日本酸素ホールディングス フィリピンで窒素ガスプラント二号機稼動

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2021年7月9日

 日本酸素ホールディングスはこのほど、アジア・オセアニア事業会社の1つであるニッポンサンソインガスコ(NSインガスコ)が、フィリピンBatinoの工業団地カランバプレミアインターナショナルパーク内に2号目となる窒素ガスプラントの稼動を開始したと発表した。

SEMPHIL社向け窒素ガスプラント2 号機
SEMPHIL社向け窒素ガスプラント2 号機

 同プラントは、NSインガスコの子会社であるニッポンサンソインガスコ フィリピン(NSI-PH)が所有。世界的な電子部品の開発・製造会社であるサムスン電機グループであるSamsung Electro-Mechanics Philippines Corporation(SEMPHIL)社向けに約1Kmの埋設配管を通じて窒素ガスをパイピング供給している。SEMPHIL社には、1号機(NSI‐PH社所有)が2017年11月から窒素ガスを供給しており、窒素ガス需要の高まりに対応するべく、今回、2号機を増設した。

 NSインガスコのRaymond Chu社長は、「今回の投資は、NSインガスコグループによるSEMPHIL社へのコミットメント、またフィリピン経済の回復と成長に対する信頼の証でもある」と述べている。

 NSインガスコグループはルソン島に3つの空気分離装置を保有。あらゆる産業向けに液化酸素、液化窒素、液化アルゴンなどの産業ガスを供給しており、さらにオンサイトプラントの運用を支援する基盤にもしている。これら空気分離装置による充実したバックアップ体制、大陽日酸製窒素製造装置を採用したオンサイトプラント方式、そして同社の高度な訓練を受けた経験豊富な技術者が運転・保守を行うことで、ガス供給先に高品質な窒素ガスの安定供給を可能にしており、フィリピン国内に十基以上の窒素ガスプラントを所有、設置している。

 日本酸素ホールディングスグループは今後も、事業会社を通じガスの安全・安定供給体制をさらに充実させ、各地域の産業の発展と企業価値の向上をめざしていく。

NEDO CNTをほぐす技術、車載用スピーカーに採用

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2021年7月8日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、GSIクレオスが開発したカーボンナノチューブ(CNT)の性能を最大限に発現させる技術が、三菱電機の振動板に採用され、新製品として車載用スピーカーに搭載されたと発表した。

 CNTに代表されるナノ炭素材料は、「軽量」「高強度」「高電導度」「高熱伝導度」という特長をもつ日本が世界をリードする材料。一般的にCNTはそのナノサイズのため凝集塊の状態で存在するが、CNTが本来もつ性能を発現させるためには、この強く固まった塊を解砕(ほぐす)して、CNTを母材内に高分散させる必要がある。そのためには高いエネルギーを塊に加え、文字通り粉砕しながらほぐしていく方法が一般的だが、CNTの破壊や短化現象が生じ、CNT自体に欠陥が生じてしまうなど、CNTを良好な状態で高分散させることは技術的に極めて困難で、CNT機能発現の大きな妨げになっていた。

 こうした中、NEDOが取り組む「低炭素社会を実現するナノ炭素材料実用化プロジェクト」の技術開発テーマの1つとして、GSIクレオスはCNTの構造を壊さずに凝集塊を良好に「ほぐす」ことにより、次工程でCNTを分散しやすくし、複合材料など工業製品への応用の可能性を大きく広げる技術を開発した。

 GSIクレオスはプロジェクト終了後も、自社独自開発品であるカップ積層型カーボンナノチューブ(CSCNT)によりCNTをほぐす技術の改良を続け、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、塗液への分散、さらにほぐしたCSCNTが分散した複合材料の設計・最適化を進め、様々な工業製品への適用を試みてきた。この結果、三菱電機が同技術を活用したCSCNTを使った振動板を新製品の車載用スピーカーに採用したことから、NEDOプロジェクトの成果として製品の実用化と市場展開につながった。このスピーカーは従来製品と比べ高音がクリアで、低音の分解能、ゆがみ感、臨場感などの面でも大きく進歩している。

 

ダイセル コロナ不活化フェイスシールド、病院に寄贈

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2021年7月8日

 ダイセルはこのほど、広島大学大学院医系科学研究科の坂口剛正教授を通じて、広島大学病院にフェイスシールド100セットを寄贈した。提供したフェイスシールドは、坂口研究室で新型コロナウイルスの不活性化(24時間で99%以上)が確認された抗ウイルスコーティング仕様。また、防曇効果からフェイスシールドが曇らず快適に使用することができる。

 坂口教授は長年ウイルス学を研究しており、昨年には、同社の抗ウイルスコーティング技術が新型コロナウイルスに対しても効果があることを実証。同大学病院は新型コロナウイルス感染症の重症患者の救命に携わっていることから、同社は、最前線で尽力している医療従事者の感染症対策を支援するため、抗ウイルスコーティングのフェイスシールドを提供した。

 今後さらに、医療従事者が利用するタブレット端末の保護フィルム用として、同社の抗ウイルスコーティングフィルムも寄贈する予定。

積水化学工業 戸建て中心のまちづくり、全国10分譲地で始動

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2021年7月8日

 積水化学工業はこのほど、セキスイハイム誕生50周年記念「全国一斉まちづくりプロジェクト」として、「戸建スマート&レジリエンスまちづくり」を全国で始動すると発表した。2022年度までに全国10分譲地(約300区画)の販売を開始する予定だ。

まちづくりイメージ
まちづくりイメージ

 同社の住宅カンパニーは、環境問題をはじめとした社会課題の解決や強固な経営基盤の構築を事業の成長力として位置づけ、「顧客価値」と「事業価値」の両立によるESG経営を推進。50周年を機に社会課題解決への貢献を拡大するために、4つの記念プロジェクト(全国一斉まちづくりプロジェクト/スマートハウス№1プロジェクト/買取再販「Beハイム」展開プロジェクト/工業化住宅イノベーション再発信プロジェクト)に取り組んでいる。

 このうち「全国一斉まちづくりプロジェクト」は、同社が手掛ける大規模複合タウン「あさかリードタウン」(埼玉県朝霞市)で培った際立ち技術を戸建て中心のまちづくりに合わせて展開。「スマート&レジリエンス」をコンセプトに、戸建て分譲地ならではの環境・快適・安心を実現する際立ち技術を全てのまちの共通仕様とし、長く安心して住み継がれるサステナブルなまちづくりを、今後全国で推進していく。

 「戸建スマート&レジリエンスまちづくり」の特長として、①全邸蓄電池搭載のZEHで、進化した換気・空調と合わせ、快適なニューノーマルの暮らしを実現、②災害に強い積水化学グループのインフラ技術で、災害時と日常の安心の暮らしを実現、③まちづくりデザインガイドラインと60年長期サポートで、価値が続き住み継がれるまちを実現、を掲げている。

NEDO 光ICとLSIを一体集積、光配線技術を開発

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2021年7月7日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)が、通信波長帯の光信号を低損失で伝送できる光IC・光ファイバー間の3次元光配線技術を世界で初めて開発したと発表した。

3次元光配線技術の概念図
3次元光配線技術の概念図

 AIやIoTなどの急速な普及によって、データセンターや高性能コンピューティングの消費電力が増大する中、省電力化などを可能にする光配線化に向けた開発が加速し、近年は光伝送の高速大容量化のニーズが高まっている。

 LSI(大規模集積回路)とシリコンフォトニクスによる光ICを統合したコパッケージが注目されているが、複数のモジュール型の光ICをLSIから離れた基板端面に電気配線で接続する方式では、LSIと光IC間の電気配線が長いことで消費電力が増大し発熱が増える。そのため、限界だといわれる毎秒51.2テラビット処理において低消費電力化とさらなる高速処理のための新技術が求められていた。

 こうした中、NEDOが進める「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」において、PETRAは、光ICと光ファイバーを光接続する高精度光実装技術の開発に注力。今回、通信波長帯の光信号を低損失で伝送できる光IC・光ファイバー間の3次元光配線技術の開発に世界で初めて成功した。

 試作サンプルでは、次世代標準である毎秒112ギガビットの光信号を80℃超の高温環境下で伝送し、有用性を実証している。3次元光配線技術を活用することでLSIから光ICまでの電気配線の距離を極限まで縮めた一体集積ができるため、先行技術と比較して30~40%の大幅な電力量削減が期待される。

 

ブルーイノベーションなど、移動ロボット活用ソリューションを共同で開発

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2021年7月7日

 ブルーイノベーション(BI)とDoogはこのほど、移動ロボットを活用した法人向けソリューションの共同開発について業務提携した。この提携により、BIのデバイス統合プラットフォーム「ブルー・アース・プラットフォーム(BEP)」と、Doogの自動走行ベースユニット「サウザーシリーズ」を連携させ、物流や点検、警備などに関するオートメーション化、DX化をはじめとした法人向けソリューションの共同開発を進める。

移動ロボットの自動制御・連携
移動ロボットの自動制御・連携

 BIは、複数のドローンを遠隔・目視外で自動制御・連携させ、様々な業務を自動遂行させる独自のデバイス統合プラットフォームの開発を推進。近年では点検や物流など対象業務に合わせて「BEP」の機能やデバイスを組み合わせ最適化した「業務・目的別BEPパッケージ」を開発し、作業効率の改善や安全性の確保など、様々なソリューションを提供している。

 一方、Doogの「サウザーシリーズ」は、運用の簡単さやカスタマイズ性が高く評価され、製造現場、物流倉庫だけでなく、鉄道・航空整備場や、施設内バックヤード搬送など様々なフィールドで活用されている。また、レーザセンサーによる高精度な障害物検知・衝突回避の能力をもつため、空港、ホテル、図書館、介護といったフィールドに向けても導入が進む。さらに、自動追従機能、手動操縦機能、ライントレース機能(ハイウェイ機能)、メモリトレース機能など複数の動作形態を組み合わせることも可能で、各現場に最適な運用を構築することができる。

 両社は、技術や製品、ノウハウを融合し、「BEP」により複数台の「サウザーシリーズ」を同時に、かつ複数台を自動制御・連携させることで、物流や点検、警備などのBtoB領域で移動ロボット単体では成し得なかったソリューション開発を積極的に進め、業務のオートメーション化やDX化の実現、ひいては事業課題の解決に貢献していく。

 

BASF PA6が中国車のトランスミッションカバーに

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2021年7月7日

 BASFはこのほど、プラスチック製自動車部品のサプライヤーであるZhongding Group(中国)が、Great Wall Motors(中国)向けトランスミッションカバーに、同社のポリアミド6「ウルトラミッド」を使用していると発表した。

 BASFの革新的なマテリアルソリューションによる軽量化はエネルギー効率が高く、CO2排出量を削減し、持続可能なモビリティに貢献する。金属を「ウルトラミッド」に置き換えることで、トランスミッションカバーの重量を30~40%削減。ワンステップ射出プロセスが金属品の生産よりも容易なため、コスト効率の良い製造が可能になる。

 「ウルトラミッド」は、高い強度、優れた堅牢性と熱安定性、およびレーザーマーキングが可能で、金属製と比較して、その特性を向上させ最適化する。また、BASFのシミュレーションツール「ウルトラシム」は、さまざまな荷重や環境条件下で成形品の挙動を正確に予測し、高性能で高度な素材を最も効率的に使用するために、トランスミッションカバーの設計の最適化にも役立つ。さらに、自動車部品の強度と性能を最大限に高めることで、必要な試作品の数が減り、それに伴い、開発時間も短縮される。

 トランスミッションカバーの開発プロセスの一環として、同社は新しい設備を導入。撮影サイクルタイムを従来の10分から2分にすることで、テストベンチでの全手順を短縮した。また、的確な撮影点を増やすためのレーザーポインターの使用で、部品テスト用ラボもアップグレードされた。

エア・ウォーター 未利用バイオガスをLNG代替で活用

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2021年7月7日

 エア・ウォーターはこのほど、家畜ふん尿由来のバイオガスに含まれるメタンを液化バイオメタン(LBM)に加工し、液化天然ガス(LNG)の代替燃料として牛乳工場へ供給するサプライチェーンモデルの構築と実証を北海道十勝地方で開始すると発表した。

 この「未利用バイオガスを活用した液化バイオメタン地域サプライチェーンモデル実証事業」は、環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の優先テーマとして採択。メタン純度99%以上のLBMを年間360t製造する計画で、全量がLNGの代替で消費されるとサプライチェーン全体でのCO2削減量は年間7740t、温室効果ガス(GHG)削減率は60%以上になる。

 バイオガスはメタン発酵設備で家畜ふん尿から取り出され、メタン約60%とCO2約40%からなる。そのメタンを分離・液化したものがLBMで、熱量は一般的LNGの90%程度。北海道でのバイオメタンの潜在製造能力は年間約30万tで、北海道の工業用LNGの年間消費量約50%に相当する。現在バイオガスは主に酪農家で製造されて自家発電などに使われるが、ガス導管網や余剰電力売電用の送電網などのインフラ整備が限られるため、バイオガスの製造・活用は限定的だ。

 今回、大樹町の酪農家で作ったバイオガスを捕集し、帯広市のセンター工場でLBMに加工し、十勝地方の牛乳工場でLNG代替燃料として使用する、地域循環型のサプライチェーンを構築する。なお、バイオガスからのLBM製造は国内初の取り組みだ。将来的には、近隣工場のボイラーやLNGトラック、ロケット用燃料として活用し、LBM製造時に発生するCO2はドライアイスなどに加工・販売することも検討している。

 LBMは持続可能でクリーンな国産エネルギーで、製造・供給には既存のLNGインフラが活用でき、大規模な設備投資なしでサプライチェーンの脱炭素化に貢献できる。下水処理場や食品残渣から発生するバイオガスにも適用でき、国内全域や海外への展開も可能だ。脱炭素社会の進展を見据え、LBMを新たなエネルギー製品と捉え、早期の社会実装を目指し技術開発を進めていく考えだ。

DIC IoT環境無線センサー、防水型の販売を開始

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2021年7月7日

 DICは、温度・湿度・照度のセンシングを行うやわらかい無線センサーに防水機能を付与した防水型「ハッテトッテ」の販売を先月16日から開始した。

やわらか無線センサー「ハッテトッテ」の防⽔型と屋外での使⽤イメージ
やわらか無線センサー「ハッテトッテ」の防⽔型と屋外での使⽤イメージ

 同製品は、これまで屋内向けのIoT環境無線センサーとして、簡単設置・簡単移設、薄く小さく目立たないデザイン、LoRaWANによる長距離無線通信といった特長をもち、既存製品にはない価値を提供している。

 一方、屋外では、工事現場やグラウンドなどで熱中症を予防するための熱中症危険度の測定や、浴室や脱衣所などではヒートショック危険度の測定などの機能がセンサーに求められている。しかし、従来品では設置や移設が難しいこと、テープでの簡便な固定では落下の危険性を伴うこと、筐体が厚く作業の邪魔になること、防水機能が必要などの課題があった。

 こうした中、同社は温湿度の測定機能により、熱中症危険度やヒートショック危険度の算出にも応用できる防水型の「ハッテトッテ」を開発。同製品は、IPX6相当の防水機能をもつため、屋外の雨天時のほか、浴室や脱衣所など水の掛かる場所でも使用できる。加えて、照度センサーも備えているため、日中のみ、浴室使用時のみなど使用するシーンに応じて警告を出す設定も可能。やわらかく軽量であるため、万一落下した場合も危険を低減し、加えて、貼るだけで簡単に設置でき、多くの場所に設置できるため、広範囲の現場で温湿度の測定が可能だ。

 同社グループは中期経営計画の中で、Value Transformation(質的転換による事業体質強化)とNew Pillar Creation(社会の課題・変革に対応した新事業創出)の2つの基軸による事業ポートフォリオ転換を基本戦略に掲げる。新事業創出の柱の1つとしてエレクトロニクス分野の強化に注力しており、今後も社会変革に対応した製品開発を進めていく。

ダウ リサイクル原料を活用したポリウレタンを供給

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2021年7月7日

 ダウは6日、化石原料ベースの供給原料に代わる、モビリティ分野の廃棄物を原材料とした循環型原料をベースとする新ポリウレタンソリューションの生産に向けたマスバランスアプローチを発表した。

 新しい「SPECFLEX C」と「VORANOL C」の製品群は初期段階において、代表的自動車サプライヤーであるアディエント社とオートノイム社との協力により、モビリティ分野に提供される。両製品は、自動車OEMメーカーが、より循環型の製品に対する市場ニーズや規制要件を満たし、サステナビリティ目標を達成する上で役立つよう設計されている。マスバランスアプローチにより、リサイクル原料を使用し、化石原料の使用を削減しながら、既存製品と同等の性能を持つ循環型ポリウレタン製品を生産する。

 ダウのポリウレタンおよびモビリティサイエンス担当グローバルディレクターであるエスター・クインタニラ博士は、「自動車業界は著しい変革を遂げている。その原動力として、市場の需要や業界自身の熱意、排出・廃棄削減に関わる規制基準の強化が挙げられる。EUのELV(使用済み車両)指令はその一例であり、ダウは当初から循環性をもたらす製品を生み出すことに情熱を注いできた。業界の声に耳を傾けることで、マスバランスアプローチが自動車OEMにとって規制基準を遵守し、それぞれの熱意あふれる目標を達成するための非常に効率的で有効な方法だと確信した」と述べている。

 また両製品は、リサイクル材料から生産されたポリウレタン中間体の量が最終製品の適正量に対応しているかを検証する、独立したマスバランス認証機関による認証を受けており、その報告が正確で監査も可能であることが確認される。

 「SPECFLEX C」は、消費者向けや輸送用途の内装や外装、パワートレインにおいて、快適性や吸音性を目的として一般的に使用される幅広いフレキシブルフォームシステムを可能にする。

 一方、「VORANOL C」は、低粘度で低密度から高密度までの幅広い、かつ取り扱いが容易な製品群の生産を可能にし、あらゆる用途に最適な負荷レベルを選択できる柔軟性をもたらす。自動車分野のシートで市場をリードするアディエント社と、吸音と熱管理の代表的サプライヤーであるオートノイム社は、ダウとパートナーシップを結ぶことで、両製品の使用を開拓する。