三菱ケミカル 植物由来樹脂CPで生分解性リッドを共同開発

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2021年9月8日

 三菱ケミカルと大和製罐は7日、三菱ケミカルの生分解性樹脂コンパウンド「FORZEAS(フォゼアス)」を使用した生分解性リッド(紙コップなどのフタ)を開発したと発表した。

「FORZEAS」を利用した生分解性リッド
「FORZEAS」を利用した生分解性リッド

 現在、リッドは、一般的にポリスチレン(PS)などの非生分解性プラスチックで製造されているが、両社で材料開発や試作を重ね、生分解性リッドを開発した。材料には三菱ケミカルが製造する生分解性かつ植物原料由来の樹脂コンパウンド「フォゼアス」を使用し、大和製罐が成形加工を行う。

 リッドは、ホットドリンクにも対応できる耐熱性や飲み口のヒンジが切れないような柔軟性などが求められる。両社で素材の材料設計やリッドの形状設計の見直しを行うことで、要求性能を満たすリッドの開発に成功した。また、「フォゼアス」は素材そのものに優れた耐熱性があるため、ポリ乳酸など他の生分解性樹脂では必要となる耐熱性を上げるための特殊加工が不要で、既存のPSリッド成形機で成形が可能という特徴ももつ。

 今回の生分解性リッドは、三菱ケミカルの生分解性樹脂「BioPBS」を内側にラミネート加工した紙コップと組み合わせることにより、紙コップ容器とフタを分別せずに、コンポスト設備で一緒に分解可能になる。

 両社は今後、コンビニやカフェでの採用を目指し、生分解性リッドのサンプルワークを進めるとともに、食品包装向けに生分解性素材をトータルで提案できるような体制を整えていく。

マイクロ波化学 バイオファウンドリ基盤技術開発に参画

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2021年9月7日

 マイクロ波化学は6日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業であるカーボンリサイクル実現に向けた「生産プロセスのバイオファウンドリ基盤技術開発」事業に参画すると発表した。同社は、バイオ生産プロセスにマイクロ波技術を新たに適用することで、さらなる低コスト化・省エネ・低炭素化の実現に寄与する。

 同事業で対象となるバイオ市場は目覚ましい成長が見込まれており、OECD(経済協力開発機構)は2030年に世界で約200兆円規模に拡大すると予想している。昨今の世界的なカーボンニュートラル(CN)の潮流の中で、再生可能資源から直接化学品を製造可能にする次世代のものづくり技術として、特に注目を浴びるようになっている。

 同事業では、グリーン・アース・インスティテュートおよび協和発酵バイオが、基盤技術や拠点を整備することでバイオ化学品の効率的な商用化への橋渡しを行い、日本発のバイオ由来製品を続々と生み出していくことを目指している。

 マイクロ波化学は、2050年までのCN実現をリードする構想として「C NEUTRAL 2050 design」を策定。これは、マイクロ波技術の汎用性の高さを生かし、国内外の産業部門の幅広い領域に対しマイクロ波プロセスを導入することにより、90%以上のCO2排出量削減を目指すもの。今回の事業への参画により、バイオ市場へ進出することで、この構想のさらなる進捗が期待できる。

 同社は今後も、あらゆる製造プロセスへのマイクロ波技術導入を通じて、CNの早期実現に貢献していく。

バイオ関連市場におけるマイクロ波の展開構想
バイオ関連市場におけるマイクロ波の展開構想

SABIC 再生可能原料使用のPCがISCC認証取得

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2021年9月6日

 SABICはこのほど、再生可能原料ベースのポリカーボネート(PC)フィルム・シートを製造するファンクショナルフォームズ本部のオランダ工場が、国際持続可能性カーボン認証ISCC PLUSを取得したと発表した。ISCC PLUSは、マスバランス方式による会計システムにより、原料から最終製品までのサプライチェーンのマテリアルフローを追跡して認証される。

 新しいバイオベースの「LEXAN(レキサン)」フィルム・シート製品は、原材料のPC樹脂の一部に食物連鎖と直接競合しない第二世代原料を使用して製造される。化石ベースの原料の代わりに再生可能または循環型の原料1tを生産プロセスに投入すると、生成した材料の約1t分が再生可能または循環型として分類される。マスバランス手法を適用することで、これらの認証材料を使用した製品の持続可能性の文書化・数値化が可能となる。

 PAS 2050(カーボンフットプリント公開基準)に従ってライフサイクル分析(LCA)を行い、「原料入手から製品出荷まで」と「原料入手から寿命の終わり」までのCO2排出量を従来の化石ベースのルートと比較評価した結果、認証再生可能原料ベースのPC樹脂1kgにつき、化石資源の枯渇を最大35%緩和し、CO2排出量を最大60%削減し得ることが分った。

 SABICが取り組みを進める「TRUCIRCLE」ソリューションの一環として、プラスチック循環経済に対する持続可能な材料ソリューションへの世界的な需要に応えるものだとしている。環境バランスを強化し、意欲的な持続可能性目標の達成に向けた有効な代替手段を提供し、耐久性とリサイクル性を備えた応用ソリューションとして、様々な産業での価値創造に貢献していく考えだ。

NEOD 関東圏にバイオ生産の実証拠点、人材も育成

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2021年9月3日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、政府が掲げるバイオ戦略に基づき、関東圏に産学でのバイオ生産実証を推進する拠点を形成するとともに、バイオものづくりに携わる人材を育成する事業を開始すると発表した。

 微生物や植物などの生物を活用した物質生産(バイオものづくり)は、微生物育種や発酵技術、遺伝子組み換え植物による物質生産技術などに強みをもつ日本が競争力を発揮できる分野。

 さらなる発展が期待される一方、これらの技術は現場担当者の経験に基づいた「匠の技」とも言われ、製造拠点の海外進出や熟練担当者の高年齢化に伴い、技術の継承が課題となっている。このため熟練者の暗黙知をデジタル化(形式知化)するなど、バイオとデジタルの融合を基盤とする環境・技術・人財の整備が求められている。

 こうした中、NEDOは政府の「バイオ戦略2020」を踏まえ、関東圏での産学によるバイオ生産実証を推進する拠点形成や、バイオものづくり人材の育成を行う事業を開始することを決定。同事業では微生物機能を活用した物質生産に取り組み、実験室レベルの生産性を、商業レベルを想定した環境で再現するスケールアップ検証の場を提供する。同拠点を企業や大学、研究機関などが基礎研究と事業化のギャップを埋める足掛かりとすることで、商用生産まで到達するバイオ由来製品の増加を目指す。

 また2022年以降、NEDOは同拠点を活用したバイオ生産実証を公募し、委託もしくは助成する事業スキームを予定。これにより、バイオ生産に取り組む企業や大学、研究機関などの新規参入とさらなる発展を促進しバイオ産業の裾野拡大や炭素循環型社会の実現に貢献する製品の創出を後押しする。

日揮HDなど バイオジェット燃料製造SC構築を検討

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2021年9月3日

 日揮ホールディングス、レボインターナショナル(京都府京都市)、コスモ石油と日揮はこのほど、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業「バイオジェット燃料生産技術開発事業/実証を通じたサプライチェーン(SC)モデルの構築」に、共同提案した「国産廃食用油を原料とするバイオジェット燃料製造SCモデルの構築」が採択されたと発表した。

 2025年までに、本格的なバイオジェット燃料供給の開始を目指す。事業期間は2024年度までの4年間で、バイオジェット燃料供給事業の検討費用、製造設備の装置設計・建設費用、実証運転・用役供給費用、原料の廃食用油の入手可能性・コスト調査費用などに対する助成金を受ける。

 日揮HDと日揮は事業全体の統括と装置設計・建設を行い、レボインターナショナルは原料調達・技術開発・製造販売の自社一貫体制を確立したパイオニア企業として、国内需要の創出、バイオマス循環資源としての利用拡大と地域循環共生圏の構築に取り組む。

 コスモ石油は用地・用役提供と運転、製品混合、製品の輸送・供給を行う。同時にスマートな廃食用油収集システムの開発・実証も目指し、資源循環型ビジネスで豊富な実績をもつ小田急電鉄も受託事業者として参画する。

 航空需要の長期的な拡大が見込まれる中、CO2排出削減による地球温暖化抑止対策が航空業界の喫緊の課題となっている。2050年までの事業化を見据えた規模のバイオジェット燃料製造と空港納入までのSCモデルを実証し、早期確立を図る。

帝人 メタ系アラミドがカーレース向けスーツに採用 

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2021年9月3日

 帝人はこのほど、同社が展開するメタ系アラミド「コーネックス・ネオ」が、電気自動車のフォーミュラーカーレース「フォーミュラE」に参戦する英国のチーム「EVR」のレーシングスーツに採用されたと発表した。「コーネックス・ネオ」がレーシングスーツ向けに使用されるのは初となる。

パラ系アラミド「コーネックス・ネオ」がレーシングスーツに採用
パラ系アラミド「コーネックス・ネオ」がレーシングスーツに採用

 帝人グループは、地球温暖化への意識啓発の1つのアプローチとして、昨年からEVRを支援。その中で、次世代の自動車に求められる軽量・高強度でデザイン性に優れる部品や、安全性に貢献する製品の開発に向けた技術や知見を追求している。こうした中、400℃超の耐熱性をもち防炎性に優れる「コーネックス」にあって、世界的に難しいとされる安定した高い染色性を備える「コーネックス・ネオ」がレーシングスーツ向けに採用された。

 今回のレーシングスーツは、帝人グループのテイジン・アラミド(オランダ)と、モータースポーツ用品メーカーであるOMPレーシング(イタリア)が共同開発。外層に「コーネックス・ネオ」使用の超軽量生地を使用しているため、高い難燃性や耐熱性をもち、過酷なレース環境にも耐えることが可能だ。 また、染色性に優れることから、EVRが求める色合いやデザインを実現した。

 さらに「コーネックス・ネオ」は、特殊な紡糸法により製造プロセスの化学物質排出やエネルギー消費を削減し、欧州の化学物質管理の法規制であるREACHをクリア。EVRがチームのミッションとして掲げる「地球温暖化に挑むレース」にも合致している。

 このレーシングスーツは、「コーネックス・ネオ」を特殊加工した素材とそれに適した生地設計を採用したことにより、一般的なレーシングスーツよりも一層少ない二層構造となり、従来EVRが着用していたものに比べて10%の軽量化を実現。着用快適性が高まり、ドライバーの動きやパフォーマンスの向上に貢献する。また、安全性についても、国際自動車連盟の基準に沿った厳密なテストをクリアしている。なお、このレーシングスーツは、8月14日に開催されたベルリン大会で初めて着用された。

NEDOなど バイオマス由来のBRでタイヤ試作に成功

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2021年9月2日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、産業技術総合研究所(産総研)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、横浜ゴムと共同で、バイオエタノールからのブタジエンの大量合成、ブタジエンゴム(BR)の合成、自動車用タイヤの試作という一連のプロセスの実証に成功した。 

バイオマス由来のブタジエンゴムで試作したタイヤ
バイオマス由来のブタジエンゴムで試作したタイヤ

 ブタジエンは現在、合成ゴムなどの重要な化学原料として石油から生産されているが、バイオマス(生物資源)からタイヤを生産する技術を確立することで、石油依存を低減しCO2削減と持続可能な原料の調達を促進する。

 NEDOは「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト(超超PJ)」で計算・プロセス・計測の三位一体による有機・高分子系機能性材料の高速開発に取り組み、バイオエタノールからブタジエンの高速・高効率合成技術を開発した。

 2019年には触媒の配合状態や反応条件に関する大量のデータを取得・解析するハイスループットシステムとデータ駆動型学習、触媒インフォマティクスにより、世界最高のブタジエン収率をもつ触媒システムを開発し、BRの合成にも成功。さらに2020年にはブタジエン収率を1.5倍に高めた。

 今回、産総研が、バイオエタノール処理量が従来比約500倍(1L/時)の大型触媒反応装置を設計・製作し、反応温度やエタノール流量などの反応条件の最適化と生成ブタジエンの捕集方法の改良により、連続反応で約20kgのブタジエンを製造。ADMATが生成ブタジエンを蒸留して高純度化し、横浜ゴムが高純度ブタジエンを重合してゴム化した。これと天然ゴムのみで試作したタイヤは、従来の石油由来ゴムを使用したタイヤと同等の性能を示した。

 今後、超超PJでは成果を実用化するための材料設計プラットフォーム構想を進め、その中のハイスループット触媒開発装置群の構築とデータ蓄積をさらに進める。生産性の向上や他の材料開発への適用などを加速させ、サステイナブル資源の社会実装に挑戦し、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に貢献する。

 

山梨県など9者 大規模P2Gシステムの実証開始

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2021年9月2日

NEDOグリーンイノベーション基金事業に採択

 山梨県、東レ、東京電力ホールディングス、東京電力エナジーパートナー、日立造船、シーメンス・エナジー、加地テック、三浦工業、ニチコンは1日、コンソーシアム「やまなし・ハイドロジェン・エネルギー・ソサエティ(H2-YES)」を構成し、大規模P2G(Power to Gas)システムによるエネルギー需要転換・利用技術開発に係る事業を開始すると発表した。なお、同プロジェクトは、グリーンイノベーション基金事業における新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の採択を受けている。

 同日オンラインで開催した共同記者会見の中で、山梨県の長崎幸太郎知事は「再生可能エネルギー導入拡大と、GHG(温室効果ガス)削減は人類共通の課題であり、化石燃料からの脱却が必要だ。山梨県、東レ、東電はこれまで、米倉山(こめくらやま、甲府市)において再エネでグリーン水素を製造するP2Gシステムの開発を進め、基盤技術を確立してきた。しかし

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DIC 海藻由来DHAオイル、仏社と代理店契約を締結

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2021年9月1日

 DICはこのほど、100%子会社のDICライフテックが、仏・ファーメンタルグ社が開発した微細藻類(シゾキトリウム)由来のサプリメント素材である高濃度DHA(ドコサヘキサエン酸)「DHA オリジンズ-510」の取り扱いを開始した。

「DHAオリジンズ-510」

 DHAは魚由来のものが一般的に有名だが、魚のDHAはもともと海に生息する微細藻類が生み出し、食物連鎖で魚に取り込まれたもの。同製品はDHAの起源である藻類に遡って生産されたものであることから、よりピュアなDHAとなる。

藻類由来のDHA

 DICは、40年以上続く食用藍藻類スピルリナ事業で培った藻類培養技術をベースに、ファーメンタルグ社と複数年にわたる包括的な事業協力を進めており、SDGsに対応する機能性素材として同製品の取り扱いを開始した。

 同製品の主な特長として、藻類由来の51%高濃度DHA、サステナブルで安心・安全な素材、ベジタリアンやヴィーガンにも対応可能、臭い低減、美しいオレンジ色、などが挙げられる。

 DICグループは、新事業の柱の1つとしてヘルスケア分野の強化に注力している。社会的なSDGsへの意識の高まりや消費者の健康志向を背景に、今後も同社グループが得意とする藻類培養技術を活用した〝食の安全・安心〟に注力した食品やサプリメントなどの製品開発を進めていく。

日本ゼオン AIを活用し物性を予測、機能性材料の開発加速

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2021年9月1日

 日本ゼオンはこのほど、2017年から参画している新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」を通じて、AIにより材料の構造画像を生成し、高速・高精度で物性の予測を可能とする技術を共同開発したと発表した。なお、同プロジェクトには同社のほか、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)、産業技術総合研究所(産総研)が参画している。

 昨今、材料開発のさらなる高度化・高速化の要求が高まり、ディープラーニング(深層学習)などの情報処理技術を利活用する動きが活発化している。これは、様々な材料データをコンピュータに学習させることで、高性能な新しい材料の提案を可能とするAI技術で、人の勘や経験に頼る従来の材料開発を高度化することができる。しかし、コンピュータ上で扱える材料は構造が定義できる低分子化合物や周期構造をもつ金属、無機化合物に限定されることが大きな課題だった。

 こうした背景の下、同プロジェクトではカーボンナノチューブ(CNT)をはじめとする機能性材料開発の高速化を目指し、データ駆動を活用した研究を推進。3者は共同で、より汎用性の高い材料へディープラーニングを適用する手法を開発した。

 今回の技術では、まず複雑な構造をもつCNT膜の構造画像と物性をAIに学習させる。その上で、種類の異なるCNTを任意の配合で混合した様々なCNT膜の構造画像をコンピュータ上で生成することで、その物性の高精度な予測を可能にした。この技術は、従来のAIでは適応できなかった複雑な構造をもつ材料の組成選定・加工・評価といった一連の実験作業をコンピュータ上で高速・高精度に再現(仮想実験)することを可能にするもので、材料開発のさらなる加速化が期待できる。

 日本ゼオンは、今後も同プロジェクトを通じ、CNTをはじめとするナノ材料と高分子材料との複合材料を対象としたAI開発技術に取り組むとともに、幅広い材料へ適用可能な技術開発につなげ、新技術と新材料開発の可能性拡大に貢献していく。