東洋紡 岩国の自家発を更新、LNGとRPFに燃料転換

, , ,

2021年12月16日

 東洋紡はこのほど、岩国事業所(山口県岩国市)の自家火力発電所を更新し、燃料を石炭から液化天然ガス(LNG)および古紙・廃プラスチック類を主原料とした固形燃料のRPFに転換すると発表した。この燃料転換により、年間約8万tの温室効果ガス(GHG)排出量削減を図る。

岩国事業所に新設する自家火力発電所(イメージ)

 新設する設備は、LNG貯槽(175/kl)5基、RPFボイラ(30t)1基、ガスタービン、蒸気タービンなどで、発電出力は1万6420kW。すでに11月に着工しており、2023年10月の運転開始を予定する。設備投資額は約90億円。

 同事業所に新設する自家火力発電所では、燃料転換に伴う脱石炭の実現をはじめ、発電設備から発生する高温排ガスやLNGの冷熱を有効利用する省エネ制御技術の導入により、環境負荷を大幅に低減する。また、カーボンニュートラル(CN)の早期実現のため、メタネーションで製造する合成ガス、バイオマス燃料、アンモニア燃料、水素混焼、CCUS(CO2回収・利用・貯留)技術など、様々な次世代エネルギーや技術の導入に向け、同設備を利用した検証活動を進めていく考えだ。

岩国事業所の全景

 同社グループは地球温暖化・気候変動を事業活動の継続に関わる大きなリスクの1つと捉え、2050年度までにGHG排出量をネットゼロ(実質ゼロ)とするCN実現を目標に掲げ、生産活動に伴うGHG排出量の削減に取り組んでいる。今後は岩国事業所を「低炭素ものづくり」が可能な製造拠点と位置づけ、環境に配慮した事業活動を推進するとともに、社内外の事業誘致に努め、新たな事業や雇用の創出を通じて地域発展への貢献を目指していく。

 なお今回の設備新設は、経済産業省「令和2年度省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援事業)」に採択されたもので、大阪ガスの完全子会社であるDaigasエナジーと東洋紡が共同で実施する。

積水化学工業 住宅の買取再販ブランド、全国展開を加速

, , , ,

2021年12月15日

 積水化学工業は14日、セキスイハイム誕生50周年記念プロジェクトの1つとして、既存住宅流通における買取再販ブランド「Beハイム」の全国展開を加速すると発表した。

「付加価値型」リフォームを施した「Beハイム」の事例

 同社の住宅カンパニーでは、環境問題をはじめとする社会課題の解決や強固な経営基盤の構築を事業の成長力として位置づけ、「顧客価値」と「事業価値」の両立によるESG経営を推進。その一環として、既存の自社建築物件を直接買い取りアップサイクル住宅として循環させる買取再販ブランド「Beハイム」を昨年12月に立ち上げ、首都圏、中部、近畿の3エリアで展開している。

 同日開催された説明会で同カンパニーの井本達也ストック事業統括部長は「当社としては新たな高品質な住宅を供給していくだけでなく、

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

三井化学 バイオマスナフサ、大阪工場で投入始まる

, , , ,

2021年12月15日

バイオマスナフサの荷揚げの様子

 三井化学は14日、大阪工場(大阪府高石市)にネステ(Neste)社のバイオマスナフサ3000tが到着し、エチレンクラッカーへの投入を開始したと発表した。

 社会のカーボンニュートラル(CN)実現に向けたプラスチックのバイオマス化を進めるため、日本初となるバイオマスナフサからのバイオマス誘導品の生産を始めた。今後は大阪工場のエチレンクラッカーから誘導品へ展開し、ISCC PLUS認証に基づいたマスバランス方式で各種プラスチック・化学品に割り当て、バイオマス認証を付与した製品として出荷していく。

三井化学大阪工場の全景

 三井化学は、循環経済の実現に向け、化学品・プラスチックのリサイクルとバイオマス化の両輪を進めていく中で、地球温暖化対策に貢献するバイオマス化は、2050年CN実現に向けた重要な戦略課題と捉えている。

 バイオマスナフサを使用することで、原料からプラスチック製品が廃棄されるまでのライフサイクルを通したCO2は、石油由来ナフサ使用時に比べて大幅な削減が期待されている。年明けにはさらに3000tのバイオマスナフサの到着を控えるなど、トータル1万tの調達をすでに確保しており、素材・プロセスの開発とともにバイオマスナフサの本格導入を進め、着実にバイオマスの社会実装を推進していく考えだ。

 今回使用するのは、フィンランドのバイオマス燃料製造会社、ネステ社のバイオマスナフサ。植物油廃棄物や残渣油を原料に製造されており、石油由来原料を使用しない100%バイオマス由来のナフサになる。石油由来品に比べれば割高感のあるバイオマスナフサ由来品のコスト吸収や、今後投入量が増えれば原料調達の課題も抱えるが、まずは日本初のバイオマスナフサ導入により市場性を検証しながら、三井化学は製品提供を通じたグリーンケミストリーを推し進めていく。

出光興産 UAEからブルーアンモニア輸送実証試験を実施

, , , , , ,

2021年12月14日

四日市製油所に搬入されたブルーアンモニアのISO タンクコンテナ

 出光興産は13日、アラブ首長国連邦(UAE)の国営石油会社ADNOCから同国で製造されたブルーアンモニアを購入し、同社グループの昭和四日市石油の四日市製油所への国際輸送・納入を完了したと発表した。

 ブルーアンモニアのISOタンクコンテナでの国際輸送実証試験は、国内企業において先駆的な試みであり、出光興産はCO2フリーアンモニア・サプライチェーン構築に向けた知見の蓄積を目的として初めて実施した。

 今回輸送したブルーアンモニアは、

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

NEDO グリーンイノベーション基金でゼロエミ船開発

, , , ,

2021年12月13日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、海上輸送の脱炭素化に必要不可欠な水素やアンモニア、LNGなどを燃料とする次世代船舶の社会実装を進めるためのプロジェクト「次世代船舶の開発」に着手した。

 「船舶産業」はグリーン成長戦略の重点分野の1つ。グリーンイノベーション基金事業の一環で、期間は2030年度までの10年間、事業総額は320億円の予定。水素・アンモニア燃料のエンジンを開発することで日本の造船業・舶用工業の国際競争力を強化。海運業も一体となった社会実装を進めて、ゼロエミッション船の普及をけん引する。

 水素やアンモニアを燃料とするエンジンは技術的な課題が多く、世界的にも未開発だ。燃焼制御技術の向上や液体燃料タンクの開発が必要だ。また、既存のLNG燃料船にカーボンリサイクルメタンを使用して実質ゼロエミッション化する場合でも、未燃焼メタンの排気(メタンスリップ)を削減する必要がある。

 これらを踏まえ、次世代船舶の社会実装を進めるために、国土交通省が策定した研究開発・社会実装計画に基づく「次世代船舶の開発」の公募を行い、「舶用水素エンジン及びMHFS(水素燃料タンクと燃料供給システム)の開発」(川崎重工業など)、「アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の開発」(日本郵船など)、「アンモニア燃料船開発と社会実装の一体型プロジェクト」(伊藤忠商事など)、「触媒とエンジン改良によるLNG燃料船からのメタンスリップ削減技術の開発」(日立造船など)の4テーマを採択した。

 同基金事業の別プロジェクトでは、水素燃料やアンモニア燃料のサプライチェーン構築などを計画。供給拡大・低コスト化された水素・アンモニア燃料などを利用することで、世界のCO2総排出量の約2%を占める国際海運の脱炭素化への貢献を目指す。

 

クラリアント 新型アンモニア合成触媒がBASFで採用

, , , , ,

2021年12月13日

 クラリアントは、新しいアンモニア合成触媒「AmoMax 10 Plus」が、ベルギー・アントワープのBASFのアンモニア工場に採用されたと発表した。

 業界で実績のある「AmoMax 10」をベースに、同社の最新世代となるウスタイトベースの触媒で、活性・安定性・起動速度が大幅に向上。低運転圧力(最大10㍴)・低リサイクル率(リアクター出口で最大1%強のアンモニア)で運用でき、アンモニア生産量の増加(最大3%)とエネルギー消費量・CO2排出量が削減できる。

 日産2000t規模のアンモニア工場では、触媒の一般的な寿命期間である15年間で12万5000tのCO2排出量削減が見込まれ、これは1年間で車1600台以上のCO2排出量に相当する。また、クラリアント独自の「ActiSafE」テクノロジーにより、アンモニア合成触媒活性化時の水蒸気生成とアンモニア濃度を安全で効率良く正確に測定することで、触媒の還元処理を迅速かつ安全に行える。

 同社は、新触媒がBASFに採用されたことで、さらなるメリットが実証されることに期待している。

日本電気硝子 世界初の全固体Naイオン二次電池を開発

,

2021年12月13日

 日本電気硝子はこのほど、新たに結晶化ガラスの負極材を開発し、結晶化ガラス正極、固体電解質と一体化したオール酸化物全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池の駆動に世界で初めて成功した。出力電圧は3Vで、現行のリチウムイオン二次電池に匹敵する高い実用性をもつ。

 同社の全固体Naイオン二次電池技術は、資源量の豊富なNaや鉄を用いており、資源確保が問題とされるリチウムやコバルト、ニッケルなどの希少金属元素を必要としない。また、電池材料は全て安定な物質である無機酸化物で構成されており、使用時・製造時あるいは釘やナイフが刺さっても、発火や有毒物質発生の懸念がない。

 電池性能の面では、ガラスの軟化流動性を利用して固体電解質と正極・負極を一体化。イオン伝導性が高いため、低温でも駆動する。また、固体電解質はイオン移動による劣化が小さく、サイクル特性に優れる。シンプルな構造と高電位系活物質の開発により、エネルギー密度の高い電池が作製可能だ。

 同社は、実用性能をもち、安価な資源を活用でき、高い安全性をもつオール酸化物全固体Naイオン二次電池を脱炭素社会のキーパーツとし、1日でも早く広く世の中に提供できるよう、製品化に向けた取り組みを加速していく。なおこの成果は、11月30日から開催された第62回電池討論会(パシフィコ横浜)で報告された。

昭和電工 次世代記録技術に対応したHDメディアを開発

, , , ,

2021年12月13日

 昭和電工は10日、東芝研究開発センターと東芝デバイス&ストレージの提唱する新記録原理に基づいた次世代記録技術MAS‐MAMR(強磁性共鳴型マイクロ波アシスト磁気記録)に対応したハードディスクドライブ(HDD)用のHDメディアを開発したと発表した。

 MAS‐MAMRは、現在最先端の記録技術であるMAMRにおける記録トラック幅を強磁性共鳴効果(MAS効果)により大幅に微細化し、HDDの一層の大容量化を実現する次世代の記録方式。昭和電工はこの新記録原理を実現するため、東芝とヘッドメーカーであるTDKとともに、3社で協力して同技術の開発を進めてきた。

 今回の開発において、TDKが開発した双発振型スピントルク発振子を組み込んだ記録ヘッドと、昭和電工が開発した新規磁性層を搭載したHDメディアを組み合わせることで、MAS効果を発現させて記録容量を大幅に増大できることを世界で初めて実証した。

 昭和電工は、今年からMAMRを用いた東芝のデータセンター(DC)向け18TBのニアラインHDDに対応したHDメディアを供給しているが、技術開発の成果をもとに、東芝が実用化を目指すMAMR第2世代となるMAS‐MAMRを使用した30TBを超える大容量ニアラインHDDの実現に向け、HDメディアの開発を加速する。

 リモートワークや5G、IoTなどの普及に伴うDXの進展により、データ生成量や流通量が急増する中、大量のデータを記録、保管するDC向けの大容量ニアラインHDDの開発が強く求められている。昭和電工はこうした記録容量増大の強い要請に対応するため、今後も〝ベスト・イン・クラス〟をモットーに、MAS‐MAMRとともにHAMR(熱アシスト磁気記録)にも対応する二軸開発を加速させ、世界最高クラスの製品開発に努めていく。

理化学研究所など 迅速な自己修復性ポリマーの開発に成功

, , , ,

2021年12月10日

 理化学研究所と大分大学の共同研究チームはこのほど、2種類の極性オレフィンとエチレンの精密三元共重合により迅速な自己修復性能を示すポリマーの創製に成功した。

 従来の自己修復性材料は、水素結合やイオン相互作用などを利用するため、水や酸などで壊れやすく、自然環境下ではほとんど機能しない。同グループは以前、独自の希土類触媒により、優れた自己修復性能を示すエチレンとアニシルプロピレン類の二元共重合ポリマーを開発。アニシルプロピレン上の置換基が物性や自己修復性に影響するため、今回、置換基の異なる二種類のアニシルプロピレン(ヘキシルアニシルプロピレン、メトキシアリールプロピレン)とエチレンとの三元共重合に取り組んだ。

 スカンジウム触媒・エチレン一気圧の条件下、一段階で高分子量ポリオレフィンとなり、伸び率約1400%、破断強度約3M㎩のエラストマー物性を示した。構造解析と物性測定の結果、「ヘキシルアニシルプロピレン・エチレン」交互ユニットが柔軟成分、「エチレン・エチレン」の固い結晶ユニットと「メトキシアリールプロピレン・エチレン」交互ユニットが物理的架橋点として働く、三元共重合体であることが分かった。

 切断面をくっつけると、これら架橋点が分子間相互作用で再凝集して自己修復する。大気中では5分で引っ張り強度が97%回復し、対応する二元共重合体の5日間に比べて大幅に短縮した。水や酸、アルカリ性水溶液中でも、48時間程度で自己修復した。ヘキシル基の導入で柔軟成分が動きやすくなり、メトキシアリール基の導入で架橋点が増えたためであると考えられる。また、2種類のアニシルプロピレン類の組成比を変えることで、ガラス転移点をマイナス31℃~98℃の任意の温度で制御できた。

 今回の成果は、今後の自己修復性材料の設計・開発に重要な指針を与えるものだ。このポリマー合成は簡便で、置換基の種類やモノマー組成比によって熱物性・機械物性を制御できるため、様々な環境下で自己修復し、実用性の高い新規機能性材料の開発への貢献が期待される。

中外製薬 アクテムラが重症コロナ治療薬として欧州で承認

, , , , ,

2021年12月10日

 中外製薬はこのほど、ヒト化抗ヒトIL‐6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ」(一般名:トシリズマブ)について、全身性コルチコステロイドの投与を受けており、酸素投与または人工呼吸を必要とする成人に対するコロナウイルス感染治療薬として、ロシュ社が欧州委員会(EC)より適応拡大の承認を取得したと発表した。

 今回の承認は、欧州医薬品委員会(CHMP)による勧告からわずか数時間後であり、これはコロナ禍による公衆衛生上の非常事態において、治療選択肢の候補としての「アクテムラ」に対する緊急性を反映したもの。

 奥田修社長CEOは、「欧州では、コロナ感染再拡大にオミクロン株の影響が加わり、さらなる懸念が広がっている。患者の状態に応じた治療が必要なコロナ感染において、『アクテムラ』が重症治療に大きな役割を果たすことを願っている」と述べている。