ENEOS 和歌山製油所、装置破損で全装置緊急停止

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2021年3月31日

 ENEOSの発表によれば、29日午前11時30分ごろ、和歌山製油所(和歌山県有田市)内で、圧縮空気装置の出口配管が破損し、装置の調節弁を制御するために使用している空気を喪失したことにより、温度・圧力などの調整が不能となり、全装置が緊急停止した。

 装置を安全に停止させる措置として、装置内の余剰ガスを燃焼させる処理を講じたが、黒煙防止用の蒸気を喪失したことにより同装置(フレアスタック)から黒煙が発生。30日午前10時時点でも黒煙の発生が継続している状況だ。なお、黒煙については、製油所周辺で有害性がないことを確認済みとのこと。

 また、全装置が停止する過程で、流動接触分解装置(重質油留分をガソリンや灯油、軽油などに分解する装置)の空気供給機建屋での火災発生を確認。ただちに公設消防等関係先に通報するとともに、自衛防災組織を出動させ消火活動を行い、現在、目視により火炎、発煙は確認されていない。人的被害はなし。海上や河川への漏洩や被害拡大の恐れもないとしている。原因と物的被害については現在調査中。

 同社の話では、現時点での再稼働の見通しは立っていないものの、出荷については他製油所などで対応していくとしている。

JNC 肥料事業の合弁子会社、持ち株出資比率を向上

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2021年3月30日

 JNCはこのほど、連結子会社であるジェイカムアグリ(JCAM)の株式の一部を譲り受けると発表した。株式譲り受け予定日は今年7月1日を予定。これにより持ち株比率は、JNC64.00%(取得前39.00%)、旭化成22.75%、三菱ケミカル10.00%(同35.00%)、九州化学工業3.25%に変更となる。

 JCAMは2009年にチッソ旭肥料と三菱化学アグリが事業統合して以来、JNCグループ(JNCと九州化学)、三菱ケミカル、旭化成による合弁会社として国内外の農業および農業関連分野に貢献することを目指し、肥料の開発や製造・販売といった事業を展開してきた。この間、3社合弁のシナジーにより、JCAMとしてのブランドの浸透や、収益の計上が果たされるようになった。

 こうした中、JNCは、合弁先である三菱ケミカルの所有するJCAM株式の一部を譲受け、肥料事業の収益向上を目的にJCAMに対する主導権の強化を図る。JNCは今後も、肥料事業による収益の向上を目指していく考えだ。

三菱ケミカル 合成エタノールの生産と販売終了、来年2月

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2021年3月30日

 三菱ケミカルはこのほど、三重事業所(三重県四日市市)の合成エタノール製造設備について、来年2月をめどに停止し同製品の生産・販売を終了すると発表した。併せて、日本アルコール販売(アル販社)から発酵エタノールの蒸留業務を来年4月から受託することも発表している。

 合成エタノール事業を取り巻く環境は、生産設備の老朽化による修繕費の増加などにより厳しい状況が継続。こうした中、三菱ケミカルは、合理化によるコスト削減などにより競争力の維持に努めてきたが、同設備による生産を継続していくことは難しいとの判断に至った。同設備の停止により、合成エタノールの生産・販売を終了し、同社は工業用エタノール事業から撤退することになる。

 一方で、感染症対策として消毒の用途に使用されるなど工業用エタノールの需要が堅調に推移していることを踏まえ、三重事業所に備わる既存の蒸留設備を使用し、発酵エタノールを販売するアル販社から蒸留業務を受託することを決定した。

 三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループの中期経営計画に基づきポートフォリオマネジメントの強化に取り組む。今回、合成エタノール事業の撤退もその一環として捉え、全体の生産性のさらなる最適化を進めるとともに、総合化学メーカーとして、感染症対策に関連する製品の供給を通して、社会に貢献していく考えだ。

 

住友化学 エンジニアリング部を新設、スマート保安を実現

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2021年3月30日

 住友化学は29日、4月1日付でエンジニアリング部を新設すると発表した。全社横断的かつ機動的なエンジニアリング体制を構築するとともに、各工場工務部門の保安・保全機能を強化し、デジタル技術を活用したスマート保安の取り組みを加速させる。

 同社はこれまで、千葉や愛媛、大分などの各工場に工務部門を配置し、工場の特性に応じた最適なエンジニアリング機能の発揮により安全・安定操業に貢献してきた。一方、事業環境の変化やグローバル化が加速する中、特に新設・増強工事については従来以上に迅速な業務遂行が必要なほか、海外での大規模設備投資に対する支援の拡充が求められている。さらに、多くの国内設備では、高経年化や労働人口の減少などを背景に、エンジニアリング業務、保安・保全業務の全社的な最適化や、それを担う人材の育成、ノウハウの継承も急務となっている。

 こうした状況を踏まえ、同社はプラントの新設や大型の設備改造について、よりシームレスに設計から建設までを実行できる全社横断的かつ効率的な体制を構築するとともに、各工場工務部門の保安・保全機能を強化する。

 新設するエンジニアリング部は、エンジニアリング業務の全社最適化や人材の機動的な活用と育成を進め、またグループ会社で同機能を展開する住友ケミカルエンジニアリングおよびシアテックとより緊密な連携を図る。各工場の工務部門については今後、設備や運転、エンジニアリングなどのデータを連携させた統合プラットフォームから得られるデータに基づく予知・予兆検知をはじめ、デジタル技術を活用したスマート保安の実現に注力していく。

 同社は、事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応するため、工場に備わる機能全体を高度化するとともに、安全・安定操業の継続により、持続的な成長と企業価値の向上を目指していく。

三菱ケミカル 知財戦略活動に注力、中国訴訟で勝訴

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2021年3月26日

 柔軟な知財施策、事業戦略の一部として組み込む

知的財産部 阿部仁部長

 三菱ケミカルは24日、中国における赤色蛍光体の特許侵害訴訟で全面勝訴が確定したことを踏まえ、知的財産戦略の強化について記者会見を開催し、知的財産部の阿部仁部長(4月から経営執行職知的財産本部長)が説明を行った。

 近年、経営上で知財の重要性が高まっている。ただ知財戦略については、知財部門の活動方針や具体的な重要施策などを指す場合があり、定義が曖昧だ。阿部部長は「各社の知財戦略を見る場合、1つの側面からではなく、全体で捉えることが重要になる」と指摘した。

 同社は、知財戦略の基本方針として、①重要資産である知的財産を有効活用し企業価値を高める、②知的財産権を保護し第3者から侵害された場合には適切な措置を取る、③第3者の有効な知的財産権を尊重する、を掲げている。この方針の下、知財戦略については、事業ごとに知財上の施策を定め実行する「知財戦略活動」に注力。阿部部長は「日本の機能性材料の特徴は、規模が小さい市場で、高いシェアをもっていることだ。つまり、 “三菱ケミカル 知財戦略活動に注力、中国訴訟で勝訴” の続きを読む

住友化学 福田加奈子執行役員が化学工学会の女性賞に

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2021年3月26日

 住友化学はこのほど、同社の福田加奈子執行役員が、化学工学会による2020年度の化学工学会賞で「女性賞」を受賞したと発表した。

 化学工学会は、化学工学の学術的水準の進展を支え、人材を育成し、それらの成果を社会に有機的に還元するための中心的学会として活動する学術団体。「女性賞」は、化学工学または化学関連産業に関わる技術上の優れた業績を上げた、あるいは、化学工学に関する優れた研究を行い、かつ男女共同参画推進のための制度や環境の整備に貢献した個人に授与される。

 福田執行役員は、高分子添加剤の応用研究や国内外営業などの業務に従事した後、2013年にCSR推進室(現サステナビリティ推進部)部長に就任。2015年に国連サミットでSDGsが採択されたことを受け、「化学企業こそがSDGsに貢献できる」という強い思いから、同社グループ3万人以上の社員を対象とした独創的かつ先駆的な活動に着手。「サステナブルツリー」をはじめSDGs関連の取り組みを先導するとともに、講演などを通じて広く情報発信し社内外でのSDGs普及に貢献した。

 また、化学工学会では、SDGs検討委員会のメンバーとして、女性のエンパワーメント原則(WEPs)会合などを通じて得た経験や知識を生かし、「札幌宣言」についてはジェンダー平等の視点を提案するなど宣言の策定にも寄与した。こうした業績が高く評価され、今回の受賞に至った。

 なお、福田執行役員は現在、住友化学ヨーロッパ(ベルギー)で副社長として勤務しており、4月1日付で同社の社長に就任する予定。

三井化学 「健康経営優良法人」に5年連続で認定

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2021年3月26日

 三井化学はこのほど、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)ホワイト500」に、5年連続で認定されたと発表した。同制度は、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰するもの。 

社員の健康づくりは経営課題。5年連続の認定となった
社員の健康づくりは経営課題。5年連続の認定となった

 三井化学は、本社や研究所、主要5工場の健康管理室に専属産業医や保健師、衛生管理者などを配置し社員の健康管理を推進するとともに、健康管理室がグループ会社に対する支援も実施しグループ社員も含めた健康増進に取り組んでいる。また、メンタルヘルス不調・生活習慣病の予防や、衛生リスクの継続的低減にも注力し、同社ウェブサイトなどで結果を公開。新型コロナウイルス感染症に対しては、早期から拡大防止や予防対策の展開のみならず、社長や健康管理室長らのメッセージに加え、「運動のススメ」などの情報の配信を定期的に行うことで健康経営を実践している。

 同社グループは、「社員の健康は会社の健康に直結する」との基本理念に基づき、社員の健康づくりを経営課題と位置づけている。今後も、グループ社員の健康増進活動に積極的に取り組んでいく考えだ。

 

東洋紡 岩国に高機能不織布の開発・製造拠点を新設

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2021年3月26日

 東洋紡はこのほど、岩国事業所(山口県岩国市)に、マスクや医療用防護服の部材として使用される高機能ポリプロピレン不織布の開発・製造拠点を新設すると発表した。ポリプロピレン製メルトブローン不織布とスパンボンド不織布を生産する。生産能力は最大で年間1200t、2022年7月の生産開始を目指す。3月23日、岩国市役所にて建設協定に関する調印式を開催。同拠点は、経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」を活用して建設する。

岩国事業所の全景
岩国事業所の全景

 新型コロナウイルスの感染拡大当初、マスクや医療用防護服の需給がひっ迫したことにより、部材として使用されるポリプロピレン製メルトブローン不織布やスパンボンド不織布の、国内での安定供給の重要性が指摘されている。同社はこれを受け、経産省からの補助金を活用してポリプロピレン不織布の製造拠点を岩国事業所内に新設し、高機能不織布の安定供給の実現に貢献していく考えだ。

 また同拠点では、アフターコロナの時代を見据え、耐久性や集じん効率などを向上させたより高機能な不織布や、地球環境にやさしい原料を使用した不織布の開発にも注力。同事業所がマザー工場としての役割を担い、提携工場の協力を得ながら、高機能不織布市場や環境対応不織布市場の拡大をグローバル規模で推進していく。

調印式の様子。(右から)岩国市の福田市長、山口県の福田商工労働部長、東洋紡の西山専務執行役員
調印式の様子。(右から)岩国市の福田市長、山口県の福田商工労働部長、東洋紡の西山専務執行役員

 なお、調印式では、岩国市の福田良彦市長、山口県の福田浩治商工労働部長をはじめ多数の関係者が出席し、同社から出席の西山重雄専務執行役員は「マスク用不織布部材の国内サプライチェーン強化に貢献したい」と抱負を語った。

DIC グリーンバイオベンチャーと業務提携を締結

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2021年3月26日

 DICは25日、藍藻類であるスイゼンジノリ由来多糖類のサクランによる事業を展開するグリーンバイオベンチャー企業グリーンサイエンス・マテリアル(GSM社)と資本業務提携を開始したと発表した。

調印式の様子 (左から)GSM社 辻取締役、DIC 髙野常務執⾏役員(新事業統括本部⻑)、GSM社 ⾦⼦社⻑、熊本県起業化⽀援センター 藤井理事⻑、オジックテクノロジーズ社 ⾦森社⻑
調印式の様子 (左から)GSM社辻取締役、DIC髙野常務執⾏役員(新事業統括本部⻑)、GSM社⾦⼦社⻑、熊本県起業化⽀援センター藤井理事⻑、オジックテクノロジーズ社⾦森社⻑

 GSM社は、北陸先端科学技術大学院大学の岡島麻衣子氏や金子達雄氏らにより新規に発見された物質「サクラン」の研究成果を活用した同大学発のベンチャー企業。世界で初めてサクランを商用化した。

 サクランは、日本固有の淡水藍藻類であるスイゼンジノリから抽出される多糖類であり、高い保湿性や抗炎症効果、バリヤ性などを生かして様々なスキンケア製品へ応用されている。GSM社は、現在、スイゼンジノリの人工的な養殖や培養技術の開発を行い、サクランの量産性を上げてグローバル展開を目指している。加えて、スイゼンジノリが唯一天然で生育・養殖されている黄金川(福岡県朝倉市)の保全活動にも積極的に取り組んでいる。

 一方、DICグループは、1970年代にスピルリナ(藻類)の商業生産に世界で初めて成功して以来、安全かつ高品質なスピルリナ粉末やスピルリナ由来食用色素「リナブルー」を、健康食品や食品素材、飼料分野などへグローバルに展開している。DICは、今回の提携により、食用藍藻類のスピルリナ事業で培った大量培養技術や機能成分の抽出技術をGSM社と共有し、同じ藍藻類であるスイゼンジノリの人工培養技術の確立を目指す。さらに、DICグループで欧米地域を統括するサンケミカル(米国ニュージャージー州)と連携し、GSM社とスイゼンジノリやサクランの販売をグローバルに展開するとともに、新規アプリケーションの開発も行う。

 

調印式の様子 (左から)GSM社 辻取締役、DIC 髙野常務執⾏役員(新事業統括本部⻑)、GSM社 ⾦⼦社⻑、熊本県起業化⽀援センター 藤井理事⻑、オジックテクノロジーズ社 ⾦森社⻑
調印式の様子 (左から)GSM社 辻取締役、DIC 髙野常務執⾏役員(新事業統括本部⻑)、GSM社 ⾦⼦社⻑、熊本県起業化⽀援センター 藤井理事⻑、オジックテクノロジーズ社 ⾦森社⻑

DICグループは、藻類培養ビジネスの強化を通じ、今後もヘルスケア分野やパーソナルケア分野で顧客にとって価値のある製品を提供していく考えだ。

住友化学 健康経営優良法人ホワイト500に4年連続で認定

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2021年3月25日

 住友化学はこのほど、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)ホワイト500」に4年連続で認定された。健康経営優良法人制度は、経済産業省が2016年に創設。地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する。

健康経営優良法人に4年連続で認定
健康経営優良法人に4年連続で認定

 同社は、従業員が心身ともに健康な生活を送り、豊かな人生を実現できるよう、全社統括産業医の下、医療スタッフによる保健指導をはじめ、様々な健康支援施策を推進。昨年2月には、住友化学健康保険組合と共同で「すみか『こうします』宣言」の1つとして「すみか健康社員宣言」を表明した。「健康なくして仕事・生活の充実なし!」とのスローガンを掲げ、「食事」「運動」「睡眠」「禁煙」「こころ」の5分野で具体的なアクションプランに取り組んでいる。

 同社は、従業員一人一人が自身の心身の健康に留意し、仕事もプライベートも充実した生活を送ることができるよう、引き続き健康保険組合と協働して様々な健康支援施策を実施していく。