BASF 韓国ケアジェン社と合成ペプチド独占供給契約

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2021年2月15日

 BASFはこのほど、4つの合成ペプチドについてCaregen社(ケアジェン:韓国)とグローバルな独占供給契約を締結したと発表した。BASFはアンチエイジング効果、色素沈着防止効果をもちアトピー肌向けとニキビ肌向けの機能をもつ4つの合成ペプチドを今年中に発売する予定だ。

 多くの消費者が化粧品に特定の機能性を望む「パーソナライゼーション」のトレンドに乗り、ダーマコスメティックの分野は世界的に、特にアジアで堅調に成長している。これらの合成ペプチドを有効成分として配合することで、消費者は有効性と安全性が証明された化粧品を選択できる。

 ペプチドは生理活性物質として様々な分野で利用される。BASFは化粧品用途での効果が期待できる有望な合成ペプチドを選択でき、パーソナルケアソリューション・ポートフォリオの有効成分や他の化粧品成分を補完する技術になるとしている。ケアジェン社の高い技術的・商業的競争力をもつ機能性ペプチドと、BASFがグローバルな化粧品市場に提供するソリューションと成分の専門知識に基づく契約により、両社は長期的な協力関係を築くことができる。

 ケアジェン社は、現在進行中の機能性健康食品と医薬品の開発により、グローバルな顧客に認知される主要なペプチドプラットフォームカンパニーになることを目指している。

 

デンカ 新型コロナとインフルエンザの同時診断キット

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2021年2月12日

 デンカはこのほど、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを1つのデバイスで同時に診断できる抗原迅速診断キット(コンボキット)を開発し、体外診断薬としての国内薬事承認を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請した。

 このコンボキットは、イムノクロマト法により1つのデバイスで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原とインフルエンザウイルス(A型とB型)抗原を検出し、短時間で陽性/陰性の検出結果を識別する。両感染症は症状による見分けがつきにくいため、同時判定により適切な治療方法の適用と医療関係者の負担軽減が期待される。

 同社は検査試薬事業で長年実績があり、インフルエンザウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-Flu2」やアデノウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-アデノ2」などに加え、昨年8月から新型コロナウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-COVID19 Ag」を発売し、販売提携先の大塚製薬とともに全国の医療機関に供給している。

 「クイックナビ-COVID19 Ag」は特別な検査機器を必要とせず、鼻咽頭または鼻腔ぬぐい液中の新型コロナウイルス抗原の有無を約15分で診断でき、一般の医療機関でも迅速簡便に検査できるため普及が進んでいる。抗原検査拡充のために、1日10万検査分の生産能力を、11月からは最大13万検査分に増強した。感染症対策を社会的責務と捉え、充分な供給体制の下、一般医療機関での新型コロナウイルス抗原検査のさらなる拡充に貢献していく考えだ。

 

住友化学 ポーランドにPPコンパウンド生産拠点を新設

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2021年2月12日

 住友化学は10日、ポリプロピレン(PP)コンパウンド事業を強化するため、ポーランドに新たな生産拠点「住化ポリマーコンパウンドポーランド(SPCP)」を設立すると発表した。2022年春の稼働開始を予定している。

 PPコンパウンドは、軽量で成形性に優れるPPに合成ゴムやガラス繊維、無機フィラーなどを混練し機能性や剛性などを向上させた材料で、主に自動車のバンパーや内装材、家電製品に使用されている。

 同社グループは、特にガラス短繊維強化PPコンパウンド(GFPP)に強みがあり、PPの軽量で成形性に優れる特性と、ガラス繊維のもつ強度や耐熱性が高いといった特性を兼ね備える高性能な材料として、バッテリーケースをはじめとした自動車部品や洗濯機のドラムカバーケースなどの家電製品向けに、グローバルに拡販を進めてきた。

 ポーランドや隣接するドイツ東部、チェコには多くの自動車・家電メーカーが生産拠点を構えており、環境規制の強化による電気自動車(EV)の普及もあって、引き続きPPコンパウンドは堅調な需要伸長が見込まれる。そのため、今回、同社の子会社である住化ポリマーコンパウンドヨーロッパの100%子会社としてSPCPを新設し、より迅速に顧客にアクセスできる体制を構築する。さらに、EUのサーキュラー・エコノミー(循環経済)政策により、リサイクル品のニーズが一段と高まっているため、リサイクルPPを60~100%含有するGFPPについても、イギリスやフランスの拠点に続き、SPCPでも生産を開始しシェアを高めていく。

 住友化学は、今後も顧客のニーズによりスピーディーに対応するため、PPコンパウンドの生産販売体制を強化していく考えだ。

 

三菱ケミカル 抗ウイルス・抗菌スプレーにコロナ不活化効果

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2021年2月10日

 三菱ケミカルはこのほど、グループ会社である新菱(福岡県北九州市)が、今回新たに開発した抗ウイルス・抗菌スプレーについて、新型コロナウイルスに対する効果確認のための評価試験を行い、99.9%以上のウイルスを不活化した結果を得たと発表した。

 なお、同評価は、日本繊維製品品質技術センターで実施。評価方法(ISO21702:「プラスチック及びその他の非多孔質表面の抗ウイルス活性の測定」準用)では、プラスチック試験片に抗ウイルス・抗菌スプレーを塗布してから4週間放置した後、試験片に新型コロナウイルス液を滴下。その上にフィルムを被せて密着させ、25℃で24時間静置。その後、試験片から新型コロナウイルスを洗い出し、そのウイルス感染価を測定することで不活化効果を確認した。

ENEOS 東京都の水力発電所由来の電気を都内で販売

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2021年2月9日

 ENEOSはこのほど、東京都交通局が公募型プロポーザル方式で実施した「多摩川第一発電所ほか2カ所の水力発電所で発電する電気の売却先選定」で採択され、同交通局が運営する多摩川水系の3水力発電所(多摩川第一発電所、多摩川第三発電所、白丸発電所)から発電された地産地消の再生可能エネルギーを販売すると発表した。

水力発電写真 多摩川第一発電所
水力発電写真 多摩川第一発電所

 水力発電は、水量と高低差がもつエネルギーで水車を回転させ、水車に直結した発電機を回転させて発電。太陽光や風力などの発電が気象条件に左右される再エネであるのに比べ、発電量をコントロールできることに加え、安定的に発電できるメリットがある。

 同社は、東京都内の業務用高圧需要家を対象として、水力発電所由来の電気を活用した再エネメニューを新設し、今年4月から3年間、合計約3億kWhの電力の販売を目指す。また、同メニューを利用する需要家を対象とし、同交通局の水力発電を紹介する機会を提供する予定だ。

 近年の再エネへの関心の高まりや、使用電力を100%再エネで賄うRE100への加盟企業の増加を踏まえ、同社は2019年度から法人向けの再エネ由来の電気販売を開始し、環境志向の高い需要家に利用されている。これまでの取り組みに加え、同メニューの展開を開始することで、さらなる再エネの認知度向上と有効活用を推進していく考えだ。

 同社は、グループ長期ビジョンの中で、2040年時点でのカーボンニュートラルを掲げており、今後も、低炭素・循環型社会の実現に向けて、地産地消エネルギーの推進に積極的に取り組んでいく。なお、東京都交通局は1957(昭和32)年から多摩川第一発電所の運転開始を皮切りに水力発電事業に参入、発電した電気は都内に電気を供給する電気事業者に売却している。2019年度の3発電所合計の販売電力量は約1億1700万kWhで、一般家庭約3万5000世帯の使用量に相当する。

 今回の公募ではENEOSを選定し、都営バス全営業所(20カ所)への水力発電による電気の供給を条件に、今年4月から2023年3月末までの3年間、ENEOSに電気を売却する。

 

住友化学 大阪でEUVレジストなど増強、先端領域を強化

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2021年2月9日

 住友化学は8日、液浸ArF(フッ化アルゴン)、EUV(極端紫外線)などの最先端プロセス向け半導体フォトレジストについて、大阪工場(大阪市此花区)の製造ラインを増設し、生産能力を約4倍に引き上げると発表した。新製造ラインの稼働開始は、2022年度上期を予定する。

 フォトレジストは、半導体製造工程のパターン形成に使用される感光性樹脂。同社は、各種ファインケミカル事業で培った有機合成技術をベースに高い製品設計・評価技術を確立し、大阪工場を中心とした製造・研究・販売集約によるタイムリーな顧客対応力などを生かして事業を拡大してきた。特に、主として微細化工程で使用される液浸ArF露光用レジストについては、性能優位性と品質安定性により世界的に高いシェアを占めている。また、新たな光源であるEUV露光用レジストについても、採用が決定している有力顧客の量産化スケジュールに応じて出荷の増加を見込むとともに、着実な新規受注獲得に向けてさらなる微細化ニーズに沿った開発を進めている。

 2019年度には、先端フォトレジストプラントを新設したことに加え、開発効率向上や品質保証体制強化を目的としたクリーンルームの新棟建設と新規評価装置の導入計画を決定。これら直近3年間の投資額は100億円を超え、一連の供給体制整備の一部は経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の対象事業に採択された。

 半導体デバイス市場は、5Gスマートフォン需要の増加に加え、在宅勤務などライフスタイルの変化に伴い、パソコンやデータセンター関連機器の需要増加を背景に伸長を続けており、液浸ArFをはじめとする先端フォトレジストの需要は、今後も年率6%の拡大が見込まれている。そのため、同社は今回、2019年度に設置した先端フォトレジストプラントに新たな製造ラインを増設し、同プラントの生産能力を約4倍に引き上げる決定をした。

 同じく2022年度上期に完成予定である開発・評価体制強化に向けた新棟建設と合わせ、次期中期経営計画(2022~24年度)の期間中に飛躍的な事業規模拡大を目指す。データ通信のさらなる高速化や大容量化などにより、半導体市場は今後も継続的な成長が見込まれている。2025年ごろには同社の生産能力はひっ迫が予想されるため、長期的な需要を見据えて一層の体制強化を検討していく考えだ。

 

三菱ケミカル バイオエンプラに塗装不要なメタリックカラー

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2021年2月8日

 三菱ケミカルはこのほど、バイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO」において、塗装工程が不要なメタリックカラーをグレードラインナップに追加したと発表した。すでに、ダイハツの「ロッキー」など複数車種の内装材に採用が進んでいる。

ロッキー(画像提供 ダイハツ工業株式会社)
ロッキー(画像提供 ダイハツ工業)

 「DURABIO」は、再生可能な植物由来原料であるイソソルバイドを用いたバイオエンプラで、耐衝撃性・耐熱性・耐候性などの点で従来の一般的なエンプラよりも優れた物性をもつ。また、発色性が良く、顔料を配合するだけでつややかで光沢のある表面を作ることができる。さらに、表面が硬くて擦り傷が付きにくい特長があるため、塗装・コーティング工程が不要となり、製造時に塗料から発生するVOC(揮発性有機化合物)を低減できる。これらの特性を活かし、自動車の内外装意匠部品への採用が進んでいる。加えて、「DURABIO」は、表面に付着した菌が残りづらい物性も持つことから、新しい生活様式においても需要の増加が期待される。

 今回採用されたメタリックカラーの部品は、「DURABIO」の透明性を活かし、顔料による着色のみで高輝度で高級感のある風合いを表現し、従来比でVOC低減および加工時間短縮を実現。高輝度かつ色ムラを低減するための塗装工程が不要となっている。

 同社は今後も、「DURABIO」の研究開発を加速させ、環境に優しいクルマづくりに貢献していく考えだ。

日亜化学工業 深紫外LEDの新型コロナ不活化効果を確認

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2021年2月5日

 日亜化学工業はこのほど、同社製280㎚深紫外LEDの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化効果を確認したと発表した。徳島大学による実験の結果、新型コロナウイルスに対して30秒の紫外線照射で99.99%の不活化効果が得られた。新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価(経済産業省)では、除去効果については99.99%以上の感染価減少率を目安に有効性を判断している。

 流水での手洗いでは15秒で99%程度、消毒用アルコール(エタノール濃度77~81%)では30秒で99.99%とされる。しかし、流水では十分なもみ洗いが、消毒用アルコールでは十分量のアルコールの接触が必要で時間や手間を要するが、深紫外LEDでは短時間で手間なく高い殺菌効果が期待できる。深紫外LEDによる殺菌パワーは、波長別殺菌効果と光出力の積で求められる。波長別殺菌効果は、260㎚波長が100%で最も有効とされ、同社開発中の265㎚品は95%、280㎚品は60%だ。

 一方、光出力は、280㎚品の70㎽に対し、265㎚品は35㎽。従って、280㎚品の殺菌パワーは265㎚品の約1.3倍高い。またLEDの推定寿命は280㎚品が約2万時間と、265㎚品の約10倍だ。紫外線LEDは波長が短くなると出力、寿命などが低下し、電力変換効率が極端に低くなることを踏まえ、今回280㎚品で不活化実験を行った。照射距離5cm、照度1.7㎽/㎠の条件で、5秒で93.28%、10秒で98.42%、30秒で99.99%の不活化効果を示した。このピーク波長280㎚のLEDは、放射束70㎽、電力交換効率3.6%と業界最高レベルだが、今後、より殺菌効果の高い高出力深紫外LEDの開発に注力するとしている。

古河電工 積層フィルムごみを強化プラスチックに再生

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2021年2月5日

 古河電気工業はこのほど、食品や洗剤包装などに使われているリサイクルが困難な積層フィルムを強化プラスチック材料に再生する技術を開発したと発表した。日本テトラパックとゼブラの協力でボールペンを作り、社内での使用を開始した。

 プラスチックごみは、海洋流出による環境汚染や焼却時に発生するCO2による温暖化の問題がある一方、新型コロナウイルスの影響で排出量が増加している。ペットボトルのような単層プラスチック製品と異なり、複数のプラスチックからなるポテトチップスの袋や、紙やアルミなどが積層している食品や洗剤のパッケージはリサイクルが困難で、ほとんどが焼却か埋め立て処分されている。

 同社は昨年、これらプラスチック製品と古紙をワンプロセスで強化プラスチックに再生する技術を開発。紙(セルロース)とプラスチックは本来混ざり合わないが、紙をセルロース繊維に解きほぐしながらプラスチックに分散させることで、元のプラスチックの約2倍の強度のプラスチックに再生できる。すでに使用済み飲料用紙パックをリサイクルした産業資材製品を、昨年から販売している。

 今回、ボールペンのボディ部には顔料を除き、同社の半導体製造用テープの製造ロスと、日本テトラパックのアルミ付き飲料パックの製造ロスのみを使用。これらは3種類のプラスチック(ポリオレフィンとLDPE)と紙、アルミ箔なので、混ぜると強度が低下してボールペン材料として使えないが、同社技術により強度をアップ。また、紙はセルロース繊維に解繊され、紙ごみを使ったボールペンのようには見えない。さらに、アルミ付き飲料パック廃材、ポテトチップス袋とアルミ付き飲料パック、チョコレート包装と木粉、使用済コーヒーカプセルなどの食品包装プラスチックでも、ボールペンの試作に成功している。

 今後は、同社製品やボールペンだけではなく、文具、家具、電化製品、自動車部品など様々な用途に拡大し、また、自治体や小売店などとも連携・協業して、プラスチックごみ問題の解決に貢献していく考えだ。

帝人フロンティア 身体の動きの3Dデータ化と提供のサービス開始

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2021年2月5日

 帝人フロンティアはこのほど、ストリートダンスを中心にイベント企画・映像制作などを手掛けるアノマリー(東京都渋谷区)と共同でモーションセンシングで身体の動きを解析・記録するプラットフォーム「MOTIONBANK PROJECT(モーションバンク プロジェクト)」を開始すると会見発表した。

 帝人フロンティアのウエアラブルモーションセンシング技術「MATOUS」と、ストリートダンスを軸にしたアノマリーの知見とを融合させ、身体の動きをデータ化するシステムを開発。きっかけは、アノマリーの神田CEOの「ダンスで世界を変えたいと始め、今や日本のダンス人口は600万人。オリンピックの公式競技にもなり、次世代エンターテインメントの中心になるだろう。しかしダンスは著作権で守られておらず、何とか著作化してダンサーの権利を守りたい」という思いに対し、帝人Fの重村新事業開発室長が「モーションデータで皆さんを支援できないか」と応えたことだ。

 独自のアルゴリズムで動きを数値化してダンスを著作化し、収益化につなげる。このプロジェクトでデータ化し記録した3Dモーションは、様々な分野へ活用可能だ。既に1万4000以上のモーションデータ・ストックがあり、それらの合成もできる。「飛ぶ」「腕を振る」などのキーワードでデータを取り出し、複数の動きをAIで自動合成し、それをVRコンテンツなどに応用できる。

 「MATOUS」は専用の設備やスタッフ、撮影・編集は不要で、どこでも簡単に詳細な3Dモーションデータが得られ、時間やコストを大幅に削減できる。今月1日からゲームやアニメーションの制作会社などにデータ販売を開始し、その後はスポーツ、伝統芸能、伝統技術の習得分野や、リハビリやトレーニングのような健康・ヘルスケア分野、人の動きをトレースするロボット分野などに向けてソリューション展開を図る。これら様々な分野のモーションデータの取得と販売を拡大展開し、2025年度には両社合わせて売上20億円を目指している。