産総研と豊実精工 セラミックコートでクロムメッキ代替

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2021年7月20日

 産業技術総合研究所(産総研)と豊実精工(岐阜県加茂郡)はこのほど、常温衝撃固化現象を活用したエアロゾルデポジション(AD)法を最適化し、3次元的表面に防錆性と耐摩耗性を付与できる低環境負荷の常温セラミックコーティング技術を共同開発した。

 機械部品の防錆加工に汎用される硬質クロムめっきは、硬度と処理コストに優れるが、特定有害物質の六価クロムを使用し、欧州のRoHS指令など多くの規制を受けるため、機械的耐久性や防錆性に優れた六価クロムフリーの表面処理技術が求められている。代替技術の三価クロムめっきや溶射法は、密着性や耐摩耗性、膜厚制御性などが劣っている。

 今回AD法を活用し、平面と3次元形状の鉄系部品表面への高い防錆性・耐摩耗性の量産レベルのセラミックコーティング「ERIN処理」技術を開発。ドライコーティング非溶液プロセスで、溶射法のようにセラミック微粒子を溶かさないため、凝固収縮に伴うクラックやポアが発生せず、高い硬度と密着力をもつセラミック膜を形成し、高い防錆性や耐摩耗性が期待できる。

 基材に吹き付けられたセラミック微粒子は、衝撃でナノサイズの微細結晶片に破砕し、流動、再結合して強固な密着力と機械強度をもち、厚みのある緻密なセラミック膜を形成。成膜速度は速く常温処理であるため、熱に弱いプラスチックなど様々な基材へも適用できる。ピンホールやクラックの抑制にはセラミック粒子が均質なナノスケールの微細結晶片に破砕されることが重要で、基材の表面粗さ(凹凸形状)、セラミックコーティングの膜厚、基材の硬度、吹き付け角度の設定により、複雑な3次元構造体表面にも剥離のない均質な被膜を形成することを実証した。

 今後、豊実精工は防錆性や耐摩耗性が要求される小型精密機構部品などの年内の製造販売を目指すとともに、六価クロムフリーの機能めっき代替技術としての事業展開を図る。

 産総研は、原料粉末の合成や高度化などで同技術の量産性を向上し、低コスト化や大型構造物への適用拡大を検討するとともに、欠陥のない緻密3次元セラミックコーティング技術として、電子部品やエネルギー関連部材用途への応用展開を進めていく。

 

NEDOなど カルボン酸合成技術開発、ギ酸を有効利用

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2021年6月29日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などはこのほど、計算・プロセス・計測の三位一体による技術開発スキームを活用し、高効率な触媒を使い、ギ酸とアルケンから様々な化学品の基幹原料となるカルボン酸を合成する技術を開発したと発表した。

 NEDOは超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクトに取り組み、革新的な機能性材料の創製・開発の加速化を目指している。今回、産業技術総合研究所(産総研)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、日本触媒と共同で、安全で環境に優しいカルボン酸の合成技術を開発した。

 カルボン酸は、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、高吸水性樹脂などの高分子材料、医薬品、農薬などの有用化学品の基幹原料となるため工業的な応用も期待されている。しかし、これまでに報告されている例では、高圧条件や有毒で爆発性の高い一酸化炭素(CO)を使用することや、触媒以外にヨウ化メチル(CH3I)など環境負荷の高い複数の添加剤を大量に使用することが問題となっていた。

 今回開発した技術は、従来のような高圧条件を必要とせず、有毒で爆発性の高いCOガスや環境負荷の大きい添加剤を使用しない。さらに、ギ酸はCO2と水素から高効率に合成できるので、CO2を利用したクリーンな原料とみなすこともできる。この技術が実用化されれば、CO2を炭素資源として利用するカーボンリサイクル社会実現への貢献が期待できる。

 今後、触媒系の反応効率をさらに向上させるために、ロボティクスを活用したハイスループット実験により触媒のさらなる改良を迅速かつ効率的に実施し、最終的には化学品の連続生産技術であるフロー合成に使用できる固定化触媒の高速開発を目指す。

 なお日本触媒は、新化学技術推進協会(JACI)がオンラインで開催する「第10回JACI/GSCシンポジウム」(6月28~29日)で、研究成果の詳細を発表する予定。

 

産総研 湿度変化で発電する「湿度変動電池」を開発

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2021年6月24日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、空気中の湿度変化により発電する「湿度変動電池」を開発した。

 昼夜の湿度差で㎃レベルの電流を連続して取り出すことができ、IoT機器などの自立型極低電力電源としての応用が期待される。様々な電子機器の普及と、IoT(モノをインターネットに接続する)技術の進展により電子機器の数が増加する中、電源供給方法が問題となる。膨大な数の電子機器に対して、電源配線、定期的な充電や電池交換は、物理的スペースや労力の面で現実的ではない。

 小型電子機器の自立電源として熱電素子、太陽光発電、振動発電など環境中の微小エネルギーを使う環境発電技術の開発が行われているが、熱、光、振動などが存在する場所は限られることから、「どこでも発電できる」技術とは言い難い。どこにでも存在する湿度(水蒸気)を利用する場合、既存の発電素子で得られる電流は㎁、㎂レベルで実用的ではない。

 今回、潮解性無機塩水溶液の吸湿作用と塩分濃度差発電を組み合わせた、新しい原理の発電方式を開発。イオン交換膜で隔てた開放槽と閉鎖槽に、水と潮解性のあるリチウム塩からなる電解液を封入。低湿度環境では開放槽から水分が蒸発して濃度が上昇し、閉鎖槽との濃度差で電極間に電圧が発生する。

 高湿度環境では開放槽内の水溶液が空気中の水分を吸収して濃度が低下し逆の濃度差が発生し、逆向きの電圧が発生する。この湿度変動電池を恒温恒湿槽内に入れ、湿度を30%と90%に繰り返し変化させたところ、湿度30%のときには22~25㎷、湿度90%のときにはマイナス17㎷程度の電圧が発生した。最大電圧のときの出力は最大30㎼であった。短絡電流は5㎃で、1㎃以上の電流を1時間以上継続して出力できた。

 また湿度20~30%の密閉容器に湿度変動電池を入れ、電圧が一定したところで10㎼以下で駆動する低消費電力モーター接続すると、溜まったエネルギーによりモーターは2時間半以上駆動した。昼夜の温度変化などで湿度は数十%変動するため、比較的大きなエネルギーを長時間安定して取り出すことができ、「置いておくだけでどこでも発電できる」新たな再生可能エネルギーと言える。

 今後、さらなる出力向上や長期間使用時の耐久性など、実用化に向けた研究を行っていく。

産総研 有機シラン合成用高効率ロジウム錯体触媒を開発

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2021年6月9日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める「有機ケイ素機能性化学品製造プロセス技術開発」について、産総研が有機ケイ素原料を効率的に合成できるロジウム錯体触媒を開発したと発表した。副生成物の発生が少なく精製工程が簡略化でき、シランカップリング剤の基幹原料を収率99%以上で合成できる。

 シランカップリング剤は無機材料と有機材料を結合する性質をもち、高機能複合材料に広く利用されている。様々なシランカップリング剤を安価に供給することで、エコタイヤや半導体封止樹脂、FRP(繊維強化プラスチック)などの高機能複合材料の低価格化が期待できる。多くのシランカップリング剤の基幹物質となるクロロプロピルシランは、白金やイリジウム錯体触媒を使って、ヒドロシランと塩化アリルの反応により合成されるが、収率は70~80%程度で、複数の副生成物が生成する。

 今回、触媒構造と生成物の関係に着目。新しい触媒はロジウム金属とフッ素を含み、2つのリン原子がロジウム金属に結合する配位子を組み合わせた。副生成物を生成する触媒構造は不安定なことから、主成分を生成する安定な触媒構造に変化するため、副生成物の生成反応が大幅に抑制される。微量のロジウム錯体でも、目的のクロロプロピルシランを実験室レベルで99%以上の収率で単一合成できた。触媒量5㏙の場合、触媒回転数(触媒が不活性化するまでの触媒1分子当たりの反応回数)は14万回に達し、工業触媒として十分な耐久性をもつことが確認された。

 産総研は引き続き同事業でシランカップリング剤反応のスケールアップ実験を行い、工業的な実施可能性を検証する。また触媒性能の解析を進めて、高機能で安価な有機ケイ素材料の提供を目指す。

NEDOと産総研 AI材料設計向け仮想実験環境を構築

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2021年6月3日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、物性計算シミュレーターとAI技術を連携させ、材料の電気伝導度計測を計算機上で再現する基盤技術を開発したと発表した。これにより生成した大量の材料データを深層学習させることで、望みの電気特性をもつ材料の組成・構造の予測・設計につながることが期待される。

 NEDOは各種有機・高分子系機能性材料開発の試作回数・開発期間を従来の20分の1に削減・短縮する「革新的機能性材料の開発を支援するためのシミュレーター」を、産総研と先端素材高速開発技術研究組合と共同で開発した。材料の組成・構造から物性・機能を予測(順問題予測)するには正確なビッグデータが必要だが、そのための計算シミュレーションでは、実材料のサイズが計算容量を大きく上回ることが問題であった。

 今回、第一原理電気伝導計算機能(量子方程式で物質構造から電子状態を求める)とAIの深層学習法を連携させ、順問題予測を正確に行い、電気特性に関する仮想材料実験を計算機上で行うための技術を開発した。材料を構成する全原子の相対的位置情報を局所的情報に単純化して記述子とし、様々な構造・組成に対する電気伝導度の第一原理計算シミュレーションで得たデータを深層学習に使う。大きなサイズ領域の記述子を構築できるため、計算シミュレーションの計算機性能の制限を受けず、高い精度で予測できることを検証できた。

 この仮想実験により、材料の組成・構造の数値情報と電気的性質が明瞭に関連付いた高精度で、また実際の実験では得ることが難しいデータを大量に生成できる。そしてAIを利用することで、目的の機能・性質を実現する材料の組成・構造の予測(逆問題予測)が可能になる。

 今後、計算機上での仮想実験で、実際の実験や材料試作に応じた大量のデータを系統的かつ網羅的に生成し、電気伝導物性(材料機能)から材料組成・構造を予測する逆問題予測手法の開発につなげていく考えだ。

東大など 電性高分子・ドーパント共結晶で高伝導達成

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2021年5月28日

 東京大学と物質・材料研究機構、科学技術振興機構(JST)、産業技術総合研究所(産総研)の共同研究グループはこのほど、独自開発した強力な酸化力をもつラジカル塩ドーパントと高分子半導体により共結晶構造を自発的に形成させ、従来以上の高い結晶性と伝導特性をもつ導電性高分子を開発したと発表した。

 高分子半導体は溶液を塗って乾かすだけで製膜でき、次世代エレクトロニクス材料として注目される。高分子半導体を導電性材料として使うには、ドーピング処理で電荷を注入し、電気伝導特性を向上させる必要がある。

 通常は、高分子半導体と酸化還元反応するドーパント分子を高分子膜に導入するが、ドーパント分子は陰イオンとして高分子膜内部にランダムに残るため結晶性を損ない、伝導特性に影響してしまう。結晶性構造を壊さずにドーパント分子を導入する手法を以前開発したが、ドーパント分子の立体的配置は不明瞭で、そのランダムさが電気伝導特性を制限している可能性があった。

 今回、より酸化力の強いラジカル塩ドーパントを開発。その溶液に高分子半導体の薄膜を浸漬したところドーピング量は非常に多く、X線回折分析により、高分子半導体とドーパント分子1対1による共結晶構造の形成を確認。ドーパント分子の位置を0.5㎚程度の精度で決定した。強力な酸化反応により、ドーパント分子が高分子半導体結晶にあるナノメートルスケールの周期的な空隙に入り、自発的に均質な密度で配列したと考えられる。一般的に通常の高分子膜の構造は乱れているが、今回は薄膜全体に配向性の高い共結晶構造が形成し、電気伝導度が高く白金などの貴金属に匹敵する高い仕事関数を示した。

 さらに、ドーパント分子種の最適化により、大気安定性も向上した。電気伝導特性は共結晶性領域に由来する金属的な伝導が支配的だが、今回の研究により、ミクロな共結晶構造の設計でマクロな電気伝導度の制御が可能であることが示唆された。様々な分子性イオンを充填・配列化した高分子半導体薄膜を大面積で容易に形成できるため、今後様々な機能性電子・イオン材料としての研究が進展することが期待される。

NIMSなど 低価格、高性能の熱電変換材料を開発

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2021年5月25日

 物質・材料研究機構(NIMS)と産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、希少元素を含まず低熱伝導率と高電荷移動度を両立した高効率の熱電材料の開発に成功した。低価格の熱電モジュールの実用化と普及に道を拓き、省エネ効果に加え、Society5.0の実現に必要な無数のセンサーの自立電源やモバイル発電機など幅広い分野での応用が期待される。

 一次エネルギーの多くは熱として排出され、その約90%は320℃以下の低温域だ。廃熱を電気に変換する熱電変換材料の効率には、熱伝導率を低く、電気伝導率を高くする必要があるが、電気伝導率が高いと熱伝導率も高くなる。Bi2Te3系が低温域で最高の熱電変換効率を示すが、主成分のTeが希少元素であることが普及を妨げている。

 今回、n型Mg3Sb2系材料に微量の銅原子を添加することで、熱伝導率低減と電気伝導率向上を両立できた。原子間隙に入った銅原子が熱伝導を司るフォノンの速度を低減し、熱伝導率を低減。また、粒界に入った銅原子が電子の散乱を抑え、高電荷移動度を向上。これにより、ジュール発熱によるエネルギー損失を抑え利用熱の散逸を抑止し、熱伝導率の低い多結晶体でありながら単結晶材料並みの電気伝導率、すなわち高熱伝導率を実現した。

 同様に高性能化したp型材料と組み合わせて熱電モジュールを作製。室温と320℃の温度差での熱電変換効率は、最高性能のBi2Te3系材料に匹敵する7.3%を示した。この材料の理論効率は約11%であり、さらなる高効率化も見込まれる。また、今回発見したフォノン散乱効果や粒界制御効果は、他の熱電材料の高性能化へ活用することも期待される。

 なお本研究は、科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業大規模プロジェクト型技術テーマ「センサ用独立電源として活用可能な革新的熱電変換技術」の支援を受けて実施された。今後、低価格で広範囲に適用可能な熱電モジュールの実用化を進めるとともに、他の温度域にも活用できる高性能熱電材料の研究開発も引き続き推進していく。

東ソーなど 低濃度CO2からの尿素誘導体合成法を開発

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2021年5月18日

 東ソーと産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、火力発電所排気ガス相当の低濃度CO2から、樹脂や溶媒、医薬品の原料として有用な化学品である尿素誘導体を合成する触媒反応を開発したと発表した。

 両者は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「NEDO先導研究プログラム/未踏チャレンジ2050/排気ガス由来低濃度CO2の有用化製品への直接変換」にて、低濃度CO2をポリウレタン原料などの有用化学品に直接変換する合成プロセスを研究開発しており、今回の技術の開発に至った。

 この技術は、日本で主流の石炭火力発電所排気ガスに相当する低濃度CO2(体積比率15%)とアミンから簡便に得られるカルバミン酸アンモニウム塩にチタン触媒を作用させて、有用化学品であるエチレンウレアなどのさまざまな尿素誘導体を効率的に合成できる。また、これまで直接利用が難しかった火力発電所排気ガス中の低濃度CO2を、濃縮・圧縮・精製といったコストやエネルギーが必要な工程を経ずに有用化学品に効率よく変換できるため、地球温暖化の原因とされるCO2の排出量削減への貢献が期待される。

 両社は今後、今回開発した反応について実際の火力発電所排気ガスを用いた検証を行った後、工業スケールでの尿素誘導体合成反応の実用化を目指す。なお、今回の成果の詳細は、英学術誌「Communications Chemistry」に掲載された。

今回開発した低濃度CO2からの尿素誘導体合成技術の概要
今回開発した低濃度CO2からの尿素誘導体合成技術の概要

産総研 即時・持続性ウイルス不活化コーティングを開発

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2021年4月22日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、就実大学と共同で即時性と持続性に優れた抗ウイルスコーティングの作製技術を開発した。

 消毒薬クロルヘキシジン(CHX)を含浸させたアルミナ(Al2O3)ナノポーラス膜で、多様な素材表面に質感と強度に優れ、耐久・持続性のある抗ウイルスコーティングを形成する。固体表面のウイルスは低温低湿下では1週間にもわたり感染力を保つため、ウイルスの不活性化は接触感染回避に重要だ。

 エンベロープ型ウイルスに対して界面活性剤による清拭は有効だが、ドアノブや手すり、つり革など公共のものには頻繁には行えず、短時間でのウイルス不活性化とその持続性が求められる。塗布しただけの薬剤は水や油に溶出し、長期間の抗ウイルス効果はない。薬剤を練りこんだ樹脂コーティングも、薬剤が表面に出にくく効果が不十分であり、密着性を落とす場合もある。

 今回、耐久性に優れたナノポーラスセラミックス膜に薬剤を担持・固定化する技術を開発した。強固な密着力と機械強度をもつ厚さ1㎛以上のナノポーラスセラミックス膜を、セラミックス微粒子を金属や樹脂、ガラスなどの基材表面に常温で吹き付け、その衝撃力だけで緻密なセラミックス皮膜を形成する産総研のエアロゾルデポジション法で作製。含侵用薬剤は、水溶液中の帯電状態や親油基の長さ、分子の立体構造などの観点でCHXを選定した。

 ステンレス基板上に作製した抗ウイルスコーティングの抗ウイルス効果を、A型インフルエンザウイルスを使ってISOのウイルス不活性化評価試験で評価した結果、24時間の抗ウイルス活性値は4.5以上、不活性化率は99.997%以上、2時間では各々3.7以上、99.98%以上であった。

 CHXの残留量をラマン散乱分光法で評価した結果、塗布しただけの薬剤は水溶液中の超音波洗浄1分30秒で消失したが、今回のコーティングでは10分後も残存した。乾燥環境でのボール・オン・ディスク試験(摩擦摩耗試験の一種)30分間でも、数分の1程度は残存していた。またコーティング表面の摩擦係数は1前後で、ビロードの様な感触である。

 今後は企業に呼びかけ、早期の実用化を目指す考えだ。

産総研と東大 モビリティ・サービス研究で連携・協力

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2021年4月20日

 産業技術総合研究所(産総研)と東京大学はこのほど、モビリティ・サービス分野の連携・協力の推進に関する協定を締結した。

 年齢や障害などに関わりなく、すべての人が「いつでも、どこでも」移動できる革新的なモビリティ・サービスの創出と社会実装を促進させることを目指したもの。これにより、移動の制限や不自由によって生じる生活の質(QOL)の低下を防ぎ、誰でも楽しく移動できる社会の実現を目指す。

 パーソナルモビリティから公共交通機関を含めた各種モビリティの要素技術となる生体計測・評価、AI、データ連携に関する研究と、異なるモビリティを切れ目なく連携し、安全・安心・便利なモビリティ・サービスの社会実装に必要なモビリティマネジメントやサービスに関し、研究協力を行う。両者の実験プラットフォームを活用して、研究開発の成果をシームレスに社会実装へとつなげていく考えだ。