日中化学産業会議 持続的発展に向け活発な議論

2019年7月11日

 日本化学工業協会(日化協)、石油化学工業協会(石化協)、中国石油・化学工業連合会(CPCIF)の日中化学3団による「日中化学産業会議」が、7月9日、10日の2日間にわたり東京都内で開催された。 

日中化学産業会議の様子
日中化学産業会議会見の様子(左から石化協の森川会長、日化協の淡輪会長、CPCIFの李会長、戴副会長)

 同会議は、日中化学産業の関係を強化し、双方の発展につなげることを目的に、2015年以降、毎年日中交互に行われている。日本開催となる今年は、中国側からはCPCIFの李寿生会長、戴和根副会長をはじめ、中国化学産業の要人52名、日本側からは化学企業のトップや中国現地法人の幹部、経済産業省の関係者など70名超が出席し、活発な議論が行われた。

 9日の全体会議終了後の記者会見で、日化協の淡輪敏会長(三井化学社長)は、「今日の主な議題として、両国の化学産業の現状と未来、ホットなテーマである海洋プラスチックごみ問題における両国の現状や方針について議論が行われた」と語った。

 そして、「海洋プラ問題では中国側から

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帝人 工学院大学のソーラーカープロジェクトを支援

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2019年7月10日

 帝人グループは10月13~20日にオーストラリアで開催される、世界最大級のソーラーカー大会「ワールド・ソーラー・チャレンジ」に参加する工学院大学に、車体の主要部材向けとして自社素材を提供する。加えて、それらを使用したCFRP製の車体の設計から製作までの支援も行う。

 同社グループは、2013年大会で工学院大学のソーラーカープロジェクトに参加して以来、今回まで4大会連続で同チームを支援している。前回大会まではサポート企業の1つとして、車体向けの軽量・高強度素材、チームメンバーの快適性向上につながる素材・製品を幅広く提供してきた。

 しかし、今大会はそれに加えて、工学院大学を次世代の革新的モビリティ開発を目指すパートナーと位置づけ、ソーラーパネルなどソーラーカーに搭載される部品関連の技術を得ることも目的に、開発支援を行うことにした。

 今回提供した素材・製品は、炭素繊維「テナックス」製超軽量織物プリプレグ、ポリカーボネート樹脂「パンライト」製樹脂窓、パラ系アラミド繊維「テクノーラ」製プリプレグ、タテ型不織布「V‐Lap」製衝撃吸収シートクッション、超極細ポリエステル繊維「ナノフロント」製グローブ、メタ系アラミド繊維「コーネックス」製ドライビングスーツ、「デルタピーク」製チームウェア。

 このうち、「テナックス」を使用したプリプレグは、帝人がサカイオーベックスと共同開発した成形厚0.06mm、重量60g/㎡という極薄の超軽量織物。これを使用することで、従来にはないCFRPの薄肉化を実現し、超軽量車体の製作を可能にした。

 樹脂窓は帝人が開発したガラスの約200倍という耐衝撃性と、2分の1という軽量性を持つ「パンライト」を使用することで、車体の軽量化と搭乗者の安全性向上に貢献する。

 また、帝人フロンティアが製造・販売する「V‐Lap」製衝撃吸収シートクッションは、反発性や通気性に優れ、車体の軽量化やドライバーの快適性向上に寄与する。

 ソーラーカーのボディの設計、成形加工を支援するのは、帝人子会社のジーエイチクラフト。超軽量の乗物構造技術に基づく独自のデザインや成形加工から、構造物評価に至るまでの全工程を自社内で一貫して手掛けている。

 自動車や航空機などのモビリティ分野の世界的なファーストランナーとして、さまざまなCFRPコンポジット構造体を設計・製作しており、同社は今回も担当者がレース全行程に同行し、チーム一丸で念願の初優勝を目指す。

 帝人グループは今回の革新的ソーラーカーの共同制作を通じて得られた軽量車体の設計・成形加工のノウハウや、ソーラー発電に関する技術を有効活用することにより、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指し、モビリティ分野におけるソリューション開発に注力していく。

 

NEDO 機能性化学品の生産で連結フロー合成法に着手

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2019年7月8日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、多品種の機能性化学品生産に対応する、オンデマンド型連続精密生産プロセスの構築に着手した。

 高性能な触媒と省エネルギーな分離精製法について研究開発を進め、大幅な省エネルギーと、廃棄物排出量やコストの削減が見込める革新的生産プロセスを実現するとともに、海外に依存している機能性化学品生産の国内回帰を目指す。

 具体的には、機能性化学品の分野で、従来主流の生産方式であるバッチ法から、日本が強みをもつ不均一系触媒(=固体触媒)の技術を用いた省エネルギーで効率的な連結フロー合成法への転換を図る。

 原料を投入する固体触媒を充填した反応モジュールと、生成物を取り出す分離・精製モジュールを連続的に組み合わせることで、生産プロセスを一連の工程にして自動制御する。必要に応じてモジュールを組み替えれば、多種多様な機能性化学品の製造が可能になる。

 これにより、触媒との分離操作が不要になるなど、分離・精製に要するエネルギーが減少し、オンデマンドで必要な量の製品が無駄なく生産可能となる。

 機能性化学品は、有機化学品や合成樹脂、香料や溶剤といった中間化学品。樹脂・ゴム成形品、化学肥料・農薬、電子材料など、機能性材料の原料となるため、多くの最終化学品や製品の付加価値を高める重要な生産物に位置づけられる。同プロジェクトを通じ、日本の化学産業の競争力強化を推進していく。

 委託予定先は、産業技術総合研究所、東京理化器械、東和薬品、富士フイルムと東京大学。事業期間は2019年度から2025年度。初年度の事業予算は2億円となっている。

 

 

石化協 森川会長が改めて「保安・安全の確保」に言及

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2019年7月8日

 石油化学工業協会(石化協)は4日、定時総会・理事会終了後の懇親パーティーを開催し、あいさつを行った森川宏平会長(昭和電工社長)は「安定供給責任を果たす意味でも、保安・安全の確保が全てに優先する最重要課題」と述べ、会員各社に引き続き事故・災害ゼロに向けた取り組みを求めた。

 また、石油化学コンビナートの国際競争力を維持・向上させていくため、定修のあり方について、関連業界と連携し、関係省庁・当局にも相談しながら検討を進めていくとした。

 一方、化学産業にとって喫緊の課題である海洋プラスチック問題については、G20大阪サミットで、2050年までに新たな汚染をゼロにする「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共有されたこと、G20エネルギー・環境大臣会合で、海洋プラスチックごみ対策実施枠を創設して、各国の政策状況に応じて自主的に取り組むことが合意されたことに言及。今後、同問題に関しては、国内外の関係機関と連携して、科学的知見を蓄積しつつ、海外、特にアジア地域に対して情報発信をしていく方針を示した。

 森川会長は最後に「当協会は引き続き、

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発泡スチロール協会 リサイクル率90.8%、埋め立て分野は減少

2019年7月4日

 発泡スチロール協会(JEPSA)は3日、2019年記者発表会を開催した。酒井幸男会長(JSP社長)は、「残念ながら昨年度のEPSの出荷は、対前年比2%減の13万tとなった。原油高騰による原料高や、燃料・電気料金の値上げなど厳しい状況に置かれている」と総括した。

酒井会長
酒井会長

 主要分野である農水産容器分野は前年比3%減となった。水産分野は全国区であるイカの記録的な不漁が続いたこともあり低調だったが、農業分野では天災の影響を受けた地域があったものの農産物容器の出荷は前年を上回り順調だった。

 弱電分野は夏の猛暑による白物家電の出荷に加え、4K対応の薄型テレビも伸長したこともあり、前年並みとなった。建材分野は住宅着工件巣が2.3%減少した影響を受け、EPS断熱材の出荷が同2%減、土木分野は同1%減だった。

 一方、リサイクルについては、全リサイクル率が90.8%と4年連続で90%台となった。内訳では、マテリアル・リサイクル(MR)が

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京都大学 透明樹脂にインクを使わず「神奈川沖浪裏」

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2019年6月25日

 インクに頼らないフルカラー印刷が可能になるかもしれない。京都大学・物質―細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)の、シバニア・イーサン教授と伊藤真陽特定助教らの研究グループは、大きさ1mmという世界最小サイズの葛飾北斎作「神奈川沖浪裏」を、インクを一切使わずにフルカラーで作製することに成功した。

OM技法を用い高精細印刷された、1ミリの葛飾北斎「神奈川沖浪裏」
OM技法を用い高精細印刷された、1ミリの葛飾北斎「神奈川沖浪裏」

 ポリマー(高分子)が圧力にさらされると、「フィブリル」という細い繊維を結成する「クレージング」と呼ばれる作用が起こる。フィブリルが、視覚的に認識できるレベルでクレージングを起こした時に視覚効果が得られるという。

 身近な例で言えば、透明なプラスチックの定規を繰り返し曲げていると、曇ったような不透明な白色に変わってしまうが、それが定規=プラスチックがクレージングを起こした現象。

 自然界では、チョウの羽やクジャクの雄の見事な羽、タマムシや鉱物のオパールの虹色の輝きも、色素ではなく内部構造と光の反射に由来する構造色だ。 

 同研究グループは、構造色を示すミクロな構造を形成するために、圧力を1ミクロン以下のスケールで調整する、OM(組織化したミクロフィブリレーション)技術により、クレージングを調整してフィブリルを組織的に形成させることに成功。その形成したフィブリルで特定の色の光を反射する素材も開発した。 

OM技術で印刷された、4ミリ程度のフェルメール「真珠の耳飾りの少女」
OM技術で印刷された、4ミリ程度のフェルメール「真珠の耳飾りの少女」

 フィブリル層の周期を調整することで、青から赤まで全ての可視光を発色することができ、さまざまなフレキシブルで透明な素材上に画像解像度数1万4000dpiまでの大規模なカラー印刷をインク無しで行うことを可能にした。ちなみに、一般のカラー印刷では350dpi、モノクロでも1200dpiが限度とされている。

 伊藤特定助教は、「OM法は、構造色以外のマテリアルの性能制御にも役立つ可能性がある」と示唆する。今回の成果では、ポリカーボネートをはじめ、さまざまなポリマーでOM技術の使用が可能であることを実証したが、今後は、金属やセラミック素材についても亀裂は起こるとの予想のもと、ポリマー以外でも亀裂の制御が行える可能性を探索していく。

 なお、今回の研究プロジェクトは、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業・さきがけ「超空間制御と革新的機能創成」の支援を受けて行われた。

 

SEMI 世界の半導体製造装置の1-3月期出荷額は19%減

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2019年6月17日

 マイクロ・ナノエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際工業会であるSEMIはこのほど、2019年第1四半期(1-3月期)の世界の半導体製造装置出荷額が前年同期比19%減の138億ドルとなったと発表した。

 2018年は暦年で過去最高の出荷額(645億ドル)を記録したが、今年第1四半期の出荷額は前年同期比、前年第4四半期(10-12月)比(8%減)ともマイナスとなっており、半導体製造装置の減速を示す結果となった。 

 地域別の出荷額を見ると、前年同期比では台湾(68%増)と北米(47%増)が伸長した一方、韓国(54%減)、欧州(34%減)、日本(27%減)、中国(11%減)は軒並みマイナスとなっており、今後の動向が注目される。

 なお、同統計は、SEMIが日本半導体製造装置協会(SEAJ)と共同で、世界80社以上の半導体製造装置メーカーから毎月提供されるデータを集計したもの。

旭化成建材 「住宅温熱性能と居住者意識」の関係を調査

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2019年6月17日

 旭化成建材の快適空間研究所はこのほど、首都大学東京の建築学域・須永研究室と共同で行った「住宅の温熱性能と居住者の意識」に関する調査結果をまとめた。

 昨年12月の調査では、温熱性能が高い住まいに暮らす人のほうが、「快適な住環境で暮らすこと」「心身ともに健康でいられる生活をすること」「光熱費などの生活費を節約すること」を大切に考えている傾向があり、男性よりも女性ほうが、その傾向が顕著であるという結果を得た。

 同研究所は、できるだけ冷暖房設備に頼らない「あたたかい空間」での〝心と体と懐があたたかくなるいきいきとした暮らし〟を「あたたかい暮らし」と定め、その空間の普及のために情報発信と啓発活動を続けている。

 今回、その活動の一環として、住まいの温熱環境の実態と、居住者の温熱環境に関する意識・行動、ライフスタイルや価値観を調査。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の戸建て住宅居住者(20~70代)を対象にWEBアンケート調査を実施した。

 295名からの回答を集計し、住まいの温熱性能は、実際の住宅全体の断熱性能と高い相関がある窓ガラスの種類で分類した。温熱性能「低」はシングルガラス、「中」はペアガラス、「高」はLow‐Eペアガラスまたはトリプルガラスと回答した住宅。

 今回の調査では、「温熱性能が高い住まいに暮らす人」ほど、前述の3項目での意識が高く、特に女性にその傾向が強いことが分かった。また、健康につながる定期健診や、食事をしっかり管理している傾向も見られた。

 同研究所ではこの結果から、「温熱性能が高い住まいに暮らす人」ほど、「あたたかい暮らし」の実現のために、「自分や家族の日々の暮らしをマネジメントして暮らしているのではないか」と分析している。

 近年、住宅業界では高断熱住宅が注目され、快適性のみならず、居住者の健康への影響などに多くの関心が集まっている。同研究所では今後、さらに、住まいの温熱性能の違いが居住者の暮らし(心と体と懐)にどのような影響を与えるのかなど、居住者にとっての生活価値に焦点をあてて調査研究を深掘りしていく考えだ。また、その成果を幅広く情報発信していくことで、住宅の高断熱化を促進していく。

 

宇部興産 CPLの6月の価格は前月比270ドル安

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2019年6月17日

 宇部興産は、ナイロン原料であるカプロラクタム(CPL)について、6月の韓国・台湾大手向け契約価格を前月比270ドル安の1520ドル/tで決着した。5月以降、米中貿易摩擦の影響により川下需要が停滞していることから、6月の契約価格は大幅下落となった。

 ベンゼンとのスプレッドは、

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日本化学会 「アニュアルレポート2019」を刊行

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2019年6月13日

 日本化学会はこのほど、事業報告書「日本化学会アニュアルレポート2019」を刊行した。

 同会の事業は、小学生から専門家までさまざまなフェーズの人たちが参加でき、学生・企業・教員・官公庁関係者と、幅広い年齢や、それぞれの立場の人が化学という共通の目的のもとに集まり情報交換をしている。

 同レポートでは、イベントを参加対象者別に分けて掲載することで、同会でできることが1冊でわかるようにした。また、同会が今後どのような事業に力を入れ、舵取りをしていくのかを明らかにし、世界に肩を並べる学会としての姿を示した。

 同レポートは、会員へ会費の使用用途を報告することと、会員以外にも同会がどのような団体で、どのような活動を行っているのかを広く理解してもらう目的で発行している。