帝人 「GF-SMC」成形設備、チェコ拠点に新設

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2021年2月18日

 帝人は17日、同社グループで複合材料製品の生産・販売・技術開発を手がけるチェコのベネット・オートモーティブ社が、ミロヴィツェ工場に、生産性、外観性、寸法・品質安定性に優れる「GF-SMC(ガラス繊維シート・モールディング・コンパウンド)」の成形設備を新設すると発表した。投資金額は約1000万ユーロ(約10億円)で、2022年秋の稼働を予定している。

 帝人は米国CSP社を買収したのをはじめ、ポルトガルのイナパル社、ベネット・オートモーティブ社を買収。自動車向け複合成形材料事業の拠点を構築し、グローバルティア1サプライヤーとして、自動車メーカーからの要求特性に対応すべく、環境負荷低減に向けた取り組みを進めてきた。

 その間、CSP社のフランスの研究開発拠点にGF-SMC基材工場、イナパル社にはCF‐RTM(炭素繊維レジン・トランスファー・モールディング)の成形設備を新設するなど機能の充実を推進。また、ドイツにはテイジン・オートモーティブ・センター・ヨーロッパを設立し、次世代自動車に向けたマルチマテリアルでのソリューション提案力の強化を図っている。

 こうした中、ベネット・オートモーティブ社は、ドイツなどの有力自動車メーカーが生産拠点を構える中東欧の中心部に位置するチェコに主要拠点を構え、炭素繊維複合材料(CFRP)の成形技術や自動車部品の塗装や組み立ての設備などにより、ティア1として自動車メーカーに部品を供給。今回のGF-SMC成形設備の新設は、欧州における自動車向け複合成形材料事業の拡大を図り、軽量性や強度をはじめ、デザイン、生産性、コスト効率向上といった顧客ニーズへの対応力強化を目指すもので、すでに欧米の自動車メーカーから新たな受注を獲得している。

 帝人グループは、マルチマテリアルでのティア1サプライヤーとして、使用材料の拡充から部品設計にまで踏み込んだソリューション提案力の強化や、グローバルでの安定供給体制の確立を進めていく。そして、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業の売上を20億ドル規模へと拡大していく考えだ。

 

エレファンテック 名古屋でFPC大規模量産拠点が稼働

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2021年2月18日

 プリンテッド・エレクトロニクス製造技術の開発やサービス提供を行うエレファンテックは17日、片面フレキシブル基板(FPC)「P-Flex」の大規模量産実証拠点「AMC名古屋」が稼働を開始したと発表した。

AMC名古屋の外観
AMC名古屋の外観

 一昨年の10月に総額18億円の資金調達を実施し、昨年7月より賃借している三井化学名古屋工場内に同拠点を立ち上げていたが、先月から試作品の製造・出荷を開始、順次設備の調整を進めて4月から量産製品の製造・出荷を始める。生産能力は月産5000㎡、その後設備を増設し2024年には月産2万㎡へと拡張する計画だ。

清水信哉社長。オンライン記者会見で
清水信哉社長。オンライン記者会見で

 同日にオンラインによる記者会見を開催し、清水信哉社長は「AMC名古屋」の大きな役割として、①世界の標準となるマザー工場②インクジェットイノベーションの拠点③スタートアップと大企業の新しい形での共創実証拠点、の3つを挙げた。その背景には、30億円規模の製造能力をもつ「AMC名古屋」をマザー工場として、量産・製造技術を実証していき、そこで積み上げた実績を土台に同社の装置を世界に向けて販売・ライセンスしていくというチャレンジがある。清水社長は、「2030年までに

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BASFとDMMアグリ 農作物鳥獣被害対策で販売協力

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2021年2月17日

 BASFジャパンとDMM Agri Innovationはこのほど、農作物を鳥や動物の被害から守るためにDMMアグリの「電気柵」とBASFの非選択型除草剤「バスタ液剤」の販売協力を開始した。

 電気柵周りの雑草の成長を防ぐことで電気柵の効果が最大化し、作物を鳥獣被害から効果的に保護することができる。また、電気柵のメンテナンスが容易になり、耐久年数も延ばせ、結果的に管理コストの削減につながる。中山間地での鳥獣被害は深刻で、作物被害額は年間約158億円に上り、耕作放棄地の増加や生産者の農業意欲の低下を引き起こしている。

 両社は、JA全農の協力の下で電気柵周辺の雑草防除に取り組んでおり、千葉県や茨城県で導入実績を増やし鳥獣被害から作物を保護している。今後、より多くの生産者に最適な鳥獣被害対策を提供するとともに、生産者が抱える課題を解決し農業に貢献していく考えだ。

 

積水化成品工業 生分解性やバイオマス樹脂、ラインアップ拡充

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2021年2月17日

 積水化成品工業は、現中期経営計画において、「持続可能な社会への貢献」を経営の重点課題に掲げ、SDGsに象徴される世界規模での環境課題にアプローチするため、「バイオセルラー」ブランドのラインアップ拡充を進めている。

 同社の「バイオセルラー」は、生分解性またはバイオマス由来のプラスチックスを活用した環境貢献製品群の総称で、既に複数の製品を上市。中でも熱可塑性エラストマービーズ発泡体「エラスティル」ではランニングシューズのミッドソールとして「エラスティル BIO」が、高耐熱軽量発泡体「ST-Eleveat」では自動車部材に「ST-Eleveat BIO」が採用されている。

 さらに「バイオセルラー」の拡充に向けた取り組みの一環として、昨年12月には海洋生分解性バイオプラスチック(MBBP)の開発・普及に産学官連携で取り組む「MBBP開発プラットフォーム」にも参画している。

 同社は今後も、さまざまな企業・組織と共にモノづくりを進めることで、新たな価値創造を目指し、既存製品の進化や新素材の実用化につなげて、事業活動を通じた持続可能な社会の実現を目指していく。

出光興産 タジマモーターと新会社、超小型EVなどを提供

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2021年2月17日

 出光興産は16日、タジマモーターコーポレーションと、超小型EVなどの次世代モビリティおよびサービスの開発を行う「出光タジマEV」を今年4月に設立すると発表した。出光興産のSSネットワークおよび素材開発技術と、タジマモーターの車両設計の技術を融合。移動に関する潜在的ニーズに応え、超小型EVを核とした全く新しいカテゴリーのモビリティを提供していく。

出光タジマEV 開発中の車輛
出光タジマEV 開発中の車輛

 新会社はタジマモーターの関連会社であるタジマEVに出光興産が出資し、商号を「出光タジマEV」へ変更した上で新たにスタート。初の新型車両として、昨年9月に国土交通省が発表した超小型モビリティの新規格に準拠した新たなカテゴリーの超小型EVを開発、今年10月に発表し来年の上市を予定している。

 また、出光タジマEVは、超小型EVの開発・販売だけではなく、車載ソーラー、次世代バッテリーの採用、自動運転開発、グリーンスローモビリティ開発、新たなサブスクリプションやカーシェアモデルの展開、MaaSに関するデジタルプラットフォームの構築、リサイクルシステムの開発を推進。シェアリングや定額で利用可能なサブスクリプションや、変化する利用者のニーズに合わせたMaaSを開発し、この超小型EVと合わせて、全国6400カ所の系列SSネットワークにて提供する。

 さらに今後は、系列SSで展開している電力販売と超小型EVを組み合わせた新たなサービスの開発や、高齢者の運転状況を見守る仕組み、個々の車両を蓄電池と見立てた分散型エネルギーシステムの構築、車両・バッテリーのリサイクルシステムなど、新たなモビリティサービスの開発に取り組んでいく考えだ。

 出光興産とタジマモーターは、公共交通機関が脆弱な地方部に着目し、岐阜県飛騨市・高山市、千葉県館山市・南房総市で2年にわたり実証を重ねてきた。この実証を通じ、地方部に限らず、様々なエリアにおいて、異なる移動手段に対する多様なニーズがあることを確認。超小型EVといった新しいカテゴリーのモビリティを提供することにより、手軽で小回りの利く、必要最小限の機能を備えたモビリティとデジタル技術を活用した利用の仕組み、また、法人と個人ユースを組み合わせた新たな利用モデルを提供することで、多様な移動に対するニーズに応えていく。これにより、年間100万台相当の新たな需要を創出することを目指す。

SSを起点とするモビリティサービスの広がり

ENEOSホールディングス 自動走行ロボの宅配実証実験を開始

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2021年2月17日

SS活用型の新規事業創出に向け、インフラ検証

 ENEOSホールディングスは12日、ロボットベンチャーのZMP、食品などの宅配代行をはじめデリバリーシェアリングプラットフォームを運営するエニキャリとの3社協働で開始した、自動宅配ロボットによるデリバリー実証実験について、オンライン記者説明会を開催した。同実証は、東京都中央区佃・月島エリアにあるパートナー企業10社(10店舗)の商品を、ENEOSとエニキャリが共同構築するシステムを利用し、ZMP製の無人自動宅配ロボット「デリロ(DeliRo)」により対象顧客の自宅へ宅配する国内初の取り組み。

Dr. Drive月島SSで待機する自動宅配ロボット「デリロ」
Dr. Drive月島SSで待機する自動宅配ロボット「デリロ」

 説明会の中で、ENEOSホールディングス・未来事業推進部の吉田貴弘マネージャーは、「サービスステーション(SS)を活用してロボットを運用し、自動走行ロボットの

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NEDOと住友電気工業 RF電池で電力安定供給の実証実験

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2021年2月16日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と住友電気工業はこのほど、大型定置用蓄電池「レドックスフロー(RF)電池」(容量8㎿h)で平常時・災害時の併用運転(デュアルユース)を実現する世界初の実証事業を行うと発表した。米国カリフォルニア州で取り組んできた、送配電網での電力品質向上を目的とする実証事業を延長し、実配電網の一部でマイクログリッドを構築し、平常時は電力取引で収益を得ながら災害時には自立電源として電力を供給する手法などを検証する。

カリフォルニア州に設置したRF電池設備
カリフォルニア州に設置したRF電池設備

 NEDOは同州との協定の下、2015年に住友電工と現地の大手電力会社SDG&Eとともに同州サンディエゴに設置したRF電池設備による送配電網の電力品質向上の実証事業を進め、2018年より系統運用者CAISOとの電力取引運用を始めた。

 RF電池はバナジウムなどのイオン(活物質)の酸化還元反応により充放電を行い、充放電のパターンやサイクル数によらず長寿命で大型化に適している。充電残量をリアルタイムで計測できるため、自由度の高い入札パターンで、エネルギー市場(電力量の取引市場)とアンシラリーサービス市場(需給バランスの監視、系統運用、電圧・周波数の調整など)の両市場で収益を上げる入札戦略の開発、実証を行ってきた。

 今回、既設のRF電池を自立電源としたマイクログリッドを形成し約70軒の実需要家に電力供給し、技術的課題を検証する。平常時はCAISOとの電力取引で収益を得て、災害時にはマイクログリッドに電力供給を行い、蓄電池の価値を高める狙いだ。この技術は無電化地域の太陽光や風力発電施設を併設したマイクログリッド、離島での再生可能エネルギーによる電力供給にも適用できる。

 森林火災の多発が予測される秋までにシステムを構築し、12月まで実証を行う。その後実証成果を生かし、RF電池の普及を通じた電力システムのレジリエンス向上、再生可能エネルギー導入拡大、温室効果ガス排出削減に貢献するとしている。

ダイセル コロナワクチン治験、新規投与デバイスが採用

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2021年2月16日

 ダイセルはこのほど、大阪大学医学部附属病院(大阪府吹田市)が実施する「COVID-19 DNAワクチン皮内接種の第Ⅰ/Ⅱ相試験」(医師主導治験)について、症例登録された被験者(健康成人)を対象とし、同社の新規投与デバイスによるワクチン投与が開始されたと発表した。

 同社は、大阪大学とアンジェス(大阪府茨木市)による新型コロナウイルス感染症向けDNAワクチン共同開発プロジェクトに参画しており、医師主導治験では、ダイセルが開発した新規ガス式無針投与デバイス「DC-MD3A」が治験薬の皮内投与に適用され、DNAワクチンの皮内投与での有効性と安全性が評価される。

 新型コロナの感染拡大を防止するためには、有効かつ安全なワクチンを可能な限り短期間に広く普及させる必要がある。そのためには、一人当たりのワクチンの有効成分量を低減させることが必要。同治験では、治験薬を皮内投与することにより、筋肉内接種プラスミドDNAの量を5分の1~10分の1に低減させることの可能性を探索的に検討する。また、健康成人志願者を対象として、筋肉内接種の評価を参考に、皮内投与での治験薬の有効性と安全性を評価する。

ハイケム 中国社と生分解性材料で提携、マルチなど展開

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2021年2月16日

 ハイケムは15日、 中国の素材メーカー・華盛グループの傘下企業と総代理販売契約を締結し、ポリブチレンアジペート・テレフタレート(PBAT)を使用した生分解性コンパウンド樹脂「PCO2」および同材料を加工したフィルム成形品の日本での販売を開始すると発表した。生分解性材料の特長を生かし、農業用マルチフィルムをはじめ、レジ袋やごみ袋での展開を予定している。

生分解性をもつ「PCO2」を利用した農業用マルチフィルム
生分解性をもつ「PCO2」を利用した農業用マルチフィルム

 「PCO2」は優れた生分解性をもち、農業用マルチフィルムの実験では、土壌環境にもよるが、約6カ月で土壌への堆肥化が見られた。また、通常は生分解性をもつフィルム成形品はポリエチレン(PE)製に比べると水蒸気バリア性が低いのが一般的だが、「PCO2」はPEに近い高水蒸気バリア性を実現。農業用マルチフィルムなどに使うことで、土壌水分の蒸発を抑える効果も期待でき、土壌温度が緩やかになることで農作物に良好な環境を作り出すことが可能だ。さらに、強度面でもPE製と同様に軽量で薄いフィルムの製造ができることから、高齢化が進む農業従事者にとっては、農業用マルチフィルム廃棄時などの作業負担軽減も期待されている。

 中国では昨年1月にプラスチック製品による環境汚染防止策の通達が発令され、昨年末までに飲食店での非分解性プラスチック製のストローなどの使用を中止する指示が出されるなど、生分解性材料のニーズが急速に高まっている。今回取り扱いを開始した「PCO2」もその優れた特性から、環境放出型の成形品への採用例が多い。また、米国でもBPIなどの国際認可マークを取得しており、より環境規制が厳しい欧米企業での複数の採用実績がある。ハイケムは、「PCO2」の日本でのグリーンプラマーク(日本バイオプラスチック協会認証)の取得に向け、申請手続きを開始する予定だ。

 同社では、生分解性材料こそマイクロプラスチック問題解決の糸口となると考え、ポリ乳酸(PLA)やPBATなどの生分解性材料の取り扱いを強化している。中国で台頭する生分解性材料サプライヤーと緊密な関係を構築し、日本の材料メーカーとの架け橋となり、生分解性プラの世界的な普及に貢献していく考えだ。こうした総合的な取り組みにより「生分解性材料のトータル・ソリューション・カンパニー」となり、世界の海洋プラ問題の解決に取り組んでいく。

産総研 マイクロ波を偏波ごとに高速高解像度で可視化

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2021年2月15日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、マイクロ波を偏波ごとに可視化するマイクロ波偏波分離イメージング技術を開発したと発表した。電磁波の振動方向を表す偏波の特性を利用すると、信号の分離や干渉の抑制が可能になる上、多角的空間情報が加わり探査や解析を深化できる。

 高周波回路やアンテナの製造、高周波デバイスの放射試験、レーダー探査、食品やインフラ設備の非破壊検査などでは、マイクロ波の空間分布を偏波ごとに測定し可視化するニーズがあるが、測定時間や解像度などに課題があった。産総研は原子の二重共鳴現象(2つの電磁波を2段階で吸収)を使い、マイクロ波を蛍光に変換して可視化する技術を開発してきた。

 セシウム(Cs)原子の場合、マイクロ波(9㎓)で電子を上位の基底状態に上げ、その電子だけを特定波長の近赤外レーザー(352㎔)で励起させると、基底状態に戻るときに蛍光(波長852㎚)を放射。それをCCDカメラで撮影すると、マイクロ波の強度分布を画像化できる。Cs原子は静磁場をかけると強さに応じて原子の向きが揃う。向きにより共鳴するマイクロ波の偏波と周波数は異なるため、周波数を精密に制御すると静磁場に平行な偏波だけを吸収し可視化できる。

 今回この原理を実証するために、気体状Cs原子を封入したガラスセルをマイクロ波発生のマイクロストリップライン上に配置し、上から高感度近赤外線カメラで蛍光を観測。周囲の三軸コイルで静磁場の方向と強さを制御し残留磁場や地磁気の影響をキャンセルし、鏡の角度変調でレーザーを広範囲に均一に照射しセル全面の可視化像を得た。定在波を反映した複雑な明暗模様が現れ、偏波ごとの定在波模様の差をよく示した。原子の種類やエネルギー状態、静磁場の強さと方向、レーザー波長などの精密な制御で㎑~㎔帯の広範な周波数に適用できれば、5G/6G対応の様々な電子部品の電磁波分布測定、室内や車内の電磁波散乱測定へ応用できる。

 今後は、静磁場の強度やCs原子のエネルギー準位を適切に選び、他の周波数への応用も目指す。またレーザーの立体的照射により、マイクロ波強度分布の立体的な可視化にも取り組む考えだ。