《化学企業トップ年頭所感》JXTGエネルギー 大田勝幸社長

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2020年1月9日

 昨年5月に、当社グループ全社員で共有するべく策定した「長期ビジョン」を発表した。

 長期ビジョンには、IT技術の活用などを通して石油サプライチェーンを一層競争力のあるモノに磨き上げること、ケミカルリファイナリー化、技術立脚・環境配慮型の潤滑油や高機能素材の拡大、再生可能エネルギーやCO2フリー水素事業の拡大、エネルギーサービスプラットフォームやSSネットワークの生活プラットフォーム化といった、新たなサービスの提供を掲げている。

 そして、革新的な価値を創造・提供し続けることで、グローバル社会の持続的発展に貢献し、アジアを代表するエネルギー・素材企業へと成長したいと考えている。

 長期ビジョン実現の第一歩となるのが、来年度から始まる第二次中期経営計画である。現在、「成長事業への選択投資と革新的な価値創造」「基盤事業の安全・安定操業と徹底効率化による競争力強化と継続的なキャッシュ創出」「スピード経営の実践」の3つの基本方針に沿って策定中である。

 これらを実行していくためには、抜本的な構造改革が必要と捉え、6月にはJXTGホールディングスと実質的に統合し、同時に商号とブランドを統一する。実質的統合は経営会議・取締役会の一体運用、管理部門の合同部化、大幅な権限委譲によって、意思決定の迅速化、自律的・独立的・機動的な業務執行を実現するものである。

 また、高い知名度を持つENEOSブランドを社名に冠し、国内外での新規事業の創出や、成長事業の育成を強力に推進していく。そうすることで、このブランドをさらに大きく輝かしいものに磨き上げていきたい。

 構造改革を実現していくために、日々の仕事に取り組むにあたって意識してほしいことを、3点申し上げる。まず、すべての仕事の前提となる「安全とコンプライアンス」、次に「変革と行動」、3つめが「スピード」と「外に目を向ける」だ。

 いよいよ今年の夏は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される。当社グループは、大会施設や車両への石油・電気・ガス・水素の供給を通じて、大会の成功に向けて貢献していく。

《化学企業トップ年頭所感》宇部興産 泉原雅人社長

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2020年1月8日

 昨年は、国内では平成が終わり、令和という新しい時代が始まるという節目の年だった。世界の政治・経済情勢は、自国中心主義の風潮がますます強まる中、米中貿易摩擦などの貿易障壁の高まりや英国のEU離脱問題の混迷、地政学リスクなど、不安定な政治的状況が実態経済に大きな影を差すようになり、中国など主要各国で成長の同時減速という事態が広がった。

 不透明な政治情勢を背景とした景気の落ち込みは、今年も当面続くと思われる。とはいえ、その中で新たな時代の胎動は着実に進んでいる。今年の始まりにあたり、皆さんに次の2点をお願いする。

 1つ目は、1人ひとりが心身ともに健康であること。職場の安全については、環境事故撲滅や設備保全の改善のための取り組みも含め、活動の有効性を検証し、必要に応じた見直しを行いながら、安全文化を定着させていこう。

 昨年のラグビーワールドカップ以来、「ONE TEAM」という言葉が盛んに言われ、流行語大賞にもなったが、まさにチームとして変化に立ち向かい、力を発揮するための大前提は1人ひとりの安全と健康だ。今年も、個人の生活と職場の両方で、安全と健康に努めてほしい。

 2つ目は、自分の仕事のやり方が今の時代に合ったものか、あるいは今後の時代の流れを見据えた時に、その進むべき方向性に合ったものか、改めて見直し、積極的に変えてほしい。

 先行きが不透明な時代であるからこそ、少しでも先を見る努力をし、将来に備えつつ自分の今の仕事を軌道修正していくことを、1人ひとりが心掛け、「変えながらやり抜く」ことが肝要だ。常に「最新の未来」を探り、それを踏まえてやり方は調整しながら、しつこくやり抜く努力をしよう。

《化学企業トップ年頭所感》JSR エリック・ジョンソンCEO

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2020年1月8日

 2020年を迎え、JSRグループは「グローバル化のさらなる推進」「デジタル変革の推進」「CSRからサステナビリティ重視の経営への移行」といった、事業戦略全体に関わる課題により一層注力していく。

 日本を中心とした企業から、世界企業への移行を推進するに当たっては、各地域に適したアプローチを行いながら、世界中から最適なテクノロジー・プロセス・アイデア・市場・人材を取り込んでいけるよう、体制を整備していく。

 また、さまざまな地政学的変化を世界規模で理解し、対応することのできる体制の構築にも取り組む。日本にはすでに優れた体制があるが、米中を中心にさらに拡大していきたいと考えている。

 デジタル変革に関係する取り組みとしては、「最新のAI技術の理解・応用」「研究開発へのシミュレーション技術の実装」といった領域を、さらに加速させる予定だ。当社にはすでに量子コンピューターの活用を含め、マテリアルズ・インフォマティクスに取り組む多くの人材が存在しており、全事業におけるデータ分析の利用も進めている。今年は新たにデジタル専門部署を新設し、これらの活動を加速させていく。

 ステークホルダーに対して、長期的な価値を提供するという意味で、サステナビリティは重要なポイントだ。当社は製品開発では絶え間なくイノベーションを追求し、環境対応や適切な企業統治といった倫理的行動に注力するなど、サステナビリティに欠かせない多くの中核的要素をすでに保有している。

 これらは今後も弊社の社風として中核をなすものだが、今年はさらに、国連主導の持続可能な開発目標(SDGs)を事業に適切に取り込むため、CSR部門を強化し、全社を挙げてサステナビリティを意識した事業活動を推進していく。

《化学企業トップ年頭所感》三井化学 淡輪敏社長

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2020年1月8日

 昨年は、残念ながら一昨年に続いて事故やトラブルが発生し、撲滅には至らなかった。言うまでもなく、安全は当社グループの全ての事業活動の原点であり大前提だ。年頭にあたり、今一度「安全は全てに優先する」方針を社員1人ひとりが心に刻み、今年こそ徹底して事故ゼロを目指していきたい。

 昨年を振り返ってみると、「2025長期経営計画」を実行に移してから3年が経った。2019年度の業績は、厳しい環境変化に加え、台風被害などの一過性の要因もあり、当初見込みの営業利益1050億円から840億円に下方修正した。

 しかし、成長3領域が厳しい環境下でも収益レベルを維持し、基盤素材事業も構造改革により一定の安定感が出てきたことは、皆さんのたゆまぬ努力の成果と考えている。つまり、われわれが歩んできた方向性に間違いはなかったと言えるだろう。今後は、修正した目標の達成に全力を尽くすとともに、中長期的な視点を持って引き続きポートフォリオ変革を進めていきたいと考えている。

 こうした中、世界に目を向けてみれば、世界が直面する政治・経済・環境面での課題は、マグマのように至るところで噴出している。ポピュリズム(保護主義)の台頭と世界の貿易・経済への影響は短期的な解決は期待できず、また、気候変動や海洋プラスチックごみなど、当社グループに影響のある環境問題への関心も大きくなるばかりだ。

 今、世界で何が起こっているのか、どのように自身の仕事や生活に影響を及ぼしているかをしっかり認識し、アンテナを高くして柔軟に対処してほしい。

 私は就任以来、「組織の風通しのよさがツキを呼ぶ」と皆さんに伝えてきた。組織の風通しがよいと社員が明るくなり、人も情報も集まり、最後によい結果が呼び込まれる、との思いを込めた私なりの表現だ。当社が持続的に成長するために、世界各国の拠点の皆さんと一緒になって、コミュニケーションを深め、連帯を図り、風通しのよい組織で知恵を出し合ってもらいたい。

 日本でオリンピックが開催される今年が、皆さん1人ひとりにとって明るく健やかな1年であることを心から願っている。

《化学企業トップ年頭所感》三菱ケミカル 和賀昌之社長

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2020年1月8日

 昨年は、吉野博士のノーベル化学賞受賞、量子コンピューティングの革新的な成果報告といった次世代を切り開くイノベーションに注目が集まった一方で、ブレグジットや米中貿易摩擦、中東や北朝鮮の問題に加えて日韓関係の悪化などもあり、世界経済の諸問題はほとんど改善されることなく先行きが不透明なまま継続した1年だった。

 AIやIoT、再生医療などの科学技術は想像を絶するスピードで進化し続けており、他方で気候変動、資源の枯渇、廃プラスチック問題などの諸課題への対応も不可欠となっている。私たちを取り巻く事業環境は硬直と変化の複雑な模様を織りなしているが、人・社会・地球が抱える様々な課題に正面から向き合い、世の中に必要とされる素材を提供し、社会に貢献し続けるという三菱ケミカルグループの信念は変わっていない。

 着実に成長し続けるため、安全第一とコンプライアンスの徹底を基盤とし、変化し続ける外部要因に対応することに加えて、内包する問題を解決し、私たちの強みを生かした体制を構築していくことが喫緊の課題である。

 現在当社グループでは、「安全・安定操業」「収益力の強化」「真のグローバル化」および「営業改革」を推進する、様々な施策に取り組んでいる。これら各施策を独立したものではなく、一連のパッケージとして実施することで当社グループの持続的な成長にさらに大きな効果があると理解いただき、積極的な協力をお願いしたい。

 昨年は、成長戦略推進のために事業売却や買収によるポートフォリオ最適化を進めつつ、複数の設備投資を決断して収益力の強化を図った。6月には「三菱ケミカルは決めました」と題した30の宣言を発信し、多様な人材が生き生きと活力高く働ける現場・会社を従業員のみなさんと作り上げていくための方向性を明確にした。

 各宣言については、事業所のトイレ改革「爽快プロジェクト」や、危険な作業と重負荷作業を削減する「心身に負担の大きい作業削減プロジェクト」など、具体的な投資も進めており、テレワークの推進などではすでに大きな実績が上がっている。「営業改革」については、昨年4月に設置した営業改革推進室による検討を踏まえ、これまでの営業の在り方を見直し、よりきめ細やかな顧客対応を実現しうる体制を構築するための具体的な取り組みを本年より進めていく。

《化学企業トップ年頭所感》昭和電工 森川宏平社長

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2020年1月7日

 2019年は2年連続で最高益を更新して構築した「しっかりとした今」を基盤に、「期待の持てる将来」を作り成長への道筋を描くための新しい中期経営計画「The TOP 2021」を開始したが、米中貿易摩擦や地政学リスクなどにより世界経済は想定以上に悪化し、非常に厳しい事業環境となった。2020年も世界経済の早急な回復は期待しにくく、厳しい状況が続くと予測される中、時代の変化に合わせて当社グループも適切かつ大きく変化していくことが求められている。

 2020年は、昭和電工グループが一流を目指して歩み始めた中期経営計画「The TOP 2021」の折り返し点である2年目にあたる。「The TOP 2021」では、2025年までに個性派事業の集団になり一流への第一歩に到達するために、変化すべきこと、実行すべきことを宣言している。

 一流になるためには変化を恐れてはいけない。なぜなら変化のない現状の延長線上には、昭和電工グループが目指す、人々の「こころ」を動かし、「社会」を動かす「一流」の昭和電工グループは存在しないからだ。また、「一流」とは収益への期待だけはなく、安全・安定操業、コンプライアンス遵守、社会貢献、従業員満足といったCSR(企業の社会的責任)を果たすことも求められる。高く険しい山だが、私たちはその頂上を目指して進んでいこう。

 「世界TOPクラスの機能性化学メーカー」をめざす2020年は、日立化成との統合という当社の長い歴史の中でも非常に大きな変化が起こる年だ。今回の決断により、全事業の半数以上を個性派事業にするという山の頂上のさらに先に、「世界TOPクラスの機能性化学メーカーになる」という、さらに高い山、「期待の持てる将来」が見えてきた。

 個性派事業の集団を実現して現在よりもレベルアップした「今」を示すため、一人ひとりが自分のすべきことを自ら宣言し、変化を恐れず強い意志と自信を持って「実行」していこう。

《化学企業トップ年頭所感》東ソー  山本寿宣社長

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2020年1月7日

 当社はハイブリッド経営の深化を通じて、事業環境の変化に耐えうる強固な体質を構築し、安定した収益を上げられる会社にしていきたいと考えている。そのためには、会社は従業員に夢を持ってもらえるようなビジョンや体制づくりが必要であるし、その実現に向けて従業員全員が責任と自主性を持って業務に励んでほしいと思っている。

 今年の経営課題は第1に2019年度業績予想の達成だ。今年度の業績は経済環境の悪化により前年度比減収減益の見込みだが、どのような状況下においても当初計画した数字を達成できる、外部環境の変化に耐えうる強い企業体質を目指す。

 第2に安全対策だ。安全安定運転は、当社にとって永遠の課題であり、今まで通り、健全化工事は実施していく。引き続き異常現象や労働災害の撲滅に向けて、危惧される個所のさらなる点検を実施し、製造現場の安全に一層つながるようお願いする。また、IoT・AIをはじめとするデジタル技術の導入を、業務の効率化およびトラブル未然防止のために、積極的に推進していく。

 第3に成長戦略だ。コモディティ事業は、基盤強化により競争力を一層高めるとともに能力増強の機会をうかがう。スペシャリティ事業は、機能性・差別化を強化しつつ需要増に対応できるよう積極的に能力増強を実施する。また、南陽・四日市の両研究所では、研究開発により創出される新規事業を1つでも多く立ち上げていく事を期待する。

 第4にコンプライアンスだ。法令順守は、企業や個人にとって最低限守るべきルールであり、不正や虚偽データなどの問題は社会からの信用を失墜してしまう。職場で行われている業務が法令に適合しているかどうか、原点にかえってもう一度業務の再点検を実施してほしい。

 第5に現場力の強化だ。各職場では今後の目指すべき方向や課題は整理されていると思うが、その実現には現場力の発揮が必要だ。各現場での自由闊達な意見交換を通して皆さんが主体的に業務を行い、自負できる明るい職場にしてもらいたい。それが会社の総合力向上につながっていく。

 最後に持続可能な開発目標(SDGs)への対応だ。当社として、CO2排出課題は避けて通れない。当社の将来に大きな影響を及ぼす課題だけに、具体的な目標や指標を掲げて対応しているが、一朝一夕で解決できる課題とは考えていない。様々な角度からCO2の削減・有効利用に取り組んでもらいたい。当社が高収益で各方面のステークホルダーから〝信頼される企業〟となるべく、皆さんと一緒に努力していきたいと思う。

《化学企業トップ年頭所感》旭化成 小堀秀毅社長

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2020年1月7日

 今年も旭化成グループは、元日のニューイヤー駅伝で陸上部が見事4連覇を達成し、たいへん素晴らしいスタートを切ることができた。

 さて、当社グループにとっての2019年を一文字で表現すると「祝」がふさわしいと思う。なんと言っても、名誉フェロー吉野彰さんのノーベル化学賞受賞だ。これは我々のみならず産業界の誇りであり、特に若手研究者に夢や希望を与えてくれるものだった。スポーツではニューイヤー駅伝3連覇に始まり、8月の世界柔道選手権では大野将平選手が見事なオール一本勝ちで金メダルを獲得した。

 また、5月発表の2018年度決算では売上高、営業利益ともに過去最高を記録。サステナビリティを中核に据えた中期経営計画〝Cs+ for Tomorrow 2021〟を発表し、サステナビリティ推進部、マーケティング力強化や事業化を支援するマーケティング&イノベーション本部、ASEAN地域のコネクトを推進するための旭化成アジアパシフィックを設置した。

 住宅事業では上期に過去最高の業績を達成し、ヘルスケア事業ではグローバル化を加速するため、米国ベロキシス社の買収を決定するなど、皆さんのおかげで本中計は良いスタートが切れたと感じている。

 一方、当社グループを取り巻く事業環境は、米中の貿易戦争や先端テクノロジーを巡る覇権争いなどから、グローバル規模で経済成長の減速が表れ始めた年だった。日本国内では、前年に引き続き各地で自然災害が多発し、甚大な被害を受けた。企業もより高いレベルでのBCP対応やインフラ強化が求められている。

 2020年も先行き不透明な状況が続くものと思うが、社内外との効果的なコネクト、基盤強化、事業高度化を図り、環境に柔軟に対応することで各施策を実行していこう。

 昨今「地球温暖化」「海洋プラスチック問題」など、地球規模 での課題の解決が求められており、企業は、その取り組み姿勢を厳しく問われている。吉野さんはノーベル化学賞受賞のレクチャーで、リチウムイオン電池の活用により、今後「環境」「経済」「利便性」という3つの要素を調和させながら課題解決を図るという素晴らしい決意を示された。

 当社グループも世の中の変化をしっかり捉え、イノベーションによる新事業創出やポートフォリオの変革により、サステナブルな社会の実現に貢献していきたい。

 2020年の抱負は、2019年の「祝」をつなげていきたいという想いを込めて、継承・継続の「継」の一文字としたいと思う。引き続き、当社の特徴ある事業や技術を生かすことで企業価値向上を目指すとともに、 各自の専門性を高め、生産性の向上を図り、新しいことにチャレンジし、社会からの期待にしっかり応えていこう。

《化学企業トップ年頭所感》住友化学 岩田圭一社長

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2020年1月7日

 2年目を迎える中期経営計画において、住友化学グループの持続的な発展を実現する上で特に欠かせない要素が2つある。イノベーションエコシステムを作り上げることと、デジタル革新への取り組みである。どちらも新たなチャレンジだが、いかに実現するかは皆さん一人一人の努力にかかっており、次の3つのことを心に留めて、各々の業務に取り組むことをお願いしたい。

 まず、「不作為のロス」をなくすことだ。挑戦を避け、アクションを起こさなければ、貴重な成長機会を逃し、組織としても大きな損失となりかねない。これは、全ての仕事に共通することだ。失敗を恐れず、「自らが変化を起こす」という気概を持って日々新しいことに挑戦してほしい。

 次に、常に「スピード」を意識することだ。技術進歩とともに社会は非常に速いスピードで変化しており、より早く意思決定し、より早く実行することが求められている。そうした中、大切なのは、限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮することだ。スピードを常に意識して、判断、行動することを心掛けてほしい。

 最後に、「現場力」をより一層高めることだ。安全・安定操業、品質管理、コンプライアンス、人材育成といった事業運営の土台となる取り組みについて、さまざまなデジタルテクノロジーを活用することで、現場力のさらなる向上を目指してほしい。また、現場力強化のためのもう1つの重要な要素は多様性だ。多様性を持ったメンバーの一員として、志と将来の目標を共有しながら、果敢に諸課題に取り組んでほしい。

 住友の事業精神の1つである「自利利他 公私一如」、すなわち、自社の成長と社会の発展を共に実現することは、われわれにとって不変の命題であり、働く一人一人にとっての誇りとやりがいである。この誇りとやりがいを原動力に、当社グループのさらなる飛躍に向けて力強く前進し続けよう。

《化学企業トップ年頭所感》三菱ケミカルホールディングス 越智仁社長

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2020年1月7日

 昨年は「成長の加速と新たな社会に向けた基盤強化」の年と位置づけ、当社では先端技術・事業開発室の機能強化を、三菱ケミカルではデジタル・トランスフォーメーションの推進とITシステム・R&D機能強化、各リージョンでの〝One MCC〟の取り組みを、田辺三菱製薬ではデジタル技術の研究開発やMRへの応用を、大陽日酸では大型M&Aによる欧州での事業基盤の獲得を、生命科学インスティテュートではMuse細胞の生産拡大など、各事業会社では基盤強化に向けた諸施策を推進してきた。

 米中貿易摩擦やブレグジット、中東の地政学的リスクなどにより先行きの不透明感はますます強くなっているものの、医薬品事業の特殊要因を除けば、コア営業利益3000億円程度を安定して確保でき、平均的には3500億円を達成できる水準までに、当社グループの収益性を向上させることができた。これは「APTSIS 20」を通じて行ってきた、ポートフォリオ改革の推進と成長戦略の着実な実行の賜物と考えている。

 一方で、深刻な自然災害や廃プラスチック問題に関して、世界各国で対策が取られ始める中、サーキュラー・エコノミー構築に向けた機運が一層高まっている。また、科学技術の進化は凄まじいものがあり、特にデジタル技術やバイオサイエンス技術の革新は、大きなリスクであると同時に多大なるチャンスだと捉えている。

 今年は「2030年の〝あるべき姿〟に向けた計画策定」の年と位置づけ、1つは次期中期経営計画「APTSIS 25(仮称)」の策定、次に働き方改革のさらなる推進、そしてリージョナルオペレーションの強化、の3点を積極的に進めたい。次期中期経営計画については、2050年からバックキャストした2030年のあるべき姿へ向けての経営の基本方針である「KAITEKI Vision 30」をベースに、年末をめどに作り上げていく。

 働き方改革では業務を見直し、高度化・自動化することで、付加価値の高い仕事に集中して取り組める環境整備を通じ、いつでも、どこでも業務ができる体制を作り上げたい。さらに、地域統括拠点として各地域にしっかりと根付いた営業活動とマーケティングを行い、各事業会社での海外拠点の運営・ガバナンス体制を一層強固なものにしていく。