東レは25日、さまざまな分野で水処理に用いられるポリフッ化ビニリデン(PVDF)製限外ろ過(UF)膜について、微細分離性と高透水性を兼ね備えた新たなUF膜を開発したと発表した。
同日開催された記者会見において、地球環境研究所の花川正行主任研究員は、「これまで中空糸膜については、孔径微細化と高透水性を両立することが課題だった。当社が長年培った計算化学によるシミュレーションと大型放射光施設の観察結果を総合的に分析することにより、
2019年2月26日
2019年2月25日
豊田通商はこのほど、高機能液晶調光フィルムの開発、製造、販売を行う九州ナノテック光学の株式を、大分ベンチャーキャピタルから取得すると発表した。第三者割当増資を引き受け、同社に35.28%出資し、豊田通商から3人の取締役を派遣した。
九州ナノテック光学は、これまで国や大分県からの支援を受け、世界で初となるリバースモードフィルムの量産化技術をはじめとするさまざまな液晶調光フィルムの研究開発に注力。他社にない機能として、液晶調合から製造に至るまでの研究・開発リソースを保有しており、顧客のニーズに合わせた液晶材料の開発と構成材料の選定を行っている。
クリアな視界の確保や、高温環境下での性能向上を図り自動車向けにも対応した高機能液晶調光フィルムの開発を進め、また、経済産業省の2018年度の戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)にも認定されている。
今後さらなる機能向上や用途開発を推進することで、自動車・新幹線といった輸送機器や建築用途など、2020年には1500億円に拡大が見込まれている調光市場への展開を目指している。
高機能液晶調光フィルムは、会議室や商業施設などすでにさまざまなところで使用され需要が高まっている。また、CASEと呼ばれる自動運転や電動化などの新技術、MaaSといった新たな移動サービスの台頭により、車内空間に対する考え方も変化していくことが考えられ自動車への活用も期待できる。
豊田通商は、自動車の活用の変化に伴う需要を見据え、自動車部品に関するノウハウや量産体制の構築を支援していく。さらに、デジタルサイネージなどのディスプレイ関連分野への応用や、新たな活用方法の開拓を行い、同フィルムの社会実装を目指す。
2019年2月22日
昭和電工は21日、ハードディスクドライブ(HDD)の次世代記録技術であるマイクロ波アシスト磁気記録(MAMR)に対応した3.5インチの次世代HDメディアを開発し、今年中に発売を開始すると発表した。
同製品は、同社の新技術で開発したアルミ基板製の、1枚当たり2テラバイト(TB)の高容量をもつメディア。従来型磁気記録(CMR)方式では第10世代となる。1TBは1000ギガバイト(GB)。ちなみに同社では、3.5インチHDの容量を、160GBが第1世代、1TBが第6世代、1.5~1.8TBが第9世代などと区分している。
同製品はこのたび、東芝デバイス&ストレージが、2019年度中にサンプル出荷を開始するニアライン向けHDDに採用された。次世代記録技術MAMRを使用したHDDは、業界最大記憶容量(2019年2月11日現在)の18TBを実現したもの。
クラウドサービスの普及や動画コンテンツ、画像共有サイトなどの急拡大により、データを保管するデータセンターではより大容量のHDDが求められている。
〝ベスト・イン・クラス〟をモットーに、同社は今後もMAMR、熱アシスト磁気記録(HAMR)などの、新世代記録技術に対応した世界最高クラスの製品をいち早く市場に投入していく。世界最大のメディア専業メーカーとして、HDDのさらなる高容量化を図る。
2019年2月21日
積水化学工業住宅カンパニーは、スマートハウスをより普及させるため、太陽光発電システム(PV)と蓄電池、電気自動車(EV)を組み合わせた新機能を「スマートハイムTB」シリーズとして製品化した。PVと蓄電池、EVを接続するV2H(Vehicle to Home)スタンドの3機器を、1つのシステムとして連携するトライブリッドパワコンを標準採用し、暮らしに合わせた電気の使い方を提案する。
同社では2014年に業界で初めてEVとPVが系統連携した住宅「VtoHeim」を発売した。昨年4月から順次、トライブリッドパワコンを採用した新機能を開発。新たに「スマートハイムTB」を開発したことで、従来品とともに「スマートハイムTB」シリーズとし、北海道・沖縄と離島地域を除く全国で、23日から戸建て商品に展開することにした。
「スマートハイムTB」はトライブリッドパワコンとPVで構成している。EVを保有していない新築時に、2つの機器だけを設置することで、初期費用を抑えることができる。EVを購入した際には、リフォームでV2Hスタンドを増設でき、自宅でも屋外コンセント(200V)の約2倍速での充電が可能になる。
従来品のうち、「スマートハイムVtoHeim TB」はトライブリッドパワコン・PV・V2Hスタンドで構成。EVを買い物や送迎、週末に利用する家庭向きで、EVが家にある時は蓄電システムとして使用できる。災害時にはPVからEVへの充電、EVから家庭内への給電が可能だ。
「スマートハイムPlus TB」はトライブリッドパワコン・PV・蓄電池から成る。蓄電池を設置することで、自然災害などによる停電時にも、生活に必要な最低限の電力を確保することができる。蓄電池は暮らし方や家族構成に合わせ、4kWhと8kWhの2つの容量から選べる。EVを購入した際には、リフォームでV2Hスタンドを増設できる。
「スマートハイムVtoHeimPlus TB」は、トライブリッドパワコン・PV・蓄電池・V2Hスタンドで構成されている。日常は電力会社からの電力購入を減らせて経済的。通勤などで日中、EVの不在時に停電が発生しても、蓄電池があるので電気を使うことができる。長期の停電でも蓄電池に加えEVの蓄電システムから給電できるため、消費電力が多い二世帯住宅でも安心だ。4パターンのいずれも1つのリモコンで操作が行えるので、増設時や停電時も容易に機能を使いこなすことができる。年間の販売目標は1000台。
同社では「バリエーションを拡充することで、多様な家族構成や暮らし方に対応していきたい」と話している。
2019年2月20日
三井化学アグロはこのほど、自社開発の新規いもち病防除剤「トルプロカルブ」を有効成分とする水稲育苗箱用の殺虫殺菌剤に、重要害虫のウンカ類に卓効を示す新規殺虫剤「ピラキサルト」との混合剤をラインナップに加え、今年2月以降、販売を開始すると発表した。
「トルプロカルブ」と「ピラキサルト」の混合剤は、新しい作用性の有効成分の組み合わせによって、他農薬に対する耐性菌や抵抗性害虫への対策が求められてきたイネの重要病害虫の防除の課題を解決して、食糧の生産性向上に貢献する。
「トルプロカルブ」は、同社が開発している新規原体の一つで、最新の研究の結果、いもち病菌に対して2つの作用機構を持つことが明らかになっている。「ピラキサルト」(一般名:トリフルメゾピリム)は、全国農業協同組合連合会(農協)とデュポン・プロダクション・アグリサイエンスが開発した新規殺虫剤であり、イネの重要害虫であるウンカ類に高い効果と長期残効を示し、新規作用で他農薬に抵抗性を示すウンカ類にも効果を発揮する。両剤は、それぞれイネの重要病害虫のいもち病とウンカ類に高い効果と長期残効を示す成分であり、農業生産現場で高く期待されている。
三井化学アグロは両剤の混合剤として、「サンスパイク 箱粒剤」と「サンエース 箱粒剤」を販売する。九州では紋枯病も重要病害であり、近年は難防除病害である稲こうじ病も増加しているが、これらに有効な「モンガリット 粒剤」の有効成分であるシメコナゾールを加えた混合剤が「サンエース 箱粒剤」。「トルプロカルブ」は、2016年の販売開始以来、昨年までに13製品に利用されている。地域ごとの需要に対応する製品を揃え、「サンスパイク 箱粒剤」、「サンエース 箱粒剤」など製品の一層の充実を進めていく。
三井化学アグロは、これからも独自性の高い新規原体の創製と農薬製品の開発を継続することで、食糧の生産性向上に貢献していく考えだ。
2019年2月13日
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)はこのほど、東京大学とともに、窒化タンタル(Ta3N5)光触媒を使い、太陽光で水を高効率に分解できる赤色透明な酸素生成光電極の開発に成功。水の分解反応による水素/酸素製造で、世界トップレベルの太陽光エネルギー変換効率5.5%を達成した。
ARPChemには三井化学・三菱ケミカル・富士フイルム・国際石油開発帝石・TOTO・ファインセラミックスセンターが参加している。
この成果は、今回開発に成功した窒化タンタルからなる赤色透明な酸素生成光電極と水素生成光電極を組み合わせた、2段型構造の水分解用タンデムセルを構成することで得られた。エネルギー変換技術としての人工光合成の有用性を示すものとなっている。
今回開発した酸素生成光電極は、より波長の長い光を水分解に利用できる水素生成光電極との組み合せに適しているという。今後は光電極のさらなる高性能化と水分解用タンデムセルの構造最適化を進め、2021年度末までに、目標とする太陽光エネルギー変換効率10%の達成を目指す。
NEDOは、太陽光のエネルギーを利用して水から生成した水素と工場などから排出されるCO2から、プラスチック原料などの基幹化学品(C2~C4オレフィン)を製造する基盤技術開発に取り組んでいる。同プロセスを実現するためには、光触媒のエネルギー変換効率の向上が重要なカギとなっている。
2019年2月8日
三菱ケミカルのグループ会社で浄水器の販売を行う三菱ケミカル・クリンスイはこのほど、スマートフォンで管理できるIoT機能を搭載した蛇口直結型浄水器を発表した。専用アプリを使用し「浄水使用残量」や「カートリッジ交換予想日」などの情報が分かる、「クリンスイMD301i」と「クリンスイCB073i」を今月21日から全国で販売開始する。
通信機能には、消費電力の少ない「FeliCa」を採用。タッチするだけで浄水器とスマホの通信ができるため、同社は新製品を、日常生活に取り入れやすいIoT製品と位置づける。デザインモデル「MONO(モノ)シリーズ」は、独自の中空糸膜技術により赤サビや雑菌など13+2物質の除去能力をもつ。
今回新発売となる「クリンスイMD301i」は、浄水使用量を計測し、搭載された通信機能を使って、「①カートリッジ残量」「②カートリッジの交換予想日」「③カートリッジを利用している期間」「④使用した浄水量をペットボトルの水に換算した場合の本数と費用」「⑤浄水器本体の電池残量」などの様々な情報をスマホに表示する。
ベーシックモデル「CBシリーズ」からは、「クリンスイCB073i」をラインアップ。カートリッジ購入日から算出した交換予測日をスマホに通知する。いずれも、交換時期が近づくとスマホにプッシュ通知が届く機能がある。アプリ上では、対応するカートリッジの品番やパッケージ画像も確認でき、利用者に適切なカートリッジ交換を促す仕組み。
同社では、利用者のカートリッジ交換に関する不便を解決しながら、さらに快適に使用できる浄水器の提供を目的に、今後も進化したIoT搭載製品を展開していく予定だ。
2019年2月7日
ポリプラスチックスは6日、樹脂異材接合技術「AKI‐Lock」とPBT樹脂「ジュラネックス」が星和電機の道路照明器具「ポール内配線付ジョイントボックス」に採用されたと発表した。
道路照明の金属ポール内は、湿気がたまりやすく結露による水滴が発生する厳しい環境だが、その中に電気配線を守るジョイントボックスが設置されている。
今回、このジョイントボックスの防水性能をさらに向上させるために、ポリプラスチックスの樹脂異材接合技術とPBT樹脂が採用された。
具体的には、ジョイントボックスの本体と上蓋に電気特性と低そり性に優れる「ジュラネックス 733LD」を採用し、その上蓋とニトリルゴム(NBR)部品を「AKI‐Lock」(フィラーで強化された接合界面を形成させ高い接合強度を実現)により結合することで、気密性・防水性能が格段に向上した。
この高い防水性能により、配線接続による絶縁劣化がなく、また、上蓋を開けずにブレーカ操作ができるため、施工や点検の作業が容易にできるメリットもある。
星和電機は、1957年に世界初の海底トンネル「関門トンネル」の照明器具を納入以来、今日まで多くのトンネル・道路照明の納入実績を誇る。
道路照明器具は金属ポールに取り付けられるが、このポール内の湿気や水滴から電気配線を守る製品として、「ポール内ジョイントボックス」(SBシリーズ)を発売してきた。
今回、新たなラインアップとして、道路照明器具のポール内配線を安全かつ容易にした「ポール内配線付ジョイントボックス」(SBJAシリーズ)の開発に際して、ポリプラスチックスが異材接合技術とPBT樹脂を提案し、要求性能を満たす新製品が完成した。
2019年2月7日
三菱ケミカルのグループ会社で浄水器の販売を行う三菱ケミカル・クリンスイは、山形県の酒造メーカーと共同し、超軟水を仕込み水としたオリジナル吟醸酒を発表した。
クリンスイが運営する、水にこだわったライフスタイルを体感できるカフェ「MIZUcafe PRODUCED BY Cleansui」(東京都渋谷区神宮前6-34-14 原宿表参道ビル1階)で、今月6日から提供を始めた。
蔵出しとなったのは、「出羽桜 純米吟醸酒 Cleansui仕込み(瓶火入)」。山形県天童市にある老舗造り酒屋、出羽桜酒造と共同開発した。
山形県産の酒造好適米「出羽燦々(さんさん)」のみを使い、約50時間かけて精米歩合50%にまで磨き上げたのち、山形酵母とクリンスイの超軟水で醸造。熟した果実のような豊かな香りと上品な酸味がある、辛口でキレのある純米吟醸酒に仕上げた。
日本酒の醸造過程で味の仕上がりを左右するのは「水」だ。出羽桜酒造では、以前から三菱レイヨン(現:三菱ケミカルアクア・ソリューションズ)の三層中空糸膜を使用した脱気装置を採用し、酒造りの重要な工程で活用してきた。
今回、クリンスイブランドで様々なコラボレーションに挑戦してきたクリンスイは、三菱ケミカルの同じ部門に所属するグループ会社・ウェルシィの協力のもと、クリンスイの超軟水を仕込み水として供給した。
クリンスイによれば、2社のコラボは、出羽桜酒造の日本酒造りへのこだわりと、伝統を守りながら積極的に海外に発信していく姿勢に、クリンスイの〝水を通じて世界中の人々にワクワクを届けていきたい〟という思いが共鳴し実現したとのこと。同時に、三菱ケミカルの環境・生活ソリューション部門でシナジー効果が生まれたという。
なお同純米吟醸酒は、前述のカフェで味わえる。グラス(120㎖)が700円、ボトル(720㎖)が3500円で、いずれも税込み価格。ちなみに、瓶での販売は行っていない。
2019年2月6日
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、横浜国立大学と共同で、従来不可能であった100分の1を超えるような高い減速比の減速機でも、逆駆動が可能なギヤ(バイラテラル・ドライブ・ギヤ)を開発した。
同開発は逆駆動のメカニズムに特徴がある。ロボットの関節が外力に対して柔軟に動くことを可能にするだけでなく、逆駆動制動時の熱を電気エネルギーとして回収する(エネルギー回生)際の効率化を図ることができる。
モーター情報による負荷トルクの推定が行え、小型軽量化・低コスト化・省エネ化を同時に達成する。今後は協働ロボット、アシストロボット、移動ロボットなどの関節部材や、電気自動車(EV)、電動自転車の変速機などへの展開が期待される。
高齢化社会では、ロボットが産業界だけでなく社会全体で人の役割の一部を担う、人とロボットが共存する社会の実現が期待されている。このような共存社会では、人とロボットの意図しない接触により危険が生じるおそれがある。
これまでは、ロボットの関節に使用されている減速機が、外力に対して柔軟に動く逆駆動性がないため接触の衝撃を吸収できず、結果として人の安全を十分に確保できなかった。さらにロボットの中核部品である減速機は、古くから数多く研究されてきたため、大きな改善の余地はないと考えられていた。
なお、横浜国立大学は今回の開発品を、パシフィコ横浜で2月6~8日に開催される工業技術見本市「テクニカルショウ ヨコハマ2019」に出展する。