NEDO 将来像レポートを公表、価値軸と社会像を提示

,

2021年7月21日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、豊かな未来の実現に向けたイノベーション活動を後押しするための将来像レポート「イノベーションの先に目指すべき『豊かな未来』」を公表した。

 国内外の豊かさに関する報告書や各種政府白書、未来予測に関する報告書など計75編を俯瞰的に分析し、イノベーション活動を推進していく上で「大切にすべき6つの価値軸」と「実現すべき12の社会像」を提示。あわせて「現代社会が取り組むべきイノベーション事例」を取りまとめた。

 「自分らしい生き方」「健康で安定な生活」「持続可能な自然共生世界」「持続可能な経済成長」「強靭で快適な社会基盤」「安全・安心な国」の実現を大切にすべき価値軸とし、実現すべき社会像については、3Rの推進や低環境負荷材料の利用により環境負荷を最大限削減しながら経済成長も実現する「物質循環による持続可能な社会」や、社会経済の発展に向けた取り組みと自然共生社会に向けた取り組みを軸とする「環境と調和した持続可能なエネルギー社会」などのように、より具体的なイメージを提示している。

 また、各省庁から発行されている各種白書や国内外の未来予測に関する報告書など計46編に加え、NEDO技術戦略研究センターがこれまでに策定した技術戦略などを参考とした「環境に優しいものづくりの追求」や「エネルギー網の脱炭素化・強靭化」など、豊かな未来の実現に向けて現代社会が取り組むべき40のイノベーション事例も別冊として取りまとめた。

 様々な企業・団体でイノベーション活動の目的の分析や今後の展開のよりどころとして活用されることを期待し、今後も豊かな未来の実現につながるイノベーション活動を展開していく。なお、同レポートについては、9月にオンラインセミナーを開催する予定だ。

 

 

富士フイルムホールディングス 新DXビジョンで提供価値向上と社会課題解決

,

2021年7月21日

 富士フイルムホールディングスはこのほど、同グループの「DX(デジタルトランスフォーメーション)ビジョン」を新たに策定した。

 「わたしたちは、デジタルを活用することで、一人一人が飛躍的に生産性を高め、そこから生み出される優れた製品・サービスを通じて、イノベーティブな顧客の体験の創出と社会課題の解決に貢献し続ける。」とし、提供価値の向上と社会課題の解決に向けた挑戦をコミット。

 2014年に「ICT戦略推進プロジェクト」を立ちあげ、2017年にはすべての事業・生産・研究開発・間接部門を統括する「デジタル変革委員会」を組織化し、事業活動や各部門が提供するすべてのサービス・業務を対象に、デジタル化で変革すべき「デジタル変革課題」を最新のICTで解決することを目指してきた。

 事業活動では、例えば医療分野に活用できるAI・IoT技術の自社開発を進め、医師の画像診断を支援するAIプラットフォームの提供や、生産効率を大幅に高めたスマート工場での内視鏡スコープの生産などに取り組んできた。2030年度までに、医療AI技術を活用した製品・サービスを世界196カ国すべての国と地域に導入し、医療アクセスの向上という社会課題の解決に貢献する。

 サービス・業務では、例えば業務効率化に貢献するドキュメントハンドリング・ソフトウェアの拡販や、契約書の作成・管理を電子化し契約業務の迅速化を図る電子署名ソリューションなどで業務プロセスの変革に貢献し、働く人の生産性向上と創造性発揮を支援する働き方を5000万人に提供していく。

 富士フイルムHDは新経営体制の下、DX人材の育成や人材配置の最適化などDX人材が活躍できる環境づくりを推進する「人材DX」の強化や、経営データをワールドワイドで一元管理できるシステムを刷新し意思決定を迅速化して業務効率を高める「業務DX」、ロボティクス・AI技術を幅広い事業の製品・サービスに応用して顧客のDX加速を支援する「製品DX」に取り組み、DX推進の基盤となる情報セキュリティをさらに強化。経営判断のスピードを高め、幅広い分野に革新的な製品・サービスを提供していく考えだ。

三菱ケミカル クリンスイが三重県に活動拠点をオープン

, , , ,

2021年7月21日

 三菱ケミカルは20日、子会社である三菱ケミカル・クリンスイが、三重県にある複合リゾート施設「VISON(ヴィソン)」内に、活動拠点「Cleansui House(クリンスイハウス)」をオープンしたと発表した。

「クリンスイハウス」にある「ウォーター・ウォール・ギャラリー」

 「VISON」は三重故郷創生プロジェクトによる日本最大級の商業リゾート施設。東京ドーム24個分(約119ヘクタール)の広大な敷地に、四季を感じるホテル、日本最大級の産直市場をはじめ約50店舗が出店している。この場所に同社は、〝水の知恵〟をコンセプトにしたメディアのようなパビリオン「クリンスイハウス」を設立。食・風土・伝統・工芸など、この地域のもつ多様な魅力を掘り起しながら、水を切り口にした展示やワークショップといった体験型コンテンツを提供する。地域コミュニティに貢献するだけでなく、来場者にこれからの暮らしのアイデアを提案しながら、持続可能な社会に求められるアクションを起こしていく。

 定期的に大小さまざまなイベントを開催する予定で、「水の飲み比べ」や、建物を共有する昆布の老舗「奥井海生堂」と共同で、だしのとり方ワークショップなどを計画している。また、「クリンスイハウス」の中には「ウォーター・ウォール・ギャラリー」を併設。「水」を通して日本の文化や歴史を探求し〝水のシナリオ〟と題したシリーズ展示をケーススタディに、水と人との営みを再考しながら、水の叡智を発見していく。

デンカ 米EPAにクロロプレン毒性評価の見直しを要請

, , , , , ,

2021年7月21日

 デンカは20日、米国子会社のデンカ・パフォーマンス・エラストマー社(DPE)が、今月15日に米国環境保護庁(EPA)に対し、クロロプレンモノマーへの暴露による発がんリスクの見直しを可能にする新たな毒性評価モデルを含む、クロロプレンモノマーの毒性評価に関する正式な「見直し要請(RfC)」を提出したと発表した。RfCはEPAが最善の科学に基づいて判断を下すことを目的に策定した科学的な検証プロセス。

 この新しいモデルは、生理学的薬物動態(PBPK)モデルと呼ばれ、人体への健康リスク評価に関するEPAと米国科学アカデミーの推奨事項に則っている。EPAはクロロプレンモノマーによる発がんリスクの評価を2010年に実施。EPAの統合リスク情報システム(IRIS)に登録されているこの評価は、一系統の雌のマウスに対する影響にのみ基づいている。

 それに対し、新モデルの結果は、ピッツバーグ大学の研究者らが最近更新したクロロプレン製造工場の勤務者に関する数十年にわたる研究や、ルイジアナ州の発がん率についてまとめたルイジアナ州腫瘍統計局の統計データなどの、クロロプレンモノマーに関する既存の疫学的研究と一致。そしていずれも、セント・ジョン・ザ・バプティスト郡にあるDPEの製造工場から排出されるクロロプレンモノマーによって、同工場の勤務者や近隣住民の発がんリスクが高まってはいないことを示唆している。

積水化学工業 ミタルとカーボン・リサイクルで協力関係に

, , , , ,

2021年7月21日

 積水化学工業とアルセロール・ミタルは20日、製鉄の際に排出されるCO2を回収し再利用するプロジェクトに関するパートナーシップを締結したと発表した。この取り組みにより、化石資源への依存度を低減し、製鉄時の脱炭素化に貢献することが期待される。

 鉄鋼産業では、製鉄工程におけるCO2の削減が長年の課題として存在してきた。今回のプロジェクトでは、製鉄の際に排出されるガスからCO2を分離・回収し、再利用するための技術開発に取り組む。このカーボン・リサイクルのキーテクノロジーはCO2を高い収率で一酸化炭素に変換する積水化学の革新的な技術。

 一酸化炭素は、世界中の化学産業で使用されている基本的な化学素材の1つだが、これまで、CO2から一酸化炭素を大量に生産することは困難だった。排出されたCO2を一酸化炭素含有率の高い合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)に変換し、得られた合成ガスを製鉄の際に鉄鉱石の還元剤として再利用することにより、製鉄に必要な化石資源量を低減する。

 まずは、アストゥリアス(スペイン)にあるミタルのR&Dラボで2021年から3年間にわたって同技術の初期検討を行い、その後、段階的にスケールアップしながら両社で実用化に向けた検討を進めていく予定。なお、同プロジェクトの投資額は190万ドル(約2.1億円)としている。

ENEOSと三菱ケミカル 廃プラ油化で鹿島にCR設備建設

, , , , , ,

2021年7月21日

 ENEOSと三菱ケミカル(MCC)は20日、MCC茨城事業所(茨城県神栖市)を拠点にプラスチック油化共同事業を開始することを決定し、同事業所内に商業ベースでは国内最大規模となる年間2万tの処理能力を備えたケミカルリサイクル(CR)設備を建設すると発表した。2023年度からの廃プラスチック油化開始を目指す。

プラスチックリサイクルのフロー。両社は2023年度からの廃プラ油化開始を目指す
プラスチックリサイクルのフロー。両社は2023年度からの廃プラ油化開始を目指す

  具体的には、外部から調達した廃プラを、英ミュラ・テクノロジー社の超臨界水技術を導入する新設備で化学的に液化し、油化処理を行う。製造した油(リサイクル生成油)は、ENEOSとMCCの既存設備である石油精製装置とナフサクラッカーの原料として使用し、石油製品や各種プラスチックへと再製品化することで、高効率なCRの循環を実現していく考えだ。

 ENEOSとMCCは、2019年に折半出資による鹿島コンプレックス有限責任事業組合を設立し、茨城県鹿島地区の石油精製と石油化学事業のさらなる連携強化の検討を行っている。その一環として、世界的課題となっている廃プラ問題を踏まえた上で、プラスチック製造のサプライチェーンに関わる事業者として循環型社会形成に貢献することをテーマの1つに据え、CRの技術検討を進めてきた。

 両社は今後、原料廃プラの安定調達をはじめ、プラ製品へのCR品認証や石油製品への温室効果ガス削減の認証といったサーキュラーエコノミー関連の認証取得などによる製品の高付加価値化を進め、次世代事業としてさらなる技術的知見の習得を図る。循環型社会の形成につながる今回の共同事業を通じ、持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「つくる責任使う責任」の達成に確実に貢献していく。

 

宇部興産 ESG投資のFTSEインデックス、構成銘柄に

, , , ,

2021年7月20日

 宇部興産はこのほど、ESG投資の代表的な指数「FTSE4Good Index Series」および「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に選定されたと発表した。

 両インデックスは、ロンドン証券取引所の子会社であるFTSE Russellが開発。国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)を含む、ESG(環境・社会・ガバナンス)の各分野における国際基準と高い整合性をもった評価モデルに基づき、ESGについて優れた対応を行っている企業が選定される。また、日本企業から構成される「FTSE Blossom Japan Index」は、世界最大規模の公的年金であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESG投資のための株価指数として採用している。

 同社は創業の精神と経営理念に基づき、事業を通じて社会のサステナビリティに貢献する。今年4月には新たに「サステナビリティ基本方針」を策定し、サステナビリティ経営に関わる基本方針や推進体制を明確に示し、ESGへの取り組みを一層強化している。

 また、来年4月から「UBE(ゆーびーいー)」に商号変更し、化学事業会社として新たな一歩を踏み出す。今後も持続可能な社会に求められる価値を創出し続け、地球環境問題、人々の生命と健康、そして豊かな未来社会に貢献するグローバル企業として、持続的成長を実現していく。

戸田工業とエア・ウォーター メタンから水素とCNT

, , ,

2021年7月20日

 戸田工業とエア・ウォーターはこのほど、「メタン直接改質法による鉄系触媒を用いた高効率水素製造システムの研究開発」が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「水素利用等先導研究開発事業/炭化水素等を活用した二酸化炭素を排出しない水素製造技術開発」公募の委託事業に採択されたと発表した。天然ガスやバイオガスなどの主成分であるメタンから、高活性鉄系触媒を用いたメタン直接改質法(DMR法)で、CO2フリー水素を高効率に製造するプロセスとシステムを開発する。

 DMR法は、現在工業的に広く用いられている天然ガスの水蒸気改質法と比べて、メタン1分子当たりの水素生成量は半分だが、製造時にメタン由来のCO2を発生しないCO2フリー反応。戸田工業のDMR触媒調製技術・DMR反応技術で純度70%の水素と高導電性の多層カーボンナノチューブ(CNT)を生成し、エア・ウォーターのガス精製技術で、工業用として一般的に利用される純度99.99%以上の水素を得るシステムで、2022年度中の完成を目指す。

 水素製造コストは、副生CNTの販売を組み合わせることで、日本政府の「水素基本戦略」の2030年目標の「30円/N㎥以下」を目指す。将来的には、DMR反応炉の加熱に再生可能エネルギーまたはカーボン・ニュートラルエネルギーを用いることで、「ターコイズ水素」の提供を目指す。

 同システムは、既存の産業水素サプライチェーンの早期クリーン化を目標とし、現存の都市ガスインフラを最大限に活用した安価なCO2フリー水素の提供を実現するもの。2050年脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速し、水素を利用する企業の価値向上と国内産業の発展に向けて推進していく。

製造システムの概略図
製造システムの概略図

 

ENEOS 山梨県産グリーン水素利用で合意書締結

, , ,

2021年7月20日

 ENEOSは山梨県との間で、再生可能エネルギー由来のグリーン水素の供給について合意書を締結したと発表した。

東京目黒水素ステーションの外観
東京目黒水素ステーションの外観

 同県甲府市の米倉山(こめくらやま)で製造された合計約600N㎥の再エネ由来グリーン水素を、7月から9月の3カ月間に2回にわけてENEOSの東京目黒水素ステーション(東京都品川区)に輸送し、燃料電池自動車に供給する。モビリティ分野のグリーン水素の利用を拡大することで、持続可能な低炭素社会の実現を目指す狙いだ。

 ENEOSは脱炭素に向けた本格的な水素の大量消費社会を見据えて、国内外でCO2フリー水素サプライチェーン構築に取り組んでいる。国内では、自動車用燃料供給に関わるインフラやノウハウを活用した水素ステーションネットワークの強化に加え、供給する水素のCO2フリー化を推進している。

 一方、山梨県は2050年までに県内の温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。目標達成に向け、再エネ余剰電力を水素などの気体燃料に変換し貯蔵するP2G(パワー・トゥ・ガス)システムの実用化を加速させるため、米倉山電力貯蔵技術研究サイトを拠点に、太陽光発電による電力で水を電気分解することでグリーン水素を製造、安全に貯蔵・輸送し、市民生活の中で利用する実証実験に取り組んでいる。

山梨県との合意に基づくグリーン水素の供給フロー
山梨県との合意に基づくグリーン水素の供給フロー

 

SEMIジャパン マンスリーレポート発行 政策や法規制を解説

, ,

2021年7月20日

 SEMIジャパンは19日、半導体と経済安全保障に関するマンスリーレポート「SEMIジャパン・ポリシーレポート」を発行すると発表した。今月後半から、SEMI会員向けに無料で配信する。経済安全保障という観点からも注目が集まる半導体業界の最新情報を配信することで、会員各社へのサービスの質をさらに向上させる。

 同レポートは、大手法律事務所で通商政策の分野にも精通するTMI総合法律事務所の協力を得て作成。日本国内における半導体関連の動向や、政府の施策、経済産業省など行政機関の取り組み、政策面の最新動向などをわかりやすく解説する。また、法律事務所の視点で注意事項なども掲載しており、複雑な政策や法規制のポイントを簡潔に理解できる内容になっている。

 SEMIは世界2400以上の会員企業と130万人の会員を擁する国際団体。日本国内では半導体製造装置メーカーや半導体材料メーカーを中心に、半導体デバイス、サブシステム、商社、サービス事業者など約350社の企業・団体が加盟している。

 SEMIジャパンは、国内最大規模の半導体関連展示会「SEMICONジャパン」の企画運営をしているが、今回のマンスリーレポートの発行・配信を含め、半導体サプライチェーン領域の情報発信を強化していく。浜島幸彦代表は、レポート発行について「TMI総合法律事務所の協力を得ることにより、重要性がさらに高まる通商政策を軸に、会員企業に広く重要な情報を伝える体制を構築できた。会員向けサービスの価値向上を図ることができると確信している」と述べている。

 SEMIジャパンは今回のレポート発行に加え、東京ビッグサイトで開催する「SEMICONジャパン2021」(12月15~17日)においても、半導体と経済安全保障に関するキーノートセッションなどを予定しており、膨らむ同分野の情報ニーズに応えていく方針だ。