安継続に伴い急騰し、来年第1四半期(1-3月期)は、4万5000円/kl程度が見込まれる。加えて、ユーティリティコストと副原料費など諸経費も高騰が予想される中、深刻な人手不足の影響による運賃も上昇している。
同社は、上昇分を吸収すべくさらなる合理化とコスト削減に取り組んでいくが、自助努力の限界をはるかに超える状況となっており、今後も需要家への安定供給を継続していくために、今回の価格改定が不可欠であると判断した。
2019年12月23日
東ソーは20日、ポリエチレン樹脂全製品を来年1月21日納入分から値上げすると発表した。
対象となるのは、低密度ポリエチレン「ペトロセン」、直鎖状低密度ポリエチレン「ニポロン‐L」「ニポロン‐Z」、超低密度ポリエチレン「LUMITAC」、高密度ポリエチレン「ニポロンハード」、エチレン酢酸ビニル共重合体「ウルトラセン」、ポリオレフィン系接着性樹脂「メルセン」、高溶融張力ポリエチレン「TOSOH‐HMS」。値上げ幅は現行価格から20円/kg以上。
ポリエチレン樹脂の主原料である国産ナフサ価格は、旺盛な需要を背景として、来年1-3月期以降は4万7000円/klを超える水準まで上昇することが予想されている。
同社は徹底したコスト削減に努めているが、国産ナフサ価格の高騰に加え、物流費や安定生産のための修繕費などの上昇によるコスト事情の悪化は、自助努力のみで吸収することは極めて困難であり、今後の安定供給を図るためにも価格を改定せざるを得ないとの判断に至った。
2019年12月18日
2019年12月18日
日本ポリエチレンはこのほど、ポリエチレン全製品を来年1月15日納入分から値上げすると発表した。値上げ幅は12円/kg以上。
原油価格は、OPEC・非加盟産油国による協調減産継続と減産幅の拡大により、大幅に上昇してきている。国産ナフサ価格についても、原油の高騰に加え、ナフサ供給のタイト感や域内の堅調な需要、為替も円安が定着していることから、2020年第1四半期には4万5千円/㎘に迫る水準となることが見込まれる。
また、これに伴い、用役・副原料価格も上昇している。同社は厳しい経済環境の下、徹底したコスト削減に努めてきたが、今回の急激な原燃料コストの上昇を自助努力のみで吸収することが困難なことから、価格改定をせざるを得ないと判断した。