NEDO CO2の有効利用に向け6テーマを採択

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2021年11月22日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、CO2を資源として捉え化学品や燃料、鉱物へ有効利用するカーボンリサイクル技術について新たに6件の技術開発テーマを採択した。実施期間は2025年度までの5年間で、事業総額は約130億円。

 カーボンリサイクル技術は、火力発電などで排出されるCO2を分離・回収し有効利用することで、大気中への排出を抑制するもので、今年6月策定の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、キーテクノロジーに位置づけられている。カーボンニュートラル社会の実現に向け、技術的選択肢の増加・強化を加速する。

 昨年度採択の7テーマに、新たに化学品分野2件、燃料分野1件、鉱物分野3件の計6件を追加。化学品分野の「CO2直接合成反応による低級オレフィン製造(IHI)」と「メタノール合成の最適システム(JFEスチールなど)」、燃料分野の「大規模メタネーションによるメタン製造(INPEX)」、鉱物分野の「製鋼スラグを活用したCO2固定(神戸製鋼所など)」、「製鋼スラグの高速多量炭酸化よる革新的CO2固定(JFEスチール)」と「CO2の化学的分解による炭素材料製造(三菱マテリアル)」に関する技術開発を推進する。

 カーボンリサイクル技術の関連産業への利用可能性を拡大しCO2の大気中への排出量をより多く削減することで、カーボンニュートラル社会の実現を目指す。

ランクセス 再生可能プラ原料でbpとパートナシップ

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2021年11月22日

 ランクセスはこのほど、英エネルギー大手bp社と高性能プラスチックの生産に持続可能な原料を使用するための戦略的パートナシップを締結したと発表した。

 bpは今年の第4四半期から、持続可能な原料から生産したシクロヘキサンをベルギー・アントワープのランクセスの生産拠点に供給する。使用する原料は、菜種油やバイオ原料などのバイオベース・バイオ循環型由来のもので、ISCC(国際持続可能性カーボン認証)Plus基準で認証されている。

 シクロヘキサンは、自動車産業や電気、消費財産業で使用される高性能プラスチック「ポリアミド6」の前駆体として使用される。ランクセスは高性能プラスチックについて、「様々なeモビリティ用途など多くの持続可能な製品にソリューションを提供しており、近代的なリサイクルプロセスとバイオベース原料を利用することが、この素材の生産を持続可能なものにする鍵だ」としている。

 両社はすでに長期的な取引関係にあるが、このパートナシップにより、持続可能なプラスチック生産を大きく前進させる考えだ。

ソーダ工業会 「ソーダ工業ガイドブック」を発行

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2021年11月19日

 日本ソーダ工業会はこのほど、わが国ソーダ工業の現状を解説した「ソーダ工業ガイドブック 2021」(A4版、2色刷り、25ページ仕様)を発行した。同ガイドブックは、2003年から毎年発行しており、今回が18度目の改訂版となる。

 ソーダ工業に関する諸項目について、最近10年間の推移とともに2020年度の状況を、項目ごとに、「グラフ」「統計表」「概略説明」の3点で1ページとなるように構成。よりわかりやすくコンパクトにまとめ、ソーダ工業に関する最新のデータ集および最良の解説書として利用できるよう編集されている。

 諸項目の内容は、「ソーダ工業の概要」「カセイソーダの用途」、「カセイソーダの需給・内需・輸出推移」、「塩素の用途」「塩素の消費および塩化物の生産推移」、「塩素の需要推移」「塩化物の需要内訳」、「インバランスと塩素の輸出入」、「インバランス推移」「塩素誘導品の輸入推移」、「電解製造工程」、「塩の需給」「原料塩の輸入推移」、「電力消費量、買電・自家発電比率、電力原単位の推移」、「ソーダ工場の製品フロー」。このほかに、ソーダ工場の所在地、ソーダ工場別製品一覧、最後に会員会社一覧を掲載している。

 業界関係者をはじめ、各業種の企業人、一般の利用者にとっても、この一冊でわが国のソーダ工業の現状を理解することができる。なお、希望者には実費(300円/部+送料)にて頒布。申し込みは同工業会のホームページ(https://www.jsia.gr.jp)で受け付けている。日本ソーダ工業会 総務グループ(TEL:03-3297-0311、FAX:03-3297-0315)まで。

太陽石油 水素菌のバイオジェット燃料、共同研究を開始

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2021年11月18日

 太陽石油は17日、CO2資源化研究所(UCDI社)とバイオジェット燃料の原料であるイソブタノール製造に関する共同研究契約を締結したと発表した。CO2を原料とするSAF(持続可能な航空燃料)製造に向けた研究を共同で開始する。

 世界的に脱炭素化が加速しており、各社に対応が求められている。航空輸送分野についてもバイオマスや廃食油などを原料としたSAFの製造、供給が進んできた。しかし、これらの燃料は食糧との競合、水資源や地球環境保全への影響、原料確保といった様々な課題があり、大量生産には不向きな状況にある。

 こうした中、課題解決として、CO2から燃料を製造するカーボンリサイクルへの期待が高まっている。UCDI社は、増殖速度が非常に速い「UCDI水素菌」を開発し、水素とCO2を原料としたイソブタノール生成に関する基盤技術・特許をもつ。今回の共同研究では、UCDI社の基盤技術と太陽石油の石油精製に関する知見を融合し、水素とCO2を原料としたSAF製造の実証化に向けた技術開発を実施していく。

 太陽石油は2050年のカーボンニュートラル社会の実現に貢献すべく、バイオ原料の利用や生物機能を活用したサステナブルな燃料・化学品原料の供給に向けた検討を推進。今後も、地球環境と調和した有望な事業領域の拡大に積極的に取り組んでいく考えだ。

三菱ケミカル 植物由来の因子で細胞培養、共同研究を開始

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2021年11月18日

 三菱ケミカルは17日、バイオベンチャー企業であるネクスジェン(東京都品川区)との間で、植物由来の細胞増殖因子を使った細胞培養手法などの開発に関する試験・研究基本契約を締結したと発表した。

 先進医療として注目を集める再生医療では、患者またはドナーから採取した幹細胞を培養し、目的の組織や臓器に増殖・分化誘導するための、細胞培養周辺材料が重要な要素の1つになる。近年の再生医療技術の進歩に伴い周辺材料の開発も進んでいるが、従来の細胞培養は主にウシ胎児から採取した血清を材料としており、安定供給や動物由来の病原体の混入するリスクに加え、動物倫理上の課題も抱えている。

 三菱ケミカルは、これらの課題を解決するために、植物を活用した細胞増殖因子の生産についての研究に注力する中、幹細胞による次世代再生医療イノベーションの開発に取り組むネクスジェンと連携することにより、医療現場や顧客企業が求める高度な品質を満たす製品開発につなげていく。共同研究を通じて、植物を利用して生産した細胞増殖因子の有用性・安全性を示すとともに、臨床向けに安定した品質と供給を実現させる生産システムの構築を目指す。

 三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる中長期経営基本戦略に基づき、社会課題解決に貢献する成長事業群の1つと位置づけられた、再生医療などの「医療進化」に貢献する研究を進めている。再生医療をより安全で安価なものとし、従来の市場になかった製品を提供することで、治療困難な疾患にも再生医療を適用できる環境を実現し、誰もが健康で生き生きと暮らせる社会づくりに貢献していく。

太陽石油の4-9月期 市況改善と在庫評価益で増収増益

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2021年11月15日

 太陽石油は12日、2022年3月期第2四半期(4-9月期)の決算を発表した。売上高は前年同期比689億円増の2664億円、営業利益132億円増の228億円、経常利益130億円増の225億円、純利益66億円増の134億円となった。

 売上高は原油価格の上昇に伴う販売単価の上昇により増収となり、損益は原油価格上昇による在庫評価益の発生および石油石化製品市況の改善などにより増益となった。コロナワクチン接種の進展による景気回復の期待から燃料油需要は前年から徐々に回復傾向にあるものの、四国事業所において中整備工事を行ったことにより、販売数量は前年対比で横ばいだった。

NEDO IoT向け新セキュリティ技術の普及を推進

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2021年11月11日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とセキュアオープンアーキテクチャ・エッジ基盤技術研究組合(TRASIO)はこのほど、安全なIoT社会の実現に向けてセキュリティ技術の普及を図る「オープンコミュニティ powered by TRASIO」を設立した。

 IoT社会では、従来のクラウド集約型ではなくネットワーク末端で情報処理するエッジコンピューティングが必要で、膨大なデータの処理電力の劇的低減も求められる。NEDOは既存技術の延長線上にはない、高速化と低消費電力化を両立する技術確立を目指し「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」プロジェクトを進めている。

 一方、IoT機器を利用したサービス提供には、「提供サイドが想定する正規IoT機器」か「非正規IoT機器や正規IoT機器になりすました悪意のあるIoT機器」かを確実に判断し、正規の機器のみにサービスを提供する手段が必要だ。

 こうした中、日立製作所、エヌエスアイテクス、慶應義塾、産業技術総合研究所、セコムの5者はTRASIOを設立し、同プロジェクトの「革新的AIエッジコンピューティング技術」のなかの「セキュアオープンアーキテクチャ基盤技術とそのAIエッジ応用研究開発」を担当。昨年、オープンアーキテクチャ「RISC‐V(リスク・ファイブ)」を開発した。

 今回、これをベースに開発したセキュリティシステムの紹介や試使用、ハンズオン体験を図る場として、同オープンコミュニティを設立。RISC-Vセキュリティシステムの認知度を上げるとともに、あらゆるユーザーの意見を取り入れて開発成果の最大化を図る。今後、国内企業・法人などを対象にセミナーやフォーラム、活動報告会を通して新技術の解説や実応用ガイドの説明、RISC-Vの国際標準化に向けた活動を報告する。

NEDOとJIC 相互協力協定、イノベーションを創出

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2021年11月10日

相互協力協定を締結(左:NEDOの石塚博昭理事長、右:JICの横尾敬介社長CEO)

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と産業革新投資機構(JIC)はこのほど、新産業の創出を目的として、相互協力協定を締結した。両者は協定に基づき、NEDOがもつスタートアップ支援に関する知見や技術開発成果と、JICの幅広い産業ネットワークやファイナンスの知見を有機的に連携させることにより、イノベーションの創出と革新的な技術開発成果の社会実装を目指す。

 協定を通じて、NEDOはスタートアップ支援における投資家目線での評価ノウハウの蓄積や高い事業性が期待できる革新的な技術シーズの発掘など、技術開発成果のイノベーションを促進する「イノベーション・アクセラレーター」としての役割を強化し、社会課題の解決に一層貢献していく。

 また、JICは傘下のファンドも含めたJICグループ全体として、オープンイノベーションによる企業の成長と競争力強化に対する資金供給を通じて民間投資を促進するとともに、投資人材の育成などを行い、日本の次世代産業を支えるリスクマネーの好循環創出を進めていく。

 今回の協定の下で、両者が相互協力することにより、イノベーション創出への貢献が期待される。

産総研 大規模イベントでの感染予防対策を調査・速報

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2021年11月1日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)と名古屋グランパスエイトと連携し試合時の入場者間の平均距離とマスク着用率を調査した。政府、日本サッカー協会、Jリーグによる「ワクチン・検査パッケージ」に関する技術実証における、観客による感染予防対策の実施状況調査の第1弾で、10月6日の本試合で実施した。

 ソーシャルディスタンスの計測は、ワクチン接種証明・陰性証明チェックブースでの入場者間の平均距離をレーザーレーダーで計測。試合開始10分前の最も混雑した時間帯であっても、半径2m以内の平均人数は2人ほどで、密集は発生していなかった。

 試合中のマスク着用率は、カメラ撮影とAIの画像解析で評価。通常座席でのマスク着用率は平均で93%、ワクチン接種普及前と比べて大きな変化はなかった。また、ワクチン・検査パッケージ席(ワクチン接種証明・陰性証明チェックを通過した人の席)でのマスク着用率も93%で、通常座席と同程度だった。

 1試合のみの調査結果だが、ワクチン接種が進み、緊急事態宣言などが解除された状況下での試合でも、ワクチン接種済や事前検査で陰性が証明されている観客も含め、マスク着用率は従前に比べ大きな差はなかった。

 今後も調査を継続し、結果を取りまとめる。なお今回は速報のため、今後、数値などが修正される可能性がある。