大陽日酸など 再エネ洋上水素製造・供給インフラを整備

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2021年4月12日

 大陽日酸、商船三井テクノトレード、神鋼環境ソリューション、日本シップヤードの4社はこのほど、再生可能エネルギーなどを活用した洋上水素製造と水素燃料船などへの水素供給を兼ねた船舶の導入と拠点形成の検討(シエラ プロジェクト)を共同で行うことに合意した。国土交通省が推進するカーボンニュートラルポート(CNP)の形成との連携を念頭に、今月から本格的検討を開始する。

 温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「脱炭素」政策の下、代替燃料の利活用の必要性は高い。船舶には大量の燃料が必要で、消費エネルギー量に応じて対策が異なることが予想されるが、今回は航行距離が比較的短く水素の利活用に適した内航船への水素供給を主なターゲットにした。

 船舶は大きさも停泊場所も一定でないため、一般に燃料は燃料供給船で届けられる。供給船による水素燃料供給体制の整備は海運業界の脱炭素化の基盤形成に重要で、水素などへの燃料転換を促進できる。併せて、海洋施設の建設や、自然災害による陸上のエネルギー供給網の途絶時の自治体のBCP対策としての利用も視野に入れている。

 一方、洋上での再生可能エネルギーによる水素製造と供給方法にはさらなる技術革新や方法論が必要であり、東京大学先端科学技術研究センターと日本海事協会と協力して解決策を検討していく。なお、今後プロジェクトを進めていく中で協力企業・団体などの参加の可能性もあるとしている。

積水化成品工業 植物由来のTPE発泡体、環境商品に認定

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2021年4月12日

 積水化成品工業は9日、熱可塑性エラストマー(TPE)発泡体の植物由来グレード「エラスティルBIO」が、バイオマスマークを取得したと発表した。

バイオマスマークを取得
バイオマスマークを取得

 「エラスティル」は、軽量性、高反発性、クッション性など優れた機械的特性を備えており、ランニングシューズのミッドソールなどに使用されている。

 同社は今回、サスティナビリティに対する取り組みの一環として、トウゴマを原料としバイオマス比率が45%の「エラスティルBIO」について、バイオマスマーク認証を取得した。特長として、従来品(石油由来品)と比べ30%の軽量化、10%の反発性向上、繰り返し圧縮(10万回)後の変形に対する30%の復元率向上、などが挙げられる。

エラスティルBIO
エラスティルBIO

 こうしたパフォーマンスが評価され、リーボックが今月から販売する高機能ランニングシューズと新フィットネストレーニングシューズに、サスティナビリティと機能性を高次元で両立した「エラスティルBIO」が採用されている。

 積水化成品グループは「環境リーディングカンパニー」を目指し、従来から注力している3R(リデュース、リユース、リサイクル)に、2R(リプレイス、リ・クリエイト)を加えた「SKG-5R」を推進。「エラスティルBIO」は、石油由来から植物由来の資材に置き換えた「リプレイス」の一例であるとともに、発泡技術による原材料の省資源化「リデュース」で環境負荷低減を実現できることから、同社の環境貢献製品(サスティナブル・スタープロダクト)と位置づけている。

 同社は今後も、ヘルスケア用途をはじめとする幅広い分野での展開を図り、持続可能社会への貢献に努めていく考えだ。

三井化学 半導体製造用テープを能増、台湾で2倍強に拡大

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2021年4月9日

 三井化学は8日、100%子会社の三井化学東セロが台湾での半導体製造工程用テープ「イクロステープ」の能力増強を決定したと発表した。

「イクロステープ」。半導体製造工程で使用される保護テープ
「イクロステープ」。半導体製造工程で使用される保護テープ

 昨年1月に営業運転を開始した台灣東喜璐機能膜(台湾東セロ)で行うもの。今夏8月に着工し、2023年10月の営業運転開始を予定する。増設後の生産能力は年産760万㎡。これにより、台湾での生産能力は2倍以上に拡大する。国内の名古屋工場と合わせ、同製品の大幅な供給能力の拡充を図るとともに、BCP体制を強化していく狙いだ。

 「イクロステープ」は、三井化学の樹脂由来のポリマーサイエンス技術と、三井化学東セロの精緻なフィルム加工技術の強みを合わせた製品。半導体製造工程に使われる保護テープとして、特にシリコンウエハーの裏面研削工程用で世界トップシェアをもつ。

台湾東セロの全景。「イクロステープ」を製造する
台湾東セロの全景。「イクロステープ」を製造する

 昨今、半導体市場はコロナ禍によるテレワークの拡大など生活様式の変化に伴い、PCやデータセンター向けの需要が増大しており、また、5Gの本格化に伴い基地局や携帯端末の伸長などで需要拡大と成長が見込まれている。今回の増設を行うことで、「イクロステープ」は、世界的な半導体需要の高まりに対応するとともに、事業領域を拡大していく。

 三井化学東セロは高品質な製品を供給する製造・販売・技術サービスを拡充し、さらなるフィルム・シート事業の強化・拡大を積極的に進めていく考えだ。

積水化学工業 新常態の暮らしを体験できるショールームを展開

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2021年4月8日

 積水化学工業はこのほど、住宅カンパニーがニューノーマルな暮らしをリアルサイズの住宅で体験できるショールーム「グリーンモデルパーク」の展開を全国で開始すると発表した。その第1弾として、東京セキスイハイムが、分譲地「スマートハイムシティ新検見川」内に「グリーンモデルパーク新検見川」を先月20日にオープンした。

グリーンモデルパーク 新検見川
グリーンモデルパーク 新検見川

 「グリーンモデルパーク」は、VRなどのバーチャル映像技術で家づくりの知識を習得する体験型ショールーム「セキスイハイムミュージアム」に続く新しいタイプのショールーム。ニューノーマル時代にふさわしい新しい暮らし方(地球環境にやさしい暮らし、新しい生活様式に対応した暮らし、自然災害にも安心できる暮らし)を、一般的な住宅規模(約35坪)のモデルハウスでリアルに体験できる。「セキスイハイムミュージアム」と「グリーンモデルパーク」の併用によるバーチャルとリアルの相乗効果で、建築知識などのハードと生活のベネフィットのソフトの両面で、安心感・納得感のある家づくりを実現する。

 同社の住宅カンパニーでは、環境問題をはじめとした社会課題の解決や強固な経営基盤の構築を事業の成長力として位置づけ、「顧客価値」と「事業価値」の両立によるESG経営を推進している。「グリーンモデルパーク」の展開により、地球環境にやさしく新しい生活様式にも対応した暮らし方の提案を強化し、社会課題解決への貢献を拡大していく。

DSM 代謝型ビタミンD3製剤、アジア地域で発売

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2021年4月8日

 DSMはこのほど、サプリメント市場に向けて、一般的なビタミンD3に比べて3倍速く血中ビタミンD濃度を引き上げることができる代謝型ビタミンD3製剤「ampli-D」をアジア太平洋地域で上市したと発表した。すでに豪州で販売を開始。まもなくシンガポールでも上市が予定され、ほかのグローバル市場でも順次上市していく。なお日本では、政府機関で同製品の使用について審議中だが、指定が取れ次第、製品を上市させる考えだ。

 同製品の成分は人の体内に存在する代謝型ビタミンD3「25-ヒドロキシコレカルシフェロール(25OHD3)」。「太陽のビタミン」といわれるビタミンDは、骨や筋肉の健康に関連していることや、健康な免疫機能の維持にも寄与することが分かっている。現在その役割に対する認識が高まっているが、ビタミンDの不足・欠乏が世界的な課題だ。

 ビタミンDは、供給源となる食品群が非常に限られている上に、体内で生合成するには直射日光を浴びる必要がある。そのため、個人のライフスタイルによっては、十分なレベルの体内ビタミンD濃度を達成できない。また、既存のサプリメントや栄養強化食品を摂取しても、骨の健康や免疫などに直接影響する血中25OHD3濃度が健康なレベルに達するには、数カ月かかる場合もある。

 それに対し同製品は、ビタミンDの主要な循環形態である25OHD3であることから、サプリメントとして摂取することで体内の25OHD3濃度を数週間という短期間で適切なレベルに引き上げ、免疫機能を健康な状態に維持することができる。

 同社は、同製品をグローバル規模で上市し、またビタミン製剤として供給するだけでなくサプリメントして提供することで、業界をリードする新しい栄養ソリューションの普及に注力していく考えだ。

東洋紡 新型コロナ迅速プール検査法を共同開発・実用化

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2021年4月8日

 東洋紡は7日、プレシジョン・システム・サイエンス(PSS社)と共同で、新型コロナウイルスに対する迅速プール検査法の開発と実用化に成功したと発表した。

 検体プール検査法は、唾液などの検体を複数混合して検査するもので、検査数を大幅に増やすことができる。その一方で、検体の前処理に人手と時間が必要なことや、プール検体で陽性を検出した場合の再検作業などにより、検体採取から結果報告までに約2日を要していた。

 両社は今回、筑波大学医学医療系の鈴木広道教授による発案・指導の下で迅速プール検査法を開発。東洋紡が販売する遺伝子解析装置「GENECUBE(ジーンキューブ)」(モデルC)と、PSS社が販売する全自動核酸抽出装置「magLEAD(マグリード)12gC」を連携する最適化プログラムを開発することで、人手をほとんど介さずに、唾液検体到着から結果報告まで最短約1時間の迅速プール検査を実現した。

 同検査法は、チップ操作が不要であることに加え、設置幅が約1mと省スペースであり、1時間に120件程度の処理が行える。なお、両装置の連携を最適化する専用カードとラックアダプターは、今月中旬にPSS社から発売される。既存の「magLEAD 12gC」に搭載するのみで速やかな運用開始が可能になる。

迅速プール検査法の流れ。検体採取から結果まで約2日を要していた検体プール検査を、最短約1時間に短縮する
迅速プール検査法の流れ。検体採取から結果まで約2日を要していた検体プール検査を、最短約1時間に短縮する

三洋化成など 全樹脂電池向け樹脂集電体の量産化で合意

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2021年4月7日

 三洋化成と子会社のAPB、グンゼの3社はこのほど、三洋化成とAPBが開発中の次世代型LIB「全樹脂電池」の樹脂集電体の量産化に向け覚書を締結したと発表した。最適な生産・供給体制の構築を目指す。

 全樹脂電池は、バイポーラ電極構造(板状集電帯に垂直方向に電流が流れる)と高分子樹脂製の基本部材により、高品質、高い異常時信頼性、高エネルギー密度、形状・サイズの自由度、革新的な生産プロセスといった性能・特徴を全て同時に実現する次世代型LIBだ。

 集電体は電気を取り出す端子で、一般には銅やアルミなどの金属が使用される。全樹脂電池の集電体は樹脂被覆した活物質を樹脂集電体に塗布したもので、従来のLIBよりも工程が短く製造コスト・リードタイムが削減できるとともに、これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現している。

 バイポーラ積層型は部品点数が少なく樹脂製のため、電極の厚膜化が容易でセルの大型化が可能な上、形状自由度も高いことが特長だ。グンゼのフィルム製造技術をベースに3社で共同開発を進め、これまでに各種評価を通じて全樹脂電池の基本特性を確保し、現在は製品仕様の確定に向けた取り組みを推進している。

 今後は、樹脂集電体の開発に加え、量産化を見据えた協力体制の継続・強化を確認し、同協業事業は新たなステップに入る。再生可能エネルギーの活用やIoT技術による電力インフラの高度化、災害対応など、今まで以上に電池や蓄電システムの重要性が高まる中、全樹脂電池は定置用蓄電池や各種モビリティ用途など様々な用途での展開を通じ、あらゆる生活の場面を豊かにしていく。

 3社は樹脂集電体の生産・供給体制を構築することで全樹脂電池の量産化を促進し、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。

東ソー 新規卵巣がんマーカーTFPI2の測定試薬開発

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2021年4月7日

 東ソーは6日、卵巣がんの診断の補助に使用される新規マーカー「組織因子経路インヒビター2(TFPI2)」の測定試薬である「Eテスト「TOSOH」Ⅱ(TFPI2)」 を開発したと発表した。 同製品は、昨年6月に体外診断用医薬品として製造販売承認を取得。今年4月1日付で保険適用を受けており、7月下旬から販売を開始する予定だ。

 同製品は、文部科学省イノベーションシステム整備事業「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」の中で、横浜市立大学と共同で卵巣がん新規診断マーカー探索研究を実施し、得られた成果をもとに開発された。

 特長として、①健常人や子宮内膜症を含む良性腫瘍ではほとんど上昇せず、卵巣腫瘍の良性・悪性の判別に有効、②卵巣がんの中で、他の組織型と比較して卵巣明細胞がんで特に高値を示し、組織型(明細胞がん)の推定に有効、③同社専用装置(全自動エンザイムイムノアッセイ装置「AIA-2000」)により、短時間(約20分)での測定が可能、などが挙げられる。

 東ソーは、ライフサイエンス分野の製品やサービスの提供を通じて、人々の健康と福祉に関する社会課題の解決に貢献できるよう、今後も積極的に取り組んでいく考えだ。

三菱ケミカル 伊・CPC社で炭素繊維設備の投資を決定

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2021年4月7日

 三菱ケミカルは6日、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)自動車部品製造販売会社である、関係会社CPC社(イタリア)での、世界最大級となる5000t容量大型プレス成形機の増設を含む設備投資を決定したと発表した。グループ会社の三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ(スイス)がCPC社に投資を行い、2023年中の設備稼働を目指す。

CPC 社 CFRP 成形用プレス機
CPC 社 CFRP 成形用プレス機

 航空機や自動車などのモビリティ用途では、CASE対応・環境規制などを背景に、従来にも増して機体/車体の軽量化への要求が高まっており、軽さと強度を兼ね備えるCFRPの利用が加速すると見込まれている。また、自動運転車や空飛ぶ車などの次世代モビリティ分野では、従来の思想にとらわれない新しいコンセプトによる車体設計が進められており、軽量かつ成形性に優れたCFRPへの注目がより一層高まっている。

 CFRPの成形・加工・塗装・組み立てにわたる一貫生産能力をもつCPC社は、設計・シミュレーション技術を活用した部品・車両の軽量化ノウハウを合わせもち、主に高級自動車向けのCFRP成形品メーカーとして事業を拡大してきた。

 同社グループは、ドイツのプリプレグメーカーc‐m‐p社や炭素繊維リサイクル企業CarboNXT社の買収、CPC社隣接地へのCF-SMC製造設備の建設など、自動車技術の最先端を行く欧州で、サステナビリティにも配慮した材料のサプライチェーン確立を進めている。

 今回の投資では、大型プレス成形機を増強し、複雑形状のシャーシーなど成形の難しい大型構造体の成形能力を約3倍に引き上げるほか、最新鋭のCFRP加工機、自動塗装ラインをもつ塗装工場や組み立てラインの増強を行う。これにより欧州でのサプライチェーンを強化し、EVや次世代モビリティ用途でさらに高まるCFRP製品に対する需要に対応していく。

 同社グループは今後も、日・米・欧の炭素繊維・中間材の材料開発・生産拠点と、高い設計提案力と成形加工能力をもつCPC社など、グループの総合力を発揮して技術革新の著しいモビリティ分野に対して最適なソリューションをタイムリーに提供するため、積極的に事業を展開していく考えだ。