DIC 水処理事業で米デュポンと戦略的パートナーシップ契約を締結

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2020年9月4日

 DICは3日、同社と米国グループ会社サンケミカルが、水処理用中空糸脱気製品の世界的な拡販を目的に米デュポンと戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。

 今後、工業用の水処理用途で使われる大型中空糸脱気モジュール「セパレル」シリーズのグローバルでの販売独占権をデュポン・ウォーター・ソリューションズに付与することで、アジア、米国、欧州地域の販売を拡大し、2021年には同事業の売上高を2019年比で約2倍の増収を目指す。

 デュポンは、限外ろ過膜、逆浸透膜、イオン交換樹脂など、世界をリードする水の浄化と分離技術のポートフォリオをもつ。水処理設備メーカーなどの顧客は、DICの中空糸脱気モジュールとデュポンの製品を組み合わせて使用することが多いため、今回の提携は、顧客に対してトータルソリューションサービスの提供が可能になる。

 今後は、DICの中空糸脱気関連製品「セパレル」シリーズのうち、水処理用途の製品ブランド名をデュポンのブランド「LIGASEP」へ変更する予定だ。なお、デュポン・ウォーター・ソリューションズとの独占的パートナーシップは、水処理市場にのみ適用。DICグループは、引き続き「セパレル」を製造し、独自の脱気技術を活用してインクジェットインキ市場を含む他の産業市場へ販売していく。

 DICグループは、中期経営計画「DIC111」の中で、環境に配慮した製品や高機能製品を社会へ提供することで、社会貢献と成長の実現を目指すことを事業方針に据えている。今後も中空糸膜モジュールの市場要請に対応した高機能な製品を提供し、世界的な事業規模拡大に努めていく方針だ。

出光興産 バイオマス発電用植物の植生と木質ペレット化試験を開始

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2020年9月4日

 出光興産は3日、100%子会社である出光オーストラリアリソーシス(ブリスンベン)を通じ、石炭と混焼が可能なバイオマス発電燃料用植物の植生試験と木質ペレット化試験を開始したと発表した。既存のエンシャム石炭鉱山(クイーンズランド州、権益85%)での資産(鉱山内遊休地、用役設備など)を活用する。

 今回のプロジェクトで栽培するのは、バイオマス発電燃料として使用する「ソルガム」。降雨量が少ない同エリアでの生育に適しており、7月までに順調な生育が確認され収穫を行った。現在、ソルガムの木質ペレット化試験を進めており、今年後半には木質ペレットの半炭化(ブラックペレット化)試験を予定している。

 木質ペレットを半炭化したブラックペレットは、従来の木質ペレットに比べて耐水性・粉砕性などに優れ、石炭と同様に取り扱うことができるため、石炭火力発電でのCO2排出量低減が期待できる。

 なお、プロジェクトは、同地が石炭の輸出基地に加え、バイオマス発電燃料の大規模商業輸出基地となる可能性があるとして、クイーンズランド州政府から補助金2万豪ドルを受託している。

 出光興産は、エネルギーを取り巻く環境変化を踏まえ、エネルギー源の多様化とベストミックスの構築により、日本のエネルギーセキュリティへの貢献と再生可能エネルギー普及を推進する考えだ。

エンシャム石炭鉱山での植生試験の様子 植物種「ソルガム」
エンシャム石炭鉱山での植生試験の様子 植物種「ソルガム」

三菱ケミカル アクリル樹脂板、4月以降受注が急増

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2020年9月4日

コロナ禍の生活様式に対応、飛沫感染防止に効果

 アクリル樹脂は、加工の自由度やガラス以上の透明度、野外での変形や劣化などの変質を起こしにくい耐候性、軽量・強靭という極めて優れた性質から、〝プラスチックの女王〟と呼ばれる。

アクリル板を使用した対面パーティション
アクリル板を使用した対面パーティション

 三菱ケミカルは1943年より、アクリル樹脂板「アクリライト」の製造を開始。これまで看板や水族館の水槽といった幅広い用途に使用され、国内トップシェアを誇る。昨今では、新型コロナウイルスの飛沫感染防止と日常生活を両立する「新しい生活様式」の中で、人と対面する際に飛沫感染を防止するパーティション用途として注目が高まり、4月中旬以降、受注が劇的に増加している状況だ。

 同社の「アクリライト」は光との相性が良く、透過や遮断、偏光によって様々な性質を操り、光の透過ではガラスよりも高い透明度をもつ。またグレードによっては、最大幅2763mm×最長6000mmという生産サイズが可能であり、大型看板の制作にも最適。用途は非常に幅広く、看板や水槽のほかにも、液晶ディスプレイのバックライト、照明、携帯電話やデジタルカメラの表示窓、美術館の展示ケース、住宅・商業施設をはじめとした建材など多岐にわたる。

 こうした中、コロナ対策として、「アクリライト」の特徴あるグレードが、飛沫拡散防止パーティションの素材に採用が進む。中でも独自の連続キャスト製法で製造している高品質押出グレード「アクリライトEX」は、加工性、耐擦傷性、視認性、耐薬品性に優れ、パーティションなどに手軽に使える。

 オフィスやクリニックなど、来客と近距離で接する機会の多い受付での設置に適しており、同社エントランスの受付でも、「アクリライトEX」パーティションを設置。反射防止フィルム「モスマイト」を貼付することで光の反射を抑え、自然な会話ができている。

アクリル板を使用した飛沫防止用パーテーション
アクリル板を使用した飛沫防止用パーテーション

 「アクリライト」の出荷は4月中旬から加速度的に増加している。緊急事態宣言が発出されてからは、金融機関、コンビニ、スーパー、病院など、対面接客が必要な業種からの引き合いが強かったが、宣言解除後は、オフィスやレストランなどで、人同士の間を分ける用途向けが伸びている。海外では、航空機内への導入も検討されており、公共機関への採用拡大が期待されている。

 同社では現在、耐擦傷性を高め傷がつきにくい「アクリライトMR」や、すりガラス調でありながら表面が平滑なためウイルスが付着しにくい「アクリライトフロスティ」の採用活動を展開。さらに、「アクリライト」の抗ウイルスグレードを開発しており、医療機器や病院など高機能が求められる需要を取り込むことを目指している。また、将来的な製品の交換に伴う廃棄問題を見据え、リサイクル体制構築への取り組みも開始した。

 今後、アクリル樹脂板の需要は、一層の採用範囲の広がりが見込まれ、ロックダウンが解除される海外でも、第2波に対する備えとして感染防止策が展開されていくと見られる。同社は、「アクリライト」の需要は、これから1~2年増加し続け、その後新たなウイルス感染防止や置き換え需要により当面の間は、ニーズが高い状況が続くと想定している。

 

NEDO 炭素リサイクル技術の実証研究拠点は大崎上島

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2020年9月3日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、CO2を資源として有効利用するカーボンリサイクル技術の早期実用化に向け、様々な研究や技術開発に集中・横断的に取り組む実証研究拠点を広島県の大崎上島(大崎上島町)に整備すると発表した。

 また、同地にある中国電力・大崎発電所内の研究開発用施設の整備とカーボンリサイクル技術の研究を進めるために、テーマ5件を採択した。事業期間は今年度からの5年間、事業総額は約60億円。

 昨年経済産業省が示した「カーボンリサイクル3Cイニシアティブ」と今年策定の「革新的環境イノベーション戦略」で、石炭ガス化複合発電(IGCC:ガス・蒸気タービン発電)、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC:燃料電池とガス・蒸気タービン発電)、発生するCO2の分離・回収の実証事業を進める大崎上島をカーボンリサイクル技術の実証研究拠点として整備するとされた。

 これを踏まえ、拠点化・技術開発事業に着手。実証研究拠点として必要な設備・施設の整備と運営、研究活動の支援、技術開発の総括的評価をする「CO2有効利用拠点化推進事業」と、そこでの技術開発とそれらの経済性や有効性を評価する「研究拠点におけるCO2有効利用技術開発・実証事業」からなる。

 「拠点化推進事業」では、その拠点化推進を大崎クールジェンに、整備・支援・最適化検討と実施は石炭エネルギーセンターに委託の予定。「技術開発・実証事業」では、市場規模の大きい打設や鉄筋に適用できるCO2有効利用コンクリートの研究開発(中国電力、鹿島建設、三菱商事)、将来需要が見込めるCO2を利用した化成品製造プロセスの構築(川崎重工業、大阪大学)と、菌類によるCO2固定化技術のシステム構築(広島大学、中国電力)、に取り組む。

 世界最先端の技術や実用化の近い技術を一元的に研究開発することで、カーボンリサイクル技術の確立を通じたCO2削減に貢献する。

 

太陽石油 愛媛新聞「本とねんどアートの世界」に協賛

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2020年9月3日

 太陽石油は、愛媛新聞社(愛媛県松山市)で先月9日に開催された「太陽石油presents わくわく!本とねんどアートの世界」に協賛した。この催しは、子どもたちに本に親しんでもらうことを目的に、太陽石油が特別協賛する「愛媛新聞小学生読書感想文コンクール」に合わせて開催されるワークショップ。

 かのうさんからのレクチャー
かのうさんからのレクチャー

 今回は、四国事業所がある同県今治市出身の絵本作家かのうかりん氏を講師に迎え、小学生の親子51人が、お気に入りの本の一場面を表現する粘度工作に挑戦した。ワークショップでは、粘度工作のほかに、かのう氏による絵本の読み聞かせも行われ、参加した子どもたちは目を輝かせながら本の世界に浸っていた。

 コロナ禍となった今年は、三密回避、マスク着用、アルコールによる手指消毒、ヘルスチェックシートによる体調確認など、多くのコロナ対策を施しての開催となったが、参加者は夏休みの貴重な体験を楽しむことができた。

 同社は、社会貢献活動の一環として、次世代を担う子どもたちの健全な育成のため、こうした取り組みへの支援を続けていく考えだ。

日立化成 食品包装・厨房ブランド名を「キッチニスタ」に変更

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2020年9月3日

 日立化成はこのほど、今年10月1日の「昭和電工マテリアルズ」への商号変更に伴い、同日より食品包装用ラップフィルムと厨房関連製品のブランド名を「KitcheNista(キッチニスタ)」に変更すると発表した。また食品包装用ラップフィルムの製品名は、「日立ラップ」から「キッチニスタラップ」に変更する。

 ブランド名は英語の「Kitchen」(台所、厨房)とイタリア語で「~する人」「~の専門家」を意味する「ista」を組み合わせ、ロゴマークは、調理に欠かせない「火」をイメージした赤色とした。キッチンで活躍する全ての人を応援し、その活躍をさらに輝かせたい、そして役立つツールとして愛され続けたい、という思いを込めている。

 これに合わせ、パッケージデザインも明るい色調で、判別しやすい色、使いやすいデザインに刷新した。これまで以上に調理を楽しんでもらいたいという思いだ。なお、これら変更に伴う生産拠点、製法の変更はない。

 同社は1980年の「日立ラップ」発売以来、「抗菌日立ラップ」「抗菌日立ラップ・ブルータイプ/レッドタイプ」「詰替え用ラップ」など、使う場所や使う人の様々なニーズに対応した製品をラインアップ。国内のホテルやレストランなどの業務用小巻ラップ市場でトップシェアを占める。

 日立化成は、今後も顧客のニーズを先取りした製品開発を進め、業務用用途のさらなるシェア拡大を図る考えだ。

 

中越パルプ工業 CNF複合樹脂MBの複数グレードを販売

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2020年9月3日

 中越パルプ工業はこのほど、セルロースナノファイバー(CNF)を活用する複合樹脂ペレット・マスターバッチ品「nanoforest‐MB」の販売を開始した。衝撃強度を強化したグレードをはじめ、複数の製品ラインアップを揃えている。

「nanoforest-MB」
「nanoforest-MB」

 CNFはプラスチック分野での低比重・高剛性化による軽量化が期待できる補強剤として、自動車産業をはじめ様々な産業分野で応用が試みられている。これまで同社は、CNF「nanoforest」を利用し、ポリプロピレン(PP)との複合を可能とした粉末グレード「nanoforest‐PDP」を提供。しかし、検討先でPPとの混練時にPDP分散性の課題があったことから、今回、PDPを事前にPPへ良分散させたMB品の提供を開始した。

 一方、CNF複合樹脂の実用化では、剛性が向上する一方で、固く脆い性質に起因する衝撃強度の低下が課題。特に自動車産業分野では衝撃強度の強化が望まれており、同社では標準グレードMB品に加えて、衝撃強度を強化した3種類のグレード「衝撃タイプ」「高剛性タイプ」「高衝撃タイプ」もラインアップした。

 同社では、さらなるMB開発として、剛性、軽量化以外の機能性付与の開発も進めている。今後、様々な分野での応用・実用化を目指し、丸紅と共に開発や営業展開の強化を図っていく考えだ。

東洋紡 犬山の新設備稼働、LCD用フィルムの量産を強化

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2020年9月3日

 東洋紡は、同社犬山工場(愛知県犬山市)に液晶ディスプレー(LCD)用の超複屈折ポリエステルフィルム「コスモシャインSRF」専用の製造設備を新たに建設し、7月より量産を開始した。

 ポリエステルフィルムは複屈折による色ムラのため偏光子保護に適さなかったが、「コスモシャインSRF」は複屈折を極端に上げ、光の干渉領域をはるかに超えた位相差をもつ「超複屈折」により虹ムラを解消した。耐水・耐久性に優れ、製造過程でゆがみが生じにくいことから、ディスプレーの大型化やベゼル(外枠)レス化を背景に需要が拡大してきた。

 2018年より進めてきた犬山工場の「コスモシャインSRF」専用製造設備の建設が竣工し、量産を開始。犬山工場と敦賀事業所を合わせ、生産能力を従来の1.5倍に増強し、生産体制の強化を実現した。

東洋紡 犬山工場に新設した製造設備

住友ベークライト 植物由来リグニン変性フェノール樹脂を開発

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2020年9月3日

 住友ベークライトはこのほど、植物の主要成分「リグニン」を活用した固形ノボラック型フェノール樹脂を開発し、製造技術を確立し量産機での生産を実証したと発表した。環境対応の熱硬化性プラスチックとして、主力の自動車分野をはじめ各種分野に提供していく。

固形ノボラック型 リグニン変性フェノール樹脂 
固形ノボラック型 リグニン変性フェノール樹脂

 同社主力製品のフェノール樹脂は石油由来であり、石油資源の調達リスクや温室効果ガスの削減などの課題に対し、非可食性バイオマスなどの植物資源への原料転換が必要になってくる。

 リグニンは植物の主要構成成分で、バインダーとして植物細胞に物理的強度や化学的安定性を与える天然フェノール系高分子。芳香族有機資源として地上最大の賦存量をもち、再生可能資源として期待される。

 同社は2010年以前からリグニン利用の基礎研究に着手。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発」と「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発」事業にも参画し、リグニンを使った樹脂合成の基幹技術と産業利用のための樹脂開発を進めてきた。

 固形ノボラック型のリグニン変性樹脂は製造面の難易度が高かったが、既存の石油由来フェノール樹脂と同等の加工性、樹脂材料特性、コストの並立が可能となり、量産技術も確立した。

 用途に合わせて樹脂特性を調整でき、優れた強度・耐熱性に加えリグニン由来の機能をもつ。用途によってはバイオマス比率50%以上の樹脂設計も可能。環境対応要求が高い自動車や航空機関連部材をはじめ、様々な産業分野で用いられているフェノール樹脂材料への適用・実績化を目指し、国内外の各種産業分野への利用展開を図る。

 コスト競争力のある再生可能原料を利用したフェノール樹脂製品の製造プロセスの実現により、二酸化炭素排出量を削減し持続可能な低炭素社会を実現する産業基盤の構築と、SDGsの実現に寄与していく考えだ。

 

NEDOなど 水素利活用の水素閣僚会議をWEB開催

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2020年9月2日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と経済産業省はこのほど、10月14日にウェブ上で水素閣僚会議特別イベントを開催すると発表した。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、オンラインで開催する。各国の水素製造や利活用の取り組みを共有し、水素社会構築の気運の維持拡大と、国際連携の一層の強化を図る。

 水素はエネルギー供給構造の多様化と、大幅な低炭素化のポテンシャルから、エネルギー転換・脱炭素化のキーテクノロジーとして世界各国から注目されている。水素閣僚会議は、水素の利活用をグローバル規模で推進し、関係各国が歩調を合わせ一層の連携を図る場として、2018年に第1回会議を日本で開催。規制・基準のハーモナイゼーション、国際共同研究の推進など、国際連携の重要性を共有した「東京宣言」を発表した。

 昨年の第2回会議では、前年を大きく上回る35の国・地域・機関から600人以上が参加し、「東京宣言」実現のための具体的アクションを明確化し、各国の水素・燃料電池に関する行動指針として、「グローバル・アクション・アジェンダ」を発表した。

 今年は、各国閣僚や民間企業の講演などを予定する。参加登録方法などは、後日、事務局ウェブサイトで案内される。