NEOD 関東圏にバイオ生産の実証拠点、人材も育成

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2021年9月3日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、政府が掲げるバイオ戦略に基づき、関東圏に産学でのバイオ生産実証を推進する拠点を形成するとともに、バイオものづくりに携わる人材を育成する事業を開始すると発表した。

 微生物や植物などの生物を活用した物質生産(バイオものづくり)は、微生物育種や発酵技術、遺伝子組み換え植物による物質生産技術などに強みをもつ日本が競争力を発揮できる分野。

 さらなる発展が期待される一方、これらの技術は現場担当者の経験に基づいた「匠の技」とも言われ、製造拠点の海外進出や熟練担当者の高年齢化に伴い、技術の継承が課題となっている。このため熟練者の暗黙知をデジタル化(形式知化)するなど、バイオとデジタルの融合を基盤とする環境・技術・人財の整備が求められている。

 こうした中、NEDOは政府の「バイオ戦略2020」を踏まえ、関東圏での産学によるバイオ生産実証を推進する拠点形成や、バイオものづくり人材の育成を行う事業を開始することを決定。同事業では微生物機能を活用した物質生産に取り組み、実験室レベルの生産性を、商業レベルを想定した環境で再現するスケールアップ検証の場を提供する。同拠点を企業や大学、研究機関などが基礎研究と事業化のギャップを埋める足掛かりとすることで、商用生産まで到達するバイオ由来製品の増加を目指す。

 また2022年以降、NEDOは同拠点を活用したバイオ生産実証を公募し、委託もしくは助成する事業スキームを予定。これにより、バイオ生産に取り組む企業や大学、研究機関などの新規参入とさらなる発展を促進しバイオ産業の裾野拡大や炭素循環型社会の実現に貢献する製品の創出を後押しする。

NEDOなど バイオマス由来のBRでタイヤ試作に成功

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2021年9月2日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、産業技術総合研究所(産総研)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、横浜ゴムと共同で、バイオエタノールからのブタジエンの大量合成、ブタジエンゴム(BR)の合成、自動車用タイヤの試作という一連のプロセスの実証に成功した。 

バイオマス由来のブタジエンゴムで試作したタイヤ
バイオマス由来のブタジエンゴムで試作したタイヤ

 ブタジエンは現在、合成ゴムなどの重要な化学原料として石油から生産されているが、バイオマス(生物資源)からタイヤを生産する技術を確立することで、石油依存を低減しCO2削減と持続可能な原料の調達を促進する。

 NEDOは「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト(超超PJ)」で計算・プロセス・計測の三位一体による有機・高分子系機能性材料の高速開発に取り組み、バイオエタノールからブタジエンの高速・高効率合成技術を開発した。

 2019年には触媒の配合状態や反応条件に関する大量のデータを取得・解析するハイスループットシステムとデータ駆動型学習、触媒インフォマティクスにより、世界最高のブタジエン収率をもつ触媒システムを開発し、BRの合成にも成功。さらに2020年にはブタジエン収率を1.5倍に高めた。

 今回、産総研が、バイオエタノール処理量が従来比約500倍(1L/時)の大型触媒反応装置を設計・製作し、反応温度やエタノール流量などの反応条件の最適化と生成ブタジエンの捕集方法の改良により、連続反応で約20kgのブタジエンを製造。ADMATが生成ブタジエンを蒸留して高純度化し、横浜ゴムが高純度ブタジエンを重合してゴム化した。これと天然ゴムのみで試作したタイヤは、従来の石油由来ゴムを使用したタイヤと同等の性能を示した。

 今後、超超PJでは成果を実用化するための材料設計プラットフォーム構想を進め、その中のハイスループット触媒開発装置群の構築とデータ蓄積をさらに進める。生産性の向上や他の材料開発への適用などを加速させ、サステイナブル資源の社会実装に挑戦し、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に貢献する。

 

山梨県など9者 大規模P2Gシステムの実証開始

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2021年9月2日

NEDOグリーンイノベーション基金事業に採択

 山梨県、東レ、東京電力ホールディングス、東京電力エナジーパートナー、日立造船、シーメンス・エナジー、加地テック、三浦工業、ニチコンは1日、コンソーシアム「やまなし・ハイドロジェン・エネルギー・ソサエティ(H2-YES)」を構成し、大規模P2G(Power to Gas)システムによるエネルギー需要転換・利用技術開発に係る事業を開始すると発表した。なお、同プロジェクトは、グリーンイノベーション基金事業における新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の採択を受けている。

 同日オンラインで開催した共同記者会見の中で、山梨県の長崎幸太郎知事は「再生可能エネルギー導入拡大と、GHG(温室効果ガス)削減は人類共通の課題であり、化石燃料からの脱却が必要だ。山梨県、東レ、東電はこれまで、米倉山(こめくらやま、甲府市)において再エネでグリーン水素を製造するP2Gシステムの開発を進め、基盤技術を確立してきた。しかし

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日本ゼオン AIを活用し物性を予測、機能性材料の開発加速

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2021年9月1日

 日本ゼオンはこのほど、2017年から参画している新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」を通じて、AIにより材料の構造画像を生成し、高速・高精度で物性の予測を可能とする技術を共同開発したと発表した。なお、同プロジェクトには同社のほか、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、産業技術総合研究所(産総研)が参画している。

 昨今、材料開発のさらなる高度化・高速化の要求が高まり、ディープラーニング(深層学習)などの情報処理技術を利活用する動きが活発化している。これは、様々な材料データをコンピュータに学習させることで、高性能な新しい材料の提案を可能とするAI技術で、人の勘や経験に頼る従来の材料開発を高度化することができる。しかし、コンピュータ上で扱える材料は構造が定義できる低分子化合物や周期構造をもつ金属、無機化合物に限定されることが大きな課題だった。

 こうした背景の下、同プロジェクトではカーボンナノチューブ(CNT)をはじめとする機能性材料開発の高速化を目指し、データ駆動を活用した研究を推進。3者は共同で、より汎用性の高い材料へディープラーニングを適用する手法を開発した。

 今回の技術では、まず複雑な構造をもつCNT膜の構造画像と物性をAIに学習させる。その上で、種類の異なるCNTを任意の配合で混合した様々なCNT膜の構造画像をコンピュータ上で生成することで、その物性の高精度な予測を可能にした。この技術は、従来のAIでは適応できなかった複雑な構造をもつ材料の組成選定・加工・評価といった一連の実験作業をコンピュータ上で高速・高精度に再現(仮想実験)することを可能にするもので、材料開発のさらなる加速化が期待できる。

 日本ゼオンは、今後も同プロジェクトを通じ、CNTをはじめとするナノ材料と高分子材料との複合材料を対象としたAI開発技術に取り組むとともに、幅広い材料へ適用可能な技術開発につなげ、新技術と新材料開発の可能性拡大に貢献していく。

ENEOS 水素SC構築の4件、NEDO事業に採択

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2021年8月27日

 ENEOSは26日、CO2フリー水素サプライチェーン(SC)の構築に向けて実施する4件の実証事業が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」として採択されたと発表した。

グリーンイノベーション基金を活用したCO2フリー水素サプライチェーン実証事業の全体図
グリーンイノベーション基金を活用したCO2フリー水素サプライチェーン実証事業の全体図

 今回採択された実証事業は、①MCH(メチルシクロヘキサン)SCの大規模実証、②直接MCH電解合成(Direct MCH)技術開発、③水素発電技術(専燃)実機実証、④液化水素SCの商用化実証、の4事業。なお、実証期間は2030年度末まで(④のみ2029年度末まで)を予定している。

 同社は、海外で製造した水素(ブルー・グリーン)のキャリア(輸送手段)として、ガソリンに組成が近く安定的に輸送・貯蔵ができるMCHに注目。2030年30円/N㎥の水素供給コスト達成に向け、既存設備を活用した脱水素技術や、MCHSCの構築を目指す。

 ①については、協業検討に合意してきた豪州やマレーシアなどの現地企業と共同で、海外でのCO2フリー水素とMCH製造プラントの建設・運用、MCHの海上輸送、国内の製油所数カ所の既存設備を最大限活用したMCH受け入れ・貯蔵・水素製造について、年間数万tの商用規模の技術を実証する。また、MCHから製造した水素は、製油所内で石油製品の製造プロセスに利用するほか、近隣の発電所などへ供給することも検討する。

 ②については、同社が独自開発し研究を進めてきた、再エネ由来のMCH製造の低コスト化(2050年20円/N㎥)を可能にする直接MCH電解合成技術の実用化を目指す。同技術を活用したMCH製造装置(電解槽)の大型化に向けた技術開発を行う。豪州では、商用規模の5MW級(水素製造能力:1000N㎥/h相当)の大型プラント技術の開発と実証運転に取り組む。

直接MCH電解合成(水電解との比較)

 ③については、同社がもつガスタービンを活用し、国内で初めて大型の水素専焼発電技術の適用可能性を調査し実機実証を行う。水素は燃焼温度が高く排ガス中のサーマルNOx量の上昇が大きいことや、燃焼速度が速く逆火や燃焼振動が生じやすいという課題がある。発電機メーカーと協力してこれらの課題に対応した専用燃焼器を実機に実装した技術検証を実施する。併せて、①のMCHSCの大規模実証などを通じた水素を供給することで、同社電源のゼロエミッション化の実現可能性を検討する。

 ④の実証では同社は水素キャリアとして液化水素にも取り組む。年間数万t規模のCO2フリー水素の製造、液化、出荷、海上輸送、受け入れまでの一貫した国際間の液化水素SC実証を、日本水素エネルギー(川崎重工業の100%出資)および岩谷産業と共同で行う。国内外を含め実証場所は未定だが、コンビナート地区など、パイプラインによる水素供給ポテンシャルが高い場所に受け入れ基地を設置し、近隣の発電所などへの供給インフラの構築を目指す。ENEOSは、SDGsの課題解決につながる同実証などを通じて、CO2フリー水素SCを構築し、脱炭素エネルギーの安定効率供給に取り組んでいく。

 

旭化成 水素製造システム活用、グリーンケミ工場を実証

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2021年8月27日

 旭化成と日揮ホールディングスは26日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業」に対し、2021~2030年度を事業期間と想定した「大規模アルカリ水電解水素製造システムの開発およびグリーンケミカルプラントの実証」と題したプロジェクトを共同提案し、採択されたと発表した。カーボンニュートラル社会を実現していく上で、水素は重要な役割を果たすことが期待されている。

 旭化成は、NEDO事業の一環として福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)にて世界最大規模の10MW級アルカリ水電解システムを開発するなど、水素製造技術の実用化開発に取り組んできた。また、日揮HDは、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)事業」を通じて、CO2フリー水素を活用したアンモニア製造技術の開発に取り組んでいる。

 こうした中、両社は、これまで長期にわたり培ってきた水素関連技術をベースに、その社会実装をより早く確実なものとするため、今回のプロジェクトでは、100MW級を見通した大規模アルカリ水電解システム、および再生可能エネルギー由来の水素を原料としたグリーンケミカルプラントの実証に共同で挑戦する。

 大規模アルカリ水電解システム開発では、FH2Rでの開発成果を要素技術開発にフィードバックするとともに、アルカリ水電解槽を並列設置するモジュール化技術を導入することで、安全性・耐久性・性能・コストの面で市場ニーズに適合した数十MW級のアルカリ水電解システムの実証と実用化に取り組む。

 グリーンケミカルプラント開発では、変動する再エネ由来水素を原料としたプロセスについて、水素供給量を制御し運転最適化を実現する統合制御システムを共同開発する。さらに、統合制御システムを活用し、グリーンアンモニアなどの化学品の合成プラントのFSと技術実証に取り組む。

 一方、グリーン水素やグリーンケミカルのサプライチェーンを構成する企業にプロジェクトへの参加を募り、社会実装をする際の便益や課題を抽出することで、事業化と市場創出を加速していく。今年度中には、三菱商事とJERAが委託企業として参加する計画となっている。

水素製造を活用したグリーンケミカルプラント実証プロジェクト
水素製造を活用したグリーンケミカルプラント実証プロジェクト

NEDO 水素の利活用拡大へ、調査・技術開発を開始

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2021年8月25日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、再生可能エネルギーから製造した水素や海外産水素、副生水素などをコンビナートや港湾、工場などで大規模に利活用するモデルを創出していくため、今回14件の調査・技術開発テーマを採択した。

 水素は化石燃料や水の電気分解、工業プロセスの副産物(副生水素)など様々な資源から製造できるほか、利用時にはCO2を発生しないことから、電力部門と非電力部門の両方を脱炭素化することができる。また、需要以上に発電し余剰となった再エネを水素に変換し貯蔵・利用できることや、化石燃料をクリーンな形で有効利用できることから将来のエネルギーキャリアとして期待されている。

 こうした中、NEDOでは1980年代から燃料電池や水素ステーション、大規模水素サプライチェーン、P2G(再エネの電力を水素に転換し利用するシステム)などの技術開発に注力。しかし、現在も技術的課題やインフラ整備状況、経済性などの課題により、水素の大規模な普及拡大にはつながっていない。

 そこでNEDOは、再エネから製造した水素や海外産水素、副生水素などをコンビナートや港湾、工場など特定の地域で大規模に利活用するエネルギーシステムのモデルを創出していくため、11件の調査テーマと3件の技術開発テーマを採択。この中で将来の経済性やGHG(温室効果ガス)削減効果などの可能性を探る調査や、日本国内での海外産水素の大規模受け入れ基地の検討、実環境を想定した水素製造・利活用技術の開発について支援に取り組み、水素を活用した統合的なエネルギーシステムモデルの構築を効率的に促進していくことを目指す。

 NEDOは、同事業を通じて地域特性に応じた水素社会実装モデルを構築することで、各分野での普及を後押しし、水素利活用の拡大に貢献する。

 

NEDO、地熱発電の導入拡大、14の研究開発に着手

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2021年7月30日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど「地熱発電導入拡大研究開発」において、重点課題である「地熱資源のポテンシャル拡大」と「地域共生・環境保全」、「発電原価低減化」の解決につながる研究開発に着手すると発表した。NEDOは今回の研究開発を通じて大規模超臨界地熱発電所の実用化を目指すとともに、新たな地熱開発や地熱発電所の性能向上を後押しする。

 2018年に閣議決定された「第五次エネルギー基本計画」では、地熱発電は発電コストが低く、安定的な発電が可能なベースロード電源と位置づけられた。同時に、エネルギーミックスの中で2030年度に最大で発電容量155万㎾、発電電力量113億㎾hの導入が掲げられている。

 こうした背景から、NEDOは2019年度に国内外の地熱開発・地熱技術開発動向を調査し、2030年の導入目標達成と2050年の社会実装にあたり求められる技術開発テーマを探索・検討し3つの技術開発の重点課題を挙げた。

 これらの課題解決に向け、NEDOは2021年度から新たな研究開発プロジェクト「地熱発電導入拡大研究開発」を立ち上げる。同研究開発によって将来の大規模超臨界地熱発電所の実用化を目指すとともに、新規地熱開発や既存の地熱発電所の性能向上を促進し、国内における地熱発電のさらなる導入拡大を推進する。

 今回採択した14件の研究開発テーマでは、まず地熱発電ポテンシャルが高いと想定される火山地帯の地表から3~5㎞深部にあると推定される高温・高圧の超臨界水を活用。従来の地熱発電よりも大規模な出力が期待できる超臨界地熱発電の実現に向けた有望地域の地熱資源量の調査と、探査技術の開発を行う。

 また、国立・国定公園内での地熱開発や、開発地域のステークホルダーとの合意形成を可能にするための環境保全対策技術開発に取り組む。さらに、IoTやAIの活用によって地熱発電設備や地熱貯留層の管理を効率化・最適化し、既存発電設備における発電量の引き上げや、新規地熱開発時の発電量向上、コスト削減につながる高度な管理技術の開発を目指す。

NEDO 燃料電池の新たな研究開発着手、普及を加速

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2021年7月29日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、燃料電池の飛躍的な普及拡大に向け、新たに24件のテーマを採択したと発表した。

 2020年度から実施中のテーマを踏まえて、今後さらに補強すべき分野として、セパレータやガス拡散層(GDL)などの先端的な研究開発のほか、農機や建機、港湾荷役機器、ドローンなど多様な用途での燃料電池の活用を目指す実証事業に着手する。

 燃料電池は、燃料がもつ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため、原理的に高いエネルギー効率を得られる。また発電時にCO2を発生させないため、GHG排出抑制への貢献が期待されている。

 日本では家庭用燃料電池エネファームを2009年に、燃料電池自動車(FCV)を2014年に世界に先駆けて市場投入した。しかし、今後の自立的な普及拡大に向けて高効率・高耐久・低コスト化が必要となり、また、製品を市場投入したことで多数の課題が顕在化している。

 こうした中、NEDOは、2019年1月にトヨタ自動車や本田技術研究所、燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)らとともに「FCV課題共有フォーラム」を開催し、各々で協調して取り組むべき課題の抽出・共有を行った。

 また、経済産業省とNEDOは同年6月に「水素・燃料電池プロジェクト評価・課題共有ウィーク」を開催し、産学官全体にわたる技術開発の活性化に向けて議論した。

 これらの議論を踏まえて策定された「水素・燃料電池技術開発戦略」に基づき、NEDOは2030年以降燃料電池を飛躍的に普及拡大させるため、2020年度から燃料電池システムに関する大規模な研究開発事業である「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」を実施。

 そして今回、燃料電池のさらなる高度化に向けて、現在のテーマではカバーされていない分野を対象に追加公募を実施し、24件の新規テーマを開始する。

 同事業の推進を通じ、日本の燃料電池技術の競争力をさらに強化し、世界市場で確固たる地位を確立するとともに、水素社会の実現に貢献する。

 

NEDO 将来像レポートを公表、価値軸と社会像を提示

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2021年7月21日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、豊かな未来の実現に向けたイノベーション活動を後押しするための将来像レポート「イノベーションの先に目指すべき『豊かな未来』」を公表した。

 国内外の豊かさに関する報告書や各種政府白書、未来予測に関する報告書など計75編を俯瞰的に分析し、イノベーション活動を推進していく上で「大切にすべき6つの価値軸」と「実現すべき12の社会像」を提示。あわせて「現代社会が取り組むべきイノベーション事例」を取りまとめた。

 「自分らしい生き方」「健康で安定な生活」「持続可能な自然共生世界」「持続可能な経済成長」「強靭で快適な社会基盤」「安全・安心な国」の実現を大切にすべき価値軸とし、実現すべき社会像については、3Rの推進や低環境負荷材料の利用により環境負荷を最大限削減しながら経済成長も実現する「物質循環による持続可能な社会」や、社会経済の発展に向けた取り組みと自然共生社会に向けた取り組みを軸とする「環境と調和した持続可能なエネルギー社会」などのように、より具体的なイメージを提示している。

 また、各省庁から発行されている各種白書や国内外の未来予測に関する報告書など計46編に加え、NEDO技術戦略研究センターがこれまでに策定した技術戦略などを参考とした「環境に優しいものづくりの追求」や「エネルギー網の脱炭素化・強靭化」など、豊かな未来の実現に向けて現代社会が取り組むべき40のイノベーション事例も別冊として取りまとめた。

 様々な企業・団体でイノベーション活動の目的の分析や今後の展開のよりどころとして活用されることを期待し、今後も豊かな未来の実現につながるイノベーション活動を展開していく。なお、同レポートについては、9月にオンラインセミナーを開催する予定だ。