ENEOS 大府に水素ステーション開所、45カ所目

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2021年4月20日

 ENEOSは先月、同社国内45カ所目となる水素ステーションを愛知県大府市に開所した。水素製造装置をステーション内に設置する都市ガス改質型オンサイト方式を採用し、水素製造能力は300N㎥/h。次世代自動車振興センター「燃料電池自動車用水素供給設備設置補助事業」の採択を受けて整備したもので、中京圏では7カ所目の水素ステーションとなった。

大府共栄水素ステーションの外観
大府共栄水素ステーションの外観

 同社の水素ステーションには3つのタイプがあるが、今回開所した「大府共栄水素ステーション」は水素のみの供給を行う単独型で運営する。単独型としては同社16カ所目。このほかにサービスステーション(SS)一体型17カ所、移動式12カ所、計45カ所で展開しており、水素ステーション数は国内トップシェアの30%を占める。

 同社は、燃料電池自動車(FCV)の販売開始に合わせ、2014年に国内初の水素ステーションを開所した。持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、目標9「産業と技術革新の基礎をつくろう」、目標13「気候変動に具体的な対策を」につながる水素事業を通じ、今後も水素製造と自動車用燃料供給に関わるインフラやノウハウの活用により、水素の製造・輸送・販売の効率的なビジネスモデルを構築することで、水素社会の実現に向けた取り組みを加速していく考えだ。

 

東大など ナノスケール凹凸ガラスで耐熱・超親水性実現

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2021年4月19日

 東京大学と産業技術総合研究所(産総研)、物質・材料研究機構の共同研究グループはこのほど、ナノメートルスケールの凹凸を施した「ナノすりガラス」を開発した。超親水性を150℃で1日程度維持でき、高温での印刷が必要な有機半導体でも、良質な単結晶薄膜を大面積製造することが可能となった。

 有機半導体は印刷により高品質な結晶性薄膜を得られるが、そのためには半導体インクが均質に漏れ拡がる親水性の基板が必要だ。親水性は水の濡れやすさを指し、親水性が高いと表面に付いた水が薄く拡がって膜状になる。一般的に、親水性表面は親水性化学種・化合物コーティング、UV光照射、プラズマ処理などにより得られるが、汚損により親水性は低下し、継続的な維持は困難だ。

 今回、物質表面のわずかな凹凸と表面の濡れ性の関係に着目し、一般的なガラスの表面を弱酸性の炭酸水素ナトリウム水溶液、80℃で処理し、ナノメートルスケールの凹凸(1㎚程度)を形成。マイクロメートルスケールの凹凸機械加工の「すりガラス」に対し、「ナノすりガラス」と命名した。表面の水接触角は3度以下の超親水性を示し、150℃の高温下で1日程度維持した。

一般的な親水性処理では熱などで表面化学種が劣化するが、ナノすりガラスは表面の凹凸構造による親水性のため、熱による親水性の劣化は少ない。今回、150℃でのインク印刷で、n型有機半導体薄膜を1㎝角以上の大面積(従来法の約50倍)で製造することに成功した。できた半導体膜を転写法でデバイスにし電気的特性を評価したところ、優れた電子輸送性能を示すことが確認できた。

 超親水性ナノすりガラスは低環境負荷なプロセスで製造でき、表面平滑性に優れ、十分な透明性をもつ。低コスト・フレキシブルエレクトロニクス用の基板に利用するほか、親水性表面による高い防汚性を生かした水アカ防止など、様々な分野での利用が期待される。

BASF 高熱安定・ガルバニック腐食レスのPA6上市

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2021年4月19日

 BASFはこのほど、新開発の高熱安定性のガラス繊維強化ポリアミド6を上市した。190℃熱安定性とガルバニック腐食レスが特長だ。

 自動車は常に変化にさらされ、汚染物質排出の法規制や内燃機関のダウンサイジング、パワートレインの電動化、ハイブリッドや燃料電池など急速に発展している。内燃機関やハイブリッド、電気自動車には、過酷な環境下でも信頼性が高く技術的に欠陥のない材料が不可欠だ。そして、パワートレインコンポーネントにとって耐熱性、長寿命、ウェルド強度は基本的要件で、長期間の高温耐性に加え、電気部品の電気短絡の原因となるガルバニック腐食(異種金属接触腐食)防止も求められる。

 新開発の30%ガラス繊維強化ポリアミド「Ultramid B3PG6 BK23238」は、ハロゲン化物・金属フリーのP系熱安定剤(ハロゲン化物含有量50PPM未満)により、190℃までの耐熱性と、電気部品のガルバニック腐食防止を実現した。さらに耐熱老化性が大幅に向上し、振動溶着とホットガス溶着にも適用でき、電気自動車やダウンサイジングエンジンなど、高温で様々な材料特性が要求される用途に有用だ。多様で業界横断的な用途に対応できるため、魅力的な価格での大量生産・供給を実現するとしている。

 

東レなど P2Gシステムの実用化、基本合意書を締結

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2021年4月19日

 東レ、東京電力ホールディングス、山梨県の3者はこのほど、甲府市米倉山(こめくらやま)の電力貯蔵技術研究サイトで技術開発を進めてきたP2G(パワー to ガス)システムの成果を発展させ、さらにカーボンニュートラル(CN)の実現を目指した新たな事業への挑戦に向け、共同事業体の設立を検討していくことについて合意した。

 2016年度から、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、3者が共同で技術開発を行ってきたP2Gシステムは、大型の水電解装置や水素出荷設備などの施設全体がおおむね完成。今年6月から、山梨県内の工場やスーパーマーケットで水素を利用する実証試験を全国に先駆けて開始する。

 こうした中、P2Gシステムの技術をさらに発展させ、山梨県内外での水素供給事業を可能にするとともに、国が創出する新たな基金事業へも積極的に取り組んでいくため、今回の合意に基づき、共同事業体「やまなし・ハイドロジェン・カンパニー(YHC)」(仮称)の設立に向けた検討を進める。

 山梨県は、2050年までに温暖化ガスを実質ゼロにする脱炭素社会の実現に向け、P2Gシステムの実用化を加速し県内外への普及を図る。そして、さらなる高効率化・大容量化に向けた技術開発を進め、エネルギー需要家の化石燃料の利用をグリーン水素に大きく転換させ、新たな水素エネルギー産業の創出を目指す。

 東京電力HDは、非化石エネルギーの推進を通じて持続可能な社会の実現に貢献するとともに、産業部門の電化や水素の技術開発により、脱炭素社会の実現に貢献していく。

 東レは、「サステナビリティ・ビジョン」の中で、2050年に温室効果ガスの排出と吸収のバランスのとれた世界などを目指すことを掲げ、地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決を通じて社会に貢献することを目指している。電解質膜、電極基材などの水電解・水素圧縮や燃料電池向け材料の開発、製造および販売を通じて、CNを可能とする水素製造(水電解)や水素インフラ(圧縮・貯蔵)、水素利用(燃料電池)技術の発展に貢献していく。

旭化成建材 フェノールフォーム断熱材、防火構造認定を取得

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2021年4月19日

 旭化成建材はこのほど、住宅建築の外壁を木材で外装仕上げする仕様(木外壁材仕様)について、フェノールフォーム断熱材「ネオマフォーム」を使った防火構造の国土交通大臣認定を3種類(木造軸組工法二種、木造枠組壁工法一種)取得したと発表した。

 同社は、最高レベルの断熱性能をもつ「ネオマフォーム」の大きな特徴である耐燃焼性能を生かし、その普及拡販を目的として、これまで多くの防耐火構造認定を取得してきた。その一環として、木造住宅建築での構造と断熱仕様の主要な組み合わせを網羅する三種について、国土交通大臣認定を取得した。

 取得した防火構造認定は、①木造軸組工法(外張り断熱・付加断熱)木外壁材仕様、②木造軸組工法(充填断熱)木外壁材仕様、③木造枠組壁工法(外張り断熱・付加断熱)木外壁材仕様。なお、木外壁材仕様に対する防火構造認定の取得は、これまで、木外壁材の性質上難しいとされてきたが、北海道立総合研究機構(道総研)建築研究本部・北方建築総合研究所による「道産資材を用いた木造高断熱外壁の防耐火構造の開発」の研究成果を受けて実現した。この道総研の技術は、第14回(2020年)日本建築学会北海道支部技術賞を受賞している。

 木外壁材は、国産材利用促進の流れの中、地域ごとの地場産材を利用した製品が生産されており、本物志向のニーズの高まりなどから近年人気が高まっている。今回取得した三種の認定はすべて、樹種の制限なく各地の地場産材を適用することができるため、「ネオマフォーム」を断熱材として使用することにより、住宅建築の際、木外壁材がさらに使いやすくなる。また、高性能断熱材として省エネルギー効果の高い「ネオマフォーム」と国産木材の利用との組み合わせは、カーボンニュートラルの観点からも適したものとなる。

 同社は今後も、「日本の家から〝寒い〟をなくす」の実現に向け、より一層の断熱事業の強化を図り社会と環境に貢献していく。

:「 ネオマフォーム 」を使用した木 外壁材仕様の住宅例
「 ネオマフォーム 」を使用した木 外壁材仕様の住宅例

経産省 福島原発のALPS処理水、海洋放出を決定

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2021年4月16日

 経済産業省は16日、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所から発生する多核種除去設備(ALPS)など処理水の処分について、海洋放出の基本方針が政府によって示されたことから、メディア説明会をオンラインで開催した。

資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対応室長の奥田修司氏

 資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対応室長の奥田修司氏は「風評影響を懸念する方が多くいる中、ALPS処理水の海洋放出を決定することは政府として重い決断だった」とし、

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NEDO 中国でEMS導入による省エネ実証事業を完了

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2021年4月16日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、エネルギー技術・システムを海外に普及させることを目的に実施してきた、中国・広東省での実証事業が完了したと発表した。

 中国はエネルギー消費量が世界第1位となったことを背景に、省エネを重要な政策として掲げ、エネルギー多消費産業に高い省エネ目標を課すなど、その影響が拡大傾向にある。こうした状況を踏まえNEDOは、日本が強みをもつエネルギー技術・システムを民間企業によって海外に普及させることを目的に、現地環境下での有効性を実証する事業に取り組んできた。

 その一環としてNEDOは横河電機、日本総合研究所、東京電力ホールディングスと2017年に実証事業を開始。現地で稼働する中国最大級の紡績工場と中国国内有数のアルミ製品工場において、既存設備の一部を省エネ設備に更新するだけでなく、エネルギー需給を高度に制御することで生産効率の向上と大幅な省エネを両立するエネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入・検証し、その有効性を確認した。

 その結果、目標値を上回る原油換算年間計1万1432㎘の省エネ効果、ならびにCO2換算で3万781tの温室効果ガスの削減を実現。また、生産プロセス改善によって年間2億640万円相当のコスト削減効果も引き出した。

 今後は、今回の実証事業で得た成果をもとに中国でエネルギー技術・システムの普及展開を図るとともに、さらなるエネルギー消費量の削減と生産性向上に貢献する。

SEMI、ファブ装置投資額 22年まで過去最高を更新

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2021年4月16日

 SEMIはこのほど、最新のワールド・ファブ・フォーキャスト・レポートの中で、半導体前工程製造装置(ファブ装置)の投資額が、2020~2022年まで、3年連続で過去最高を更新すると発表した。

 新型コロナウイルスにより急増した電子デバイス需要にけん引され、2020年に16%増加していたが、2021年には15.5%、2022年には12%の成長が予測されている。ファブ装置投資額は、2020~2022年にわたり世界全体で毎年約100億ドルずつ増加し、2022年に800億ドルを超える。通信、コンピューティング、医療、オンラインサービスなど、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するための対策を担う分野の基幹となる電子機器への爆発的需要が中心となり、投資を押し上げている。

 これまでファブ装置の投資額は歴史的にサイクルがあり、1年または2年のプラス成長があると、通常、同程度の期間のマイナス成長が続いた。前回は、2016年から3年連続の成長が見られた。それ以前になると、1990年代中頃(4年連続)まで遡ることになる。

 一方、今年と来年のファブ装置投資の大部分は、ファウンドリとメモリー分野。最先端技術の投資がファウンドリの投資をけん引し、2021年には23%増の320億ドルとなり、2022年も同水準の投資が予測される。

 メモリー分野のファブ装置投資は、全体では2021年に一桁成長の280億ドルを見込むが、DRAMの投資額がNANDを上回る。2022年はDRAM、3D-NANDの投資が旺盛となり、26%の急成長が予測される。またパワー半導体とMPUの分野での投資も、予測期間内で旺盛に成長する。パワー半導体は2021年に46%、2022年に26%の成長が予測され、MPUは2022年に40%の成長が見込まれる。

積水化成品工業 合同会社で水上太陽光発電の普及を促進

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2021年4月16日

 積水化成品工業は、再生可能エネルギーの創出が可能な水上太陽光発電システムの開発・普及を促進している。昨年4月には環境資源開発コンサルタント、日鉄物産、スマート・エナジーと合同で「水上ソーラー合同会社」を設立した。

水上ソーラーの貯水池発電所
水上ソーラーの貯水池発電所

 近年、環境負荷の少ない再生可能エネルギーへの関心が高まり、中でも発電効率がよく、水質改善の効果も期待できる水上ソーラー(フロート式水上設置型の太陽光発電設備)に注目が集まっている。

 合同会社の水上ソーラーは、貯水池などを活用した水上太陽光発電システム。浮力材には積水化成品の大型発泡スチロール製ブロックを使用している。浮力と剛性に優れたフロートとその係留技術により、暴風雨などに対する安全性を確保している。昨年11月には、兵庫県三木市の養鶏場が近接する貯水池に水上ソーラーを設置し、発電を開始。発電した電力は、養鶏場内で全て自家消費されている。

 積水化成品グループは、持続可能な社会の実現に向けた「SKG-5R」を推進しており、これはその活動の一環。今後も、地球温暖化の原因となるCO2の削減に向け、再生可能エネルギーを創出する水上ソーラーの開発や普及に携わり、環境負荷低減を高度に実践していく考えだ。

三菱ガス化学 環境循環型メタノール構想で脱炭素社会へ

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2021年4月16日

 三菱ガス化学はこのほど、CO2と水素からメタノールを製造する実証実験を7月より開始すると発表した。併せて、大気へ排出されるCO2や廃プラスチックなどをメタノールに変換し、化学品や燃料・発電用途にリサイクルする「環境循環型メタノール構想」により産業横断的な提携を進め、脱炭素・循環型社会の実現に向けた取り組みを加速していく。

 メタノールは基礎化学品として用途が広く、エチレンやプロピレンへの転換のほか、水素の輸送媒体や船舶・ボイラー用燃料などのエネルギー用途への展開も期待されている。同社は自社触媒によるメタノール合成技術の蓄積をはじめ、海外の製造拠点での操業経験や製造ノウハウをもち、CO2と水素によるメタノール製造技術の開発に早くから取り組んでいる。

 今回、新潟工場のメタノールパイロット設備を改造し、各種試験や連続運転(CO2処理量:約1.5t/日)を通じて、排出CO2や多様な原料ガスからのメタノール合成プロセスの最適化を検討していく。またエンジニアリング会社・水素プラント会社などと連携し、CO2分離・回収、再生可能エネルギーからの水素製造、ガス化炉ガスなどの合成ガス製造技術などで協業を図る。来年中にCO2と水素からのメタノール製造技術のライセンス供与を開始する計画だ。

 さらにバイオマスや廃プラスチックなどを利用したCO2を含む多様なガスからのメタノール製造技術の新規開発・技術確立を行い、2023年内のライセンス供与を計画している。それに併せて、デジタル技術によるプラント運転操作の自動化、遠隔での運転支援システムによる技術支援など、より安全で効率的な生産形態を提供できるように整備する。メタノールの有効活用や販売についても、導入先の企業(発電、化学、石油精製、鉄鋼など)や自治体(焼却炉施設など)の要望に応じて柔軟に提案していく。

 これら脱炭素化や循環型社会のための総合的な取り組み(ライセンス供与、運転・メンテナンス技術支援、製品引取)により、CO2排出削減や資源再利用を基盤とした産業横断的・官民協力の取り組みを進め、新たな成長を促す産業構造や経済社会の変革に貢献していく。